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3daysE

その時だった。

「ぐっ…」
あかねの肩を抱くように、あかねのすぐ隣に立っていた青年が、 不意にそんな声をあげて地面へ崩れ落ちた。しかも青年は、腰を抑えて顔をしかめている
「え?な、何…」
自分の足元に突然座り込んだ青年に、あかねが驚いていると、
「がっ…」
今度は、あかねの手を掴んでいた青年が、あかねの手を放し地面へ崩れ落ちた。しかもこちらの青年は、なんと白目をむいている。
「な、何…?」
一体、どうしたというのか。目に浮かべていた涙を手の甲で拭いながら、あかねが座り込んだ二人を見ていると、
ガシッ…
「きゃっ…!」
…そんなあかねの手を、また掴む者がいた。
「い、嫌…!」
別の男が来たのだろうか。一体この国はどうなっているのか…あかねは再び涙を浮かべるが、
「走れるか?」
今度あかねの手を掴んだ人物は、あかねにも分かる日本語で、あかねにそう声をかけた。
それは、聞き覚えのある声だった。いや、聞き覚えがあるどころではない。今まで幾度となく耳にしていた声だ。
あかねはその人物の顔を見た。
見覚えのある顔だった。いや、見覚えがあるどころではない。それは、今まで幾度となく目にしていた顔だ。そしてそれは…自分の許婚の顔だ。そんな顔を、見間違えるわけがなかった。
「乱馬…!」
「走れるか?あかね」
乱馬はただそれだけをあかねに問い、そのままあかねの手を引いて動き出す。

 

「いいか?絶対に手、離すなよ!」
「えっ…う、うん…」
あかねを気遣うのもそこそこ、乱馬はあかねにそう叫ぶ。
一体、どうしてここに乱馬が。それに、青年たちは倒れてしまったのに、何故逃げるのか。助けられたのは嬉しかったが、この場の展開に頭が付いていかない。あかねが戸惑っていると、
「乱馬!やっと見つけたある!」
「シャンプー!待つだ!」
そこに、そんな乱馬を捜すシャンプーと、シャンプーを追いかけるムースが姿を現した。
  なるほど。逃げるのはその為か。あかねがシャンプー達を眺めながらそんな事を思っていると、
「あかね、行くぞ」
乱馬はそんなあかねに小さな声でそう囁き、そして本格的に走り出す前に、
「…人の許婚に手、出すんじゃねえ!」
ブギュル!
先ほど地面に倒れた青年二人をわざわざ踏みつけてから、漸くあかねの手を引き走り出した。
乱馬はあかねの手を引き、繁華街のメインストリート、広い道へと出ると、入口とは逆方向へどんどん進んでいく。
「乱馬!乱馬ってば…どこに行くの!?」
そんな乱馬の背中にあかねが叫ぶと、乱馬はちらっとあかねを振り返り、一瞬立ち止まった。
あかねも驚いて立ち止まると、乱馬はそんなあかねの手を一度離した。そして…今度は「引く」のでなく、あかねの指を絡めるようにして「繋いだ」。一瞬それに驚いたあかねであったが、今ここで「なぜ」「どうして」の問答をしていたら、シャンプーに追いつかれてしまう。
あかねは、自分の手に絡んだ乱馬の指に、自分も指を絡めた。乱馬は、あかねの指が自分の指にしっかりと絡まったのを見て、更にその手をぎゅっと…強く繋いだ。
言葉は交わさずとも、それが答えだ。二人は言葉も交わさぬまま、しかし手はしっかりと繋いだまま、繁華街の道を再び走り出した。

…そんな乱馬達の遥か後方を、シャンプーとムースはしばらく走っていたのだが、
「ああ!見失ったある!」
広い道に出た事で人が増えたせいか。シャンプーは、ついに本格的に乱馬を見失ってしまった。
「乱馬に逃げられてしまったね!」
シャンプーが、悔しそうに地団太を踏んだ。
「シャンプー!」
そんなシャンプーに、ムースもようやく追いつき、立ち止まった。シャンプーがそんなムースに不機嫌な表情を見せると、
「まあ、そんなに怒るな。土産なら、おらが一緒に買いものに付き合うだ」
どんなに無碍にされても、彼女には優しい。ムースはシャンプーを宥めるように、声をかけた。
「お前と一緒に行っても、つまらないね…」
が、そんなムースの心遣いに気づくほど、シャンプーは彼に気を使ってはいない。先程までの元気の良さが嘘のように、シャンプーは肩を落とした。そんなシャンプーに、
「…おばばに土産を買うのじゃろ?だったら、日本人よりもおらの方が、好みも知っておる」
ムースはそう言って、笑った。シャンプーはそんなムースを見て小さくため息をつくと、
「…妙なものを選んだら、絶交あるからな」
そういって、ムースの横に並んだ。
「それは大変じゃ。それでは真剣に選ばねばならぬな」
ムースはそんなシャンプーの頭を軽く二度、大きな手のひらでポンポンと叩くと、
「さ、まずはどの店を見るのじゃ?」
「そうあるな…まずは、その衣服屋に入るある。ああ、それにしても三日間の最後がムースとのデートとは…悲劇的展開あるな」
「まあ、良いではないか。それにおらにとっては至極の幸福な時間じゃ」
漸く機嫌を直しつつあるシャンプーと共に、ムースは繁華街でのデートを決め込んだのだった。

