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Realistic Simulation 前

「えー?お姉ちゃんも今日、出かけちゃうの?」
「仕方ないでしょ、友達と旅行に行く約束しているんだから」
「あたし、一人になっちゃうじゃない・・・寂しいなあ」
「何言ってんのよ。乱馬くんが居るでしょうが」



世間では三連休を明日からに迎えた、とある日の午後。
玄関でブーツに足を入れ紐を結んでいるなびきお姉ちゃんの背後で、あたしはため息をついていた。
今日の我が家・・・そう、天道家の人口密度はとても薄い。
お父さん、おじ様、おば様は町内会の集まりで夕方もしくは夜には帰宅予定とのこと。
かすみお姉ちゃんは、何でもパッチワークサークルとやらの見学を兼ねた合宿へ出かけてしまい、唯一家に居るだろうと思っていたなびきお姉ちゃんも・・・旅行に出かけてしまうという。
本当はあたしだって友達と出かければいいだけの話だけれど、
運が悪いことに親友のさゆりは風邪を引いてダウン、もう一人の親友のゆかは、家族で旅行に行ってしまって留守。
めぼしい友達にとりあえず何人か声をかけてみたものの、みんな予定が入っていたのであたしはこの休日の予定を上手にスケジュールすることが出来なかったのだ。
ちなみに乱馬は・・・というと、お小遣いがピンチなので出来れば節約したいらしく、

「休みは修行だ!修行に励むのが格闘家の勤め!」

とか何とか言いながら、先ほどロードワークに出かけてしまった。
ゆえにあたしは家で過ごしていたわけなんだけど・・・
・・・
「いいじゃないの、あんたは乱馬くんが居れば。乱馬君だってあわよくば二人きりになりたいでしょうし、好都合でしょ」
お姉ちゃんが、ブーツのかかとをトントン、と叩いて調節をしながらあたしにそう呟いた。
「ら、乱馬がそんな事思うわけ無いじゃない」
それに乱馬の奴、一人でロードワークに出かけちゃったし頭の中は修行のことで一杯なんだよ・・・あたしがそう答えると、
「あんたねえ、あの煩悩の塊の乱馬君がそんな健全な思考だけで生きていけると思うの?」
「お姉ちゃん、何もそこまで」
「それに、乱馬君がいまいち乗り気じゃないのはきっと、お父さん達がいつ帰ってくるかわからないから、じゃないの?ま、まだしばらくはお父さん達も帰ってこないだろうし、仕掛けておいた盗聴器も今日はメンテナンス中で外してあるから安心しなさい」
「・ ・・仕掛けてたんだ?」
「お父さん達が帰ってくるまで二人きりで居られるのよ?滅多にないでしょ、そんなこと。ラッキー、くらい思ってなさいよ」
「でも・・・」
「・・・ちなみにあたし、今日はクラスメート皆での団体旅行なのよ。あんたがあんまりにも寂しいって言うのなら、場所をぜーんぶキャンセルしてうちの道場を会場にしてもいいけど、九能ちゃんも来るわよ?」
「・・・旅行、楽しんで来て欲しいな」
「でしょ?」
なびきお姉ちゃんはそういって、にやりと笑った。

・・・確かに。別にうちにたくさんの人が来るのは構わないし、道場も提供しても構いはしない。
でも、九能先輩が来るとなると話しがややこしくなるので、出来ればご遠慮願いたい。

「それに、部屋の中とか外でデートしているとは違ってさー、広い家の中で二人きりってなると、新婚さんみたいな気分になれそうじゃないの」
「新、婚、さん?」
「そうよ。将来的にはあんた達がこの道場を継ぐだろし、そしたら親もくっついてくるから滅多に二人だけでこの家で過ごすこともないでしょうに。いい機会だからシュミレーションでもして遊んでみたら?」
あ、でも料理だけは辞めなさいね。乱馬君、寝込むから・・・なびきお姉ちゃんは最後に真剣な顔であたしにそう忠
告すると、荷物を持って玄関から出て行ってしまった。
「あ、お姉ちゃんっ・・・」
あたしが慌てて外に飛び出すも、お姉ちゃんは既に門の外へと出てしまったあと。
「はあ・・・」
あたしはため息をつきながら、とぼとぼと家の中へと戻った。そして、誰も居ない居間へと入り、コタツに入る。
「新婚さん、ねえ」
あたしは、コタツのテーブルに突っ伏しながら先ほどお姉ちゃんが言った言葉を復唱してみた。

・・・確かに、今の段階ではというか一応はあたしも、自分はこのまま乱馬と結婚するんだろうなと、思っていたりする。
そりゃ「許婚」って間柄だし、最初はそれに「親同士が決めた」って前提があったけれど、
今は普通に恋人同士としてお互いのことも見ているし、それも踏まえた上での許婚。
だから、乱馬もきっとそう思ってくれているんだろうとは、思う。
あたしも乱馬も格闘家だから、もちろん家に道場があればそれを継ぐつもりだし、結婚後もここで、お父さん達と一緒に住むんだろうなって・・・普通に考えていた。
それに対してなんの違和感も感じてはいなかったんだけど、
「・・・」
良く考えると、結婚後そういう状態になるならば、あたしと乱馬って二人きりで暮らす期間が無いってことになる。
外でデートしている時や部屋で過ごすのと違って、家の中で乱馬と普通に二人きりで「生活」するって、一体どんな感じなんだろう?
・・・

確かずーっと前に、乱馬と二人きりになる夜があった。
でもその時は、シャンプーが「食べたものに暗示を与える」という不思議なキノコ「カイライシ」を乱馬に食べさせたせいで、すっごくバタバタして・・・乱馬と過ごした記憶も、確か二人で徹夜でテレビを見たって事以外印象が無い。
それにあの時はまだ、あたし達はちゃんと付き合ってはいなかった。だから、「何かが起こるかも」ってドキドキもしていたんだけど、
あの時と今はあたし達の関係も違うから、もっと違う様にゆったりと、そして楽しく過ごせるかなあ?
・・・

「・・・お風呂でも沸かしてあげるかな」
あたしは、コタツから身体を起こして立ち上がった。
そして、「新婚さん」の奥さんが外に出た旦那を出迎えるべく・・・ロードワーク帰りの乱馬がすぐに汗を流せるようにと、お風呂の準備をしに風呂場へと向かった。





