【らんま1/2の二次創作小説サイト】| INFORMATION | NOVELS |BOOKMARKS |CONTACTS | HOME |web拍手

B

付き合い始めて三週間。
手を繋ぐ事にようやく慣れて来たあたし達は、ひょんなことから一気にお互いの距離がそれまで以上に近づいた。
友人達に言わせれば、三週間でやっとそれ・・・?見たいな感じみたいだけれど、
あたし達にしてみれば、こんな急激な進展、自分達でも信じられないくらいだ。
付き合っておいて今更だけど、あの乱馬とあたしが・・・なんて。
それに。
心のどこかでは覚悟しているつもりだったのに、イザそうなったらなったで、少し戸惑う。
片思いだったり、微妙な関係だったりした期間が長かったからからかしら・・・何だか複雑だ。

そんな中、深夜の薄暗い道場の中、家族に気付かれないようにあたし達は初めて・・・キスをした。

声が洩れないように、吐息が洩れないように。
お互いの呼吸を奪うような、でもまだまだぎこちないキス。
あまりにも夢中になりすぎて、たまに歯が、ぶつかったりして。
一瞬の痛みで驚いて唇を離すも、また磁石のように吸い付けられて求め合う。
初めてのあたし達には、その行為がそれだけで、心を満たしていた。
「時々はここで、こうして待ち合わせをしよう」
キスを交わしてしばらくは、持ち込んだ毛布に包まって道場で寄り添っていたあたし達。
あたし達はそこで寄り添いながら、そんな約束を交わした。
壁に耳あり・・・な我が家では、細心の注意を払わないと二人きりで何かをするというわけにはいかないわけで。
手を繋ぐだけで満足していたその日の夕方までが、本当に嘘のような話だった。

唇を重ねるまでは、恐ろしいくらいに奥手でスローペースだったのに、それを超えたら一気に拍車がかかるのか・・・何だかこの先は自分でも予想が出来ない。
照れるけど、でももしかしたら心の奥底では少し、何かを待っていた自分もいる。
そんな自分を、認めざる得ない。
時々キスをしては離れて、また寄り添って。
その間中、乱馬はずっとあたしの体を抱きしめながら、髪を、頬を撫でてくれていた。
大きくて分厚くて、ごつごつしているのに。驚くくらい、優しい手つき。
何だかぬくいその感触に、あたしは何だかとても穏かな気持ちになる。

そう、それはまるで、身体中を撫でられて気持ちよくて目を細めるネコ。
あたしはネコじゃないから、実際はそれが気持ちいいのかは分らないけれど、でももしもあたしが本物のネコだったら、きっと今この瞬間、乱馬にお腹を見せてひっくり返っているかもしれない。
そんなことを思いながら、あたし達はしばらくその場で過ごした。


・・・そして。
あの日以来もう一つ・・・あたしの中では大きな変化が、生まれた。
あたしは、何だか不思議と髪の毛とか肌ケアに、ものすごく気を使うようになった。
それまで以上に長い時間、鏡の前でにらめっこ。
そして、何度も何度も、髪の毛をブラッシングする。
・・・もっともっと髪に艶を出して、もっと乱馬に触れて欲しい。
二人で寄り添って髪を撫でられるあの手を求めるかのような、あたしがそこにはいる。
だから・・・というわけじゃないけど、すごく無理をするんじゃなくて、いつもそう言うあたしであれればって思ったりして。
手を繋ぐだけで満足だったはずのあたしは、やっぱりもうどこかに行ってしまったのかしら・・・何だか自分が自分で、不思議でしょうがないあたしだった。




それから、一週間が過ぎた。
学校では毎日では無いけれど、手を繋いで歩いたりするようになったあたし達。

「ねえ、あかね?」
「なあに?」
「もしかしてさー、乱馬君となんかあったの?」
「えっ?」
「だって、時々手、繋いで歩いてるじゃない?それになーんか、怪しいのよね」

