眠りが浅い日の深夜は、あたしは必ず、隣て寝ている乱馬の手を掴んでみる。
乱馬の手。あたしより一回り大きな手。
それを被せるように握る小さな手。それが、あたしの手。
…何故かは分からないけれど、無償に手を繋ぎたくなる。
付き合い始めるまでは分からなかった、乱馬の手の暖かさ。
それをこんな風に、気ままに手に感じることが出来るなんて、今更ながら不思議。
暖かいな。柔らかいな…優しいな。
髪を撫でてくれる手も、引いて歩いてくれる手も、そして…優しく肌を撫でてくれる手もみんなみんな、大好き。
「…」
この手が無償に愛しくて、あたしはそっと、頬をすりよせてみる。
柔らかい唇に触れる、滑らかな肌。
タオルケットに顔を埋めるのと同じくらい、この肌を唇に感じるのは好き。
…
乱馬が起きていたらこんなこと中々出来ないからとはいえ、乱馬が寝ているとあたしは随分大胆だ。
少し名残惜しいと思いつつ、あたしは乱馬の手をそっと元に戻し眠りにつくべく今夜も目を閉じた。
勿論そんなあたしは、
「なー…もっといろんなことしていいんだぜ?」
あたしが眠りについたあといつも必ず、乱馬がそんなことを言いながら目をさますこと。
そして、
「風邪ひいちまうかな…でも着せたくないしな、服」
そんなことをいいながら、あたしの髪や布団から出ている肩を優しくて撫でていること、
「んー…起こしちまおうかな。でもなあ…起こしたらこんなことも出来ないしなあ」
あたしを起こさないようにしつつあたしの胸に顔を埋めたりして遊んでいる事、抱きついたままじっとしていることなど、知る由もない。