「ただいまー」
・・・ほど無くして。
ガラガラと玄関の戸が開き、ロードワークに出ていた乱馬が戻ってきた。
どうやら外が寒かったようで、乱馬のがっしりとした身体が珍しく、服の上からでも震えているのが分かる。
「おかえり・・・寒かったでしょ?お風呂沸いているよ」
あたしがそんな乱馬を出迎え、「労を労う妻」といったらこの台詞とでも言わんばかりにそう呟くと、
「・・・」
何故か乱馬は、そんなあたしに対し怪訝な表情をする。
「な、何よその顔」
人がせっかく優しい言葉をかけてやっているのに失礼な。あたしがムッとした顔をすると、
「何だよいきなり。どうした?今日は」
「べ、別に何も・・・ただ出迎えたかっただけよ。疲れてるんじゃないかなって思って・・・」
「ははあ・・・さてはあれだな?お前、また料理とか作ったんだろ?」
まさか、風呂に入った後俺に手料理でも食わせるつもりか・・・と、乱馬はそんな事を呟きながらやけに警戒気味に家の中にあがる。
「な、何よそれっあたしは別に・・・」
あたしがそんな乱馬に弁解しようと近寄ろうとするも、
「この休みに、金欠の為にどこにも連れて行ってやれない俺にその仕打ち・・・そうか、お前実はSだな?夢のあとにはじわじわと俺に地獄を・・・」
どこまでも失礼な乱馬は、そんな事を言いながら一歩、また一歩とあたしから逃れようとしている。
「くっ・・・」
ゴスっ・・・あたしはそんな乱馬を容赦なく拳で一発殴り倒すと、
「今日は皆出かけちゃって二人きりだから、ちょっとシュミレーションっていうか遊んでみようと思っただけよ」
「え?出かけたって、なびきはいるんだろ?」
「旅行だって」
「ふーん・・・で?シュミレーションて、何の」
「だからっ・・・その、乱馬と二人きりで暮らすことがあったら、こんな風にするのかな、とか・・・そういうヤツ」
「・・・」
「ほら、もういいから早く、お風呂に入ればっ。わざわざ用意してあげたんだから!」
あたしのその説明に対し、特に何も言うわけでもなく反応もない乱馬にあたしはさりげなく傷つきつつ、
腹いせに床に倒れている乱馬の頭をぶぎゅるっ・・・と踏みつけ、自分はさっさと居間へと戻ってきてしまった。
「何なのよあの男はっ」
居間に戻ったあたしは、コタツに入りブツブツといいながら、ゴロンと畳みに寝転んだ。
・・・人がせっかく、まあシュミレーションも兼ねてだったけど、色々と考えながらお風呂を用意したり優しく出迎えてやったのに。
人の優しさに裏を思っただけではなく、S扱いまで!
夢のあとには地獄が待ってるって何よ!
大体、人の料理を一体なんだと思ってるんだあの男はっ。

「もー、やめたっ」

二人きりになる機会なんてそんなにないし、いいチャンスだったけど・・・あんなこと思われるなんて。
しかも、せっかく新婚さんシュミレーションの説明をしてあげたのに、無反応とは何事よ。
「・・・」
乱馬は、そういうの興味ないのかな?
それとも、もしかしてあたしとそんな風なシュミレーションを過ごしたりすることをイメージ、出来ないから、あんな反応だったとかとか・ ・・ ・ ・・ そりゃ、あたしがなびきお姉ちゃんに乗せられて勝手にやってみたことだけど、
あんなふうに反応も無く興味ももたれなかったと思うと、何だかショックだなあ・ ・・あたしは畳に寝転び天井を仰ぎながらブツブツと一人、呟いていた。




