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Rainy Night

とある夏の日のこと。


夏休みということもあり、あたしと乱馬は二人で遊びに出かけていた。
場所は、あたし達が住んでいる街から電車で一時間半ほどの、アミューズメントパーク。
時間的には結構かかるけれど、実は同じ都内にあるという地図上では近い場所だ。
でもそうなれば、交通機関の数も一気に減ってしまうわけで。
それに加えて、あたし達は両方ともまだ免許を持っていないから、所在地が区から市、とか町になると途端に首都でも不便になる。まだまだそこは、日本の課題点だ。
・・・
と、そんな日本の課題はおいておいて、
そんな風にして遊びに来ていたあたし達だったけれど、
遊びに夢中になりすぎて、夕方乗るはずだったバスに乗り遅れてしまったがために、ボチボチ、と最寄の駅があるという方向へと歩いていた。
本来ならばバスを使わなくても電車の乗換えだけでも、あたし達の最寄の駅までは帰ることができる。
だけど、電車のみだと四回も乗り換えなくてはいけないのだ。しかも降りた駅からここまでかなり歩く。
バスだと、あたし達の最寄り駅から一時間ほど電車に乗って、降りた駅でこの場所までバスに乗ればいい・・・という簡単な乗り継ぎで済む。
多少乗換えが多くても、次のバスを二時間も待つよりも駅まで歩いた方が早いか・・・あたし達はそんなことを思いつつ、その電車の駅に向かって歩いていた。
けれど、


「あ、雨?」
「えっ・・・」


運が悪い時はとことん悪いもの。
バスに乗り遅れたあたし達に追い討ちをかけるかのように、
歩き始めてすぐに、それまで晴れていたにも関わらず、ポツンポツンと雨が降り始めてきた。
「はー・・・ホントに今日はついていないなあ」
遊んでいる時は楽しかったのにね。
あたしはノンビリとそんな事を呟きながら、鞄の中に入っていた折り畳みの傘を開こうと鞄に手を突っ込んだ。
でも、


「冗談じゃねえ!」
「えっ・・・ちょ、ちょっと!?」


雨に濡れると女の子になってしまう乱馬にとっては、この雨は致命的。
乱馬は傘を取り出そうとしていたあたしの手をガッシリと掴むと、自分が着ていたチャイナ服の上着を素早く脱いで大きな「雨よけ」を作り、
「あそこ!あそこに入るぞ!」
「え、でもあそこ・・・建設中の家だし、人の土地なんじゃ?」
「建設中なんだから、いいんだよっ」
無茶苦茶な事を言いながら、あっという間にあたしを連れて建設中の家へと飛び込んだ。
そう、あたし達が歩いていた道の脇に建築中の家がたまたまあった。
残念なことに明かりはついていないし、床もまだ荒削りだし内装はまだまだだし、窓もはめ込まれている部分と無い部分があったりしたけれど、そのはめ込まれていない窓からならば中には入ることが出来そうだ。
はめこまれていない窓は、二階。
こういう時に身軽な乱馬は便利なもので、素早くあたしを抱き上げ上着を頭から二人に被せると、シュタッ・・・と二階部分へとジャンプ。
何のことは無く、その建築中の家へと入り込んでしまった。
とりあえず玄関ドアや1階部分の鍵を二人で手分けして閉めて、その唯一空いていた二階部分から誰かが入ってこないように・・・と、内装用に壁際に立てかけられていた大き目の板をそこへ立てかけ、外部からの侵入者をブロックした。
既に誰かが入り込んでいる・・・かどうかも確認をし、中に誰もいないことを確認したあたし達は、ようやくそこで、ほっと胸を撫で下ろす。


