とある夏の日のこと。
夏休みということもあり、あたしと乱馬は二人で遊びに出かけていた。
場所は、あたし達が住んでいる街から電車で一時間半ほどの、アミューズメントパーク。
時間的には結構かかるけれど、実は同じ都内にあるという地図上では近い場所だ。
でもそうなれば、交通機関の数も一気に減ってしまうわけで。
それに加えて、あたし達は両方ともまだ免許を持っていないから、所在地が区から市、とか町になると途端に首都でも不便になる。まだまだそこは、日本の課題点だ。
・・・
と、そんな日本の課題はおいておいて、
そんな風にして遊びに来ていたあたし達だったけれど、
遊びに夢中になりすぎて、夕方乗るはずだったバスに乗り遅れてしまったがために、ボチボチ、と最寄の駅があるという方向へと歩いていた。
本来ならばバスを使わなくても電車の乗換えだけでも、あたし達の最寄の駅までは帰ることができる。
だけど、電車のみだと四回も乗り換えなくてはいけないのだ。しかも降りた駅からここまでかなり歩く。
バスだと、あたし達の最寄り駅から一時間ほど電車に乗って、降りた駅でこの場所までバスに乗ればいい・・・という簡単な乗り継ぎで済む。
多少乗換えが多くても、次のバスを二時間も待つよりも駅まで歩いた方が早いか・・・あたし達はそんなことを思いつつ、その電車の駅に向かって歩いていた。
けれど、
「あ、雨?」
「えっ・・・」
運が悪い時はとことん悪いもの。
バスに乗り遅れたあたし達に追い討ちをかけるかのように、
歩き始めてすぐに、それまで晴れていたにも関わらず、ポツンポツンと雨が降り始めてきた。
「はー・・・ホントに今日はついていないなあ」
遊んでいる時は楽しかったのにね。
あたしはノンビリとそんな事を呟きながら、鞄の中に入っていた折り畳みの傘を開こうと鞄に手を突っ込んだ。
でも、
「冗談じゃねえ!」
「えっ・・・ちょ、ちょっと!?」
雨に濡れると女の子になってしまう乱馬にとっては、この雨は致命的。
乱馬は傘を取り出そうとしていたあたしの手をガッシリと掴むと、自分が着ていたチャイナ服の上着を素早く脱いで大きな「雨よけ」を作り、
「あそこ!あそこに入るぞ!」
「え、でもあそこ・・・建設中の家だし、人の土地なんじゃ?」
「建設中なんだから、いいんだよっ」
無茶苦茶な事を言いながら、あっという間にあたしを連れて建設中の家へと飛び込んだ。
そう、あたし達が歩いていた道の脇に建築中の家がたまたまあった。
残念なことに明かりはついていないし、床もまだ荒削りだし内装はまだまだだし、窓もはめ込まれている部分と無い部分があったりしたけれど、そのはめ込まれていない窓からならば中には入ることが出来そうだ。
はめこまれていない窓は、二階。
こういう時に身軽な乱馬は便利なもので、素早くあたしを抱き上げ上着を頭から二人に被せると、シュタッ・・・と二階部分へとジャンプ。
何のことは無く、その建築中の家へと入り込んでしまった。
とりあえず玄関ドアや1階部分の鍵を二人で手分けして閉めて、その唯一空いていた二階部分から誰かが入ってこないように・・・と、内装用に壁際に立てかけられていた大き目の板をそこへ立てかけ、外部からの侵入者をブロックした。
既に誰かが入り込んでいる・・・かどうかも確認をし、中に誰もいないことを確認したあたし達は、ようやくそこで、ほっと胸を撫で下ろす。
「乱馬、雨が降り始めてからここに来るまで、早かったね」
電気もないし、薄暗い室内。
幸いなことに、工事用の小さなランプが床に転がっていた。
そのランプをつけてしまうと明かりが外に漏れるかな・・・と心配したけれど、あたし達が忍び込んだ部屋の窓は、その木の板で覆った窓だけ。そこを厚い板で覆っているので、外部へと声が漏れることも明かりが漏れることもなさそうだ。
ランプだからずっとつけているわけにはいかないけれど、とりあえず少しの間明かりを取るには良さそうだ。