と、その時。



トゥルルルル・・・トゥルルルル・・・
居間の廊下の向こう側で、電話の呼び出し音が鳴った。
「・・・」
あたしがノソノソと起き上がりコタツから出ようとすると、二回呼び出しが鳴っただけで音が止まった。
どうやら、あたしがさっき床に殴り倒した乱馬がまだその付近にいて、電話を取ったようだ。
「・・・」
誰からだろう。
乱馬が電話を取ってくれたのはありがたいけど、でも何となく気になって居間の入り口から廊下へと身体を乗り出して電話のほうを見つめると、
「ああ、そうですか・・・わかりました、はい、大丈夫です。ええ、そうしてくれると助かります」
先ほどあたしには失礼極まりない口調だった乱馬が、妙に丁寧な口調で電話口で話している。
敬語を使っているということは、電話の相手は年上?
一体誰だろう・・・あたしがそんな事を思いながら乱馬を見つめていると、
「お任せでいいですよ、来てくれるのがそこなら全然問題ないですし。ええ・・・じゃあ、そうだな・・・五時半ぐらいがちょうどいいかなあ?それでお願いします。ありがとうございます」
乱馬はしばらく電話の相手と話した後、一度ちらりと玄関脇においてある小さな時計へ目をやり、そう結んで電話を切った。
そして、受話器を置いた後、ぽりぽり、と暢気に頭をかいている。
「・・・?」
来てくれるって、何?
来てくれる相手次第で、乱馬は助かるの?
「五時半に、来客・・・?」
あたしはノソノソとコタツの中へと戻りながら、先ほどの乱馬の電話を思いだし首をひねる。
ふと居間の柱時計を見上げると、現在四時四十分。あと五十分後に、ここに来客が来るのだろうか?
「・・・」
今日はかすみお姉ちゃんはいないし、それに早乙女のおば様も出かけてしまっている。
お父さん達もそうだし、となるとあたしと乱馬で、そのお客さんを接客しなくてはいけないってことでしょ?
大丈夫なのかなあ?
五時半だから、まごまごしていたら夕食時だよね?そのお客さんのお夕飯とかどうするんだろう。
乱馬いわく、あたしの料理じゃ、ねえ?悔しいけれど問題があるのなら、どこかに出前を頼むかしないと・ ・・
・・・
どちらにしても面倒な事になりそうだ。
「もー・・・勝手に来客なんて決めちゃって」
しかもあたしに相談なしに・・・あたしはコタツから出て、受話器を置いて暢気に頭をかいていた乱馬の元へと向かった。
「ちょっと乱馬」
「あ?何だよ」
「五時半に来るお客さん・・・あたし達でも接客できる人?準備とかどうするのよ」
そして、どこまでも暢気な乱馬にあたしがそう尋ねると、
「準備なんていらねえよ」
乱馬は心配そうなあたしにそういって、何故かすぐ傍の玄関に再び、降りる。
「何よ、出かけるの?お客さん用の買い物ならあたしが・・・」
準備が必要ないといいながら、何故か玄関に降りた乱馬にあたしがそう問いかけると、
「その逆だな」
「え?」
乱馬は玄関の戸に手をかける・・・も、そのまま戸の鍵をカチャリ、と中から閉めてしまった。
そして再び家の中へとあがる。
「逆って何よ」
二人で家の中にいるわけだし、それにこれから数十分後にはお客さんもくる。
もしかしたらその前に、お父さん達だって帰ってくるかもしれないのに・・・あたしがそんな事を思いながら乱馬を見ると、
「おじさん達、今日泊まりだって」
「は?!」
「今、電話があった。何だか盛り上がっちゃって、そのままその会合開いている旅館に、皆で泊まろうって話になったみたいだぜ」
乱馬は、自分を見ていたあたしの頭を、やけに笑顔でそういいながらぽんぽん、と叩いた。
「なっ・・・」
あたしが驚いて思わず表情を崩すと、
「で、な?そうなるとほら、夕食は俺達だけになるだろ?あかねに作らせると色々と弊害があるから、五時半にここに、出前来るように頼んでくれたって」
「なっ・・・」
「おじさん達が顔出している会合の中にラーメン屋の店主がいたみたいで、そこがうちに来てくれるって。料金もおじさんが払っておくからってさ」
乱馬はそういって、「いや、助かった助かった」とか何とか、一人で勝手に納得をしている。
どうやら先ほどの電話は、うちのお父さんからだったみたいだ。
ああ、だから敬語で話していたのか・ ・・とあたしは一応はそれについて納得をするも、
「・・・でも、出前を頼むんだったらその会合で一緒の店主さんの所で頼まなくたって、猫飯店とかでも良かったじゃない。近いし安いし」
そう、夕食の出前をとるにしても、別に普段取りなれていないその人のお店に頼まなくても良かったんじゃないかなと、あたしはふと思った。
そりゃまあ、あたしが作ることに対しては乱馬だけじゃなくておとうさんも何だか否定的なのは悲しいけれど、
でも味も美味いかまずいか分からない、しかも値段だって高いかもしれないし。
その点、猫飯店やもしくは右京の店ならば、味も確かで尚且つ乱馬の分くらいはタダにしてくれそうな気がするけど・・・
「・・・」
あたしがそんな事を思っていると、
「猫飯店とか、うっちゃんの所で頼んだら、出前置いてすぐ帰るとは思えねえだろ」
「え?」
「二つしか頼まないってことは、俺と、あかねだけってことだし。そんな状況なのを知ったアイツラがすぐに帰る
と思うか?」
せっかく二人きりなのに・・・と乱馬はブツブツとあたしにそうぼやいた。
「・・・」
・・・そうか。
だからさっきの電話で、『来てくれるのがそこなら全然問題ないですし』って・・・乱馬はお父さんに話していたんだ。
その良く知らないお店なら、わざわざ出前を置いてうちに居座るようなことは無いって、思ったから。
味とか値段うんぬんじゃなかったんだ。
「・・・」
ふーん、乱馬にしてみたら随分と考えたのね。
今日は二人きり、しかも夕食はあたしの手作りではないと分かったとたん、随分と手際がいいじゃないの。
さっきまではあんなにあたしに対して失礼だったのに・・・と、何だか楽しそうな乱馬に、あたしがそんな事を思っていると、
と、

