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連想ゲーム
「お姉ちゃん」
「何よ」
「連想ゲームしようよ」
「はあ?」
「いいじゃない、暇なんだから!ええとねえ、まず白いものといったら?」
お姉ちゃんの返事を聞く前に、あたしはさっそく質問を始めた。
暇つぶしにはクイズとか心理テストとか、この手の連想ゲームとかがなにかと都合が良いと、勝手にあたしは思っている。
お姉ちゃんも居間でテレビを見ているだけだし、どうせだったら巻き込んでしまおうと、あたしは思い立ったのだ。
ちなみにしようと思っている質問は四つ。白いもの、赤いもの、柔らかいもの、そして一つだけ願いが叶うなら何?。
これはテレビでやってたんだ。
ちなみにあたしは、白いものだと雪、赤いものだとチューリップ、そして柔らかいものは、ビーズのクッション。
願いは、「キラキラ輝くドレスを着て、素敵なパーティとか出てみたいなあ」かな。
答えのトータルで考えると、あたしはファンシーな感じの発想の持ち主ってわけ。
そう、この連想ゲームは簡単な心理テストというか、そういう性格判断もできちゃうってわけなんだ。
暇つぶしには一石二鳥だ。
・・・
「ったく、何で高校生にもなって連想ゲームなんて」
勿論、あたしのそんな考えなど知らないお姉ちゃんは初めはぶつぶつといっていたけれど、
毎度の事なのであきらめたのか大きなため息を着いたあと、
「・・・白といったら高級な毛皮ね。ああ、フェレットとかがいいかも」
・・・と、夢のないことをいきなり呟いた。
予想はしていたけど、やっぱり現実的。この連想ゲーム型性格判断ってあたるかも。
あたしはそんなことを思いながら質問を続ける。
「じゃあねー、赤いものは?」
「赤?一本何百万の高級ワインね」
「柔らかいものといったら?」
「口に入れた瞬間とろけてしまいそうな高級国産牛かしら」
お姉ちゃんの口からは出るものは全て現実的なもの。あげく高価。
お金に執着を持つお姉ちゃんらしい発想だ。
言葉から連想するものがそれ、ってことは、性格判断するまでもなく、やっぱりお姉ちゃんはかなりの現実派ってこと。
「じゃあねえ、最後に。今から一つだけ願いが叶うとしたら、何を願う?」
あたしはそんなお姉ちゃんに最後の質問を投げかけた。
するとお姉ちゃんは、
「世界中の金融コンピュータによる口座入金先が全てあたしの口座になるようにする、かしら?」
と、妙に笑顔でとんでもない事を呟いた。
「・・・」
性格判断とか必要ないかも。お姉ちゃんはおねえちゃん、いつもと全く変わらない感じだな。
でも不思議なことに、お姉ちゃんが口にすると、ゲームがゲームじゃないような気がしてくる・・・何故だろうか。
聞いといてなんだけど、連想ゲームって、あたしが思い描いたみたいにもっと、夢があっても良いと思うんだけどなあ。
・・・
「ありがとー」
「何よ、もう終わり?」
「・・・お姉ちゃん、やっぱり現実的なタイプだね」
「何よ今更。だってあたしは現代人なのよ。いい?あかね。人間、夢だけでは生きていけないのよ」
「・・・」
・・・そりゃーそうだけどさ。
性格判断するまでもなくいつものまんま。これではあまり面白くない。
まあ、お姉ちゃんにファンシーさを求めても無理だとは思うけど。
「・・・」
暇つぶしにはなったけど、何だか釈然としないあたしは、そんな事を思いながら部屋を出た。
そして自分の部屋へと向かう。
と、
「よ。遅いじゃねえか」
何故かあたしの部屋には、主のあたしよりも先に、しかも妙にベッドの上でくつろいでいる乱馬がいた。
「もー。何であんたがあたしの部屋で寝てるわけ?」
「結果的には寝る事になるから先を見越してきてるわけだよ」
「何が先を見越して、よ」
あたしの意思はどこにいったわけ?と、あたしは寝ていた乱馬の頭をボコッと一発拳で殴る。
でも、
「あ、そうだ。ねえ乱馬。連想ゲームしようよ」
「は?」
「どうせ暇なんでしょ。さっき、なびきお姉ちゃんにもしたんだけど・・・いいじゃない、やろうよ」
