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→2.王子様

あたしには、ちゃんと好きな人がいる。

あんな失礼で無礼でとんでもない変態男なんかとは比べ物にならないくらい、素敵な人。
小さい頃から、あたしはその人が大好きだった。
あたしの頭を優しく撫でてくれる大きな手と、時折見せる、優しい笑顔。
あたしにとって、彼は王子様。
童話の世界よりも、絵本の世界よりも、どの世界よりも素敵な、王子様。
でも、王子様はあたしのことなんてちっとも見ていない。

あたしには、すぐに分かった。
彼の視線の先には、いつも、きまって一人の女性。
王子様は、その女性のことしかいつも追いかけていない。
あたしのことなんて、全然見てはいないんだって。…


知ってるの。
私がどんなに頑張っても、
どんなに女らしくなって「女の人」としてみてもらおうと頑張っても、
一生、その女性には叶わないって。あたしのことを好きにはならないって。

… でもね、王子様。
それでも、すこしだけでも、
あなたに好かれる夢を見るのだけは、許してもらってもいいですか?
ずっとそばにいて欲しいとか、わがままなことを言ったりはしないから、
たった一瞬だけでもいい。
私だけを見て欲しい!って。
そんな、欲張りな夢を見るのだけは、許してもらっても良いですか…。

 

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