「・・・ということで、だ」
「なによ」
「夕食の出前は五時半に届くから・・・せっかく沸かしてくれた訳だし、俺はそれまで風呂に入ろうと思うんだけど」

ぼんやりと考え事をしていたあたしに、乱馬がそんな声をかけてきた。
「入れば?」
あたしは、「それじゃご飯が届くまであたしは居間で待機してるわよ」とそんな乱馬を置いて一人再び居間へと戻ろうとした。
が、乱馬はそんなあたしの腕をハシッと掴むと急に・ ・・あたしの身体を引き寄せて、あたしの背後から抱きついてきた。
「きゃっ・・・」
引き寄せられるだけならともかく、まさか抱きしめられるなんて思っていなかったあたしがあまりにも驚いて、思わずそんな声を上げると、
「気を取り直して、さっきの続きしようぜ」
乱馬は、あたしの背後から抱きついたまま、耳元でそんな事を囁く。
ロードワークから帰ってきてお風呂に入る前の身体は氷のように冷たく震えていたはずなのに、あたしの背中に触れる乱馬の身体は何だか、やけに温かく感じる。
・・・
「な、なによ続きって」
あたしが徐々にドキ、ドキと鼓動し始めた胸を必死で押さえつつ、乱馬にそう問うと、
「だからー、さっき、俺と二人で暮らすことになる事があった時の場合を考えてシュミレーション、してたんだろ?」
「っ・・・」
「そしたら、何か足りない台詞が無いか?」
乱馬はそういって、あたしを後ろから抱きしめる力をきゅっと、強くした。
そして、「それがないと、シュミレーションが続かない」とか何とか言いながら、あたしの首筋にゆっくり、ゆっくりと唇を滑らせ始める。
「ひゃっ・・・」
冷たい首筋に、温かく柔らかい唇。
時折ざらり、とした感触があたしの首筋を走り、ゾワゾワとした感覚があたしを包む。
どうやら舌でもあたしの肌を、楽しんでいるようだ。
たまに耳タブを軽く噛まれたりすれば、まるで電気のような弾けた衝撃が、あたしの身体を走り抜けた。
思わず、「あんっ」と声を上げてしまった。
「何、その声」
「だ、だって・・・」
「そんな声出されたら、俺困るんだよなあ」
とは言いつつも、ちっとも困っている様子の無い乱馬は、そう言いながらもう一度あたしの耳タブを軽く噛んで・・・そしてその噛んだ部分に吸い付いた。
「ひっ・・・」
生暖かい吐息と、ゾクゾクするような感触。あたしは腰の辺りまで一気に力を奪われてしまい、一瞬膝がガクンとしなった。
慌てて意識をはっきり持って身体に力を入れるも、何だかふわふわとした感じだった。
乱馬はそんなあたしを見ては相変わらず、「なあ、続きは?ほら」と楽しそうにしている。
「・ ・・」
コイツ、あたしが耳をくすぐったがることを分かって、こんなことして遊んでいるな?
あたしはそんな意地悪な乱馬を恨めしく思いつつも、気持ちとは裏腹に言うことの聞かない身体を何とか冷静に保とうと、足腰に力を入れる。
・・・女の子って、割と耳に性感帯がある人が多いって誰かが昔言っていた気がするけれど、実はあたしもその内の一人なんだよね。
特にあたしは、それに対して乱馬に言ったりしていないはずなんだけど、
あたしが言わなくとも「日頃」の経験とあたしの様子を見つつ、乱馬は気がついていたんだろうか。
どちらにしても今日の乱馬は、意地悪だ。
・・・
「別に足りない台詞なんて・・・ないもん」
「あるだろ?肝心なことなのに。分からないなら、分かるまでこうしてようかな」
「やっ・・・」
乱馬はそんな事を言いながら、唇は首や耳、そして顎や頬を滑らせる。
そして、あたしの身体を抱いていた片方の手を、唇で触れている反対側の耳へと触れさせ、指で肌を撫で始めた。
「ん・・・」
ビクン、と身が竦んだ。
こうやってこの部分が敏感なことを知っているのに、わざとそこに触れる乱馬。
しかも、あたしに答えを考えさせているはずなのに、わざと答えが考えられないような事をして、身体を弄ぶ。
乱馬の方がよっぽど、Sじゃない・・・そう言い返してやりたいけれど、あたしにはそれを言い返す力はもう、なかった。
「はあ・・・」
ガクガク、とあたしの足が徐々に震え始めた。そして、そのままヘナヘナ・・・とその場へとしゃがみこんでしまう。
乱馬から開放されたあたしの身体は、先ほどの唇による執拗な愛撫によってガタガタ・・・と震えていた。
触れられていたのは首筋あたりだけなのに、身体中が溶けるように、熱い。
唇にキスをされている訳でも、身体を強く抱きしめられているわけでもないのに、身体が熱くて堪らない・・・頭の中がボーっと、なってしまった。
「意地悪・・・教えてよ」
本当は立ち上がって、乱馬に聞きたかった。
でも、先ほどからあたしの全身を駆け抜けるゾワゾワとした感覚は、あたしの腰の辺りから根こそぎ、力を奪ってしまっているかのようだ。
あたしはしゃがみこんだその体制で、あたしのことを唇だけでそんな風にしてしまった意地悪男を見上げながら問いかけた。
「しょうがねーな」
乱馬はそんなあたしを意地悪い笑顔で見つめながら、あたしと同じ高さになるようにしゃがみ込む。
「意地悪」
あたしがそんな乱馬に対して、未だビクビクと身体を竦ませながらそう呟くと、
「俺を殴り倒したお仕置きかな」
乱馬はニッと笑いながらそんな事を呟いた。そして、ぼやいたあたしの唇に軽くチュッとキスをする。
「あ・ ・・」
・・・普段なら、こんな軽くキスをされたくらいでは別になんとも思わない。
でも今日のあたしは、ほんの一・二秒の彼のキスでも、体中が溶かされてしまうかのようだ。
もっと長くして欲しい・・・とは何だか恥ずかしくていえないけれど、でも名残惜しい。
あたしは自分でも無意識に吐息を洩らし乱馬を見つめていた。
乱馬はそんなあたしの、まだ物足りなさそうな悩ましげな唇に指でスッと触れると、
「帰ってきた俺に風呂を勧める時はー、『寒かったでしょ?お風呂沸いているよ』じゃねえだろ?」
「え?」
「お風呂、一緒にはいろ?って言ってもらわないと」
「!」
「ホンとはさー、ご飯にする?お風呂にする?それともア・タ・シって奴に憧れてるんだけどな」
「そ、そんなのドラマとか本とかの中だけの話じゃない」
「そんな事ねえよ。新婚さんはそれが常識。俺と一緒に暮らすときのシュミレーションには必要不可欠だな」
ま、俺ならそんな事聞かれなくても勿論答えは決まってるんだけど。乱馬はむちゃくちゃな理論を勝手に展開して、ニッと笑った。
「っ・・・」
あたしはそんな乱馬の言葉に、カアッ・・・と顔を赤らめて思わず俯いてしまう。
・・・あたしがさっき乱馬にシュミレーションの事を尋ねたときは、無反応だったくせに。
それが、なびきお姉ちゃんも出かけて尚且つお父さんたちまで帰ってこないことになった途端この変わりようだ。
全く調子がいいったらありゃしない。
『あの煩悩の塊の乱馬君がそんな健全な思考だけで生きていけると思うの』
そう言っていたなびきお姉ちゃんの言葉が、あたしの頭の中に妙にぐるぐると回る。
「・・・興味ないのかと思った。無反応だったから」
あたしは、あたしの唇を触れている乱馬の指を、あむ、と口に軽く含みながらそう呟いた。
「興味ない訳ないだろ。逆にコレはチャンスと思ったくらいだ」
おじさん達も外泊だろ?これは日頃の行いがいいから起こった神様からのプレゼントだ・ ・・とか何とか。乱馬はそんな調子のいい事を言いながら、自分の指を口に含んだあたしで遊んでいる。
「都合のいい時しか神頼みなんかしないくせに」
この、狼少年め!・・・あたしは、口に含んだ乱馬の指を、思いっきり噛んでやった。
