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→いつだっけ?

「ん?」
ある日の、授業一時間目。数学の時間。
いつものように、ノートを取ろうとページをあけた瞬間、
『乱馬のバカ』
あたしの目に、そんな走り書きが飛び込んできた。
…あれえ?あたしなんでこんな事…書いたんだろう。
「ねえねえ、乱馬。見てよこれ…」
直ぐにはその走り書きの意味を思い出せず、とりあえず乱馬にも見せてやろうと隣の席に座っている乱馬の方を見たけれど、
「…」
…乱馬の奴、一時間目、しかもまだ開始五分も過ぎてないというのに、早速居眠りを決め込んでいる。
「ったく…」
そんな乱馬の様子にため息をつきつつも、
「えーと…数学は昨日の二時間目だから…」
あたしは昨日の記憶を必死で辿ってみた。そして、
「あ、そっか」
…そういえば昨日の朝。学校に来る途中で乱馬と喧嘩してたんだっけ…。
その事をふと、思い出した。
恐らく、よほどくだらない事で喧嘩をしたのだろう。
「喧嘩した」事は思い出せても、その原因までは、あたしは良く思い出すことが出来なかった。
でも、
「…」
たしか、家に帰るときは手を繋いで帰ったような?そんな記憶は、またぼんやりと思い出す。
朝に喧嘩して帰りに仲直り…ということは、いつ仲直りしたんだっけ…?
「…」
…そう、家に帰る頃には、あたし達はまた仲直りをしていた。
だから、学校のどこかで仲直りをしているはずなのだけれど、いくら頭をひねれども、やっぱりそれが思い出せない、あたし。
いつだったっけかな。
そんな事を思いながら昨日の「三時間目の授業」・現代国語のノートをこっそりと取り出して開いてみると、
『乱馬のばかばか』
…今度は、「ばか」の文字が1回増えて殴り書きがされていた。
この様子を見ると、
どうやら昨日の三時間目の時点では、あたしと乱馬はまだ喧嘩中のようだ。
「…」
なんだかちょっと面白くなってきたので、「じゃあ次の四時間目は?」…と、あたしが昨日の四時間目・物理のノートを開いてみると、
『ばかばかばかばかばか』
…今度は、ノートの紙面いっぱいに「ばか」の文字が乱れ咲いていた。
どうやらこの四時間目、あたしの怒りはピークに達していたらしい。
こうなると、いよいよおもしろい。
「…」
じゃあ五時間目は?
それじゃあ、お昼を挟んで五時間目は…と、昨日の五時間目の授業・英語のノートを開いてみると。
「ん?」
あたしは、ノートの見ながら少し首をひねった。

…ノートの所々には、
四時間目同様、「ばかばか」とか「乱馬のばか」とか、あたしの文字で殴り書かれていた。
でも。
その所々に書かれた「ばか」の文字は、何故か…ひとつづつ、丁寧に上から消してある。
どうやら、お昼後の五時間目。ここで、あたしと乱馬は仲直りをしたらしい。
…五時間目の、英語。
そういえば、昨日は授業の途中でLL教室に移動したんだっけ…。


「…」
ああ、そうか。きっとそこから帰ってくる時に仲直りしたんだ。
あたしはその結論に辿り着いた。


…LL教室に移動する前は喧嘩中だったから、ノートに「ばかばか」と書きなぐって。
帰ってきたときには仲直りしていたから、「ばか」の文字を一つづつ消したんだ、あたし。
「…」
…何やってんの、あたし?
何だか間抜けなんだけれど…どことなくおかしいというか。
きっと、ころっと態度とかも変って、帰りはニコニコしながら手を繋いで帰ったんだわ。
あたしはそんな自分の単純明快な姿を思い浮かべて、思わず吹き出してしまった。


乱馬にこんなノートを見せたら怒られてしまいそうだけど、
でも、なんだかちょっと、おもしろい。自分を客観的に見るって、たまにはちょっと、面白いかも。
「フフ…」
乱馬にもあ、後で見せてあげようかな?
あたしは 「ばか」とたくさん書きなぐられた文字と、そしてそれを丁寧に塗りつぶしている斜線を交互に見ては、一人笑っていた。

 

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