「乱馬、ちょっと動かないでね」
あかねがそう言って、座っている俺の頭についていた葉っぱを、指で取る為に目の前に立った。
「おう」
俺は、あかねに言われるがままにじっと座っている。
あかねは、そんな俺の頭についた葉っぱを必死で取ろうとしているも、根が不器用な為に、少し苦戦しているようだった。
俺は、そんな風に必死で葉っぱと格闘しているあかねの身体を、ジーっと見つめていた。
…近くで見ると更に分る。細い、体のライン。
格闘家とは思えないほど、華奢な体。
少し目線を上にやれば、形のよい胸が、小さく震えている。
洋服を着ていても揺れているのが分るのは、今日あかねが少し大きめのニットを着ているからだ。
「…」
右に、左に。時折前後に。
俺の目の前で、小ぶりに動く胸。今は洋服を着ているけれど、着ていない時の胸の動きも、俺は知っているんだよなあ。
それに、何かこう柔らかくて…
…
「…」
そんな事を考えている俺は、無意識に…目の前のあかねの胸に、ポフっと顔を埋めてみた。
「きゃー!」
いきなり俺にそんな事をされたあかねは、慌てて俺から離れようとしたけれど、そこは俺、そんなあかねの身体を素早く腕で捕まえる。
「な、なにすんの!」
あかねが、胸に顔を埋めたままの俺の頭をぺちぺちと叩きながらそう叫ぶも、
「だって、目の前にあるから」
そう、まさにそれが理由。
俺があかねの胸に顔を埋めたままそう呟くと、
「目の前に胸があったら、あんたは顔を埋めるわけー!?」
「うん」
「うん、じゃないでしょー!もう、子どもじゃないんだから!」
あかねはそう言って、俺の顔を自分の胸から引き剥がそうとした。でも、
「子どもじゃねえよ?だって子どもは、こんな事しないだろ?」
それぐらいで素直にはがれるくらいなら、初めから顔を埋めたりはしない。
俺は、あかねの胸に顔を埋めたまま、そのまま着ているニットの中にするすると手を滑らせていった。
「ちょっ…何してんの!」
「何って、脱がそうと思って」
俺がそう言ってにこっと笑うと、
「脱がそうと思って、じゃないでしょ!」
あかねはそんな笑顔の俺に、ゴツン、とゲンコツを落とした。
「脱がそうと思って、はだめなのか?」
「当たり前でしょ」
「じゃあ、脱がす。これならいいだろ?」
「はあ!?ちょ、ちょっと待ちなさいっ…って、きゃー!なにすんの!」
でも、俺もいよいよ引き下がろうとはしない。「脱がそうと思って」なんて曖昧な意思表示じゃなく、「脱がす」とはっきり言い切った俺は、暴れるあかねを器用に床の上へとひっくり返すと、
「目の前であんな風に胸を揺らされてもなあ…俺も困っちまうぜ」
「何が困る、よ。どう考えたってあたしの方でしょ、困ってるのは」
「誘惑されてんのかと思ったぜ」
「頭についた葉っぱを取るって言っだでしょ、最初に!」
「そうだっけ」
と、あかねのぼやきを耳半分に聞きながら、さっさとあかねのニットを捲り上げては、ぴたーっとあかねの身体に直に顔をつけた。
「ひゃっ」
俺の髪の毛が肌に触れるのがくすぐったいのか、あかねはびくん、と身体を弓上に跳ね上がらせる。
「・・・」
あかねの身体に抱きつくのも好きだけど、こうやって反応するあかねを見ているのも好きなんだよなあ。
いずれにせよ、今の俺は幸せだ。
「ちょっと!乱馬、くすぐったいってばー!」
俺は、俺に抱きつかれて擦り寄られてくすぐったがるあかねの反応を楽しみながら、そんな事を思っていた。
そこに君がいる限り、俺に生まれる、生きとし生ける欲望。