「乱馬、雨が降り始めてからここに来るまで、早かったね」


電気もないし、薄暗い室内。
幸いなことに、工事用の小さなランプが床に転がっていた。
そのランプをつけてしまうと明かりが外に漏れるかな・・・と心配したけれど、あたし達が忍び込んだ部屋の窓は、その木の板で覆った窓だけ。そこを厚い板で覆っているので、外部へと声が漏れることも明かりが漏れることもなさそうだ。
ランプだからずっとつけているわけにはいかないけれど、とりあえず少しの間明かりを取るには良さそうだ。
あたしは、転がっていたランプに、同じく転がっていたライターで火をつけ明かりを灯した。
「だって、仕方ねえだろ・・・せっかく二人でデートしてたのに、女になんかなりたくねーもん」
「だからって」
「何だよ、じゃあ俺が女の格好している方がいいのかよ」
「誰もそんなこと言ってないでしょ」
「とりあえず、この雨は通り雨かもしれないし・・・ちょっとここで、様子見ようぜ」
乱馬は、雨よけの為に身体にかけていた上着を近くの梁へと引っ掛けて乾かそうとしていた。
あたしはその下にランプを配置して、その洋服が乾く手伝いを出来るようにしてみる。
そして、
「雨ですごく濡れたわけじゃないけど、日が暮れてくると寒くなるかしら・・・外、雨だし」
何か包まれるものとかないかなあ・・・あたしはそんな事を呟きながら、殺風景な部屋の隅に設置されていた将来的にクローゼットになりそうなスペースを覗いてみた。
すると、そこには建築工事の人々が、別の部屋の窓ガラスを運び込むのに使ったのだろうか、毛布ではないにしろ、薄手で大きめな布がたくさんあった。
「これ、かけられるかも・・・」
あたしはその布を数枚スペースから取り出すと、上半身裸でいる乱馬に一枚手渡した。
「これ、どうすんの?」
乱馬は、あたしからその布を受け取り首をかしげている。
「どうするのって、そのままの格好じゃ身体、冷えるじゃないの。身体にかけるなり巻くなりしなよ」
あたしも、自分の分は確保したから大丈夫だよ。あたしはそう言って自分の確保した分を乱馬にみせると、
「ちょっとそれ、貸して」
「え?何で?」
「いいから」
乱馬はあたしが持っていた布を、何故か自分によこせと手を出した。
布の模様でも気になるのか・・・それとも大きさとか材質にこだわりでもあるのか。
そういうのには無頓着のはずの乱馬にしては珍しい・・・あたしがそんな事を思いながらも乱馬に布を手渡すと、
「・・・」
乱馬はあたしから受け取った布を、まずは自分の身体に巻いた。
そして、もう一枚あたしが手渡した方の布をあたしに手渡すのかな・・・そう思って乱馬を見ていたけれど、乱馬はそのもう一枚の布も、自分の身体へと巻いてしまった。
「あ!ちょっと・・・あたしの分の布も巻かないでよ!一枚で足りるでしょ」
足りないのなら、言えばいいのに・・・仕方ないのであたしが、先ほどのスペースから取り出していた別の布へと手を伸ばそうとすると、
それより一瞬早く、乱馬があたしへと手を伸ばし、手首を掴んだ。
そして、
「きゃっ・・・」
クイッ、とかなり強引に自分の方へとあたしを引き寄せた。
手首を予想外の強い力で引っ張られ、あたしの身体は面白いくらいに簡単に、コロンと座っていた乱馬の膝の上に転がってしまう。
乱馬は転がってきたあたしを素早く自分が巻いていた布の中へと包んでしまうと、何故か自分の胸の前の部分だけスペースを空けた。
どうやらその部分か首を出せ、ということらしい。
「・・・」
あたしがわけもわからずその部分から顔を出すと、乱馬は楽しそうに笑いながらあたしの事を見つめていた。
「危ないじゃない!何すんのよ」
布の下では、胡坐をかいた乱馬の足の上に、あたしが向かい合うような形で座っている。
そして、首だけすっぽりと外に出し嬉しそうな乱馬と向き合っていた。
イマイチ安定感の無い座り方なので、乱馬のウェストに布の下から腕を回してくっついている状態だ。
そんなあたしに対し、乱馬は悪びれた様子も無く、
「俺、くっついているから別に身体は冷えないと思う」
あたしの意志とは関係なくニコニコとした表情でそういうと、布の下であたしの身体に腕を回す。
「だからって、二枚も布を巻くこと無いでしょ」
「何で二人で一緒にいるのに、別々の布巻いて別々に座ってなくちゃいけねーんだよ」
あくまでも、一緒の部屋に二人きりでいる時のデフォルトが、「くっついて過ごす」なのか。
乱馬は臆せずあたしに説明をすると、
「雨宿りするのもしばらくかかりそうだし、寒いと風邪引くし、しばらくこうしてよーぜ」
とか何とか言いながら、あたしの背中に回していた腕の力を改めて強めてあたしを逃げられなくしてしまった。
そして、うす暗かろうが場所が普段と違おうが、持って生まれたものは同じ。
片手であたしの背中を支えるようにして上手く身体を固定したまま、服の上からそっと、あたしの胸へと手を下ろす。
「ちょっ・・・ちょっと待って!」
「待たない」
「だ、だめだよ、ここ人の家だし外だしっ」
「まだ建ててる途中だから平気。それに一応、室内だから」
「そういう問題じゃないでしょっ」
あたしは慌てて、自分の胸に触れている乱馬の手を払いのけようとするも、それよりも一瞬早く、乱馬はあたしが着ていた洋服の下へと手を滑り込ませた。
あたしが今日着ているのは、薄手のボレロに小花のプリント柄のキャミソール。それに短めのジーンズのスカート。
乱馬は素早くキャミソールの中に手を滑り込ませ、あたしの下着の上から胸に手を触れた。
乱馬の大きな手は、キャミソールの下でドキドキと鼓動しているあたしの小さな胸をすっぽりと、覆ってしまう。覆って、そしてゆっくりと収縮させながら包んで・・・服に手を入れたりあたしを引っ張ったりするのはかなり強引なのに、肌に触れる手はびっくりするほど優しい。まるで、羽で触れられているかのように。
「ん・・・」
しかも、指先だけに軽く力を入れるので、下着の下で徐々に形を顕にし始めた胸の先端に触れられただけで、身体がビクン、と竦んでしまう。
あたしは思わず乱馬の膝の上で身体を竦みあがらせた。
すると、
「人の家なのに、何て言ってたくせに・・・何、その声」
乱馬が少し楽しそうな声でそう呟くと、片方の手を器用に動かしてあたしが着ていたボレロを脱がせてしまった。
そして、あたしからはぎ取ったボレロを部屋の隅に投げて、露になった腕や肩へ吸い付き舌を這わせはじめた。
「いっ…いやあ…」
手は胸をはい回り、舌は肌をはい回る。
頭の中か、真っ白になった。頭の中は真っ白なのに、身体だけは…異常に熱く感じる。
「…」
こんな建設中の建物の中、ランプの灯一つの場所で二人で何、してるんだろう。
建設中とはいえ、人の家なのに。完全に誰も来ないとは、言えないのに。
イケナイことと分かっているのに…
「…」
身体が、触れられることを拒絶しないのはどうして?

