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→4.みんなでバスケ

キュキュッ…キュ、キュッ
ダッダッダッダッ…ザン!


…バスケットシューズが床をこする音と、ゴールネットがこすれる音。
そして、思いっきりゴールネットに叩きつけられたボールが床に勢いよく落ちるのと同時に、体育館中に響くホイッスル。
狭い体育館内に割れんばかりの歓声が上がり、ゲームは終了した。
六十二対六十五。
ラスト三十秒でスリーポイントシュートが決まり、形勢が大逆転。
それまで勝っていたチームは一瞬にして敗者となり、劣勢だったチームには勝利の女神が舞い降りた。
最後の一瞬まで、目が離せないゲーム。
ゲームはリードしているチームの逃げ切りで終わるかと思いきや、ホンの一瞬の油断が致命的なミスに繋がり、相手チームのポイントゲッターによるスリ ーポイントシュートという決定打を逆にたたきつけられてしまった。
勝負は、時の運。
そして、運こそが、時には勝利を呼び込むことがある。
単なる授業内のミニバスケットゲームであったが、体育館の奥側に位置するバスケットコートは、
授業という枠で治めてしまうのには勿体無いくらいの熱気と、盛り上がりと、そしてメイクドラマがあった。
…が。
いかにそのゲームに参加した生徒たちが良いプレイをしようと、
いかにそのゲームを観戦していた生徒たちが盛り上がろうとも。
この授業を担当している教師は、そのプレイに対して生徒たちを全く評価する事は無かった。
いやそれどころか、生徒たちが周りを感動させるようなゲームをしていた事すら、その教師は知らないのではないだろうか。
それは一体何故なのか。
教師は、生徒に興味が無いのか。はてまたバスケっトボールという競技に興味が無いのか。
…いずれも、それには当てはまらない。
では、一体何故なのか。それは…


「先生、パース!」
「先生、こっちある!」
「こちらがボールですわ!」
チュドーン…ボン、ボン!
「…あの、先生転んでるんだけど…」
「てへへ…」


…その教師自身が別のゲームに参加していたからである。
もっと言うなれば、「ゲーム」と見せかけたその教師への攻撃を気がつかないうちに受け、しかし気がついて否がゆえに更に自体が悪化している最中であるからだろうか。
というより、その教師は、自分がゲームに参加してしまったらその事で精一杯で、他の生徒を見ている余裕などないのだ。
それに、もし耳無くてはいけないというのなら、まずは自分自身に襲い掛かっている三人娘の存在に気がつかなくてはいけないだろうに。

教師の名前は、二ノ宮ひな子。
風林館高校にやってきた、新任教師だ。無差別格闘流究極奥義「八宝五円殺」の使い手で、八宝菜や三人娘をいとも簡単に任してしまった女だ。
相手の闘気を吸い取り、子供から大人に変身する彼女のその技を封印すべく、乱馬は彼女の体の「ツボ」を襲うと近づこうとするが、どうにもこうにも場 所が悪い。
あかねには誤解され、三人娘も更に暴走し、そんなこんなのうちにこのバスケットボールの授業を舞台に、それぞれの思惑が発散・実行される事となっ たのだ。
ひな子に少しでも近づいてツボを襲うとする乱馬と、ひな子を叩きのめそうとする三人娘と。
そして、そんなことに全く気がつかないひな子と。
一見「青春のレクリエーション授業」のようなバスケットゲームだが、実はそれぞれの思いが非常に交差している。
同じバスケットゲームはゲームでも、さして同じようにみんなでバスケをしていても、こうもゲーム目的の趣旨が違うと、全く違う物になる。
片方は、正真正銘の学生バスケットボールゲーム。
片方は、もはや格闘技の試合である。
もちろんこの後、

「この試合、何だかおかしいわ…・そこの三人!」

…と、ようやくひな子も気がつくわけだけれど、
高校生の、授業で行うバスケット。
みんなでバスケをやるならば、やっぱり楽しい方がいい。

 

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