…学校の中でも時々手を繋ぐようになったあたし達に、友人達はそんなことを言っては疑惑の目を、向ける。
もちろんそんな友人達に「実はね…」なんて話せはしないわけで、
「別に」
とりあえずは、あやふやな表現でその場をやり過ごす。
手を繋ぐようになった事はともかく、それ以外のことで何かこう、外見的にあたしは変って見えるのかしら。
いや、あたしだけじゃなくてあたし達?
それなりに一歩、前に進んだだけで、
二人の醸し出す空気とか、違うのかな。
そうは言っても、
「可愛くねえなっ」
「何よ、この変態っ」
…学校ではしょっちゅう、それまでと同じように、口喧嘩は絶えなかったりするんだけど。
そう言う事は今までどおりでも、やっぱり「何か」が違うのか。
何だかそれが、あたしは不思議で仕方がなかった。
その一方で。
それと同時進行で家では、あたし達は数日置き位の間隔で、深夜の道場で落ち合っていた。
幸いな事に他の家族は気がついている様子もなく、もちろんなびきお姉ちゃんにも脅される事もない。
何だか怪しんではいるみたいだけど、まさか深夜の道場で二人逢っているとは思ってもいないみたいだ 。
こんな風に人目を忍んで逢瀬を重ねていると、何だか学校で喧嘩をした日とかが現実にあるって事が、
信じられなくなる。
意地を張ってツンとしている自分と、
こうやって乱馬と夜、人目を避けて過ごす自分。
どちらの自分が本当なのか、時々混乱しそうだ。
…ううん。本当は、両方の自分が本当であることは分っているけれど…






「・・・」
皆にばれないように、声を洩らさず吐息を奪い合うように、お互いの唇を求め合うあたし達。
皆に内緒、二人の秘密・・・そんなスリルがお互いの気持ちをより、盛り上げていくのだろうか。
あの日から数えて一回目の逢瀬では、あの日と同じように唇を重ねるだけだったけれど、
二回・三回と逢瀬の回数が増えるたびに、その内容もそれなりに進んでいくわけで。
軽く唇を重ねるだけだったキスも、やがてお互いの舌を絡めるようなもっと深いものへと変っていく。
髪をなで、頬に触れ、そして体をぎゅっと抱きしめるだけだった手や腕も、徐々に・・・あたしの身体を這い回るように、なる。
おかげで数えて逢瀬四回目の今日は、それまでは床に二人腰掛けていたのに、毛布をかけるように二人、床に寝転んでお互いを求め合っていた。
あたしの体をぎゅっと抱きしめながら、寝転んだ体の上に位置する乱馬。その上に引っ掛けられている毛布。
元々電気もつけていない道場内だ、視界が殆ど遮られているような感じで、あたしにとっては真っ暗も同然だ。
そんな中、舌を絡めるながら長いキスを、あたし達は続けている。
不器用なあたしは、何だか乱馬に舌で翻弄されているような気がした。
今まで誰かにされる事はあっても自分からはこんな風にキスはした事無いなあ・・・乱馬はそんなこと言っていたけれど、
それにしてはやけに器用、そして夢中にさせるようなキスを彼はする。何だか少し、嫉妬した。
絡めては解かれ、そしてまた求めるかのように絡められて。
息をつく暇も殆どない激しいその行為に、何だか頭の中が真っ白で、かあっと血が上った。

「あ・・・ん・・・」
舌の動きに翻弄され、ぞわぞわと体を走る感覚にあたしが小さな声を洩らすと、

「声出すと、皆に聞こえちゃうから・・・」
乱馬はそんなことを言いながら、声が洩れたその唇を再び、塞ぐ。
「乱馬の所為じゃない・・・」
絡められた舌を解くようにあたしが唇を離すと、
「あかねの我慢が足りないんだよ」
乱馬は意地悪い笑みを浮かべながらそんなことを、あたしの耳元に唇を移動させて呟いた。
温かい息が言葉と同時に耳に飛び込んできて、あたしはブルっと身を震わせる。
そんな感覚に耐え切れずにあたしが乱馬に抱きつくと、乱馬はそんなあたしを一度ぎゅっと抱きしめ、そして離れた。
「・・・」
床に組み敷いているあたしを、じっと見降ろすように見つめる乱馬。
あたしの顔の両サイドに置かれている手の内片方が動き、あたしの頭から頬から首筋を撫でる。
「んっ・・・」
撫でられる事は、気持ちがいい。でも、何だかくすぐったいような柔らかさ。
あたしがぶるっと身を震わせると、
「・・・ネコみてえだな」
乱馬が、そんなことを呟いた。
「・・・そんな気分」
ああ、乱馬にもそう見えるのかな。あたしがそんなことを思いながら答えると、
「本物は嫌いだけど、このネコには何か・・・悪戯してえなあ」
乱馬はあたしの答えにそう続けると、再び片方の手であたしの体を抱きながら、唇を重ねてきた。
ぎゅうっと強く一度押し付けてから、また柔らかく優しく、何度も何度も。
時折舌を絡めながら、まるで媚薬のようなキスは、続く。
その内、体を抱きしめていないほうの片手が、あたしの胸元にすっ・・・と触れた。

