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→Possession

二人きりで居る時、すぐにあかねに触りたがって抱きつきたがってあわよくば押し倒そうとしている俺に対し、
あかねは大抵何も言わず俺の胸にスリスリ、と身体を擦り寄らせては俺の事を見上げる。
まるで、ネコ。
俺は本物のネコはお断りだが、こういう素直で可愛いネコは大歓迎だ。
俺の胸の中から俺を見上げるあかねは、言葉は発しなくても何かお願いをしているかのような瞳をする。
そう、「撫でて欲しい」とでも言いたげに。
「・・・」
身体か!?それとも胸か、足か!?
・・・よくケダモノ扱いされる俺は、勿論その瞳をそんな風に汲み取りもするけれど、
多分あかねが撫でて欲しがっているのは「頭」。
そういう時、俺は黙ってそんなあかねの頭を撫でてやることにする。
絹みたいに柔らかで、つるつるで、石鹸の匂いのする艶やかな髪。
俺が手のひらでゆっくり撫でてやると、あかねは気持ち良さそうな顔をして目を閉じている。
嬉しそうな顔で、時々フルフル、と震えながらぎゅっと、俺の胸に顔をつけて抱きついているあかね。
勿論そんなあかねを長い間、それ以上何もせずに見ているられるほど俺もまだ精神的に出来た人間ではないわけで、
しばらく頭を撫でた後、俺は頭を撫でていた手を顔に、肩に、背中に腰にと動かして器用に服も脱がしていったりする。

俺は以前あかねに、何で頭を撫でられるのが好きなのか?と聞いた事があった。
するとあかねは、「多分、乱馬の手が好きだから」と答えた。
そう、あかねは俺の「手」が好きだと言う。
俺があかねの頭を撫でる時の優しさや柔らかさ加減がとても心地いいと、あかねは楽しそうに話してくれたっけ。
ただ…
「・・・」
心地よいといわれても。
改めて俺は自分の手を見てみたが、
格闘技をやっている育ち盛りの男子高校生の手なんてそんなに綺麗なものではないわけで。
どちらかといえばゴツゴツしているし、分厚いし大きいし・・・傷もあるし、どこがいいのか分からない。
でも、そんな俺の手でも優しさや柔らかさを感じるというならば、それはきっとあかねを撫でているからなんだろうな。
大事で、好きで、いとしくて堪らないものを撫でているからこそ、普段の俺の手から考えられないような感触が生まれるのかもしれない。
・・・試しに、家の居間で転がっていたパンダオヤジの背中を撫でてみたところ、
『気持ち悪い』『そういう趣味が…?』『彼女に相手にされないとパンダに手を出すのか』
次々に出てくる、プラカードの数々。俺は即座に変態扱いされた。

 

・・・パンダ親父はともかくとして、
自分の気持ちが手に現れてそれが彼女に伝わってくれるなんて、何だか嬉しい。
あかねが俺の手を好きだといってくれる限り、俺の手はずっと、ずっとお前のものだ。

 

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