「脱いじゃおうか…これ」
と。
身体が再び竦みあたしの身体から力が抜けた瞬間、乱馬はあたしの耳に唇をつけながらそう囁いた。
「うん…」
頭がボーッとして、何だかちゃんと判断が出来ない。あたしは乱馬の言うがままに、頷く。
乱馬は、素早くキャミソールをめくりあげボレロと同じように部屋の隅へと投げた。
そして、
「…」
あたしの唇に吸い付きながら、背中に手をまわした。指がクイッ…と動いたかと思うと、いとも簡単に下着のホックをはずしてしまった。日頃のたまものなのか、手際がいいことが憎らしい。
覆っていたものが無くなり、柔らかな乳房が闇の中へ零れ落ちた。
腕に滑り落ちてきた下着をそっと床へと落すと、その仕草を見ていた乱馬の呼吸が急に荒くなったような気がした。
「…」
あたしがじっと乱馬を見つめると、乱馬は再びあたしの唇に吸い付きながら、露になった胸の先端を指で触れた。
「あ…」
悩ましげな吐息が洩れるも、それさえも乱馬に吸い取られてしまう。
でも、熱くて大きくて柔らかい指の腹で執拗にその部分だけ触れられると、吸い取られてしまうと分かっていても自然に声がでてしまう。
「ん…はあ…」
吸い付くキスから舌を絡めるようなキスに変わり、いつの間にか床に倒れ込みあたし達は抱き合っていた。
「声…出してもここなら平気だから…」
舌を絡め身体をすりよせながら、乱馬があたしに囁いた。
「…」
声、なんて。そりゃいつもは隣りの部屋を気にしているかもしれないけど、でも…
あたしがそんなことを思っていると、
「今日は、出ちゃうよ…きっと」
「え?」
「何か、俺…やばいかも」
乱馬はそう言って、あたしの頬をそっと撫でた。
「…っ」
毛布の下、すり寄せあっているあたし達の下半身。明らかに熱くて、堅くて、そしてドクドクと波打っているものが、あたしの太股に押し付けられる。
乱馬はあたしが履いていたデニムのスカートも素早く脱がし、露になった太股にその部分をこすりつける。
布越しに伝わる、乱馬の鼓動。
「熱い…」
あたしは、乱馬の身体に手を回し、ぺたん、と胸に頬をつけながら呟いた。
乱馬は黙ってそんなあたしの身体を一度だけギュッと抱き締めると、再び吐息を奪うようなキスをした。
言葉もなく舌を絡ませるキスのせいで、少し唇を離しただけで、ツ…とお互いの唾液の糸が見える。絡む舌の熱さが、触れる度に身体の中へ伝わってくるみたいだ。
あたし達は気がついた時には、床に転がりもつれあいながら、お互いを求めあっていた。上半身はだけて半裸状態のあたし達。
床に背をつき乱馬を下から見上げるあたしと、そんなあたしを組み敷くようにして見下ろす乱馬。
お椀型にフルフルと震える乳房に、乱馬のお下げが触れれば、それだけでビクン、と身が竦む。
「…」
そんなあたしを見ながら、乱馬がごくり、と喉を鳴らしたような気がした。
そして乱馬は、微かに揺れる柔らかな白い乳房を大きな手で包むように触れると、そのまま指を使い収縮させるように触れ始める。
時折、意図的に伸びた指の腹で胸の先端の肉芯を刺激されれば、甘い吐息が口から洩れた。
「…」
もつれあうように床に転がり、抱き合う最中、ふと目を自分の胸へとやると、彼の手の形にグニャリと歪んで形を変える自分の胸をみた。


湧き上がる、カッ…とした熱さと、自分が何をされているかを考えるだけでおかしくなりそうな身体と、吹き飛びそうな理性と。
「あんっ…」
強く抱き締められ、耳を軽く噛まれたあたしは、甘い声を上げながら、乱馬の背中に爪を立てていた。
それに触発されたのかどうなのか。


