あたしよりも一回り大きい身体。
頭一つ半、大きな背。
だから、そんな乱馬の手があたしよりも一回りも二回りも大きい事ぐらい、あたしにだって、分かっていた。
分かっていたはずなのに。
…どうして、初めて手を繋いだこの瞬間に、またそれを改めて、想うのだろう。
繋いでいる、というより「引っ張られている」の方が正しい表現なのかもしれない。
遠い場所までわざわざあたしを迎えに来て、命懸けで戦って。
ようやく全ての誤解が解けて、こうして一緒に帰るのに。
何も言わずに真っ赤になって、あたしに背を向けながら手だけ引いて歩いていく。
でも不思議。
あたしが声をかけても、何も言わないでムッツリとしているくせに、
繋いでいるその手が、でこぼこした道に弾かれてちょっとでも離れようとすると、びっくりするほど強い力で繋ぎなおす。
あたしよりもごつくて、大きくて、そしてずっとずっと温かい乱馬の手。
乱馬はその手で、あたしと自分を繋いでいる。
…ばかね、そんな風に一生懸命繋いでなくたって、あたしから振りほどいたりしないわよ。
そんなことしなくたって、簡単にどっかに行ってしまったりしないわよ。
それよりももっと、何かあたしに向かって話してくれる事はないの?
まさか、まだ怒ってるの?
ねー、何か喋んなさいよ。
そんな風に乱馬に促すも、乱馬は相変わらず赤くなった顔を隠すようにして、ただただ黙ってあたしの前を歩きつづけるだけ。
挙げ句の果てに、
「夕陽のせいだっ」
「はあ?」
…顔が赤い原因なんて別に聞いてもないのに、ようやく喋ったと思ったら、これだ。
全くもって、意味が分からない。
…はいはい、もう分かったわよ。
無理に何かを喋れなんていわないし、こんな風に頑なに手を握ってなくたってもう、誰か別の人の傍にいるなんて、言わないわよ。
言わないから、だから…
今日だけはこの手をずっと、離さないで。
家に帰るまででいいから、ううん、乱馬がそうしていたいって思うその瞬間まででいいから、
強くなくていい、そっと触れているだけでもいいから、
何だか今日は、ずっとずっと、こうしていたい。