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→20.寒くない?(頭いたい・・・のSide-A)

「あかね、寒くない?」




とある日曜日。
久しぶりに、雲ひとつない青空が広がる晴れた昼下がり、 散歩に出たさきの河原の土手に腰掛けていると、隣に座っていた乱馬が不意にそう言った。
「え?別に。今日、暑いくらいじゃない」
四月とは思えぬくらいの気温に、ちょっと薄着をしているくらいのあたしは、
「熱でもあるんじゃないの?」
乱馬にそう即答した。
すると、
「はは・・・」
乱馬は微妙に引きつった顔をしながら何故かため息をついた。
「何よ、人が心配してんのに」
あたしがかっとなってそう言い返すと、
「・・・」
乱馬は更にため息をついた。
「な、何よ・・・」
あたしはそんな乱馬の態度にカチンときて、プイッと横を向いたけれど、しばらくして冷静になると次第に乱馬の「本当に言いたかった事」が分かったような気がした。



乱馬だって、「今日は暑いなあ」出掛けにそんなことを言っていたと思う。
という事は、今日が「温かい日」だって分かってる。
そんな乱馬が「寒くないか?」なんて聞く理由は・・・たぶん、たった一つ。
・・・あたしと、くっつきたいんだ。



「・・・」
何よ、バカなんだから。くっつきたいなら素直にそういえばいいゃない。回りくどいんだから。
・・・照れやなくせに、傍に寄りたくて仕方ない。素直に口に出せないからカマをかけるも、あたしに気付かれなくて落ち込んで。
そんな乱馬が、あたしはおかしくて仕方なかった。
もー、しょうがないなあ。
「・・・」
あたしは、チラッと乱馬のほうを見た。
乱馬は、ブスッとした顔で、キラキラと日の光を浴びて輝く水面を眺めていた。
「ゴホンッ」
あたしは、そんな乱馬にわざと咳払いをして見せた。
乱馬は、そんなあたしをじとっとみる。
「・・・もう一回言いなさいよ」
あたしは、そんな乱馬にボソッとそう言ってやった。
「・・・」
乱馬はそんなあたしをちょっと驚いたような表情で見た。
だけどすぐに、
「・・・寒くない?」
もう一回そうあたしに尋ねた。
「・・・寒いかもね」
あたしはそう答えて、乱馬にそっと寄り添った。
「・・・俺も」
乱馬も、今度は嬉しそうにあたしの身体に腕を回して引き寄せた。
「乱馬、風邪引いたんじゃないの?」
そういって意地悪く笑うあたしに、
「お前もだろ」
乱馬はそう言って、そんなあたしに回す腕の力を強くし、笑っていた。







良く晴れた、温かい春の日の昼下がり。
きらきらと太陽の陽射しを受けて光り輝く水面が眩しい河原では、温かい陽射しよりももっともっと「熱い」、カップルが一組。
温かい下界の温度を更に上げる手助けをしているかのように、 そのカップルはいつまでも仲良く寄り添っていた。

 

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