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→13.ハネムーン

「草津だ!」
「熱海よ!」

…とある日の夕食後。
居間では、あたしと乱馬のそんな言い争いがされていた。
「草津「か「熱海」か。
何でそんな言い争いをしてるか、というと。
たまたま夕食後に居間で見ていたTV番組で、
「日本国内で新婚旅行に行くなら!?ベストテン」というのをやっていた。
で、十位から二位までランキングを見ていて、
CM明けに一位を発表するというので、
それでは一位は!?と、あたしと乱馬はこうしていい争いをしている。
「草津ヨイトコって言うだろッ」
「昔っから旅行は熱海が定番なのよッ」
…あたしと乱馬は、画面の前でそう言ったきりお互い一歩も譲らない。
「熱海なんて、ハネムーンじゃなくてもいけるだろッ」
「草津だって一緒じゃないッ」
「お前この間、温泉が入れるところが良いって言ってたじゃないかッ」
「あんただって、海が見えるところが良いって言ってたじゃないッ」
「何だよ!」
「何よ!」
あたしと乱馬はCM中、ずっとそんな事を言ってはいがみ合っていた。
…と。
「…もー、あんたたち。いい加減にしなさいよ」
CMが明ける直前に、画面の前でいがみ合ってるあたしと乱馬に、なびきお姉ちゃんがため息をつきながらそう言って来た。
「何だよ、なびきッ」
「何よ、おねえちゃん!」
あたしと乱馬がギロッ…とお姉ちゃんの方へと振り返ると、
「おお、怖」
なびきお姉ちゃんは肩をすくめたアクションをしてから、
「あのさー…どっちだっていいじゃん。草津だろうが熱海だろうが。どうせあんた達、どこへ行ってもやる事一緒でしょ」
…どうせ一緒に行くんだったら、両方行けば良いでしょ?
そういって、ニヤッと笑った。
「…」
そんななびきお姉ちゃんの言葉に、あたしと乱馬は真っ赤になって黙り込んだ。
「なーに黙り込んでんのよ。あ、ほら。あんた達の見たかった一位、発表してるわよー」
なびきお姉ちゃんの声と共に、TVからは
『…では第一位。一位は九州の指宿でしたー』
…と流れてきたのだけど、
もちろんあたし達はそんな声なんて耳に入っては来なかった。

ハネムーン。
そうか、どうせなら二箇所行くのも…悪くない。

「し、仕方ねえな。しょうがねえから熱海にも行ってやるよ」
「し、仕方ないから、草津にもいってあげるわ」
TVそっちのけで、今度はそんな事をぼそぼそ話しているあたしたち。
もちろん、そんなあたし達のすぐ後ろで、
「あら?あかねと乱馬君、仲直りしたの?よかったわ」
「ったく、喧嘩の原因がくだらなすぎるのよ。ハネムーンの場所で喧嘩してんのよ?それってさ、一緒にハネムーンに行くって事前提に二人が考えてないと出来ない喧嘩じゃない。」
はいはい、仲がよろしいようで。
かすみお姉ちゃんとなびきお姉ちゃんがそんな会話を交わしていたなんて、あたしたちが気がつくはずもなかった。

 

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