乱馬は「いて」と軽く顔を歪めつつも、もう片方の手であたしの身体をいとも簡単に掬い上げ自分の腕へと抱え込んだ。
そして、
「さ、それじゃあシュミレーションどおり一緒に風呂に入りますか?ワカオクサマ」
「だ、誰がワカオクサマよっ」
「で、俺がダンナサマと」
「な、何よそれっ・・・別に呼び名はいつも通りだって・・・」
「残念、俺、何事も形から入るタイプなんだ」
あたしを抱きかかえたまま廊下を歩き出し、先ほどあたしが乱馬の為に用意をしてあげたお風呂場へと向かった。
お風呂場の脱衣所の床へあたしを降ろした乱馬は、カチャン、とまずは脱衣所の鍵を閉めてしまい、自分がドアに
背を向けて立つ。
家の中には他に人がいないわけだけれど随分と警戒しているな・・・あたしがそう思っていると、乱馬は一言こういった。
「いや、一応あかねに逃げられないようにと思って」
「・・・」
・・・やはりダンナサマとか洒落た呼び名よりも、この男には狼少年という呼び名が一番合うような気がする。
あたしは思わずため息をついてしまった。
乱馬はそんなあたしの気持ちなどまるで諸共せず、笑顔で再びあたしへと近寄ってきた。
そして、今度は先ほどのように首や耳にキスをするのではなく、ぎゅっと身体を抱きしめた後にゆっくりと、あたしの唇にキスをした。
さっき、もっと長くして欲しいと心の中で思っていたそのキスは、あっという間に再びあたしの身体力を奪っていく。
「はあ・・・」
重なり合った唇の間から、さっきまであたしの首筋を這い回っていた熱い舌が、割り込んでくる。
唇の内側を撫で、閉じ気味の歯の間を、徐々に徐々に侵食して・・・奥に眠っているあたしのそれと、絡み合わせていく。
思わず吐息を洩らすと、乱馬はさらにあたしの舌を自分のものへと絡ませる。
ちょっと息苦しくて、でも離されたくなくて・・・苦しさと求める気持ちが複雑にあたしの全身を包み、思わず乱馬の身体に抱きつく力を強くさせる。
乱馬はそんなあたしの身体をぎゅっと抱きしめながら、髪や、背中・・・今にも熱くて溶けてしまいそうな身体を、撫で始めた。
「・・・」
ふと、求め合っている唇をお互い離してみた。
舌まで夢中で絡めあっていると、離した時にはうっすら・・・唾液の糸が、二人の間に生まれてしまう。
こんなになるまで、夢中でキスをしていたのか・・・細くてすぐに途切れてしまったその糸も、冷静になって見つめると何だか恥ずかしい。
でも、まだしたい・・・あたしがそんな事を思っていると、乱馬は再びそんなあたしの唇に吸い付くようにキスをした。
・・・お互いが求め合うように唇を貪る時と言うのは、心も同じようになるのだろうか。あたしはそんな乱馬に答えるように、再び彼の首の部分へと腕を回した。
と、
乱馬はその内、それまで立たせて自分に抱きつかせていたあたしの身体を、ゆっくり、ゆっくりと押し移動させ始めた。
キスをしながらあたしの身体は、フラフラと、脱衣所の床を歩く。
そして程なくして、あたしの太もも裏側に、冷たい固いものがゴツンとあたった。
「・・・?」
何だろう、と思って振り返ると、それは洗面台だった。
「・・・ちょっと冷たいけど、我慢できる?」
振り返ったあたしの耳元で、乱馬がふとそんな事を呟いた。
冷たい、というのは恐らくあたしがこの洗面台に座っても、という事だろう。
確かにプラスチックの台は、ヒンヤリとした脱衣所特有の空気のせいで冷たく感じるかとは思うが、
今日のあたしの身体は、そんな冷たさには問題なく耐えられそうな予感がする。
・・・
「うん・・・」
あたしは、小さな声で乱馬にそう答えた。
「・・・」
乱馬はそんなあたしの身体を一度だけぎゅっと強く抱きしめると、グイッと身体を持ち上げてあたしの身体を洗面台へと乗せた。
そして、身体を台に乗せられて足がぶらぶらと自由になっているその間に自分の身体を滑り込ませて、再びキスをした。
ヒンヤリとしている洗面台の温度と、先程からのキスで熱くなりつつある身体と。
正反対の温度が目まぐるしくあたしの身体へと伝わってくる。
あたし達は再び、お互いの唇を貪るように求め合っていた。
その内、あたしの身体を抱きしめていた乱馬の片手が、スルスルとあたしの肩、胴、腰を伝って胸の方へと上がってきた。
今日のあたしの服装は、薄手のセーターに膝丈くらいのスカートだ。
胸の方へと回ってきた乱馬の手は、薄手のセーターの上からトクトクと鼓動しているあたしの胸をゆっくり、撫で始めた。
あたしの胸なんて、いとも簡単に覆ってしまいそうな大きな手。
分厚くて、指だって太くてごついその格闘家らしいその手は、そんな姿からは考えられないくらい優しく柔らかい
手つきで、あたしの胸を撫でている。
時折、その手の指が撫でられているあたしの胸の中心部分を軽く、触れる。
意図的なのか偶然なのか分からないが触れたその指は、わざとその中心部分をなぞるようにしてまたすぐに、離れる。
「あっ・ ・・」
その仕草にあたしが思わずそんな声を上げると、
乱馬は撫でているだけだったその手で胸を覆い、今度は軽く、強く・・・と強弱をつけるようにして収縮させ始めた。
しかも、強く胸を手のひらでぐっと押し上げるその時は・・・先程からなぞって遊んでいる中心部分を、指で転がすような仕草もするのだ。
そのせいで、先程まではまだ服の下で形を露にしていなかったその部分も、下着を付けてセーターを着たままだというのにもくっきりと、形を露にしていた。
「や、ま、待って・・・」
・・・今日は、廊下でのキスのせいでいつもにもまして、身体が熱い。
ただセーターの上から胸をこんな風に弄ばれるだけで、気が遠くなりそうだった。
目線を下にすると、乱馬に抱かれているあたしの胸の形が、目に焼きつくほどはっきりと形を成しているのが見えた。
決して大きくはない胸だけれど、
触れられ続けツン、とうわむきのお椀型を描く姿に、あたしは急に恥ずかしくなってそう呟く。
そんなあたしに、
「待たない」
乱馬は無情にもそういって、そのくっきりと形を露にしている部分へとわざと、爪を立てるようにして指先で転がした。
「いっ・・・あんっ・・・」
ゾクゾク、とまるで電気のような感触が胸から全身へと駆け抜けた。身を竦めても、身体の震えが何故か止まらなかった。
「や・・・だめだって・・・」
頭の中が何だか真っ白になる。あたしが乱馬にそう呟くと、
「だめだって顔、してないんだけどな」
乱馬は意地悪くそんな事言いながら笑って、あたしの唇を再び奪う。そして、手だけはまた、胸へと這わせ始めた。
しかも今度は、素早くセーターの下へと手を滑り込ませる。
セーターの下へと滑り込んだ手は、ゆっくりとあたしの素肌を撫でながら、まず胸部分へと這い上がってきた。
初めは下着の上を優しく覆いながら撫でていた。でもその内すぐにその下着をぐいっとめくり挙げてしまう。
「っ・・・」
ブルン、と下着で抑えられていた胸が、セーターの中で露になり微かに震えた。
乱馬はその胸を直接、今度は手で触れ始める。
「や・・・や、だめだって・・・あっ・・・」
強弱をつけられ弄ばれる胸。わざと強く掴んでは、自分の指の間からその胸をはみ出させたりして。
あたしがビクン、と身体を竦ませ吐息を洩らすと、乱馬はセーターの上からも既にくっきりと形を顕していた胸の
中央、先端部分を指できゅっと、摘んだ。
くっきりと形を顕して柔らかな胸の中央で堅くなっているその小さな肉芯は、乱馬の指で弄ばれていた。
「やっあっ・・・んっ・・・んっ・・・」
指の腹で弄ばれて、刺激されるたびに体中が熱くなる。
