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→いざ!勝負

「スキあり!」
「は?」


…正月気分もそこそこ抜けてきたある日。
道場であかねと軽く手合せをし、掻いた汗をさっぱりと流した俺が脱衣所を出なり、いきなりそこで待ち構えてたあかねがそう言って、床に映っている俺の影を…踏んだ。
「…何の遊びだ?これは?」
いきなり登場した上に、訳のわからないことをいってるあかねに俺がぼそっと尋ねると、
「えへへへッ。手合せで一本取れなかったから、趣向をかえて、影を攻撃してみましたッ」
あかねはそういって、
「今のは肩に飛び蹴り一本よねッ」
といいながら嬉しそうな顔をしている。
「あのなぁ…」
なーにが『趣向を変えて』だよ…ったくコイツはホントに。
俺がそんな呑気なあかねに一言物申してやろうとため息をついていると、
「やったー!乱馬に勝ったー!」
そんな俺には一向に気が付かず、嬉しそうにあかねはその場で飛び跳ねていた。
「…」
…ったくしょーがね奴。
はじめは一言いってやろうと思っていた俺だったけれど、何だかあんまりにもあかねが嬉しそうなので、次第にそんな気も失せてしまった。
「はいはい、俺の負け」
俺は嬉しそうに笑っているあかねの頭をポスッと叩いた。
ただ…


…なあ、あかね。
この勝負はお前に勝たせてやったことにしてもいいんだけどさ。お前、何か忘れてないか?
俺…お前が思ってる以上に負けず嫌いなんだ、残念な事に。
今回は「負け」は認めてやるけど、負けっぱなしでそのままにしとく訳にはいかねーんだな、これが。


「あたしの一本勝ちね!ふふ、やったあ!」
…なので。
そういって満足げに立ち去ろうとしたあかねの手を、俺は無言でつかんだ。
「え?な、何?」
不意をつかれたあかねは驚いたような表情で俺を見上げたが、
「リベンジ」
俺はそんなあかねに満面の笑みで笑いかけると、あかねの手を強引に引きそのまま脱衣所の中に引きずりこんだ。

「ちょっと!なにすんのよーッ」
俺に手を捕まれ、わめくあかね。
「だから。リベンジ。負けっぱなしだと夢見が悪いから」
そんなあかねを、いつのまにかすっぽりと腕の中に押さえ込んでる、俺。
…バタン、とタイミングよく閉まる、脱衣所のドア。


「もーッこれのどこがリベンジだーッ」
「あかねもさっき言ってただろ?俺も今回は、趣向をかえてみました」
「…いつもと対して変わらないじゃない!」

本日、数えて三回目の勝負。
このリベンジ戦、押さえ込みを含めて「技あり」二つ、合わせて一本、俺の勝ち。

 

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