Novels Search :

→TRUE INTENTION

「乱馬なんて、大っ嫌い!」


ボス!
ドサドサドサっ…

…あたしが投げた枕が、本棚に当たって床に落下。
その直後、ばらばらばら…と、棚に並べてあった本が、床に落下した。


乱馬と、また喧嘩した。
今週だけで、もう三回目だ。
理由はいたって簡単。
学校帰りにあたしと一緒に買い物とか映画に行く約束をしたのに、
「乱馬!」
「乱ちゃん!」
「乱馬さま!」
…そういう時に限って、シャンプー・右京・小太刀の三人娘がやってきて、いとも簡単にその約束を壊してくれる。
勿論それは、乱馬を怒ったってしょうがない事。
そんなの、あたしだって分かっている。
分かってはいるんだけど…こうも連続でことが続けば、いくらあたしだって、我慢は出来なくなる。
だって、あたしだって普通の女の子だ。
どうしようもない理由がそこにあったとしても、それを全て笑って許せるほど、心なんて広くもないし余裕もない。
「約束したじゃないっ…」
だから、どうしても我慢できなくなってそう乱馬に怒ってしまう。
でも、
「俺のせいじゃねえだろっ」
乱馬の答えは、いつでも一緒。
「俺のせいじゃない」「しょうがないだろ」
…そんなの、あたしだって乱馬だって分かっている。
分かっているからこそ、それがどうしようも出来なくて…お互いイライラする。
そしてあたしたちは、喧嘩する。
その繰り返しだ。

「…」
あたしは、ゴロン、とベッドに横になって大きなため息をついた。
…乱馬とあたしがちゃんと付き合い始めて、もう二週間以上経つ。
それは、例の三人娘だって、知っているはずだ。
それなににあの三人娘は、付き合う前と変らず乱馬の事を追いかけている。
「…」
それは、あたしに「彼女」としての魅力が足りないからなのか?
「…」
…こんな状況が続けば、あたしだって何だか、そんなことさえ思ってしまう。
でもせめて、乱馬がもっときちんと彼女達に態度を示せば、どうにかなるものじゃないの?
あんまりはっきりしてくれないと、
「追いかけられた楽しんでしょ!?」
そんな酷いセリフまでも、乱馬に対して吐いてしまいそうだ。
だけど、このままこんな状態で付き合っていくのなんて嫌だ。
だからこそはっきりとして欲しいのに…何に、乱馬は全然…。
「…」
それで余計に、腹が立つ。

「乱馬なんて、嫌い」
枕を投げただけでは気持ちが治まりきれなくて、あたしは思わずそんな言葉を叫ぶ。
「乱馬なんて、大嫌い!」
今度は嫌いに「大」をつけて、もっと大きな声で叫んでみる。
嫌い、嫌い。
乱馬なんて大嫌い!
優柔不断で、口ばっかりでっ。強引で優しくなくて!
最低っ最低っ…あんな奴、大嫌い!
でも…
「…大好き」
…これだけ嫌いと叫んでも、最後には必ずこの言葉が口を出る。
どれだけ乱馬の事を怒っても、嫌いと自分に言い聞かせても、
「好き」
心の奥底にあるホントの気持ちは、隠せない。
好きだからこそ、腹が立つ。
…それが分かっているからこそ、この怒りの矛先を向けてしまう事くらい、あたしにだって分かっている。

「…悔しいなあ…」
許せなくて、腹が立って、大嫌いだと言い聞かせようとしたって。
心の中に眠る「好き」の気持ちが、結局最後は勝ってしまう。
あたしが謝る由縁なんてないのに、こうして文句を言った事に対してまでも「謝ろう」…そんな風に思ってしまう。
「…」
あたしは、大きなため息をつきながら床に落ちた枕を拾う為にベッドから身を起こすと、拾った枕を強く抱きしめて、目を閉じた。

 

TOPへ戻る