(若干リニューアル中)




あーら、皆さんこんにちは。先月は急にお休みしちゃってごめんなさいね。
私は、このお悩み相談室の室長兼カウンセラーをしている天道なびきよ。
初めての方もいると思うので、改めてこの部屋の説明を簡単にさせてもらうけれど。
ここは、悩み・迷える子羊達に正しい道を導くお手伝いをする為の部屋よ。
相談料はもちろん無料。もしお礼をしてくれるとしても、貴方の心次第で結構なの。
決して、人に見られたら恥かしいラブレターとかをちらつかせたりしないから安心してね。
でも、何故かしら。
相談してくれた後、私が要求しないのにお金を置いていってくれる人が多いのよね。
世の中にはまだまだ奇特な方がたくさんいるって事ね。
不思議だわ。





とはいえ…今は八月、学校も夏休みよね。部活や補習ぐらい出来ている生徒たちしかいないし、
先生達もまばらだし。商売上がったり…いえ、この相談室も活躍する機会が激減ね。
暇つぶしに雑誌でも見ようかと買ってきたのはいいけれど、
見ていたら見ていたで、雑誌に掲載されてる物が欲しくなったりするのよねえ…。
特にほら、夏用化粧品?紫外線予防の為にちょっと高級なのが欲しいとは思うけど、
自分で買おうとなると躊躇しちゃうのよね。
あーあ、誰か買ってくれないかしら。
乱馬くんは最近、女の子になりたがらないし、
かといってあかねの水着姿の写真を売ろうとすると怒るし…あ、乱馬くんに買い取らせればいいのか。
もしくは九能ちゃんにでも資金援助させるか…。
(なびき、ぱらぱらと雑誌をめくりながら恐ろしい事を呟き、ふっと相談室の窓へとめをやると、)


「…あら?あれは…」


(相談室の窓の外を、オカモチを持って飛ぶように走る猿…いや、老婆が一人。)


「おばあさん?」
なびきが声をかけると、
「おお、おぬしか。」
老婆、振り返って立ち止まる。



「おばあさん、どうしたの。何だか急いでるみたいだけど。」
「いや、実はな。学校に出前に来たのはいいんじゃが、"大切なもの"を忘れてしまってな。」
「大切なもの?」
「この強い日差しの下を出前に出るのに、紫外線よけクリームを塗ってこなかったんじゃ。お肌に悪いじゃろ。」
コロン、そういうとカカカカカと笑う。
「…。」
(ああ、一応肌を気にしてるのね、とはなびきも言えず、)
「おばあさん、美容に興味があるわけ?まだ。」
「まだとは何じゃまだとは。わしだって女性じゃからな。」
「…。良かったら少し休んでいけば?美容の話でもしましょうよ。」
「ほう。おぬし、美容に興味があるのか。」
「一応女ですから。」
「そりゃそうじゃな。」
コロン、そういって部屋の中に入る。



−ここからは相談者のプライバシー…というか名誉の為に、音声のみでお楽しみください−

(以下、なびき→、コロン→で表示します)


:で?おばあさんはいつもどうやって肌の手入れをしているの?

:わしか?わしは基礎化粧品だけで勝負じゃ。

:へー!昔から?

:いや、昔はおしゃれには事細かに気を使っておったぞ。
  なんせわしは村の中でも一二を争うほどの美女で…

(コロン、カカカカと笑いながら昔話を始めるが、なびき、それを完全に聞き流している。そして散々喋らせた後、)

::いや、化粧はしたいんじゃがな、買いにいくにはちょっとおっくうでな。

:だったらシャンプーに借りればいいんじゃない?

:わしもじゃ。化粧をするとなれば、たとえ孫でもライバルじゃ。

:ライバルって…ライバルにされるシャンプー泣くっての。

:何か言ったか?

別に
  それじゃあ、シャンプーにばれないようにこっそり化粧品を調達できれば問題なしなのね?

:早い話がそうじゃな。

  じゃが、わしは店を離れられんし、かといってムースに買いに行かせたら何を買ってくるか分からんし。」

:近眼だからねえ。

婿殿に頼んだら、わしと婿殿が怪しい関係だとシャンプーにヤキモチやかれたら困るじゃろ。

:…別に焼かないと思うけど。

:なんか言ったか?