「・・・」
偶、然?
あたしがそんなことを思っていると、先ほど胸に触れたその手は、今度はしっかりと掌で・・・パジャマに隠れた胸を覆った。

「ひゃっ・・・」
ビクン。
他人に胸を触れられた事、それも大きな掌で覆われた事なんて、服の上からにしても初めてだ。
あたしが体を跳ね上がらせるようにして驚いていると、
乱馬はあたしのそんな反応など気にしていないかのように、胸を覆ったその大きな掌をゆっくりと・・・収縮運動させ始めた。
「あ、あ、や・・・」
胸を、触れているだけじゃないんだ。乱馬、手で・・・
暗闇の中とはいえ、自分が今何をされているか考えると、頭が真っ白になる。
「な、何してるの・・・」
塞がれていた唇をなんとかずらし、あたしが乱馬にそう問うと、
「・・・俺が何してるのか、言って欲しいの?」
乱馬が、ちょっと意地悪い笑みを浮かべながらあたしの耳元に囁いた。
「っ・・・」
あたしがその声にかあっと顔を赤らめると、乱馬はそんなあたしの反応を楽しみながら、手を動かしつづける。
そして時折、覆っている胸の中央で徐々に硬度を増して形を現し始めた先端部分を指先で、ツンと刺激をしたりして。
たとえ服の上からでも、その刺激は今まで味わった事の無いくすぐったさと感覚。
その部分が形をはっきりとさせればさせるほど、あたしの感覚は敏感になる。
自分の身体なのに、
ましてや、そんな広い部分じゃないのに・・・その部分だけ両胸、指で触れられるだけで、何だか身体が跳ね上がるような妙な感覚があたしを包む。
「んっ・・・」
ビクン、ビクン・・・と、指の動きに合わせて身体を竦め、声を洩らしたあたしに、
「ダメだよ、声、出しちゃ」
「でも・・・」
「気付かれたら、困るだろ」
乱馬は、意地の悪いことを言いながらもその行為をやめようとはしない。
「・・・」
このままでは、確かに乱馬の言う通り、何だか自分でも声のセーブが聞かなくて出てしまいそうだ。
慌てたあたしは、片手の甲で自分の口を塞いだ。
するとその様子を見た乱馬は、
「・・・そっか、それなら声、でないもんな」
そんなことをあたしの耳元で呟くと、あたしの胸から一瞬手を離した。
でも次の瞬間、素早い動きでスル・・・とあたしのパジャマの中へと手を潜り込ませた。
「っ・・・」
声にならない声をあたしが手の甲の下から発すると同時に、乱馬はそのままパジャマを上にグッと持ち上げた。
パジャマは首の下まで捲りあげられ、蠢く毛布の下では下着を着けただけのあたしの上半身が、露わになる。
乱馬は何だか一度、ゴクリと喉を鳴らしたような気がした。
「う・・・」
いきなりパジャマを剥ぎ取られた寒さと、恥かしさ。それに対応しきれないあたしがきゅっと目を閉じて震えていると、
「ごめんな・・・でも、もう我慢できなくて・・・」
乱馬が、少し困ったような表情であたしにそう呟いた。
そしてそのまま・・・あたしの身体を覆っていた下着をぐっと、上に捲りあげた。
その瞬間、それまで胸を覆っていた枷が無くなり、薄暗い毛布の下へ覆われていた胸が飛び出した。
パジャマの上から触れられていた所為かもしれないけれど、飛び出した胸は突起した先端部分を中心にしてフルフル・・・と微かに揺れる。
「あっ・・・」
・・・異性に、しかも恋人にだ。自分の裸体を見せる事なんて初めて。
恥かしいやら戸惑いやら、あたしが思わず声を上げると、
「・・・聞こえちゃうよ」
乱馬はそんなあたしを戒めるかのようにそう呟くと、露わになったその胸にすっと顔を近付けた。
そして、暗闇に相反するようにボーっと浮かび上がる白い乳房へと、唇を下ろした。
「やっ・・・」
さっきまで唇を塞いでいた、温かく柔らかい感触。
それが、唇よりも敏感な肌へと降りてくるだけで身体が跳ね上がる。
このままでは、声が洩れてしまう。
あたしは慌てて、自分の口を塞いでいる手の甲への力を、強くする。
頭の両サイドに付いていた手は、いつの間にか唇を動かしている乳房を持ち上げるかのような位置へと移動していた。そして、先ほど服の上からそうしていたように、ゆっくりと、そうまるで緩やかなお椀を描くその形を崩すのを楽しむように、収縮させては戻しての繰り返しだ。
乱馬は、そんな形が自由自在に変化している乳房の上を、まるで肌に吸い付くように唇を動かしていく。
やがて唇は、先ほど程よく硬度を増した胸の先端部分へと差しかかった。
乱馬は何の迷いも無くその部分へと、唇を被せた。そして、それまでしなかったのにその部分だけは急に、唇を重ねた時と同じように舌を、這わせる。
「あっ・・・やっ・・・あっ・・・」
舌がそこへ触れるたびに、あたしの身体がビクッビクッと反応して弓状に跳ね上がる。

