天道なびきお悩み相談室



あーら、皆さんこんにちは。
前回に引き続き、今回もここのカウンセラーをやっている、天道なびきよ。よろしくね。
え?何で今日はこんなに控えめな顔をしているかって?
実はさっき、この相談室の紹介パンフレットの写真を撮影してきたのよ。
猫かぶり…いえ、ちょっと控えめな笑顔で撮影続けたから、その名残かしら?ご心配なく。
えーと、一応説明するけど。
この相談室には、人生に迷った可哀相な人たちがアドバイスを求めて手紙をくれたりやってきたりするのよ。
あたしからのアドバイス料は…そうね、その人の感謝の気持ちに任せているの。強制してお金は取るつもりない
よ。
そう、決して相談が終わった後、払った料金が少ないからといって、焼き増しした恥ずかしいラブレターなんかをちらつ
かせてお金をきっちり取るなんて事はないから安心してね。
でも、何でかわからないけど皆、充分過ぎるほどお金を置いていってくれるのよね。不思議だわ…。

あら?今日も誰か、道に迷ったカモ…いえ、子羊がやってきたみたい。
…ん?それよりも、この音。何の音かしら?




ドドド…
ドドドドド…
「うわーッ」「ぎゃーッ」(男子生徒の悲鳴)
「な、なんなの?何だか外が騒がしけれど…」(なびきが部屋の外へと顔を出すと)
こらッカツ錦ッ!!
…一人の少女が、暴走している豚を取り押さえた場面。
少女、豚を手なずけた後キョロキョロと辺りを見回し、なびきが顔を引っ込めた部屋の方へと歩み寄る。
そして…

(ここからは相談者のプライバシー…というか名誉の為に、音声のみでお楽しみください)



あかり「あの…こんにちは…」
なびき「あら?あなたは確か良牙君ののフタマタ…いえ、良牙君ののペンパルの…」
あかり「雲竜あかりです」

以下、なびき→・あかり→と表記します。





「どうしたの?あなた、うちの学校じゃないわよね?何でこんな所に?」
「はい、実は良牙様とデートの待ち合わせをしていたんです。
 でも、3日ほどその場所で待ってたんですがいらっしゃらなくて。」
「3日って…。あかりちゃんて心広いわね。とても、こんないい子には、
 良牙君があかねとあかねちゃんを2股かけてるなんて言えないわ。」
「え?良牙様が、なんですか?」
ひとりごとよ。気にしないで。それより、デートなんでしょ?どこへ行くつもりなの?」
「何時も得には決まってないんです。大抵は公園とかで楽しくお話して…。それにお手紙でやり取りもしてます  
   し…」
「ほんとにけなげねえ。ところで、良牙君とはどこまでいったの?」
「え?ですから、公園とか…」
「そうじゃなくて。手を繋いだり、キスしたりとか…」
「そッ…そんなッ…私と良牙様はそんなッそんなッ」
(あかり、真っ赤になって、相談室内の柱に張り手をかます。)
「部屋、壊さないでね。
  それより、手も繋いでないの?もしかして。はー、良牙君はホントに奥手なのねえ。
  乱馬君に、つめの垢でも飲ませてやりたいぐらいよ。」
「早乙女様に、ですか?」
「そーよ。乱馬君の手の速さといったら…そうだ、あかりちゃん。良牙君との今後のために、聞き 
  たい?」
「はい、是非。」(にっこりと微笑むあかり)
「そう。」(にっこりと微笑むなびき)
(そして、手を差し出しながら、)
「いい?あかりちゃん?優れた情報を得るためには、それなり誠意心意気
  必要なのよ?
  あかりちゃんが得る情報の質によっては、良牙君も、乱馬君のように狼少年に変化するかもし
  れないわよ?」
「そう…なんですか?私の誠意によって、良牙様が…」
「そうよ。」
(なびきそういってにこりと笑う。あかり、初めはポケットに入っていた「豚相撲」のチケットを渡そうとするが、なびきが
一瞬目をかっと見開いたので一瞬怯む。)
「そうですよね。あかねさんと早乙女様は本当に仲がいいですものね。
  私も良牙様とあんな風に…。
  お姉さんは豚相撲はお好きではないのですね。
  なら…私、今日は他にはお金しか持ち合わせてなくて…」
(あかり、そういって笑顔で千円を差し出す。なびき、わざと驚いたようなフリをして、)
「まあ。あかりゃんはお金という形で、私に誠意を見せてくれるのね?
  そう・・千円という形で。
  あら、でもどうしてかしら?この夏目漱石何だか一人で寂しそうだ   
  わ…・」
お姉さんはお優しいんですね。
  でしたら、これもどうぞ。夏目漱石さんも、二人いれば寂しくないですよね、きっと」
(あかり、そう言って更に千円札を差し出す。)
「まあ。あかりちゃんもやさしいのね。ええ、あかりちゃんの誠意と心意気
  確かに受け取ったわ。
  じゃあ、あかりちゃん、これを。」
(なびき、そう言って一枚の封筒をあかりに渡す。)
「これは?」
「この封筒の中に、乱馬君の手の早さの結晶が入っているわ。
  是非とも、良牙君と二人で必ず見るのよ?」
「良牙様と、ふたりでですね?ありがとうございます。」
「キット良牙君、涙を流しながらそれを見るはずだから。だからその時はあかりちゃんが…」
「まあ、良牙様が涙を流して喜ぶんですね!?良牙様が喜んでくださるなら私も嬉しいです!」
「え?いや、そうじゃなくて…」
「お姉さん、こんなに素敵なものを下さってありがとうございます
  あの、これ、どうぞ!!カツ錦!!行きますよーッ。」
(あかり、そういって豚相撲のチケットをなびきに強引に押し付けて、感激しながら部屋を出て行く。)








…あーあ、行っちゃった。
あのねえ、あかりちゃん? 涙を流すのは、何も嬉しい時だけじゃないのよ?
その封筒にはね、あかねと乱馬君が幸せそうに抱き合ってじゃれあってる写真が何枚も入ってるわけ。
それを見て良牙君が悲しんでるところをあかりちゃんが慰めて…ってつもりで渡したんだけど。
…ま、ここからは二人の問題って事で。あたし知ーらないっと。








さーて。カルテを書いて、私もそろそろ帰ろうかしら♪


本日のカルテ
名前
雲竜あかり
年齢
16
特徴
良牙君のペンパル。ガールフレンド。豚が好き。
相談内容
奥手の良牙君を狼少年にする方法
カウンセラーからのアドバイス
あたし知ーらないッと。
アドバイス料
良牙君を乱馬君のように狼少年にする為の情報を与えよう
としたら、
何だか妙に一人寂しい夏目漱石に心を奪われた私に、あ
かりちゃんは仲間を与えてくれました。
優しい子ねえ。
これで夏目漱石も寂しがらずに済みそうよ



またのご来室をお待ちしているわ。それじゃ。


(こりずに)続く