軽く摘まれて形を変えられててしまえば、もうあたしの口からは悩ましげな吐息しか出てこない。
「・・・」
あたしが虚ろな表情で、自分を弄んでは楽しんでいる乱馬を見つめると、
「・・・」
乱馬はそんなあたしに一度キスをした。
そんな乱馬の顔は、何だか楽しそうな表情をしていた。ダメといっても止めないし、翻弄されるあたしを見て嬉しそう・・・全く意地悪な奴だ。
あたしが唇を尖らせてやると、乱馬はもう一度その唇にキスをした。
「もー・・・」
「へへ」
乱馬は、そんなあたしに子供のように笑って見せると、
グイッ・・・
今度はセーターを一気に捲り上げてそれまで触れていた胸を服の外から室内の空間へと放り出した。
まだ電気もつけていない夕方の脱衣所でも、肌の色は何だか映えて見える。
「あっ」
何だか自分の裸体を、自分と、そして自分の彼氏二人で見るなんて妙に恥ずかしい。あたしはカアッ・・・と顔を赤く染める。
「あかね・・・」
乱馬はあたしの名前を一度呼び、そして・・・そのまま、服の下から露になったその胸にそっと、唇をつけた。
ビクン・・・とあたしが身体を竦めると、
乱馬はそんなあたしの身体が自分から離れないようにと、わざと自分の身体を少し下にずらし、あたしの両腕をぐっと、押さえる。
乱馬の唇はあたしの柔らかな胸へと降り、時にその弾力に埋もれながら滑っていった。
そして先程から自分が指で弄んでいる、ピンクの小さな蕾のようなそり立つ肉芯へとたどり着くと、ザラリとした
舌を這わせながらそれを口に含んでしまった。
口に含まれたその部分は、熱くザラザラした舌により世話しなく彼の唇の中で転がされていく。
飴玉を口の中で転がす子供のように、無邪気で世話しなく舌を動かしながらのその仕草に、
「いやあっ・・・んっ・・・あっや、やめっ・・・」
はあ、はあ・・・と、自分の息が先程よりも途切れ途切れになっている事をあたしは感じていた。
執拗な舌の愛撫から逃れようと必死で身体を捩るも、腕をガッシリと押さえられてしまってはどうにもする事が出
来ない。
逃れる事の出来ないあたしの体の代わりに、何の枷もない自由な片側の胸が妖艶にたぷん、たぷんとあたしの動き
に合わせて揺れていた。
「やっ・・・おかしくなるっ・・・あたしおかしく・・・んんっ・・・」
頼んでも止めてくれるどころか、更に舌の動きは早くなるし吸い付かれる力が強くなる。
胸から全身へと駆け抜ける感覚にあたしが身体を何度も反らせると、乱馬はあたしの腕から両手を一度離し、今度は片方の腕であたしの身体を抱くように、した。
そして、それまで吸い付いていた胸から唇を離し、そっと頬を寄せるようにして顔をつける。
「・・・意地悪」
ようやく彼の唇からは逃れても、素肌に当たる彼の髪や肌の感覚が何だかくすぐったい。
せっかく腕は自由になったのに、今のあたしにはもう、乱馬から逃れる力は残っていない。
それでも口だけは何とか自由に動かす事が出来る。
あたしは、あたしの肌に顔を寄せている乱馬の頭をそっと片手で撫でながらそう言うと、
「シュミレーションしないと」
「何がシュミレーションよ。単なるエッチなだけでしょ」
「一緒に風呂に入るんだぞ?入る前に色々と準備が必要だろうが」
どうやら、乱馬の言う「二人きりの生活でお風呂に入るシュミレーション」というのには色々と準備があるらしい。
乱馬はそんな事を言いながら、軽くあたしの肌へとキスをした。
そして今度は空いている片方の手をスルスルと・ ・・あたしのスカートの方へと滑らせていった。
滑り出した手は、あたしのスカートの上からゆっくりと、隠れた太もも部分を撫でていた。
「ちょっ・・・何の準備よ何のっ」
既に体中が敏感になっているので、太ももに触れられるだけでもあたしはくすぐったくて堪らない。
あたしが下半身をもぞもぞと捩りながらそう叫ぶと、
「何のって、そりゃカラダの準備かな」
「何よカラダの準備って」
「お風呂に楽しく入るための準備かなってこと」
乱馬はそんな事を言いながら、先程セーターの中に手を滑り込ませるのと同じような手際のよさで、あたしのスカートの中に手を滑り込ませた。
そして、今はまだぎゅっと閉じられている太ももをゆっくりと・・・内側から撫でるように手を上へと這い上がらせ
る。
「んっ・・・んっ・・・」
大きな手が、普段はあまり触れられる事のない柔らかな白い肌を自由に這い回る。
少し指で強く押せば、柔らかい大腿の肉がブルンと手の中でしなって、そして再び吸い付くように手の中へと戻る。
あたしがくすぐったさに何とか耐えながら身を捩っていると、
その内乱馬はスカートの下でまだしっかりとあたしの身体を覆っている、もう一つの下着部分へとたどり着いた。
「・・・」
乱馬は、その下着の中央部分をくっと、指で押した。そして、弾力のあるその部分をそのまま重力の流れに従って、下へ下へと指を滑らせる。
「やっ・・・」
例え下着の上から触れられているとはいえ、自分でも触れる事なんて少ない部分だ。恥ずかしい。
あたしが乱馬のその仕草に思わず身を捩ろうとするも、
クチュッ・・・
乱馬の指が下着の奥深くまで滑ったその瞬間に、自分でも驚くような音が聞こえたのに気づき、あたしはビクッと身を竦めた。
身体が熱くて堪らないあたしのその気持ちを、どうやらその部分は一番・・・敏感に反応して感じ取っていたかのようだ。
しかも、普段よりももっと顕著に、だ。
こんな風に触れられてそれを乱馬に知られてしまうのは恥ずかしい・・・あたしは先程よりも更に顔を赤くする。
「・・・なあ、何の音?」
乱馬は、そんなあたしにわざとそんな事を尋ねた。
もちろん乱馬はその音の正体だって、分かっている。尚且つ、あたしの身体をこんな風にした張本人だ。
それなのにこんな質問をするのは・・・意地悪極まりない。
「・・・わかんない」
あたしは、乱馬の指から逃れようと下半身を捩りながらそう答えた。
「ふーん」
乱馬はそんなあたしを逃がすまいと再びあたしの身体と脚を抑え、ツンツン、と何度もその部分を指でつついた。
「あっ・・・んっ・・・」
布越しに指でつつかれただけなのにその部分は、妙に熱を持っていた。
その上、つつく回数が多くなると次第にじんわりと・・・湿りを感じるようになった。
いつのまにか、開いている太ももの付け根部分に、うっすらと透明な液が滲み出ていた。
「・・・」
・・・や、何で?
いつもとちょっと、身体の感じが違うだけなのに。何だろう、これ・・・
普段はこんな事無いのに、あたしの身体、今日は何か変・・・
「・・・」
あたしが真っ赤になったままそんな事を考えていると、
「・・・このシュミレーションに、何か興奮してるのかな」
「そ、そんなこと・・・」
「だから・・・だからさ、そろそろ準備ちゃんとして・・・お風呂、入ろ?」
乱馬がそういって、チュッ・・・と一度あたしの唇にキスをした。
そして、片方はしっかりとあたしの身体へと手を回したまましっかりと身体を固定すると、
「あっ・・・」
するり、と下着の中へと手を滑り込ませて、サッ・・・とその下着をあたしの足の先へと滑らせるようにして、脱がしてしまった。
下着はあたしの足の甲の部分にぶらん、と引っかかって止まった。
下着を剥がれたあたしは、洗面台のプラスチックの上へと、お尻が直に触れて座る羽目になった。
「乱馬・・・」
あたしが小さな声で乱馬の名前を呼ぶと、乱馬はもう一度あたしにキスをした。
そしてキスをして再び舌を絡めながら・・・下着を取り払い露になった、既に熱く敏感になっている部分へと指を滑り込ませた。