・・・声、洩らしちゃいけない。

ゾワゾワと身体中に湧き上がる感覚に耐えながらも、まだかろうじて残っている理性が、あたしにそう言い聞かせた。
むぎゅ・・・と、あたしは先程よりも強く、自分の手の甲を口に押し当てた。
でも、そうやって声を抑えようとすればするほど、乱馬は舌の動きを早める。
「あっ・・・や・・・やあ・・・」
それに耐えられず、カクカクと震えながらあたしがそう声を洩らすと、
「・・・気付かれたら、どうすんの?」
乱馬はあたしの胸から唇をふっと離し、震えるあたしの耳元でそう囁いた。
「だって乱馬が・・・」
あたしが乱れ始めている呼吸を必死で抑えながら、意地悪な乱馬にそう抗議するも、
「気付かれちゃったらさ、ここでやめないといけないんだぜ?」
乱馬はそんなことをあたしに囁き、
「だからな、我慢しないと・・・」
分ったか?・・・とでも言い聞かせるように、乱馬があたしの唇を塞いだ。
でも、指だけは舌の代わりに突起した胸のその部分で、きゅっと・・・まるで何かのスイッチを引っ張ったり捏ねたりするような動きを続けている。
「あ・・・あっ・・・」
ゾワゾワっ・・・と、更に強い刺激があたしの身体を駆け抜けた。
まるで、頭のてっぺんから足のつま先まで、電気でも走り抜けたかのような感覚。
身体中の力が、一気に抜け落ちた。
頭の中がボーっとして、何だか身体がふわふわとする。


あたし、何やってるの?
あたし、乱馬に何されてるの?


冷静になってそれを考えたくても、身体中に走り抜けるこの、よく分らないゾワゾワした感覚がそういうあたしの理性を全て、吹き飛ばしてしまう。

「乱馬・・・」

身体が、熱い。
身体の奥が、何だか疼く。

あたしが言い様の無い感覚に包まれボーっとしながら乱馬の名を呼ぶと、
「うん・・・」
乱馬は、あたしから唇を離し自分だけ身体を起こした。
そして、指はあたしの身体に触れたまま、素早く自分も着ていたチャイナ服の上着を、脱いだ。

「っ・・・」

・・・稽古後に汗を拭いているところとか、夏なんかランニング姿でしょっちゅう家の中をうろうろしていて、乱馬の裸体なんて見慣れているはずなのに。
何だかよく分らないけれど、暗闇にぼっと浮かび上がったその身体に、あたしはドキッと胸を鼓動させる。
よく鍛え上げられた逞しい、でもその割りには筋肉質では無い体格。
見慣れているはずなのに、何だか直視、していられない。
「・・・」
あたしがそんな乱馬の身体から目を逸らしていると、
「あかね・・・」
そんなあたしの名を呼びながら、乱馬があたしの身体を抱き起こした。
そして、首のところで止まっていたパジャマを抜き取って脱がせると、再び自分が上になるような形で床に組み敷いた。
「・・・」
何だか恥かしくて照れてしまって、あたしは露わになっている胸を腕で隠していたけれど、
「・・・それじゃ見えない」
乱馬のこの一言によって、腕は取り払われた。
「・・・恥かしい」
見えないから、という理由で、頭の脇でそれぞれ抑えられた両腕。
露わになった裸体を隠せず、あたしが素直にそう呟くと、
「平気・・・俺以外見てないから」
乱馬はそんなことを言いながら、再びあたしの唇へ、肩へ、首へ、そして胸へとキスをする。

