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シチュエーション

「やだ、ちょっと狭いじゃない」



家族が留守の、ある日曜日。
久しぶりに一階の和室の押し入れのなかのものを虫干ししようと、あたしは一人、作業をしていた。
すると、
「お、何やってんだよ。何かあんのか?」
やっぱり外には出かけなかった乱馬があたしの元へとやってきて、そんな事を言いながらあたしの横に身体を捩じらせ、押し入れの中に入り込んできた。
「ちょっと、狭いじゃない。手伝わないなら向こう行っててよ」
人が一人入るのにちょうどいいスペース。
そんな所に強引に入り込んでくれば、狭いのなんて決まっている。
「大体、暑いでしょ」
あたしがそう言いながら、横に入り込んできた乱馬を押し入れの外に押し出そうとすると、
「そうでもねえよ」
乱馬は涼しい顔をしながらそう言った。
そして、
「布団もあるし、ちょうどいいな、ココ」
「何よ、ちょうど良いって」
「さてなんでしょう」
そんな事を言いながらあっという間に中の荷物を出して、あたしの身体を押し入れの中に引き込んで戸を閉めてしまった。
「ちょっと!掃除してるって言ってるでしょッ」
あたしが暗闇の中慌てて表に出ようと暴れると、
「こんな狭い中で暴れると余計に暑くなるだろ」
「暑くさせてるのはあんたでしょうがッ」
「細かい事は気にすんなよ」
乱馬はそんな事を言いながら、暴れるあたしの足の間にまんまと座り込んだ。
「ちょ…」
中は狭いし、すでにあたしは壁に背中を着いている状態。
それに加えて両足の間に乱馬に座られてたら、動く事が出来ない。
「たまには趣向を変えてこんな所でも」
…そんなあたしに、乱馬は勢い良く抱きついてきた。
「な、何が趣向を変えてよッ。ちょっと、やだ、こんなところじゃッ」
「こんなトコじゃなきゃいいのか?」
「そ、そんな事言ってないでしょッ。そうじゃなくて…」
芳香剤の匂いもするし、暑いしッ…とあたしが駄々をこねると、
「いーだろ、どうせあとで風呂はいるんだし。あ、一緒に入るか?」
「お断りよッ」
「遠慮深いなあ」
乱馬はそんなあたしにもろともせず、着ているTシャツの中に手を滑り込ませようとする。
「待った!ちょっと待ってッ」
あたしは、慌てて身をよじって乱馬のその手を塞き止め、
「は、恥かしいからッ。ね?ね?それに心の準備が…」
そう言って乱馬の身体を押し返そうとするも、
「いいよ、別に準備なんて。いいか?人生にはな、準備なんて必要が無いこともある。そういうことだって大切なんだぞ?」
「…何でそんなに爽やかに言い切ることができるわけ?」
「なんでかな。それにさ」
…もう、我慢出来ねえよ。
乱馬はそう言って、あたしを逃げられないように強く抱きしめると、あたしの首筋にゆっくりと唇を滑らせ始めた。
「や…」
冷たい首筋に、不意に走ったくすぐったいような感触。
その感触に加え、たまに舌が肌にあたるせいなのか、
「ん…だ、だめだって…」
あたしの身体の力は、すぐに乱馬に奪われてしまった。
右側をしばらく触れていたら次は左、左側で遊んだら右。
乱馬自体がそれに夢中になってるのか、唇を滑らすだけでなく、時々、まるで噛み付くのではないかと思うような唇の動きを、する。
はむはむ、とまるでその感触を楽しんでいるかのような動きと、ヒンヤリとした舌の「ザラリ」という感触。
そんな感触があたしの肌で遊んでいる、ただそれだけで、あたしの身体はビクッと竦んでしまった。
「やめ…や、や…」
それに加え、唇を離しては、また触れる。
乱馬は何度も何度もその動作を繰り返した。
熱い息も首筋をくすぐり、
そうやって弄ばれているうちに、次第にあたしの身体は、竦むだけでなくガクガクと明らかに震えていた。
「やあッ…。やめ…。ん…」
…息が乱れる。
乱れるのを我慢しようと強引に息を止めても、やがてそれも我慢できなくて「吐息」となって口から出て行く。
でも、これ以上声を出したら、絶対に乱馬はやめてくれない。
…そう思ってやっぱり必死に歯を食いしばって耐えてみるも、
「狭い押し入れ」と言うこの空間、いつもの部屋でそうするのと違って、あたし達のする一つ一つの呼吸がよりダイレクトに耳に入ってくる。
だから、あたしがどんなに必死に耐えていても、微かに口から洩れる吐息はすぐに、押し入れの中に響く。
そうすればそれは乱馬の耳に入り、乱馬は更にあたしで遊ぶ。
面白いぐらいの悪循環だ。
それに加えて、この暗闇。
「いつ、誰かが帰ってきて、この押し入れの外に散乱した荷物を不思議に思い戸をあけてしまうか」。
そんなスリルも手伝ってか、
「やべえな…ホントにもう我慢できねえや」
…初めから我慢するつもりなんて無いくせに、乱馬はそんな事を呟きながらあたしを抱きしめる。
「我慢するつもりなんて、初めから無いくせに」
あたしがボソッとそう呟くと、
「減らず口はこの口か?」
乱馬はそんな事を言いながら、今度は首筋から顎へと徐々に唇を滑らせて、あたしの唇を奪ってしまった。
「違うもん」
あたしはそれから逃げようと顔をそむけようとすると、
「違わねーよ」
乱馬はあたしが唇を離そうとするより一瞬早く、舌を絡めた。
「ん…んんッ…」
あたしが慌てて乱馬の胸を押し返そうとすると、乱馬はその手をぎゅっと掴んで強引に押さえつけてしまった。


