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3daysB

明けて、翌日
…呪泉郷ガイド宅の朝食は、何故か毎朝、必ずと言っていいほど同じものが用意される。
木のダイニングテーブルには、人数分の「粥」。
そして、日本ではあまり見ない小さな焼き魚に、中国茶。食後には、甘い菓子などが別の器に山のように盛られていた。
粥の中身は、食事を作るプラムの好みで決められているらしく、かろうじて毎日違っている。ちなみに今日は、 「卵粥」であった。
日本にいた頃、天道家で食べていた朝ご飯を思い浮かべると大分そのレパートリーは少ないのだが、それでも乱馬達にとっては満足のいくメニューであった。
そんな中、
「乱馬、今日は私の買い物に付き合うよろし!日本で留守番をしているひいばあちゃんに、土産を買って帰るある」
皆でプラムの用意した朝食を取っている最中、シャンプーがそんなことを提案した。
「買い物?」
まだぼんやりとしている寝起きの頭をポリポリと掻きながら、乱馬が呟くと、
「そうある。乱馬も、日本に居る家族や友人に中国の土産を買うとよいぞ」
シャンプーはそう言って、向かいの席の乱馬に微笑みかける。
「買い物あるか…」
が、そんなシャンプーの提案に対して、乱馬よりも先に反応したのはプラムだった。
「買い物は、明日の午後に行ったらどうか?私とおとさん、皆さんを送る最後の夜の夕食、大奮発する為に明日、街へと車で出かける予定だったね」
「あいやー、そうだったあるか」
「その時に、皆さん一緒に街まで連れていくね。その方が、動きに無駄がないあるぞ」
プラムは、食卓を囲んでいる全員に向かってそう提案すると、
「それよりも今日は、皆さんが日本に乗っていく船の掃除に行くある。そうあるな…私を含めて七人いるから…五人位で船の所へ行くある」
「二人は留守番って事か」
「そうある。そう思って、私、公平にクジを作てきた。クジの先に、留守番と書いてある人が、ここに残ってもらうある」
プラムはやけに手際よくクジを取り出すと、自分の父の目の前へそれを差し出した。
どうやら有無を言わさず、皆にクジを引かせるつもりのようだ。
「あいやー、私、船掃除ね」
「次は、ほら、そちらのお客さんたちも引くね」
プラムは、粥をすすっていた良牙や、パンダ姿で器用に箸を使いこなし魚をほぐしている玄
馬、食後の茶を畷っているムース、そしてシャンプーにも順番にクジを引かせる。そして、
「俺も、船掃除だ」
「『わしも』」
「おらもじゃ」
「あいやー、私もある」
悔しそうにぼやく四人を尻目に、「それでは、次に私も引くある」そういって、残まだ引いていない乱馬とあかねよりも先に、プラムはクジを引いた。
「あいやー、私も船掃除ある。という事は、残ったお客さんとお客さんが、留守番あるな」
そして、自分が引いた 「船掃除」というクジをひらひらと皆に 見せつけた。
「あかねと乱馬が留守番?ずるいね!」
「ずるい、違う。公平にクジで決めたある」
プラムは不服そうなシャンプーにさらりとそう言ってのけると、皆から素早くクジを回収し、
「それでは、お二人さんよろしく頼むある」
ぼーっとしている乱馬とあかねの肩を、ボンボン、と叩いた。
思わぬ展開に、顔を見合わせながら二人が戸惑っていると、
「することがないのなら、二人でこの家の掃除をしてくれていても良いぞ」
二人で、あるぞ?…と、あくまでも 「二人」と言う言葉を強調するように、プラムが笑った。
そんなプラムたちを横目に、シャンプー以外のメンバーも、掃除に行くなら腹ごしらえ…と、再び食卓に並べられている食事に手を伸ばし、味わっている。
シャンプーも観念したのか、それでもぶつぶつ文句を言いながら、再び朝食を取り始めた。
「し、仕方ねえな」
偶然とはいえ、あかねと二人きりになるチャンスがやってくるなんて。表情には出さずとも、巡ってきた幸運に乱馬もそわそわしつつ、再びに朝食を食べ始めた。
「さ、私は掃除の準備するかな」
そんな皆の様子を見守っていたプラムは、ほっとした表情で席を離れ一人、台所の奥へと引っ込んだ。
あかねは、そんなプラムの後を追って皆の所から離れた。そして皆に聞こえないように…と台所奥の扉をそっと閉めると、
「…ねえ?プラムちゃん」
あかねは、プラムにそっと語りかけた。
「何あるか?お客さん達、私たちが戻ってくるまでゆっくり過ごすよろしぞ?」
「そのことなんだけど…さっき皆が引いたクジ、見せてくれない?」
「え?な、何であるか?」
「いいから。クジ、全部見せて」
すると、
「…あいやー、気づいていたあるか」
プラムはぺろっと舌を出すと、先程乱馬とあかねが引かないまま終わったクジの束を、あかねに渡した。