あたしは、転がっていたランプに、同じく転がっていたライターで火をつけ明かりを灯した。
「だって、仕方ねえだろ・・・せっかく二人でデートしてたのに、女になんかなりたくねーもん」
「だからって」
「何だよ、じゃあ俺が女の格好している方がいいのかよ」
「誰もそんなこと言ってないでしょ」
「とりあえず、この雨は通り雨かもしれないし・・・ちょっとここで、様子見ようぜ」
乱馬は、雨よけの為に身体にかけていた上着を近くの梁へと引っ掛けて乾かそうとしていた。
あたしはその下にランプを配置して、その洋服が乾く手伝いを出来るようにしてみる。
そして、
「雨ですごく濡れたわけじゃないけど、日が暮れてくると寒くなるかしら・・・外、雨だし」
何か包まれるものとかないかなあ・・・あたしはそんな事を呟きながら、殺風景な部屋の隅に設置されていた将来的にクローゼットになりそうなスペースを覗いてみた。
すると、そこには建築工事の人々が、別の部屋の窓ガラスを運び込むのに使ったのだろうか、毛布ではないにしろ、薄手で大きめな布がたくさんあった。
「これ、かけられるかも・・・」
あたしはその布を数枚スペースから取り出すと、上半身裸でいる乱馬に一枚手渡した。
「これ、どうすんの?」
乱馬は、あたしからその布を受け取り首をかしげている。
「どうするのって、そのままの格好じゃ身体、冷えるじゃないの。身体にかけるなり巻くなりしなよ」
あたしも、自分の分は確保したから大丈夫だよ。あたしはそう言って自分の確保した分を乱馬にみせると、
「ちょっとそれ、貸して」
「え?何で?」
「いいから」
乱馬はあたしが持っていた布を、何故か自分によこせと手を出した。
布の模様でも気になるのか・・・それとも大きさとか材質にこだわりでもあるのか。
そういうのには無頓着のはずの乱馬にしては珍しい・・・あたしがそんな事を思いながらも乱馬に布を手渡すと、
「・・・」
乱馬はあたしから受け取った布を、まずは自分の身体に巻いた。
そして、もう一枚あたしが手渡した方の布をあたしに手渡すのかな・・・そう思って乱馬を見ていたけれど、乱馬はそのもう一枚の布も、自分の身体へと巻いてしまった。
「あ!ちょっと・・・あたしの分の布も巻かないでよ!一枚で足りるでしょ」
足りないのなら、言えばいいのに・・・仕方ないのであたしが、先ほどのスペースから取り出していた別の布へと手を伸ばそうとすると、
それより一瞬早く、乱馬があたしへと手を伸ばし、手首を掴んだ。
そして、
「きゃっ・・・」
クイッ、とかなり強引に自分の方へとあたしを引き寄せた。
手首を予想外の強い力で引っ張られ、あたしの身体は面白いくらいに簡単に、コロンと座っていた乱馬の膝の上に転がってしまう。
乱馬は転がってきたあたしを素早く自分が巻いていた布の中へと包んでしまうと、何故か自分の胸の前の部分だけスペースを空けた。
どうやらその部分か首を出せ、ということらしい。
「・・・」
あたしがわけもわからずその部分から顔を出すと、乱馬は楽しそうに笑いながらあたしの事を見つめていた。
「危ないじゃない!何すんのよ」
布の下では、胡坐をかいた乱馬の足の上に、あたしが向かい合うような形で座っている。
そして、首だけすっぽりと外に出し嬉しそうな乱馬と向き合っていた。
イマイチ安定感の無い座り方なので、乱馬のウェストに布の下から腕を回してくっついている状態だ。
そんなあたしに対し、乱馬は悪びれた様子も無く、
「俺、くっついているから別に身体は冷えないと思う」
あたしの意志とは関係なくニコニコとした表情でそういうと、布の下であたしの身体に腕を回す。
「だからって、二枚も布を巻くこと無いでしょ」
「何で二人で一緒にいるのに、別々の布巻いて別々に座ってなくちゃいけねーんだよ」
あくまでも、一緒の部屋に二人きりでいる時のデフォルトが、「くっついて過ごす」なのか。
乱馬は臆せずあたしに説明をすると、