・・・乱馬に見られているから、恥かしいのに。

あたしは思わずそう言い返そうとはするものの、再び全身を駆け巡り始めたあのゾワゾワとした感覚に勝てず、その言葉は飲み込んでしまう。
「あっ・・・あっ・・・」
いつの間にかあたしは、乱馬の唇と手の動きに翻弄されるようにして声を洩らしていた。
押し殺そうと頑張ったけれど、本能が理性を超えてしまった。
まさにそんな感じだ。
時折身体の中を駆け上り上り詰める、感情。
その度にぎゅうっ・・・と乱馬の頭を抱くようにあたしが身体を跳ね上がらせ震えると、
それに答えるかのように、乱馬の指や舌の動きが速くなる。
そして、そんなあたしの足元には、一部妙に熱いものが触れている感覚があった。
時間が経つに連れ、それは更に熱さを増す。
それは、きっと乱馬の身体の一部。
乱馬はその部分をわざと、あたしの足へ押し付けるようにしてあたしの身体を、抱きしめた。
「ん・・・」
ものすごく、熱い。
「乱馬・・・」
既に乱れている呼吸を整えながら、あたしが乱馬の名を呼ぶと、
「あかね・・・」
乱馬が再び、あたしの身体を抱き起こすようにして抱きしめながら、答えた。
乱馬の息も、もう大分乱れていた。
それは、ずっと身体を寄せ合って抱き合っているこの行為に疲れたせいではないことぐらい、あたしだって分った。
「あかね・・・」
乱馬が、もう一度あたしの名を呼んだ。
「すごく、熱い・・・乱馬・・・」
触れた部分が、熱い。あたしが小さな声で乱馬にそう言うと、
「・・・あんま痛くないように、するから」
「っ・・・」
「あまり痛くないようになるまで、もうちょっとこのまま・・・。俺・・・俺さ、我慢するから・・・」
乱馬はそう言って、あたしの身体を更に強く抱きしめる。
「・・・」
そんな乱馬の言葉に、あたしはかあっと、顔を紅潮させた。



・・・乱馬が何を言いたいのか、鈍いあたしにだって分る。
あたしも乱馬も、コウイウコトするのは初めてだから、まだ本とか人伝の話でしか聞いた事は無いんだけれど、
初めての時って・・・皆「痛い」って言う。
漫画とか小説とかである、
「初めてのときは幸せで・・・」
とか、
初めての時から順調に行為が及ぶとか、そんなのありえないって、皆が言う。
充分に「慣らして」いたって、痛いって言う。
それがどの位の痛さなのか、よく分からないけれど。
でも、それまで殆ど何も受け入れなかったところに、それなりのものを受け入れるんだもん。
そりゃ、痛いだろうなあ・・・それくらいは、予想は出来る。
だから多分、あたしだって乱馬とこのまま続けていたら、この痛さを味わう事になる。
どうせ慣らしても慣らさなくても痛いなら、気の早い男の人ならば、強引に事を進めるかもしれない。
でも乱馬は、自分がもうちょっと我慢すると言った。
痛さは味わわせてしまうけれど、あくまでも最低限くらいで。
・・・この状況では最大限の、乱馬の優しさなんだろうな。それって。


「・・・」
あたしは、そんな乱馬にぎゅっと、強く自分から抱き付いた。
それは、「ありがとう」と、その気持ちに対してのお礼だ。
乱馬も、そんなあたしの身体をぎゅっと強く抱きしめる。そしてまた、乱れた呼吸を更に乱れさせるような・・・キスで唇を塞いだ。
それまで胸の辺りに這いまわっていた手が、徐々に下の方…下半身へと動き始めた。あたしの身体が、ビクン、と竦んだ。
パジャマのズボン、ウエストの辺りからするりと手が、あたしの肌を滑って下に降りてくる。
「ん…」
胸もそうだけど、もちろんそちらも、同性にだって触れさせた事は無い。
あたしが緊張で身を硬くすると、
「平気だから…な?」
乱馬が、あたしを安心させるように柔らかい声で…でも大分乱れた息混じりだけど呟いた。
あたしは目をぎゅっと閉じ、小さく頷く。
乱馬の手はするするとズボンを中を下りていき、まずはパンと張り詰めた大腿の辺りをゆっくりと撫で始めた。


