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→彼は一体何をした?(狼青年編)

「だってさー」
「うるさいっこのスケベっ」
「しょうがねえだろー」
「どこがよっ」
「…」
…と、向かい合うこと、三十分。
お互い正座姿で、険悪なムードのまま乱馬とあかねは向かい合っている。
その原因は、というと。


いわゆる今日は、あかねにとって「安全日」であった。
もちろんそれを、乱馬が見逃すわけがなかった。
いや、別に「安全日」だから部屋に忍び込んでくるわけでもなく、しょっちゅうあかねのベッドに潜り込んでくるわけな のだけれど。
今日も今日とて、家族が寝静まったのを見計らって、乱馬はあかねの部屋にやって来た。
「もー…」
「へへっ…」
「明日、早いんでしょ?」
「関係ねーよ」
…と、嬉々としてあかねのパジャマに手をかけた訳であるが。
「あっ…だめだよ乱馬っ」
「何で?」
「だってっ…あっ…」
…しばらくして。
息も絶え絶えなあかねが、小さな声でそう叫んだ。
が、その時にはもう、乱馬はあかねと「繋がろうとして」いたわけで。
そこまでは普段どおりでも、ただ一つだけ。
いつもこの時には必ず準備している、「あるもの」が足りなかった。
そう、それは…「避妊道具」。いわゆる一つの、「コンドーム」。
一応二人は「結納」を済ませ、あとは「祝言」をあげるだけになり、
正式に「祝言」を挙げた後は一緒の部屋で暮らすことになっているので、
別に今更、つけようがつけまいが、子供が出来ようが出来まいがあまり大きな問題でもなく…かえって子供ができた方が、両家の親達は喜びそうなものなのだが。
「逆算したら、いつ子供が出来たかとか、すぐに分かっちゃうんだから」
「へー」
「出来ちゃった結婚…にはならないかもしれないけど、祝言の前に出来ちゃうのは、やだなあ」
「なんで?」
「けじめ、ちゃんとつけたいんだもん」
だからとりあえずは「祝言」までは我慢してよね、と、先日の結納の時にこっそりと乱馬に囁いたあかねであった。
「…だって、今日は平気な日だろ」
「そ、そうだけどでもっ…ちょっ…」
力なくあかねがその身体を押し返そうとしても、乱馬が勿論身を引く事は、ない。
それどころか、あかねのビクン、と跳ね上がった白い肌に、顔を埋めて貪るように唇を動かす。
「やんっ…」
「あと二週間なんて、待てねえよ」
そう言った乱馬は、はあ…と虚ろな表情でため息をつきながら身体を動かす。
「もうっ…んっ…」
そんな事を続けられれば、あかねとて、その抵抗する力を根こそぎ持っていかれてしまう。
そう、何だかんだいっても、彼女の身体は「大人」であって、心の奥底では彼のことを愛している以上、しだいに「諦め」の念も沸いてくるのである。
「…」
…結局はそのまま、あかねは乱馬の首筋にぎゅっと、力をいれて抱きつく事になり、その日はそのまま「行為」が行われた。



「何であと二週間、我慢できないのっ」
「二週間ていったら、十四日だぞ?!」
「そんなの知ってるわよっ。結納の時に言ったでしょっ。祝言挙げてからだって!」
「だってさー…」
「だって、じゃないっ。動物かっあんたは!」
全く…と、あかねが乱馬に背を向けると、
「あかね。悪かった」
不意に、背を向けたあかねに向って、乱馬が呟いた。
「…」
あかねが、ちらっと乱馬のほうを振り返ると、
「今日の事は謝る」
「…」
「しかし…一つだけ気になる事がある。それだけは確認させてくれないか?」
乱馬は妙に深刻な顔をしながら、あかねの方へ、ずずいっ…と詰め寄ってきた。
「何よ」
その乱馬の様子があまりにも深刻なので、あかねが思わず身を引くと、
「…今日が安全日だったというのは、良くわかった」
「そ、それが何よっ」
「てことは、だ」
「…」
「明日ももちろんそうって事だよな!?な!?」
乱馬はそういって、嬉しそうにあかねに抱きついてきた。
「あんたはー!人の話聞いてたの!?」
ボコっと、あかねが乱馬の頭を殴り倒すと、
「聞いていた!」
「だから、祝言まではダメだって言ってるでしょ!」
「それと是とは別問題だ!」
「はあ!?」
「いいか、あかね。人生というのは、いつ何があるかわからないんだぞ?明日何があるかだって…」
「いつからお前は哲学者になったー!」
バキっ…と、あかねが更に乱馬の頭を殴るも、
「今日からだっ」
…とか何とか。乱馬はこりずにあかねに抱きついてくる。
「このっ…バカー!」
メリっ…と、再びあかねの鉄拳が飛び、乱馬の身体は容赦なく床に沈んだ。




この後、祝言までの二週間。
乱馬はあかねに、「夜、部屋での接触禁止令」を出される事になるのだけれど、無論これに対し、
「じゃあ昼ならっ…」
と、目を光らせて張り切る狼青年と、
「昼も接触禁止令出してやるっ」
と、息巻く赤ずきんちゃんの攻防のお話は、また別の機会で語られる事になるのである。

 

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