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出所-デドコロ-

 

「おねえちゃん、それどうしたの?」
「ああ、これ?いいでしょー、今年の新作よ」


日曜日の、午後。
あたしがかすみお姉ちゃんに頼まれた通りに玄関の掃除をしていると、
午前中から出かけていたらしいなびきお姉ちゃんが、ブランド物の袋を片手に、ご機嫌な様子で家に帰ってきた。
どう見たって、高価。そして複数の袋。
おおよそ普通の高校生とは思えないようなその買い物に、あたしが尋ねてみると、
「友達と買い物行ってきたのよ」
なびきお姉ちゃんはそういって、雑誌でも良く取りあえげられている、ブランド物の小型ポーチや、新作の口紅やファンデーションをあたしに見せる。
「それ、高いんでしょ?」
「そうね。安くは無いわね」
「お姉ちゃん、一体どこにそんなお金が…貯金はあるだろうけど、バイトってバイトもしてないでしょ?」
「バイトなんて汗水たらしてしなくても、お金は手に入るのよ?」
ここ次第でね、と、首をかしげているあたしに対し、なびきお姉ちゃんは、自分の頭を指差してとんとん、と叩いた。
「へえ」
あたしは、納得したようなしてないような、そんな表情をする。
「それに、あたしはとても環境に恵まれてるから」
「環境?」
「そうよ。あかね」
お姉ちゃんはそんなあたしに対し、ふっ…と小さく笑いと、ポンポン、とあたしの肩を軽く叩いた。
そして、
「あかね?」
「なあに?」
「いつもありがとう」
お姉ちゃんは、何故か意味深な言葉を残し、
「さー、部屋に帰ってゆっくり見てみようっと。うふふふふー」
ご機嫌な様子で、自分の部屋へと行ってしまった。


…何よ、『いつもありがとう』って。

お姉ちゃんの不敵な笑いと、妙な礼。
あたしはそれが妙に、妙に気になってしまい、その日は、
「…何やってんだ?あかね。部屋の中でキョロキョロして」
「べ、別に…」
部屋の中で乱馬と一緒に過ごすも、
「…だから。何で俺の膝の上に乗りながらそんなキョロキョロしてんだ」
「えっ、いや、その…」
あたしは必要以上に辺りを見回す。
「変なヤツ」
そんなあたしの様子に呆れつつも、乱馬があたしにキスをしようとグッと顔を近付けるも、
「待った!」
むぎゅ!
…あたしは、ベッドに無造作に置いてある枕を手で掴み、すかさずそれでキスをされる事を防ぐ。
そして、
「っ…」
とりあえず、その手に取った枕をひっくり返して調べてみた後、
「はい、いいよ」
…と、チュ、と軽く乱馬の唇にキスをした。
もちろんそんな事をすれば、さすがの乱馬だって不審に思うわけで、
「…何で枕の裏側まで調べてんだ、お前は。何か隠してんのか?」
「か、隠してなんてないわよっ」
…隠されてるかもしれないけどっ。
思わず、なびきお姉ちゃんの「カメラ」の存在を気にしてそう答えると、
「大丈夫だって。例え盗み撮りされてたって、表になんて出せねえって」
「な、なんでよっ」
「だって、表に出せるような健全な映像、あんまり映ってないはずだから」
暢気な乱馬はそう言って、ニコニコしながらあたしの洋服に手をかける。
「…」
…そういう問題じゃないでしょうが。
「はー、もう…」
あのお姉ちゃんの事だ、絶対にうまいことして対策を練るに違いないわ。
「…」
ニコニコしながらあたしの洋服のボタンを外している乱馬の姿に大きな溜め息をつきながら、
それでもやっぱり注意深く、ビクビクと部屋の中を見回しているあたしがいた。

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