先程は、七本の内五本は「船掃除」と書かれ残り二本には「留寸番」と書かれている予定なので、初めの五本を引いた段階で全て「船掃除」が出てしまったことにより、残りの二本、それを引いていないあかねと乱馬が「留守番」となった、という解釈である。だが、
「…やっぱり」
…あかねがクジをすべてチェックすると、何故か全てのクジに「船掃除」と書かれていた。
そう。結局全てのクジに 「船掃除」と書かれていたので、あかねと乱馬に引かせさえしなければ、結果は同じだったのである。
「プラムちゃん、こういう不正は…」
あかねがプラムを軽く咎めると、
「こうでもしなければお客さん達、二人きりになれないね」
「でも、不正は良くないわよ。それだったら私、早乙女のおじ様と留守番を代わるわ」
「え、何を言っているあるか!せっかくのチャンスを!」
私の努力を無駄にする、良くないぞ。そう嘆くプラムに、
「でも、やっぱり不正はいけないわよ」
真面目で真っ直ぐな性格は、時には災いとなる。あかねはプラムに感謝しつつもそう言うと、
「おじ様、おじ様が私の代わりに乱馬と残ってください」
「『え?いいの?』」
「はい」
と、一旦皆の元へ戻り、玄馬へとその権利を譲ってしまった。
勿論それには玄馬は勿論、玄馬だけでなく、その横にいた乱馬も一瞬「え?」という表情をしたのだが、あかねはそれに気づかず、再びプラムの元に戻りドアを閉める。
「あいやー、あかねさんはなんと奥手か。愛には時には、不正も必要あるよ」
プラムはそんなあかねに苦言を呈すが、
「ごめんね。でも、やっぱり不正はいけないわ」
「仕方ないな。では、別の手をまた考えるある。ここまできたら乗りかかった船ね。私、キューピッド役になるね」
「キュ、キューピッドって…」
「いいから、私に任せるある。ああ、愛を貫くには障害が本当に多いあるな」
  プラムは懲りもせずそんなことを呟くと、奥手なあかねにため息をついていた。
…無論、
「あいやー、家に残るのは乱馬とパンダ?パンダ、私と留守番変わるよろし!」
『嫌だ』」
出発する時になって、まさかそんなことになっていたとは知らなかったシャンプーは、留守番交替に非常に悔しがっていたようだつたが、
「クジはそれなりに公正ね。さ、文句言わないで行くあるよ」
プラムに背中を押されるように、外に連れて行かれてしまった。
「良牙、ムースそれにガイドも!あかねもある!さっさと掃除をして、戻ってくるあるぞ!」
シャンプーは、現場に向かう車に乗り込みながら、まだ家の中にいるメンバーに悔しそうな表情でそう叫ぶ。
「やれやれ、せっかちじゃのう、シャンプーは」
「気持ちはわからんでもないが」
「じゃ、お客さんたち留守番頼むあるぞ」
ムースにガイドも、まだ家の中にいる乱馬達にそう言い残して外に出て行った。
「おじ様、急に変わってもらってすみません」
「『気にしないで』」
あかねも、玄馬に挨拶をしてすぐに家の外へ出る。
が、ただ一人。
「乱馬よ。いいのか?」
船掃除のメンバーではあるが、まだ家の中にいる者がいた。
「いいって、何が?」
「何がって…決まってんだろ、一緒にいなくていいのか?」
「一緒って?」
「あー、じれってえな!あかねさんとに決まってんだろ!」
…あかねのことを「あかねさん」と呼ぶその人物。良牙であった。
「せっかくシャンプーもいなくて、数時間二人きりになれる機会なのに、親父さんと変わっちまって…おまえ、あかねさんと暗嘩でもしているのか?」
「別に…」
それは、こっちが聞きたいところだ。それは胸に秘めつつ、乱馬は答える。
「明後日には、船に乗るんだぞ?その…俺がこんな事言うのもなんだが、このままでいいのか?」
良牙はそう言って、ぼんやりとしていた乱馬に向かって叫んだ。乱馬はそれには答えない。
「呪泉洞の戦いを通して俺は、お前とあかねさんの間には、他の者が割って入る隙がない程堅い粋があると、そう感じた。だから戦いが終わった今、二人の関係は変化したのかと思っていた」
「…」
「でも実際はどうだ?お前もあかねさんも、へタしたら中国に来る前よりもその関係、ギクシヤクしているように見える。そんなんじゃ、俺だってあかねさんを諦める事はできない」
どうやらやはり、あかねとあかり両方を思う気持ちは健在の様である。良牙はそう言って、乱馬にぐっと顔を近づけると、
「…あかねさんを、あまり悲しませるな」
小さな声だが、でもしっかりとした口調でそう肱いた。そして、
「良牙、早く来るだ」
「ああ、すまん」
良牙が中々外に出てこないので、家の中で迷子になっているのでは…と心配して迎えに来たムースと共に、居間から出て行った。
「…」
…そんなの、言われなくたって分かってんだよ。
家の中に残った乱馬は、ギリ、と唇を噛みながら心の中でそう言い返していた。


