「今週は・・・バスケ部に野球部、柔道部に空手部、ええ?女子卓球部も!?」
・・・なびきから渡された、「早乙女乱馬当月助っ人スケジュール表」とやらを俺の代わりにチェックしていたあかねが、素っ頓狂な声をあげた。
義姉弟のよしみ、というのは名目上で、
要は写真ネタで脅されている俺は、なびきの引き受けてきた運動部の助っ人家業に精を出さなければならないわけで。
特に今週は、同じ日に重なってレンタルをされることも多い。
一時間千円。持ちかけるほうも持ちかけるほうだけど、払うほうも払うほうだ。
「かったるいなー」
俺がそんなことを言いながら、スケジュール表を見つめているあかねの膝の上にごろんと寝転ぶと、
「こんなにスケジュール一杯だと、乱馬だって疲れちゃうよね。全く、仕事を掛け持っている芸能人じゃないんだから!」
「まあなあ。ま、体は動かすの好きだし運動できるのはいいんだけど」
「そうだけど、限度があるわよ」
どうやらあかねは、俺の体力を心配してくれているらしい。
なんとも優しくて可愛い奴だ。
「それに・・・」
「それに?」
「こんなに放課後の予定がびっしりだと、一緒にのんびり帰れないね」
それに加え、助っ人三昧なせいで放課後にあかねとデートするということがしばらくできなくなるということも、あかねは気になるらしい。
家に帰れば一緒にいられるけれど、でも家族がいるわけで。そうなるとやっぱり気を使う。
そのせいもあって、あかねは心なしか寂しそうに見えた。
「・・・」
俺はむくっとあかねの膝の上から起き上がると、
「平気だって」
「でも・・・」
「俺がちょーっと本気でやれば、こんな試合なんてすぐに終わるし。それに終わった後ダッシュで着替えれば、ちゃんと時間作れるよ」
「だけど、それじゃ乱馬が余計に大変じゃ・・・」
「いいの。だからお前は俺の試合とかちゃんと見て、終わったらすぐに帰れるように準備して待ってろよ」
そういって、寂しそうなあかねの体をそっと抱きしめながらそう言った。
「・・・うん!」
あかねはそんな俺の言葉を嬉しそうな表情で聞いていた。そして元気な声でそう答えると、
「乱馬ー・・・」
「何だよ」
「・・・大好き」
自分を抱きしめている俺の体に、自分も腕を回しながらそう呟き、ニコニコとしていた。
・・・おいおい、可愛いじゃねえかこの野郎。
俺はそんなあかねを更にぎゅっと抱きしめると、「大好き」と呟いたあかねのその唇に自分の唇を重ねた。
掛け持ち助っ人も、スケジュールを調節すればそれなりに空き時間も作れる。
そう、時間なんて本人のやり方次第でどうにでもなるもんだ。
それに俺、
金なんて入ってこないし、体も疲れるだけだけど・・・これのおかげで昔よりは時間の使い方、上手くなったかもしれない。
どんなに忙しくたって、あかねと一緒にいる時間は何とかして作ってみせる。
あかねが風林館高校のアイドルなら、俺はスポーツ部門のスターなわけで。
そつなく、ほどなく、ぬかりなく。
そんなスターな男の、これは曲げられないポリシーだ。