「雨宿りするのもしばらくかかりそうだし、寒いと風邪引くし、しばらくこうしてよーぜ」
とか何とか言いながら、あたしの背中に回していた腕の力を改めて強めてあたしを逃げられなくしてしまった。
そして、うす暗かろうが場所が普段と違おうが、持って生まれたものは同じ。
片手であたしの背中を支えるようにして上手く身体を固定したまま、服の上からそっと、あたしの胸へと手を下ろす。
「ちょっ・・・ちょっと待って!」
「待たない」
「だ、だめだよ、ここ人の家だし外だしっ」
「まだ建ててる途中だから平気。それに一応、室内だから」
「そういう問題じゃないでしょっ」
あたしは慌てて、自分の胸に触れている乱馬の手を払いのけようとするも、それよりも一瞬早く、乱馬はあたしが着ていた洋服の下へと手を滑り込ませた。
あたしが今日着ているのは、薄手のボレロに小花のプリント柄のキャミソール。それに短めのジーンズのスカート。
乱馬は素早くキャミソールの中に手を滑り込ませ、あたしの下着の上から胸に手を触れた。
乱馬の大きな手は、キャミソールの下でドキドキと鼓動しているあたしの小さな胸をすっぽりと、覆ってしまう。覆って、そしてゆっくりと収縮させながら包んで・・・服に手を入れたりあたしを引っ張ったりするのはかなり強引なのに、肌に触れる手はびっくりするほど優しい。まるで、羽で触れられているかのように。
「ん・・・」
しかも、指先だけに軽く力を入れるので、下着の下で徐々に形を顕にし始めた胸の先端に触れられただけで、身体がビクン、と竦んでしまう。
あたしは思わず乱馬の膝の上で身体を竦みあがらせた。
すると、
「人の家なのに、何て言ってたくせに・・・何、その声」
乱馬が少し楽しそうな声でそう呟くと、片方の手を器用に動かしてあたしが着ていたボレロを脱がせてしまった。
そして、あたしからはぎ取ったボレロを部屋の隅に投げて、露になった腕や肩へ吸い付き舌を這わせはじめた。
「いっ…いやあ…」
手は胸をはい回り、舌は肌をはい回る。
頭の中か、真っ白になった。頭の中は真っ白なのに、身体だけは…異常に熱く感じる。
「…」
こんな建設中の建物の中、ランプの灯一つの場所で二人で何、してるんだろう。
建設中とはいえ、人の家なのに。完全に誰も来ないとは、言えないのに。
イケナイことと分かっているのに…
「…」
身体が、触れられることを拒絶しないのはどうして?
…
「脱いじゃおうか…これ」
と。
身体が再び竦みあたしの身体から力が抜けた瞬間、乱馬はあたしの耳に唇をつけながらそう囁いた。
「うん…」
頭がボーッとして、何だかちゃんと判断が出来ない。あたしは乱馬の言うがままに、頷く。
乱馬は、素早くキャミソールをめくりあげボレロと同じように部屋の隅へと投げた。
そして、
「…」
あたしの唇に吸い付きながら、背中に手をまわした。指がクイッ…と動いたかと思うと、いとも簡単に下着のホックをはずしてしまった。日頃のたまものなのか、手際がいいことが憎らしい。
覆っていたものが無くなり、柔らかな乳房が闇の中へ零れ落ちた。
腕に滑り落ちてきた下着をそっと床へと落すと、その仕草を見ていた乱馬の呼吸が急に荒くなったような気がした。
「…」
あたしがじっと乱馬を見つめると、乱馬は再びあたしの唇に吸い付きながら、露になった胸の先端を指で触れた。
「あ…」
悩ましげな吐息が洩れるも、それさえも乱馬に吸い取られてしまう。
でも、熱くて大きくて柔らかい指の腹で執拗にその部分だけ触れられると、吸い取られてしまうと分かっていても自然に声がでてしまう。
「ん…はあ…」
吸い付くキスから舌を絡めるようなキスに変わり、いつの間にか床に倒れ込みあたし達は抱き合っていた。
「声…出してもここなら平気だから…」
舌を絡め身体をすりよせながら、乱馬があたしに囁いた。
「…」
声、なんて。そりゃいつもは隣りの部屋を気にしているかもしれないけど、でも…
あたしがそんなことを思っていると、
「今日は、出ちゃうよ…きっと」