現実派のお姉ちゃんと比べたら、また乱馬は別の感性を持っているわけで。
それだったらついでに、乱馬にもさっきのゲームをしてみようとあたしは思い立った。
すると、
「えー、俺どうせ遊ぶなら連想ゲームよりお医者さんごっこがいい」
とか何とかぶつぶつと呟いていたけれど、
「いいから!ほら、始めるわよ」
有無を言わさぬあたしの決定により、連想ゲームに付き合わされる羽目になった。
まあ、あたしの機嫌を損ねたら一緒に寝るどころか部屋からたたき出されるとでも思ったのだろう。
「はー。何で二人きりで部屋に居るのに訳の分からん連想ゲームなんてー・・・」
と、ぶつぶつとぼやきながらも、付き合ってくれることになった。
ところが、
「じゃあねー、まず最初は白いものといったら?」
「白いもの?あかねの肌かなー」
「は?」
「ほら、日焼けしたあとってさー、水着のあとがくっきり残ってるじゃねえか。焼けてない部分がまたなんと言うか・・・」
「・・・次いくわよ。じゃあ次、赤いものといったら?」
「赤か。赤は・・・夜一緒に寝ている時のあかねの肌かなー」
「・・・」
「最初は白いのにさー、動きに乗じてどんどん高潮してきてさー・・・えへへへへ・・・」
連想ゲームを続けていくうちに、徐々に妙な方向に話が進んでいくことにあたしは気が付いた。
深くそれについて突っ込みを入れるともしかしたら被害を蒙るかもしれない。
あたしは妙に楽しそうにしている乱馬に対し若干警戒しつつ、あたしは質問を続ける。
「じゃあね、次は柔らかいものといったら?」
すると、
「えー?柔らかいものって・・・そりゃー・・・」
何故か乱馬は、自分の両手のひらをじっと見ていた。
そして、
「えへへへへへ・・・」
・・・妙に笑顔で、そして妙に楽しそうに。その手のひらを、まるで何か「柔らかいもの」を掴むかのような仕草をした。
「・・・何してんの」
あたしがぼそりとそんな乱馬をに尋ねると、
「何ってそりゃー」
柔らかいものを何度も掴んでます。乱馬は何故か何の躊躇をすることなくそう答えた。
そしてあたしと、その手を何度も見比べてはニコニコとしている。
「きゃー!!」
ボスッ
ゾワゾワとする「危険」な予感にあたしが思わず叫びながら枕を手に取り乱馬に投げつけると、
「中止っ連想ゲーム中止っ」
「それはできねえ相談だな」
「なんでよっ」
「連想したものがあっているかどうか確かめないと終わらないげーむだろ?連想ゲームって」
「あんたの場合は連想じゃなくて妄想でしょーが!」
「じゃあ妄想ゲームにしようぜ。はい、決定。ルールは俺流ね」
乱馬は投げつけられた枕を器用によけると、あっという間にあたしの腕を掴んで引っ張った。
「さあ、合ってるかなー」
そして・・・その直後に妙にニコニコしながらあたしに覆いかぶさってきたのは言うまでもない。
純粋な気持ちで始めた連想ゲームは、
いつのまにか妄想ゲームに変わって、最後は結局、乱馬が最初に言っていたお医者さんごっこに変化していった。
・・・性格判断をするまでもない。
お姉ちゃんがいつものお姉ちゃんのままのように、
乱馬も乱馬。性格・・・いやむしろ習性、「狼少年」だ。
我が家のメンバーに、こんな性格判断とか連想ゲームとかはいらないんだわ。
あたしは身をもって知ることとなった。
もちろんそんなあたしは、
「ねーえ、お姉ちゃん」
「なあに?なびきちゃん」
「お姉ちゃんはさー、白って言ったら何を連想する?」
「白?そうねー・・・具合が悪い時の顔かしら」
「じゃあ赤は?」
「飛び散った鮮血かしら」
「・・・あたしより夢がないわよ、お姉ちゃん」
「あら、そう?」
下の居間では、
さっきのあたしの真似をしてそんな質問をするなびきお姉ちゃんと、
妙に笑顔で答えるかすみおねえちゃんがそんなやり取りをしていたことなど知るわけもない。
・・・前言撤回、
いつもと違う性格判断、深層をかいまみる心理テスト。
かすみお姉ちゃんにはこういうテストは必要なのかも、しれない。
