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→3.キミを泣かせる事

「ごめんな」
「…」
「ごめんな、あかね」
部屋の入り口、ドア越しに。
お互いの姿を見ることなく、俺達はそこにいた。
些細な事で喧嘩をし、部屋に飛び込んで泣いているあかねに、俺はこうして謝っている。
ついつい口をでる、酷い言葉。
それがあかねの心をどれだけ傷つけてしまうのか、どうして口から出すときに俺は考えないのか。
あかねを泣かせる奴は許せないと、俺はいつだって思っている。
でも、あかねを一番泣かせている奴は、実は俺なんだ。
そう思うと、俺は自分に腹がって仕方が無い。
「ごめんな、あかね」
「…」
「ごめん…だからここ、開けて、な?」
「…」
口を出る暴言は、勿論本心からの言葉ではない。
でも、俺がそう思っていたって、それが今のあかねに伝わっているとは限らない。
心で思っているだけじゃ、気持ちは全て、伝わらない。
伝わらないから、だから今、改めて言わせて欲しい。
あかねを泣かせた償いを、
あかねに対して思っている気持ちを、ちゃんと俺に言わせて欲しい。
ごめん、とか…そんな言葉だけで済まそうとは思っていないから、
大切なんだ、とか…そんな抽象的な表現で終わらせたりしないから。
だから!…
「あかね…」
返答の無いドアの向こうへ心をはせ、俺は何度もそう問い掛ける。

キミを泣かせる事。
他の誰かがすれば許せなくて、自分だって 絶対にしたくないことだと思っているというのに、
誰よりも一番分かっているはずの自分が、どうしてそれを繰り返してしまうのか。

どうして俺は、いつも。いつもいつもいつも、
いつもこうして、キミを泣かせてしまうのだろう…。

 

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