サイトマップwebclap!RSS

CONTENTS

SEARCH

キーワードやタイトルでサイト内小説を検索したい場合はこちらからどうぞ。使い方が分からない場合は、上記の「How to use Search」をご覧下さい。

→Novel目次へ戻る

DECEIVED

 

「口寂しいなあ」
あたしがボソッと呟くと、
「どれどれ」
傍にいた乱馬がそう言って、チュッと、あたしの唇に軽くキスをする。
「そうじゃなくて、物足りないの、何か」
飴とか、欲しいなあ。
目の前にそれが無いのにも関わらず、あたしがわがままを言うと、
「じゃあ、飴よりも甘いものをどうぞ」
にいっと笑った乱馬がそう言って、またあたしの唇にチュッ、とキスをする。
「もーっ、調子いいんだからっ」
あたしがそんな乱馬の胸に身体を預け、ぎゅっと抱きつきながら顔を見上げると、
「俺はなんか、手寂しい」
今度は乱馬がそう言って、寄り添ってきているあたしの身体に腕を回しながらそう呟く。
「何よ、手寂しいって」
「部類としては、口寂しいと一緒だな」
「でも、手寂しいって…何が欲しいの?」
あたしが乱馬にそう尋ねると、
「んー、そうだなあ。例えば、柔らかくて、ちょうど俺の手のサイズに納まるくらいのもの、とか?」
乱馬は、「何だと思う?」と、あたしの耳元で囁く。
「しっ、知らないもんっ」
ドキっ。
心当たりがあるような、無いような。
あたしが少しだけ動揺している胸の内を隠すべく、慌てて首を振ると、
「最近前に比べると大きくなってきたんだよなあ。でも、まだ俺の手からは少しもはみ出さずすっぽりと」
乱馬は更にそう耳元で囁く。
「っ」
その言葉に、カアっ…と頬を赤くしたあたしが、
「え、エッチっ。すけべっ。何考えてんのよっ」
と、ついに乱馬にそう言い返すと、
「はあ?お前こそ何か勘違いしてねえか?」
「えっ…」
「俺が言ってんのは、ヨーヨーの事だぜ?ほら、よく祭りとかの縁日で売ってんだろ?
 あれって昔に比べるとちょっと、大きくなってんだぜ?子供の手が、昔に比べると少し大きくなったって事だろうなあ」
「っ…」
「ヨーヨーって、手にしたら何度も何度も遊んじまうんだよなあ」
乱馬はにいっと笑ってそう言うと、
「…で?そのヨーヨーの、何がスケベなんだ?」
と、あたしの耳元で囁く。
「そ、それはっ…」
あたしがそれに答えられずに思わずどもってしまうと、
「へえ?最近大きくなってきたんだ」
気が付かなかった。
わざとそんな事を言いながら、あたしの胸の部分をジーっと見つめている。


…はめられたっ。


そこでようやく、あたしはそれに気がつくも、時既に遅し。
「百聞は一見にしかず。…昔の人っていいこと言うよなあ」
「くっ」
「どれどれ」
直後、乱馬はヨーヨーとは違うそれで、「手寂しさ」とやらを解消したのだった。



「ああ、手寂しいのが解消しはじめたら、今度は色々寂しいなあ」
「…この狼少年め」

ページトップヘtopへ戻る