天道なびきお悩み相談室J

あーら、皆さんこんにちは。
私はこの相談室のカウンセラー、天道なびきよ。よろしくね。
先月は、ちょっと事情があって急遽お休みをさせてもらったんだけど、今月からまたこうして相談室を開設したので宜
しくね。
この相談室には、人生に迷った可哀相な人たちがアドバイスを求めて手紙をくれたりやってきたりするのよ。
あたしからのアドバイス料は…そうね、その人の感謝の気持ちに任せているの。強制してお金は取るつもりない
よ。
そう、決して相談が終わった後、払った料金が少ないからといって、隠し撮りした写真焼き増しした恥ずかしいラブ
レターなんかをちらつかせてお金をきっちり取るなんて事はないから安心してね。
でも、何でかわからないけど皆、充分過ぎるほどお金を置いていってくれるのよね。不思議だわ。

さて、今日も誰か、道に迷ったカモ…いえ、子羊はいないかしら。
あら?あれは…
(相談室のドアを開けた瞬間、なびきの目に止まる人物。)
女性:「あ。なびきちゃん、み〜つけたッ。」
(廊下をしずしずと歩いていたその女性、にこやかにそう言いながらなびきの元へとやってくる。)




「早乙女のおばさま、どうなさったんですか?学校にいるなんて珍しい。」
「今日はね、おばさん、抜き打ちで乱馬の学校生活を見に来ちゃったの。一体どんな生活してるのかなって思って。」
(のどか、そういって笑顔で部屋に入ってくる。なびき、のどかに席を勧めながらとりあえず話を聞くことに。)

−ここからは相談者のプライバシー…というか名誉の為に、音声のみでお楽しみください−
(以下、なびき→な、のどか→ので表示します)





:「ところでなびきちゃん。」
:「どうしました?おばさま。」
:「さっきから探してるんだけど、乱馬の姿が見当たらないの。まだ家にも帰って来てないから学校だと思うんだけど。
   なびきちゃん、乱馬がどこにいるか知ってる?」
:「ああ、乱馬くんならあかねと一緒に…」
:「まあ、あかねちゃんと?きゃッ…もしかしてデート?いいなあ、ホントに二人は仲良しさんね。」
(のどか、その言葉に嬉しそうに反応するが、)
:「…あかねと一緒にチアリーディング部の助っ人でチアガールをしに行きましたけど。」
(なびきがそう言った瞬間、)
:「…チアガール?
(…・表情を曇らせ、腕に抱えていた布包みから日本刀を取り出して握り始める。)
:「乱馬が…乱馬がチアガール?」
:「しまった。ついうっかりホントのことを…」(なびきゴホンと咳払いをして)
:「あ、チアガールじゃなくて…シャガールの間違いでした。」
:「え?シャガール?シャガールって…あの絵画の?」
:「はい。あかね二人シャガールの絵を見に。」
:「まあ!乱馬が…乱馬が絵画を!?乱馬ったらいつの間に美術に興味が…。
   子供って、親の知らないところで日々成長していくのね。
   あの乱馬がシャガールに興味を…まさに、文武両道。乱馬、それでこそ男の子ですよ…。」
   (のどか、しみじみと感動の涙を流す。)
:「そうですねね。」(なびき、のどかとにっこりと笑いあう。が、何故か机の上に広げられたカルテに「正」の字を書いている。)
:「(あたしってばさりげなく、乱馬君の命の恩人じゃない。乱馬君、この借りはおっきいわよ。まずは一つ目、っと。
    …にしても、乱馬とシャガールなんて。そうねー、例えばベッカムがゲートボールするようなもんじゃないの。
    くッ…おっと、笑っちゃわるいわよね。)」