別に
  …まあ、でもそんな事情があるなら大変ねえ。…あら?

(なびき、話を聞きながら突然、バサササササっと、先程読んでいた雑誌をわざとらしく床に落とす。そして、)

:あら、どうしてかしら。こんなところに、
  『内気な貴方も大丈夫、夏向きコスメ通販開始』の広告雑誌が。

:ほう?夏向きコスメとな?

(興味を示すコロンに、なびき、いかにも初めて雑誌を読むような口調で、)

:内気な貴方も、人知れずこっそり通販で化粧品をゲット。
  2セット購入で、幸運の七福神マーク入り化粧ポーチ付きですって。

:ほほう。それは縁起がよい。しかし…わし1人で2セットも使わんしなあ。

(コロンが呟くと、なびき、怪しい笑顔でにこりと微笑み、)

おばあさんの為なら、私が犠牲になってそれ、1セット使ってあげましょか?

:いやしかし、悪いじゃろ?お主の普段使っている化粧品でもあるまいし。

:何を言ってるのよ。私とおばあさんの仲じゃない。

(なびき、妙に芝居がかった口調でそう言うと)

:その代わり、購入代金はそちらもちよ。

:それは構わん。でもホントによいのか?

:もちろん!おばあさんが常に美しくありたいと願うその気持ちに私、感動したわ。
 だから、協力してあげる。

(なびき、さらさらと購入申し込み用紙を書きファックスで申し込むと、)

:あ、化粧品はうちに届くようにしたから。後で乱馬くんにでもこっそり届けさせるわ。

:おぬしやけに手際がいいな。

おばあさんのためだから。

:わしのためか。いや、何から何まですまんのう。おぬし、実は案外心優しい娘なんじゃな。
:まあ、そんな。よく言われるけど。

:ははは。

:ふふふ。

(なびきとコロン、乾いた笑いでニッコリと微笑みあう。そして、)

:それじゃあわしはそろそろ店に戻る。いや、ここに立ち寄ってよかったわい。
  ほれ、これは化粧品の代金と、手配してくれたお礼の、
  猫飯店夏季限定メニュー割引券5枚セットじゃ。

:まあ、何だか悪いわね。
  でもね、おばあさん。私奇数より偶数、1桁より2桁が好きなの。

:…
(コロン、なびきにもう5枚割引券を渡し、化粧品代金も置いて店へと戻っていく。)






ふー…やれやれ。
ああ、思いがけない所で高級化粧品が手に入ったわ。
あたしの分の化粧品も買ってくれるおばあさんは、ホントに太っ腹ね。
それにしても、おばあさん。
いくつになっても女としての身だしなみを忘れないだなんてすばらしいわよね。
ああ、でもそういえば昔から、
齢何百年の妖怪も、化粧は絶対しているものね
おばあさんも、これで永遠の美しさを約束されたわけだ。
何だかちょっと可愛いけどね。
…さ、カルテを書いて私も帰ろうかしら。


本日のカルテ
名前 コロン
年齢 推定100歳以上か?
特徴 齢300歳と噂の老婆。
格闘技にたけている。シャンプーのひいおばあさん。
昔は美人だったらしい(八宝菜談)
相談 孫に知られず、こっそり化粧品を調達して欲しい。
カウンセラーからの
アドバイス
いくつになっても女としての身だしなみを忘れないだなんてすばらしいわよね。
そんなおばあさんに敬意を称し高級化粧品セットをオススメ。
本日の発生料金 化粧品は2セット以上購入しないといけない決まりなので、私が仕方なく協力。
料金はおばあさん持ちで、申し込み。
おばあさんには、更にお礼として「猫飯店夏季メニュー割引券」を貰う。
私奇数より偶数、1桁より2桁が好きなのよね。
それを伝えた所、おばあさんは自主的にチケットを10枚もくれた。
太っ腹ねえ。
化粧品代金\13000、チケット10枚。---現物支給、品物で頂く形ね。


またのご来室をお待ちしているわ。それじゃ。