二股をかけているとはいえ、恋敵の良牙にまで、アドバイスをされるとは。 それを考えると、尚更自分の不甲斐無さが身に染みる。

朝のプラムのクジ引きで。あかねと二人きりで数時間過ごせると決まった時は、驚いた反面、正直に嬉しかった。何を話そうとか、何をしようとか。少し戸惑いはしたものの、二人きりになれば、何かしら会話も交わせるし何よりもゆっくりと話すことが出来る。 昨夜の、お茶の御礼も言いたかった。
そう思うと、急いで口に運んでいる粥の味も、魚の味も、全くわからなくなった。
ただ早く、二人きりになれる時聞が来ればいい。そう思った事は確かだった。でも、
『おじ様、おじ様が私の代わりに乱馬と残ってください』
あかねは、何故か玄馬にそう提案して、二人きりになれるはずの時間を無効にしてしまった。
あのクジ引き、終わった後にプラムとあかねが姿を消したので、何か裏があったことぐらい、乱馬にも直ぐに分かった。
でも、こんな状況だ。 例え裏があったとはいえ、プラムの好意に少し位…甘えたってよかったのではないか。

「…真面目すぎんだよ、あかねのパカ」
一瞬期待をしてしまった分、乱馬の落ち込みは思った以上に大きかった。

ああ、またタイミングを逃してしまった。
さて、本当にどうするか。残りは明日、一日。
皆で街に買い物に行くというけれど、そう簡単に二人きりになれる機会などないという事。だいたい、あのシャンプーがおとなしく引っ込んでいるとは思えない。
じゃあ、どうする?何か、打つ手はないか。

「…ったく、親父はいいよな」
『ふああ…掃除の前にもう一眠りしようっと。』そんなことをプラカードに書きながら、居間の床でゴロゴロとしている玄馬の背中を見つめながら、乱馬はため息をついた。


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