乱馬はそんなあたしへ長いキスをすると、床に無造作に置かれていた、先程あたしが棚から出して来た布へと手を伸ばした。そして、
「やっ…乱馬…」
乱馬はその布の端を軽く破ると、その部分でなんと、あたしの目を隠してしまった。
目隠しをされるなんて今までされたことも無かったのに…普段と違うシチュエーションと、普段と違う乱馬にあたしがカッと身体を熱くさせ胸を鼓動させていると、
「…」
乱馬の熱い息が再びあたしの耳にかかった。そして、スルスルと手が肌を伝い下半身へと滑っていくのを感じた。滑る手はあっと言う間にあたしの下半身を覆っていた下着まで到達し、そして…するりと中へと入り込んでしまった。
「んっ…」
ビクン、とあたしが身を竦めると、
「…」
乱馬は素早くその中で指を動かし、下着にそれまで覆い守られていた小さく熱い蕾へとゆっくり、指を滑りこませた。
「あっ…いやあっ…」
口を出る、拒絶の言葉。しかし言葉とは裏腹に身体は反応をする。耳に微かに聞こえ始めた、潤みのある音。蕾から溢れ始めた透明な蜜が、彼の指を伝い、太股へと流れて来る。
「あかね…いつもより濡れてる」
そんなあたしの耳元に乱馬がそっと囁いた。
「っ…」


・・・頭の中が真っ白になった。
あたしは今、目隠しされていて、それでこんなことをされて、それなのに…


ドウシテ?カラダガアツクテタマラナイ・・・


…乱馬はそんなあたしに軽くキスをしたあと再び耳にもキスをすると、それまで緩やかに蕾の中で動かしていた指の動きを、早め始めた。
「あっ…やっ…」
あたしの口からは、自分の意志とは無関係に甘い吐息が再び洩れ始めた。
視覚を奪われた今、身体の全ての感覚がリアルに自分を包む。
「あっんっ…」
指を噛むようにして必死に声を押さえようとしても、どうしても洩れてしまう、声。
普段とは違う何もかもに戸惑いながらも、あたしは熱い感覚に身を委ねていた。

「や、やだ・・・やめ・・・」
口から洩れる声と反し、翻弄され愛撫に答えてしまうあたしの身体。
視界を遮られているのもあるけれど、真っ暗な空間の中で、あたしの途切れ途切れの声と、まるで無造作に蜜壷をかき混ぜているような音が聞こえる。
その音が一体何の音なのか・・・それを冷静に考えると、恥ずかしくてたまらない・・・。
乱馬はそんなあたしの頭と身体のギャップを楽しむが如く、蕾から透明の蜜を溢れさせるその指を止めるどころか動きを大きくしていく。そして、
「・・・やめてもいいの?」
「や・・・」
「して欲しいのに、嘘つくのか。悪いあかねだな」
・・・目隠しをして視界を遮られているあたしの耳元に、そんな言葉をそっと囁いた。
カアッ・・・と、身体が更に熱くなる。
聴覚だけが研ぎ澄まされて頼りの今、その場所に囁かれる甘い言葉。
いつもは優しくて、聞き心地のよい乱馬の声が、今日は痺れるような甘い媚薬のようだ。
「変・・・身体が変・・・」
恥ずかしくて溜まらないのに、自分を翻弄しているその指を、拒絶することがどうしても出来なかった。
あたしは、ギュッ・・・と乱馬の身体に抱きついて小さな声でそう洩らした。
「何で変なの?」
「わかんない・・・」
「でも、こんなになっちゃうんだ?」
乱馬は、そんなあたしの身体を片手でギュッと抱き寄せつつ、耳元で再びそう囁いた。
そして、それまで無常に動かしていた指をそっと、潤んだ蕾の中から抜き出した。
「ひゃっ・・・」
しっとりとして、そして独特の鼻をツン、とつく匂い。
ぽたり、といつも以上に滴るその蜜が、あたしの頬に、そして唇に触れた。
「・・・」
・・・あたしの身体が、顔が、そして耳が。目隠しをされているから見ることは出来ないけど、でもそれでも感じるほど、一瞬で熱くなったような気がした。


