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→1.今日は日直

今日は日直。
だから、いつもより早めに学校へとやって来た。
人がまばらの校舎の中、少し駆け足で教室に向かう。
…朝日のまぶしい教室。窓から差し込む朝日が、規則正しく並んだ机の表面に反射して光が乱舞する。
ツン、と、学校独特の匂いがした。あたしはその匂いを思いっきり吸い込んでから、教室の中へとゆっくり入っていった。
そして、教室の前部分…大きな教卓と、朝日を浴びてより一層紺碧色を際立たせている黒板へと歩み寄った。
前日の掃除当番のおかげで、まだチョークの粉も殆どない、黒板。
あたしは生徒だから教師にはなったこと無いけれど、
誰も使っていない黒板。綺麗になっている黒板に文字を書く…それってすごく気持ちがいいことなんじゃないかな。あたしはそう思う。
あたしは、徐に白いチョークを一本手にした。
そして、黒板の右の隅へと目をやる。
…日付が縦にかかれたその下に、「日直」と書かれた文字と、人の名前を縦線で左右に分け表記してある部分がある。
そこは、本日の日直の氏名が書かれる部分だ。
まだ、名前は昨日の日直のものになったままだった。
「…」
あたしは、ふかふかの黒板消しでその名前を消すと、まずは右側に「天道」と記した。
勿論それは、自分の名前だ。
そして縦線を挟んで左側に、今日のもう一人の日直、「田中」というクラスメートの名前を書こうとしたけれど、ふと、思いとどまって、
『早乙女』
徐に、乱馬の名字を書いてみた。
そして、自分と乱馬の名前の上に、大きな三角形を一つ、書いてみた。
そう、それはまるで「相合傘」。大きな相合傘だ。
お互い名字だから何だか堅苦しいけれど、教室の黒板に、先生が授業をする前に書いたのが乱馬との「相合傘」。
何だか妙に、新鮮でもありおかしくもある。
あたしはそれをしばらくニコニコと眺めた後、綺麗に消し去って『早乙女』を『田中』に書き換えた。


誰にも秘密、乱馬にも内緒の朝の楽しみ。
日直の朝の、何よりも先のあたしの「仕事」。

 

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