「え?」
「何か、俺…やばいかも」
乱馬はそう言って、あたしの頬をそっと撫でた。
「…っ」
毛布の下、すり寄せあっているあたし達の下半身。明らかに熱くて、堅くて、そしてドクドクと波打っているものが、あたしの太股に押し付けられる。
乱馬はあたしが履いていたデニムのスカートも素早く脱がし、露になった太股にその部分をこすりつける。
布越しに伝わる、乱馬の鼓動。
「熱い…」
あたしは、乱馬の身体に手を回し、ぺたん、と胸に頬をつけながら呟いた。
乱馬は黙ってそんなあたしの身体を一度だけギュッと抱き締めると、再び吐息を奪うようなキスをした。
言葉もなく舌を絡ませるキスのせいで、少し唇を離しただけで、ツ…とお互いの唾液の糸が見える。絡む舌の熱さが、触れる度に身体の中へ伝わってくるみたいだ。
あたし達は気がついた時には、床に転がりもつれあいながら、お互いを求めあっていた。上半身はだけて半裸状態のあたし達。
床に背をつき乱馬を下から見上げるあたしと、そんなあたしを組み敷くようにして見下ろす乱馬。
お椀型にフルフルと震える乳房に、乱馬のお下げが触れれば、それだけでビクン、と身が竦む。
「…」
そんなあたしを見ながら、乱馬がごくり、と喉を鳴らしたような気がした。
そして乱馬は、微かに揺れる柔らかな白い乳房を大きな手で包むように触れると、そのまま指を使い収縮させるように触れ始める。
時折、意図的に伸びた指の腹で胸の先端の肉芯を刺激されれば、甘い吐息が口から洩れた。
「…」
もつれあうように床に転がり、抱き合う最中、ふと目を自分の胸へとやると、彼の手の形にグニャリと歪んで形を変える自分の胸をみた。
湧き上がる、カッ…とした熱さと、自分が何をされているかを考えるだけでおかしくなりそうな身体と、吹き飛びそうな理性と。
「あんっ…」
強く抱き締められ、耳を軽く噛まれたあたしは、甘い声を上げながら、乱馬の背中に爪を立てていた。
それに触発されたのかどうなのか。
乱馬はそんなあたしへ長いキスをすると、床に無造作に置かれていた、先程あたしが棚から出して来た布へと手を伸ばした。そして、
「やっ…乱馬…」
乱馬はその布の端を軽く破ると、その部分でなんと、あたしの目を隠してしまった。
目隠しをされるなんて今までされたことも無かったのに…普段と違うシチュエーションと、普段と違う乱馬にあたしがカッと身体を熱くさせ胸を鼓動させていると、
「…」
乱馬の熱い息が再びあたしの耳にかかった。そして、スルスルと手が肌を伝い下半身へと滑っていくのを感じた。滑る手はあっと言う間にあたしの下半身を覆っていた下着まで到達し、そして…するりと中へと入り込んでしまった。
「んっ…」
ビクン、とあたしが身を竦めると、
「…」
乱馬は素早くその中で指を動かし、下着にそれまで覆い守られていた小さく熱い蕾へとゆっくり、指を滑りこませた。
「あっ…いやあっ…」
口を出る、拒絶の言葉。しかし言葉とは裏腹に身体は反応をする。耳に微かに聞こえ始めた、潤みのある音。蕾から溢れ始めた透明な蜜が、彼の指を伝い、太股へと流れて来る。
「あかね…いつもより濡れてる」
そんなあたしの耳元に乱馬がそっと囁いた。
「っ…」
・・・頭の中が真っ白になった。
あたしは今、目隠しされていて、それでこんなことをされて、それなのに…
ドウシテ?カラダガアツクテタマラナイ・・・
・・・
…乱馬はそんなあたしに軽くキスをしたあと再び耳にもキスをすると、それまで緩やかに蕾の中で動かしていた指の動きを、早め始めた。
「あっ…やっ…」
あたしの口からは、自分の意志とは無関係に甘い吐息が再び洩れ始めた。
視覚を奪われた今、身体の全ての感覚がリアルに自分を包む。
「あっんっ…」
指を噛むようにして必死に声を押さえようとしても、どうしても洩れてしまう、声。
普段とは違う何もかもに戸惑いながらも、あたしは熱い感覚に身を委ねていた。
・・・
※このお話の続きは配信終了いたしました