あたし、どうなちゃったの?
こんなことされて、何で・・・
恥ずかしいのに。恥ずかしくて溜まらないのに・・・


「恥ずかしい・・・」
熱い身体と、羞恥心と。
心と身体のギャップに耐えられなくて、今にも泣き出してしまいそうだった。
恥ずかしいのに、でも嫌じゃなくて・・・でも恥ずかしくて。
あたしは小さな声でそう、呟いた。
すると、乱馬はそんなあたしの目をそれまで覆っていた布をそっと、取り外した。
「あ・・・」
外は明るくないけれど、ようやく自由になった、視界。
少し目をしょぼしょぼとさせてからあたしが傍にいた乱馬を見ると、乱馬はそんなあたしをぎゅっと強く抱きしめて、一度唇にキスをした。
「・・・」
自分からもぎゅっと抱きつきつつ、キスで離れた後の乱馬の顔を見上げると、
「もう、恥ずかしくないだろ」
乱馬は、自分をじっと見上げているあたしに対し、優しい表情でそう尋ねた。
「・・・」
あたしが黙っていると、
「もう目隠し取ったから・・・きっとあんなことたくさんされても、もう恥ずかしくないよ」
乱馬はそういって、再びぎゅっと、あたしの身体を抱きしめた。
抱きしめられて彼の身体に触れているあたしの身体全体に、乱馬の胸の鼓動が伝わってくる。
言っている言葉はとても意地悪なのに、胸の鼓動はとても早い。今にも滑らかな肌を突き破って、あたしの身体へと飛び込んできそうだ。
「・・・」
・・・悔しいけど、乱馬の言うとおりだった。
本当なら、目隠しをされていようがされたまいが、こんなことされるのは恥ずかしい。
なのに、今乱馬の顔を見ただけで、何か・・・何か安心して、見えなかった分顔がたくさん見たくなって、くっついていたくて。
今までも勿論乱馬の事は好きなのに、今はもっと、もっと好きで仕方がなくなってしまう。
「好き・・・」
あたしは、抱きしめられて自分が埋めている乱馬の胸に、唇をくっつけながらそう呟いた。
乱馬は一瞬身体をビクン、と竦ませた後、そんなあたしの顔を、そっと手を使って上げさせると、
「そんなの知ってる」
と、意地悪い笑顔を浮かべながらそう答えた。
そして、あたしの身体を再びぎゅっと・・・一度抱きしめると、
「・・・いい?」
と聞いた。
「うん・・・」
・・・一応は人の家なのに、とか恥ずかしい、とか。
さっきまではそんな事も頭の中に過ぎっていたのに、尋ねられたあたしは、自分でも驚くくらい素直にそう答えていた。
「・・・やだ、って言われても俺、今日は我慢できなかったけど」
「うん・・・」
「でも、あかねもきっと、我慢できないかなって」
「・・・うん」
「うん、て答えるまで・・・さっきみたいにしちゃったかも」
乱馬は、あたしの身体を抱きしめながら、耳元でそんな事を囁く。
「っ・・・」
再び、あたしの身体がカアッと熱くなった。
今日の乱馬は、やっぱりどことなく意地悪で、強引だ。シチュエーションが変わると、何か興奮を誘発させるものでもあるんだろうか?
でも、耳元に囁く声とあたしを見る瞳はすごく優しくて。
あんなことされて、こんな意地悪なことを言われても、乱馬の顔を見ただけであたしはそんなのどうでも良くなって、乱馬の事をもっと、もっと好きになってしまう。
ぎゅっと、くっついていたくて。仕方がなくなってしまう。
理屈じゃ説明できないけど、不思議でしょうがない・・・。
・・・
「続き、する・・・」
あたしは、乱馬にぎゅっと抱きつきながらぽつりとそう呟いた。
乱馬はそんなあたしに対し一度だけ頷くと、耳元に寄せていた唇を頬からアゴへと滑らせ、そしてそのままあたしの唇へと移動させた。
「ん・・・」
吸い付くような、熱くて柔らかい唇。
吐息までも全て支配されてしまうように、舌が二人の間で絡み合う。
意識までも奪われそうな熱いキスをしている内に、あたしの身体は再び乱馬に組み敷かれる様に床へと横たえていた。
あたしは、そっと乱馬の首に腕を回した。乱馬はあたしの唇に吸い付くように何度もキスをしつつ、片手でそっと・・・まだ辛うじてあたしが身に着けていた下着をそっと、足首の方へとずらした。
しっとりと、湿り重みを増しているその下着の冷たさが、熱く火照るあたしの身体にリアルに伝わってくる。
乱馬は、服は乾かす為に干してはいたけれどまだ辛うじて身に着けたままだった下着を、器用に脱ぎ捨てた。
「・・・」
熱くて、そしてドク、ドクと波打つ彼の身体があたしの足に触れた。
あたしは思わず、ビクン、と身を竦めた。
と、
乱馬は、それまで部屋の中を照らしていたランプの明かりをフッ・・・と息をかけて消した。
あたしが、普段「電気は消せ」と常づね主張をしていることだけは、くんでくれたのだろうか。
「・・・」
ランプを消した後、あたしを再び組み敷いた乱馬に腕を回しつつそんな事を思っていると、
「多分今日は、消しといた方がいいかなって思って」