「…」
どうしよう、どうしよう。
こういう時、足…少し開いた方がいいのかな。
や、でもそんなことしたら…


「…」
あたしがそんなことを考えていると、乱馬の手がきゅっと閉じられた大腿の間にするっと入り込む。
そして、少し足を開かせようとしているのか、ぐっと…張り詰めてはいるけれど弾力のある右側の大腿を、掌を使って押した。
「んっ…」
ビクン。
再び少し身体を竦ませ、あたしは何となく、足を開いた。
そして、いよいよ乱馬がその開いた足を伝ってもう少し手を上へと移動させようとした、ちょうど、その時。




ガタンガタン…ガー…




・・・あたし達の耳に、ぼんやりと外を走るバイクの音が飛び込んできた。
少し動いては止まり、又動く。
そう、こんなバイクの動きで付近を走るのは・・・新聞屋さんだ。
あたし達ははっと、道場の壁にかかっている時計を見た。
時計の針は、午前三時半を差していた。
三時半・・・道場での逢瀬は午前零時スタートだ。どうやら今日は、三時間半もここに、いたらしい。
明けた今日は・・・確か土曜日。無情にも学校は、半日ある。
いくらなんでも徹夜でこのまま・・・というわけには行かない。となると、今日はこのままここで終了という事になる。
あたしと乱馬は、何となく言葉を交わさぬまま、お互いの身体を離し、床から起き上がった。
「・・・」
高ぶっている気持ちと、火照る身体。
中途半端にやめなくてはならないのが、言葉には出さぬともお互い、不完全燃焼だ。
「・・・寝なきゃ、だね」
・・・本当はこのまま、もっと続けたい。
怖いけど、でもそんな気持ちの方が今日は強い。
あたしがずれた下着や脱捨てたパジャマを再び身に纏いながらそう呟くと、
「・・・今夜」
「え?」
「・・・続き、今夜また、ここで・・・な?」
自分も脱捨てた服を再び身に纏いながら、乱馬があたしにそう提案した。
「っ・・・」
今夜。続きをまた今夜するという事は・・・確実に二人の関係は進む。
今日のこの状況で、ここまで来たんだもん。今夜この続きをしたら、あたしと乱馬は・・・
「・・・だめ、か?」
乱馬が、即答をしないあたしに不安そうな表情を見せる。
「・・・」
あたしはそんな乱馬を安心させるように、首を左右に振った。
そして、
「だめじゃない・・・」
そう小さく呟くと、服を着た乱馬と最後にもう一度だけ長いキスをして、道場を出た。



・・・手を繋ぐとか、キスをするとかそう言うレベルじゃなくて、
「結ばれる」
心だけじゃなくて、身体も繋がるって事。
あたしは今夜、乱馬とそうなる約束をしたって事だ。
それがどんな事をすることを言うのかぐらい、あたしだって・・・知らないわけじゃない。
ただ・・・やっぱり先に進むとなっては、それなりにあたしも色々準備もあるし知っておかなきゃいけない事だって・・・あるかもしれないし。
・・・
「・・・」
人よりもスローペースだったあたし達。
人には言えぬ秘密の逢瀬を重ねれば重ねるほど、何だか気持ちも行動も大胆になっていくような気がする。
時にそれは淫らな行為で、そんな事はあたしだって充分分っている。
でもそれでも・・・一度拍車がかかってしまったら、あたし達自身でさえももう、止める事が出来ない。
お互いの気持ちを伝えるまではとっても長くて、唇を重ねるまでも容易じゃなかった。
でもそれを超えたら、ビックリするくらい二人とも前へと進んでいく。
きっかけを得た人間というのは、これ程までに代わる物なのか。何だか不思議でしょうがない。

皆の前で、手を繋いで歩く事。
そして、皆に隠れてキスをすること。
付き合い始めて、三週間。
人目を忍んで逢瀬を重ね、結ばれる約束をした、一週間。
そんなあたし達が、更なる一歩を進み始めた日の出来事。

RUMIC'S NOVELS LINK

パラレル
糖度2
糖度3
糖度4
糖度5
企画

OTHER CONTENTS

■オリジナル作品(外部サイト)
お仕事情報

THANKS!

TOTAL: HITS(Y:)