「んんっ・・・」
ゴツゴツして、明らかに異物。しかも他人の指だ。
それなのに、あたしのその部分はいとも簡単にその指を受け入れてしまった。
グイ、グイっ・・・と中の肉圧を押しやるように狭い通路を割り込むその指は、やがてあたしの中のある一点へと到達をした。
「ああ・・・や・・・」
キスをされて塞がれている唇からあたしが吐息を洩らすも、乱馬はその指を抜き出すことはない。
それどころか、
彼の指はそこから中へと更にねじ込んだり、外へと抜き出したり・・・まるで注射器のピストン運動のような仕草をし始めた。
しかも時折、指の先端をくいっと曲げて肉壁を刺激するかのようなことも混じると、あたしの身体は大きく反り返り跳ね上がる。
中を満たしていたものが、いつの間にか外へ掻き出されるかのように、熱く溢れ出ていた。
・・・
「んっんっ・・・」
指の動きに合わせて洩れるあたしの吐息と同時に、クチュックチュッ・・・と潤んだ音が狭い脱衣所の中に響いていた。
そして音が大きくなればなるほど指の潤滑は良くなっていく。
遠くで、脱衣所の向こう側の風呂場の水道からポチャン、と水滴が落ちる音がしていた。
その音と自分の身体から奏でられる音が何だか似ているような気がした。
恥ずかしい。でも・・・止めて欲しくない・・・
自分が今何をされているか分かっているはずなのに、それでも身体がもう、拒むが出来なかった。
「あ、あかね・・・」
一方で、指が潤滑し、そして中を満たしているものが溢れ出て乱馬の指を湿らせるほど、乱馬の呼吸も乱れていた。
先程はあたしの事を意地悪く笑ってからかったりしていたくせに、今はそんな余裕も無いようだ。
乱馬はあたしの腰の部分に、自分の身体を擦り付けるようにして・・・あたしの身体を支えている。
「ああ・・・」
あたし達は、お互い貪るように唇を求め合いながら、空いている方の手でお互いの身体を抱きしめあっていた。
時間が経つごとに、室内に響く音は大きくなる。
時間が経つごとに、あたしを翻弄している指の数が、増える。
そして時間が経つごとに・・・あたし達はより一層、夢中になってキスをする。
「あっ・ ・・ら、乱馬っ・・・」
「あ、あかねっ・・・ん・・」
夢中になって貪りあう唇、それとは全く別の動きで徐々に早くなる指、そして・・・いつの間にガクガクと腰を震わ
せ、開いていた脚。
先程脱がされてあたしの足の甲に引っかかっている下着が、乱馬の肩越しにゆらゆらと揺れているのが見えた。
それほど自分が、脚を開いて腰をくっと、上げてしまっているということだどうか・・・ その光景を、全身を包む感覚に冒されながら見つめる自分が、何だか不思議な感じだった。
その状況下、あたしの身体の中には熱く、疼く感覚が「登りつめ」始めていた。
胸を舌で愛撫された時に感じた、脱力するような感覚よりももっと、もっと大きな波。
その波は、始めはあたしの全身をゆっくりと循環するように満たしていた。
が、今では頭のてっぺんの・・・そのもっと上を目指すかのように、勢い良く身体の中を登りつめる。
「ら、乱馬っ・・・」
その波の存在を、あたしは乱馬へとそっと告げる。
乱馬はそんなあたしの額に軽くキスをすると、小さく頷いた。
そして、それまで動かしていたよりももっと早く、そしてもっともっと身体の奥を刺激するかのようにグッと・・・指を押し付ける。
指は既に根元まであたしの中へと滑り込んでいた。先程よりもより潤滑し、そしてその度に乱馬の手の平がパン、パンと指を受け入れているその入り口を叩く。
そうする事で余計に、ズン、ズンと深い振動があたしの身体を突き上げた。それを合図に、あたしの中へと登りつめていたその波は、更に勢いを増してあたしの身体を登りつめた。
「あんっ・・・だ、だめえっ・・・」
その内、ゾワゾワ・・・と背筋に一筋、くすぐったいような衝撃が走った。
それと同時にあたしの身体は、自分の意思とは反してビクンビクン、と大きく二度、反る。頭の先から足の指の先まで、一瞬で熱い感覚が走り抜けた。
どうやら、あたしの身体の中を登りつめていた波が、全てを突き抜けていったようだった。
「あっ・・・いあああ!!」
その瞬間、ギュッ・・・あたしは、吐息交じりの叫び声を挙げて、自分を抱いている乱馬の首筋へと思い切り抱きついていた。
身体が、震えていた。時折大きく竦み、そしてまた震える。
開いたままだった脚は、いつの間にか乱馬の大きな身体を捕らえるかのように彼の身体に絡み付いていた。
足の指は、身体を登りつめて駆け抜けていったあの波の余波を受けているかのようにビクビクと、反り返って震えている。
足の甲の部分に引っかかって止まっている下着は、あたしの体の震えに合わせてゆら、ゆら・ ・・と揺れていた。
「あかね・・・」
呼吸が乱れいつの間にか肩で呼吸をしていた乱馬は、そうやって抱きついてきたあたしの身体を、同じようにぎゅっと、抱きしめる。
それまで激しく動いていた指は、あたしの身体がビクン、ビクンと竦み小刻みに震えているその内はまだ、あたしの中へと押し入れたままだった。
がやがてその震えも止まりあたしの呼吸も元に戻ると、ゆっくりと・・・抜き出した。
ドロリ、とした液体が指と一緒に外に溢れ出し、開いたままのあたしの太ももにも流れ出た。
「・・・」
乱馬は、肩で息をしながらそっと、あたしを翻弄していたその指であたしの唇を触れた。
しっとりとした感触と、ツン、とした特有の匂い。あたしは改めて自分が今、何をされてどうなったのかを思いだし頬を赤くする。
乱馬はそんなあたしをぎゅっと、もう片方の手で抱きしめると、何度も、何度もあたしにキスをした。
あたしもそんな乱馬に震えるままゆっくりと腕を回し抱きついた。
あたし達は、再びお互いの唇を貪るかのようにキスをした。
・・・
離れたくない・・・例え恥ずかしいような姿でも、とにかく離れたくない。
そんな気持ちがお互いを見たいしているのを感じていた。
乱馬はあたしの身体へと再び、自分の身体を摺り寄せてくる。
脚を開いて抱きついているあたしのその部分に、ちょうどズボン越しの乱馬の腰の部分があたるのだ。
「・・・」
・・・明らかに、先程のあたしみたいに熱くて、そしてくっきりと突起したような形を感じる。
あたしが乱馬のその身体の変化に気がついたのを察知した乱馬は、そんなあたしに「いい?」と尋ねた。
「お風呂入るんじゃなかったっけ・・・?」
さっきまで意地悪をされていたあたしは、そんな乱馬にそう答えてやると、
「入るよ。入りながら続きするから、今まで準備してたんだろ?」
もう痛くないし、だから、な?・ ・・と、乱馬は更にぎゅっとあたしの身体へと自分の身体を擦り付けてきた。
どうやらこうなる展開も全て、乱馬にしてみれば「シュミレーション」の一部らしい。
「・・・」
本当は、最初に意地悪された仕返しに「お預け」にしてやろうかとも考えたけれど、今日に限ってはあたしも身体が何だか変だ。
・・・最初にシュミレーションを言い出したのはあたしだし、家族も今夜は帰ってこないことだし、今日はこのまま・・・乱馬に付き合ってあげようか。
・・・
「・・・」
あたしは、乱馬に小さく頷いて見せた。
乱馬はそんなあたしにパアッと表情を輝かせて嬉しそうな顔をすると、それまで抱きしめていたあたしの身体を離した。
そして、既に半裸のあたしに洋服を脱ぐように仕向けつつ、
「さ、入ろっ今すぐ風呂で続きをっ・・・」
とか何とか。そわそわとしながら素早く自分の服を脱ぐべく、まずは履いていたチャイナズボンに手をかけた・・・