乱馬は、そんな事を言いながら、組み敷いているあたしの髪をそっと撫でた。
「・・・」
ランプが消えているので乱馬の表情までは良く見えないけれど、多分今日は、って、どういう意味だろう?
あたしが思わず首をかしげると、
「・・・最初に言っただろ、俺、今日はヤバイかもって」
「え?」
「消しておいた方がー・・・声も出しやすいだろうし。それに多分、お互い」
夢中になっちゃうかも。乱馬は、首をかしげたあたしの耳元に、そんなことを囁いた。
「っ・・・」
あたしの身体が、カッ・・・と一瞬で熱くなった。
乱馬はそんなあたしに耳元に、そして再び唇にキスをすると、素早くあたしの身体に手を滑らせて、太ももへと手を下ろした。
「んっ・・・」
大きくてごつい手なのに、まるで羽で触れるかのような柔らかさ。
それなのに、あたしの太ももを掴んでいる部分だけは強くて、揺るがない。
グニ、と歪んだ太ももがちらりと目の端に入り、あたしは再び身体を熱くする。
乱馬はあたしの足を立てるようにしながらグッ・・・と足を開かせると、そのままその足の間に、上半身起こしている自分の身体を推し進める。
「・・・」
あたしは、きゅっと目をつぶって、手の甲を自分の唇に押さえつける。
直後、強い圧迫感があたしの身体に走り抜けた。
・・・いつもよりも身体の準備は整っているはずなのに、いつもよりも下半身を覆う熱さと感覚が強いのは、きっと・・・乱馬の方がいつもとちょっと違うのかもしれない。
「ん・・・乱馬・・・痛・・・」
今日が初めてって訳じゃないし、いつもだって、慣れていたって最初は感じる圧迫感を我慢できないわけじゃなかった。
でも今日は、思わずそんな言葉が自然と口から洩れていた。
「ごめん・・・でも、もう止められないから・・・」
乱馬は、いつもとても優しい。
あたしに痛い思いをさせてまで強引に、というのは避けようとしてくれる。
ちゃんと気持ちを大切にしてくれる、そんな乱馬があたしは大好きで、だからこそ、いつも少し痛くたって、我慢できるって。そう思う。
でも、そんな乱馬がこんな事を呟いた。
勿論、泣き叫んで嫌がるほどの痛さではないし、我慢できないわけでもない。
それにあたしだって、痛いけどここで止めてしまっても・・・。
・・・
「はあ・・・っ」
身体の奥に、どんどん浸透してくる熱さと強い圧迫感。思わず、身体がビクン、と竦んで背中がちょっと浮かんでしまう。
「あかね・・・」
乱馬が、あたしの名前を呼んだ。そしてその時点で一度、乱馬の身体が止まる。
「・・・」
あたしは、唇に手の甲を押し当てたまま、自分を組み敷いている乱馬の顔を見た。
乱馬はそんなあたしの額にチュッ、と軽く一度キスをすると、頬、首、そしてお椀型に揺れる乳房をそっと手で撫でた。
「あんっ・・・」
闇の中でも白さは分かる乳房と、そしてそれとは正反対に先端で形を顕にしている肉芯に触れられただけで、身体中に別の刺激が駆け抜けた。あたしの口から、甘い吐息が洩れた。
乱馬は、そんなあたしを見てごくり、と喉を鳴らしていた。
そしてその内、手を柔らかな胸から離し、ウェストラインを伝って腰の部分で止めた。
乱馬は、柔らかな腰部分をグッと手で固定するように掴むと、まずはゆっくり、自分の腰を前後に動かした。
滑らかにゆっくりとした動き。
「ん・・・ん・・・」
圧迫感と、十分に潤滑しているはずなのに感じる痛み。いつも以上に、狭い場所に強引に押し入るかのようだ。
でも、乱馬の動きは止まらない。
「・・・」
痛い・・・。でも、その痛みも二人が繋がっている部分から感じる熱さと、身体の奥に感じるリズムのある感覚のせいで麻痺してくる。
痛いけど、でもどんどんそれだけじゃなくて・・・頭の中が、何だか真っ白になる。
「あっ・・・んっ・・・」
ゆっくりと動いている乱馬のその動きに合わせて、徐々に、手の甲で押えていたあたしの唇から、甘い声が洩れ始めた。
乱馬はその声を受けてか、その動きを徐々に早める。
下半身に感じる、鈍い振動。それと同時に湧き上がる、熱い衝動。
「んっんっ・・・」
乱馬の動きと、身体の熱さが増してくるとともに、あたしは夢中で彼の身体にしがみついていた。
お互いの肌を叩きつけ合うような乱暴な行為。
汗ばんだ肌と、身体にしがみつく度に感じる彼の鼓動を思うたびに、自分達が今しているこの行為を、思い知らされる。
「・・・乱馬」
途切れ途切れの息で、そして規則正しいリズムに合わせて揺れる身体を感じながら乱馬の名前を呼べば、
「ん・・・あかね・・・」
動きに合わせると、唇を重ねていてもズレてしまう。でもそれでも必死に重ねるように、そして吸い付くように。
乱馬があたしにキスを重ねながら答える。
繋がったままで、お互いの身体を貪るように床に横たわるあたし達。
いつの間にかあたし達は身体を起こし、あたしは乱馬に抱っこされるような形で彼の上に腰を下ろしていた。