:「ねえねえ、なびきちゃん。」
:「どうしました?おば様」
:「乱馬は、よく運動部助っ人とか頼まれたりするの?」
:「え?どうしてですか?」
:「ほら、よくすっごく身体が汚れて帰ってきたりするじゃない?
   あと、何だか妙にぐったりしている時もあるから、どうなのかなと思って。」
:「そうですね…そーいうときもあるみたいですよ。運動得意みたいですし。」
(あたしが弱みを握ってて、無料レンタルしてるだけなんだけど…ってのはさすがにいえないわね。)
:「どんな部が多いの?」(のどか、ワクワクそわそわしながらなびきに尋ねる。なのでなびき、ついうっかりと、)
:「そうですね…やっぱバトン部とか?あ、でもこないだは確か女子バレー部に借り出されて…」
:「バトン部…?乱馬バトン…?」(のどか、またオロオロと日本刀を握り始める。)
:「(やばッまたやっちゃった。ったく、しょうがないわねー…)
   おば様?あの、バトンてほら。陸上のリレーとかに使うあのバトンですわ。」
:「ええ!?あのバトン?」
:「はい。うちの高校、結構変ってる競技というか部活が多いんです。
  ですから、あの陸上で使うバトンを、リレーをする訳でもないくせに、
  ただ延々と次から次へ渡していく…何て競技もあるんです。」
:「…そんな競技、あるの?おばさん、初めて聞くわ?」
:「マニア受けはいいみたいですよ。」(なびき、さらりと笑顔で嘘をつく)
:「そ、そうなのね。ああ、それならいいの。
   よかった。おばさん、てっきり乱馬また自分から女の子の格好でもして、
  張り切ってるのかと思って。」
(のどか、そういってホッと胸を撫で下ろしながら刀をしまう。)
:「そんなわけ無いですわ。」(なびき、とりあえず胸を撫で下ろすも、)
:「(全く、乱馬君?あたしに感謝しなさいよ?あんたの命、2回も救ってやったんだから。)」
(と、再び机の上のカルテに「正」の字を2つ書く。)
:「なびきちゃん、それじゃあ乱馬は、色んな競技楽しみながらやっていて、その上、
   …学校生活を力いっぱい楽しんでるわけね?」
:「はい。おば様。」
:「親が知らないところでも、息子は成長するのね…。
   学校生活も楽しんで、そしてあかねちゃんとも上手くやってて…おばさん、何だか嬉しいわ。」
(のどか、そっと涙をすくいながら微笑む。)
:「よかったですね。」(なびきも、ある意味微笑む。)
:「それじゃ、なびきちゃん。おばさん、今日はもう帰るわね。
   乱馬も、あかねちゃんとシャガールの絵を見に行っちゃった見たいだし。いいなあ、美術館でデートかあ。」
:「はい。」
:「いろいろと教えてくれてありがとう。じゃあね、」
(のどか、なびきにお辞儀をして満足そうにゆっくりと部屋を出て行く。)




ふー。
危ない危ない、おば様についうっかりと本当のことを喋ってしまったわ。
それにしても。
…まったく。乱馬くん?今日のこの、2つの貸しは大きいわよ?
なんせ、あたしは命の恩人。
今まで以上にあたしの手となり足となり、働いてもらわなくちゃね。
え?
それじゃあ、またおば様に「よく運動部の助っ人を頼まれる」って思われてしまうって?
ああ、そうね。
でもそしたらまたあたしが上手く誤魔化して、それで恩を売っておいてまた乱馬君を使う、と。
あらら、これってもしかしてエンドレス?
ま、それが嫌ならこの感謝の気持ちを「形」で表して欲しいわ。
え?例えば?

そうね、
ま、とりあえず…この間撮った「あかねとのキスシーン」、ネガごと買い取ってもらおうかしら。
ああ、買い取るって表現はおかしいわね。
感謝の気持ちを込めて乱馬君が自主的にお金を差し出したら、あたしがネガをオマケにくれた。
とでも言っておきましょうか?
…二人の愛のメモリーが、たった少しのお金で手に入るなんて。
ね?そう考えれば安いもんでしょ?乱馬くん。
切腹したくなかったら、それぐらいはしてもらわないと。






さーて。カルテを書いて、私もそろそろ帰ろうかしら♪


本日のカルテ
名前
早乙女のどか
年齢
特徴
乱馬君のお母さん。
早乙女家の人物にしては珍しく素直でのんびりしている方。
名はタイを表すって、まさにこのことね。
相談内容
息子の学校生活について知りたい
カウンセラーからのアドバイス
息子の命の危機を、息子の許婚の義理の姉として2回も救う。
ま、知らぬが仏ってやつよね。
カウンセリング料金
乱馬君と後で個別に相談。愛のメモリー、それに出す金額で、
乱馬君のあかねへの愛の深さを感じることにしておくわ。


またのご来室をお待ちしているわ。それじゃ。



天道なびきお悩み相談室Kへつづく