・・・ちょうど、その時だった。



「すいませーん、来来軒でーす!出前お持ちしましたー!」
脱衣所のドアの向こう側からそんな声がし、玄関のガラス戸をガンガンと叩く声が聞こえた。
直後呼び鈴もピンポンピンポンと世話しなく鳴り始める。
「なっ・・・」
なんちゅータイミング、と驚きつつ二人で脱衣所の壁にかかっている時計を見上げると、なんと時刻は既に五時半。
そう、お父さんが頼んでくれた出前が届く時間になっていた。
「俺って奴はー!俺って奴はなんで出前を五時半にっ・・・何で俺は六時にしなかったんだ!せめてあと五分遅ければっ」
どうしても服を脱ぎ続きをしたかった乱馬が、ワナワナと震えながらそんなことを呟いている。
届いた出前は、恐らくラーメン類だ。後でレンジで暖めて食べれば・・・というものではない。
ラーメンをわざわざ伸びてしまうまで放置しておくわけには行かないし、となると一旦ここはこれで中断をして、食事をしなければならない。
「・・・」
思春期の彼にとって、今この状態でお預けを食う事は、恐らく血を吐くよりもつらい事なのだろう。
あたしは心の中でこっそりと彼の気持ちを汲むも、
「・・・取りに行かなきゃ」
とりあえずは、出前の人を長い事玄関で待たせるわけには行かない。
あたしは素早く脱いでいた衣服を身に纏い脱衣所から出ようとするも、
「いいよ、俺が行く」
「でも・ ・・」
「・・・いいの。今のあかねを他の男の前に出すのは何か嫌だ」
何かこだわりでもあるのだろうか。
乱馬は、そう言ってまだ少しだけ頬や身体をピンク色に染めてボーっとしているあたしをせき止めると、
「ああ・・・なんて事だ・・・」
とか何とかいいながら、とぼとぼと脱衣所を出て玄関へと向かっていった。
「・・・」
一人残されたあたしは、洗面台で少し乱れた髪を整えたり熱を持っている顔を洗ったりしながら、出前の人が帰る
のを待ち乱馬の所へと向かった。
パタン、と閉められた脱衣所のドアの音が、静かな家の中にやけに響いた。
家族が居ない日の、ちょっとしたお遊び。
「もしも二人で暮らす事があったら・・・?」
そんな事を考えて始めてみた二人だけのシュミレーション。
そりゃ、毎晩お風呂に入るたびにこんな風になっていたら大変だけど、どうやら愛だけは・・・溢れている生活が待っているみたい。
お風呂に入るシュミレーションはどんな感じか分かったから、これからはこの続きのシュミレーション、が待っているのかしら?






とりあえずこの後に関しては、
ご飯を食べた後、てぐすね引いて「お預け」の続きをしようと狙っているダンナサマ・・・いや狼少年の子守一晩中、というシュミレーションがあたしに待っていることは、確かだと思われる。
・・・

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