そうなるまでには一度、繋がっていたその部分は離れたはずなのに、座りなおしたあたしは再びまた、乱馬と繋がっている。
「あかね・・・」
ちょうど、あたしの胸の辺りに乱馬の顔が、来ていた。
乱馬は、柔らかく微かに震えている乳房にそっと顔を埋めつつ、あたしの名前を呟いた。そして、下から突き上げるかのような腰の動きで再びあたしを翻弄する。
「や・・・こんなのだめっ・・・」
いくつかの体位でコウイウコトを乱馬としたことはあるけれど、お互い向かい合って座るような形でするのは、初めてだった。
しかも、あたしの腰は座っている乱馬にガッシリと固定されている為、乱馬が動く度に強い振動がそのまま、あたしの身体中に伝わってくる。
「やあっ・・・乱馬っ・・・」
突き動かされる度に、身体中に痺れるように伝わってくる、感覚。
ちらりと目を自分の身体にやると、上下に揺れ形を歪ませる乳房が見えた。
しっかりと形を顕している肉芯に、時折舌が伸びて彼の唇に含まれるのも目に映る。
その姿を見るたびに、あたしの身体はまた、熱くなる。
「んっ・・・んっ・・・」
止めるどころか、徐々に小刻みに、そして激しくなるその動き。
いつしかあたしは、自分もその動きと同じように小刻みに腰を動かし、感情のままに彼の頭をぎゅっと、抱きしめて吐息を洩らすようになっていた。
「あかね・・・」
胸にぎゅっと、顔を押し付けるようにして唇を動かす乱馬の、その仕草がくすぐったくて、熱くてたまらない。
大好きな乱馬の優しい声が少し擦れて聞こえて、いつも以上にゾクゾクと身体中を駆け巡っていく。
「やっ・・・あっ・・・あっあっ・・・」
抑えようと思っても、どうしても声が出てしまう。
ランプを消して薄暗くなった室内、そしていつもと違う場所というのも手伝って、
「あんっ・・・あっあっあっ・・・」
悔しいけれど乱馬が最初に言っていたように、あたしの口からは妖艶な声がいつも以上に自然に洩れてしまっていた。
と、その内。
乱馬の動きがそれまでよりも少し、また早くなった。そして、抱いて座っていたその体勢を、あたしを再び寝かせるような体勢へと戻す。
そして、腰をガッシリと強い力で固定して、それまでよりも乱暴に、繋がっているその部分を打ち付けるような仕草を始めた。
「あっ・・・」
力強い衝動が身体を突き上げる度に、それまで以上にゾワゾワと、あたしの身体を襲っていく。
大きくなる声とともに、パン、パン、パン・・・と肌が打ち付けあう音が耳に入ってきた。
そしてその肌を打ち付けあうおと共に、二人が繋がった部分から冷たく透明な蜜が、飛び散り弾ける音も聞こえた。
「やっ乱馬っそんなにしちゃやだっ・・・」
・・・これ以上、強く動かされたらおかしくなってしまう。
心はそう思っているのに、でも身体が言う事を聞いてくれない。嫌だと口にしているのに、身体が反応してしまう。
「乱馬っ・・・」
かあッ・・・と頭に血が上り、頭の中が真っ白になりそうだった。
でも乱馬はそれでも動きを止めてはくれない。
それどころか、片方の手を腰から離し、動きに合わせて上下に激しく揺れていた柔らかい乳房へと伸ばし、ぐにゃりと掴んだ。
そして指の腹で、敏感に先程よりも形を顕にしていた先端の肉芯を刺激する。
時折爪で触れられれば、身体中に電気が走るような感覚に見舞われた。
身体が止め処もなく熱くなって、頭がボーっとする。なのに、身体に感じる衝動だけはしっかりと感じる。
頭の先から足の爪の先まで、ゾワリとした熱い感覚が駆け抜けていく。
波が・・・あたしの身体を通り抜けていく。
「い、いやあっ・・・」
あたしは、無我夢中になって乱馬の身体をギュッと引き寄せるようにして抱き寄せた。
抱き寄せてくっついても、彼の動きは止まることはない。それどころか、
「あかね・・・」
乱馬は夢中で自分に抱きついて吐息を洩らすあたしの耳元で、優しい声であたしの名前を囁いた。
「ひっ・・・」
耳元からゾワリと、再び違う波が身体中に駆け抜けていった。
ギュッ・・・と抱き寄せ合う力が強くなる。
乱馬は、そんなあたしの身体と、そして腰を更に力をこめてその場に固定した。
そうすることで、今までよりもっと、彼があたしへと送り出す振動がリアルに、あたしの身体の奥へと伝わっていく。
「やっ・・・いやあっ・・・」
動きに合わせて、洩れる息も絶え絶えになる。
そして、身体中を駆け抜ける波のせいか、あたしの足の指が、徐々にピン、と反り始めた。
駆け抜ける波と比例して、不思議な感覚が身体を二分する。
頭の先から突き抜けるような感じと、足の指先まで反り返らせるような感じと・・・身体が、言う事をきいてくれない。
汗ばんだ身体をお互い無我夢中で抱き寄せ合い、そして規則正しい早いリズムに合わせて動いている。
何も言葉を交わさなくても、身体と共にお互いの口から洩れる甘い呼吸が絡み合う。
やがて、


