Novels Search :

→恋愛中毒症−A LOVE JUNKY!−

とある日曜日の夕方。
爽やかな夕暮れの風に誘われて、乱馬と公園に散歩に出掛けた時の事。
休憩する為に座ったベンチの向かい側で、仲良しカップルがいちゃいちゃベタベタとしていた。
人目も気にせず、彼の膝の上に彼女が乗っかって、首にしっかり抱きついて隙あらばキスをしている。
唇が離れそうになれば、まるでお互い吸いつけられるようにまた重ねて。
お互いの呼吸さえも奪い合うような、情熱的なキス。
側に行けば、唇が吸い付き離れる音まで、聞こえてきそう・・・。
「・・・」
目のやり場に、困るなあ。他の人はそう思わないのかな・・・そう思って、あたしは周囲を見渡すも、
それなりに公園の中には人がいるにも関わらず、それがあまりにも堂々としているからだろうか・・・周りの皆は、そのカップルに対して何も言わない。
いや、もはや視界に入れないようにでもしているのだろうか。そうとしか考えられない。
前にテレビで見かけた外国の公園なんかでは、割とよく見かけられる光景みたいだけれど・・・日本の公園じゃあ、まだまだ違和感というか、少なくてもあたしは、直視する事は出来なかった。
でも、
「・・・」
これは、すごく不思議。
照れちゃうし、直視は出来ないんだけれど、何故だかそこへと目は、行ってしまうのよね。
「・・・」
あたしがそんな事を思いながら、向かい側に座っているカップルをチラチラと見ては、真っ赤になって俯いていると、
「・・・」
つん、つん。
そんなあたしの肩を、乱馬が軽く指で突付いてきた。
「な、なによー」
あたしが真っ赤な顔のまま、乱馬の方へ目を向けると、
「したいのか?」
乱馬はそんなあたしの耳元に唇をくっつけて、そんなことを囁いた。
「ばっ・・・そ、そんなわけ無いでしょ!」
なんであたしがあんな事っ・・・あたしが真っ赤な顔を更に紅潮させて首を左右に振ると、
「あんな事って。もっとすげえ事、いつもしてるんだぜ?俺たち」
その赤くなったあたしをからかうかのように、乱馬はそう言ってニヤッと笑った。
「ば、ばかー!」
「な、なんだよ。ホントのことだろー」
「な、何がホントよっ。ばかばかばかっ。エッチ、すけべっ」
あたしは、あたしの事をからかって意地悪く笑っている乱馬の身体をボカボカと叩き、
「はーっ。あたし汚れてるのね」
ボスっ・・・最後は乱馬の腕に顔を埋めるようにしてあたしがそう呟くと、
「汚れるとは失敬だな。愛しあう二人には、必要不可欠なコミュニケーションだろ」
「・・・あんたが言うと、不純に聞こえるのよ」
「ほんと、失礼だなおまえ」
乱馬はそう言って、笑ったまま、顔を埋めたあたしの頭を撫でた。
あたしは、そんな乱馬の身体にもっとずっと寄り添って、しばらく大人しく頭を撫でられていた。
乱馬も、あたしが飼い猫のように大人しく撫でられているのがまんざらでもないようで、なんだかとても機嫌が良さそうだった。



向かい側のカップルの姿を、直視する事は出来ないあたし。
もちろん、人前であんな風にイチャイチャベタベタは出来ないけれど、でも・・・何だか今日は、そうなってもいいな、なんて思ってしまった。
爽やかに吹き抜ける夕暮れの風が、向かい側のカップルの幸せな愛情を、あたしと乱馬にも届けてくれる。
その風に包まれれば、あたし達も何だか普段以上にくっついてしまう。
知らないうちに、あたしと乱馬も侵された・・・熱烈恋愛中毒症。

 

TOPへ戻る