 

その一方で。
乱馬とあかねは、依然として人で埋め尽くされた広い道を、上手い具合にすり抜けながら走っていた。
二人は、時折すれ違う人々に身体をぶつけスピードを落とすものの、それでも繋いだ手だけは離さないようにしていた。
野菜干しを軒先へぶら下げている店前を通り過ぎた時、二人が通り過ぎるスピードで野菜が揺れ、吊るしてあった紐がブチン、と切れた。
食用の為に売っているのか、龍に入れられた鳥が並べられている店の前を通り過ぎた時には、走り抜ける二人の姿に興奮した寵の中の鳥達が、一斉に鳴き始めたのには、少し驚かされた。
道の両脇から道へと流れ込んでくる出店の湯気も、走り抜ける二人には、単に視界を遮るものにしか映らなかった。
客引きの為に飛び交っている中国語の呼び込みの声など、不思議な程耳に入ってこなかった。
繁華街で人気らしい、話題の甘いデザートを売っている店の前へと差し掛かっても、二人は立ち止まる事はなかった。
キラリ、と太陽の光を浴びて光り輝いているシルバーアクセサリーの出店には、あかねは若干少し心惹かれたのだが、それでもそこで立ち止まる事はせず、無言で、道を走り抜けていく。
その内、次第に道いっぱいに埋め尽くされていた人の影が、途切れ始めた。
いつしか二人は、スムーズに道を走れるようになっていた。
両脇に数々の店が立ち並ぶ繁華街が、終わりを遂げようとしていた。
やがて、繁華街の終わりを告げる、大きな赤色の門が二人の視界に飛び込んできた。
二人は、その門をくぐりぬけて繁華街から外へと飛び出した。
飛び出した先は、三文路になっていた。三文路を左右に曲がれば、また繁華街へ戻れる路地へと繋がっている。それは、先程地図を見ていたあかねにも分かる事だった。が、二人はそのまま道を真っ直ぐと進んでいった。
門を通り過ぎて直ぐに差し掛かる、車道。信号もついていないその車道を、車を避けるようにして走り抜け、二人は更に真っ直ぐに進む。
左手には、立派なホテルが建てられていた。右手には、何かのテナントが入ったガラス張りのオフィスピルが並んでいた。

『この繁華街は、海へと繋がっているようじゃから、おおよそそこは、海を望める公園にでもなっているのだろう。』… 皆と別れる前、ム!スがそう言っていたのを、あかねは思い出した。

とすれば、ここはあかねがあの時指差した「緑色」の区域も近いのだろうか。そう思ってよく辺りを見てみると、直ぐそこに広がる海へは、柵があって降りられないようになっているが、一箇所だけ大きな船が止まっている場所があり、そこには船に入れる渡し橋がかけられていた。
近くに小さな小屋があるところ見ると、どうやらその船は、客船というよりも 「アミューズメント」的役割で設置されているのではないかと、あかねには感じられた。
また、海沿いの柵の近くには、柵に沿っていくつもベンチが並べられていた。
ベンチの傍には幾つもの円形の花壇。赤や黄色…色鮮やかな季節の花が、植えられている。
そして、その区画の中央には大きな藤棚があり、その下には…大きな噴水が設置されていた。
その噴水の溜め水の中では、数人の子供が無邪気に遊んでいる。子供達の親は噴水の周りで楽しそうに、おしゃべりをしていた。なんとものどかな風景が、そこかしこに広がっていた。
そんな光景を横目に、二人は道を走り続けた。そして…

「わあ…」

…道を走りきった二人の視界に、ふいに飛び込んできたもの。
そう、それは地図に描かれていた「青い線」。繁華街の先に描かれていた「海」だった。


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