 


 


「あっ・・・ああーっ!」


 


 


・・・ドクン!
あたしの中の「何か」が大きく脈を打った。
そしてそれと同時に、頭の先からそれまで身体中を駆け巡っていた「波」が突き抜けたような感覚に陥る。
足の指の先がビクン、と何度も震えながら、反り返ってしまう。
「いやあ・・・あああ・・・」
ドクン、と大きく身体が脈打ったのを受けて、カタカタと身体が震えていた。
それなのに、乱馬の身体を受け入れている足・・・太ももは、震えながらも彼の身体をギュ、と逃さないかのように締めつけていた。
あたしの身体から、波が引き始めていた。
でも波が引いているのに、それまで身体を巡っていた熱い感覚や衝動は、まだ引かない。
それは、まだ乱馬が動きを止めないから、というのもあるのだけれど。
「・・・」
乱馬は、身体をカタカタと震わせたまま必死に自分に抱きついているあたしの頬を、優しく一度撫でた。
そして、そのまま少し動きを早めた後、スッ・・・と、それまで狂ったようにあたしの身体と打ち付け合っていた腰を引いた。
ぎゅっと自分の身体を固定しているあたしの足を、片手でそっと開く。
そしてその直後、震えながら開かれたあたしの太ももの内側には、ドロリとした熱い感触を感じた。
「・・・」
パタン、と脱力感と共にあたしは足を床に下ろした。
乱馬はそんなあたしの身体をゆっくりと大きな手で撫でながら呼吸を少し整えていた。
未だに熱い感覚が身体の中に残るあたしは、優しく身体を触れられただけでもビクビクと身体を竦ませてしまう。思わずそっと、目を閉じる。
乱馬は、そんなあたしの身体に優しく触れつつ、ガサゴソと何かに触れていた。
多分、鞄の方に手を伸ばして、中に入っているタオルか何かを取っているのかも。
・・・何をしようとしているのかは想像がつくので、あたしはそのまま目を閉じていた。
乱馬はそんなあたしの足に少し触れ、そしてその後ゴソゴソと動いた後、目を閉じているあたしの横へと自分も横たわり、そしてぎゅっと、身体を抱き寄せた。
「・・・」
あたしが、横に並んだ乱馬の顔を見るように身体の向きを変えて彼と改めて抱き合うと、
「・・・」
乱馬は、あたしのうっすらと汗ばんだ額や頬を、そっと大きな手で撫でる。
とても優しい手つきだ。
「・・・」
あたしは、そんな乱馬の手の中でそっと目を閉じる。
乱馬はそんなあたしの額や、目や耳、そして唇にそっとキスをする。
「声、出ちゃっただろ」
キスをして離れた唇が、そんなことを呟いていた。
「うん・・・」
恥ずかしいけれど、そんな気がした。
頭がと身体が上手く動いてないの。あたしが乱馬にそう答えると、
「・・・俺も」
乱馬はそんなあたしの額に自分の額をゴスッ・・・とぶつけながら、そう呟く。
「・・・人の家なのに」
「お互い様だろ。したいって言ったくせに」
「そ、それは乱馬がっ・・・」
「俺が、何?」
「っ・・・」
声は優しいくせに、やはり相変わらず意地悪なことを言う。
ランプが消えたままだから、顔は良く見えないけれど絶対にこれ、楽しそうなんだろうなあ。
「意地悪っ。嫌いになるからっ」
あたしは、そんな乱馬の額にゴスッと自分の額をぶつけてやりながらそう答えた。
乱馬は「あー、痛え」とか何とか、対して痛そうでもないのに大げさにそう答えるも、
「あー、でも人の家だから流石に朝までいるわけも行かないし」
「うん、もう少ししたらここから出なくちゃ」
「泊まれたら良かったのになあ」
「しょうがないよ、最初は雨宿りのつもりだったんだから」
「続きは家までお預けか」
「あんた、家に帰ってまだ続きをするつもりなの?」
「はー、このまま朝までここにいれたら最高なんだけどなあ」
そんな事を言いながら、若干呆れた表情をしているあたしの身体を抱き寄せた。
あたしはそんな乱馬に少しの間大人しく抱きしめられていたあと、傍に無造作に置かれていた布を身体にまとって、板で覆った窓辺へと歩いていった。


 


・・・外は、いつの間にか雨が上がり、すっかり夜を迎えていた。
鞄の中に入れていた時計を見ると、あたし達がここに着いてから、一時間半も過ぎていた。
もしかしたら急げば、二時間後に出るはずだったバスに乗れるかもしれない。
でも、
「・・・」
・・・もうちょっとだけ、確かにここに居ても良いかなあ?
乗り換えは面倒になってしまうかもしれないけれど、
今日は乱馬と二人なら、少し遠くまで歩いて駅から電車に乗っても、いいかなあ。
終電まではもう少し時間もあるし、せめてあと三十分とか、一時間くらい。
・・・
「ん?どうした、あかね」
「え?ううん、何でもない・・・」
バスの時間の事、もしかしたら乱馬も、うっすらと気がついているかもしれない。
でも合えて口に出さないのは、きっとあたしと同じことを考えているから、かしら。
だったらせめて今日だけは、その気持ちを汲んであたしも黙っておこう。


普段と違うシチュエーションは、乱馬だけじゃなくてあたしのことも、大胆に変えてしまうのか?


「・・・流石に夜になると、少し冷えるね」
「だろー?だからくっついてないと、風邪引くんだぞ」
あたしは、「おいでおいで」をしててぐすね引きながら床に転がってあたしを待っている乱馬の元に再び歩いていくと、その腕の中にすっぽりと納まってそっと目を閉じた。


 


 


 


・・・そんな、とある雨の日の夜の出来事。


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