…お互いの顔も、良く近づかなくてはちゃんと見ることが出来ない暗闇。
狭い空間に、二人の少し乱れた息と、舌を絡める「チュッ…」というその音が、妙にリアルに耳に入ってくる。
それが何だか、いつも以上にお互いの気持ちを「駆り立てる」というか。


抵抗しようと思って、掴まれた腕を振り解こうとしても、面白いぐらい段々と、その力は奪われてしまう。
「乱馬…」
…あたしの胸はもう、このまま服を突き破って外に飛び出してしまうんじゃないかと思うくらい、ドキドキしていた。
あまりにドキドキとしていて、あたしは自分が乱馬の名前を呼んだこと…しかもどうやら何度も何度も呼んだらしく、それすらも初め、分からないほどだった。
「…」
乱馬は、そんなあたしにキスをしながらそっと、掴んでるあたしの手を服の上から自分の胸の所へとつけさせた。
…乱馬の胸も、あたしのそれときっと同じくらい、ドクン、と鼓動していた。
「乱馬…」
ちょっと唇が離れた瞬間に、あたしが乱馬の名前を呼ぶと、
「…すげえだろ。ドキドキして」
乱馬は、ちょっと掠れた声でそう呟いた。
「うん…」
そんな乱馬の表情は、あたしの額に額をつけているからあまり良くわからない。
「乱馬…」
「あかねはどうなんだろうな」
と。
乱馬がそう言って、服の上からそっと、自分と同じ位置をはかってあたしの身体に触れた。
「やッ…」
ビクッ…とあたしが身を竦めた。
それと同時に乱馬が身体を少しあたしの方に倒してきたので、あたしの首筋に彼のおさげが触れた。
「あ…」
フワっとした、そのくすぐったい間隔に思わずあたしが小さく声を洩らすと、乱馬はもう何も言わずに、そんなあたしの身体を強く抱きしめた。

…気が、遠くなりそうだった。
『趣向を変えて』…なんて乱馬が初めに冗談でそう言っていたけれど、
たしかに、いつもと同じようにあたしの部屋でそうしているのとはなんだか違うような錯覚さえ、した。


「ちょっと暑いかもしれないけど、我慢できるよな?」
あたしの耳元で、逸ったような声でそう囁く乱馬。
「我慢できないって言っても、我慢させるんでしょ」
あたしは自分がそうされたのと同じように、乱馬の耳元でそう言ってやった。
「分かってんじゃねーか」
乱馬はそんなあたしの耳にチュッ…と軽くキスをすると、改めてあたしと向き合うようにして座り、キスをした。






…それから、しばらくして。
あたしが乱馬と一緒に入り込んでいた押し入れの戸を開くと、
「涼しー…」
大して風もないはずなのに、細く空いたガラス戸の隙間から、妙に強い風が部屋の中に吹き込んでいるような気がした。
ヒンヤリとした空気が、火照ったあたしの身体を急速に冷やしていく。
それだけだったら、
「あー、何か疲れちゃったからちょっと休憩」
とか何とか。
のんびりと一休みできるかもしれないけれど、実は、現実というものは…そんなに甘くも、無い。
「あ…」
押し入れから出たあたしの目には、思わず逃げ出したくなるような量の荷物が、畳の上に散乱しているのがすぐに映し出された。
「そうだった。虫ぼししてたんだわ、あたし」
「すげ-量」
「かたずけなくちゃ…はあ…」
妙に身体に残ってるけだるさを我慢してあたしがため息をつくと、
「…」
乱馬はそんなあたしの横をすり抜けて、ソロリ、ソロリ…と逃げようとしている。
「どこいくの。こんなになったの、半分はあんたのせいでしょうが」
あたしはそんな乱馬のおさげをぎゅっと引っ張って連れ戻すと、
「早く終わらせてお風呂に入りたいんだから、しっかり手伝ってよ」
そう言いながら、荷物を押し入れの中へと再びしまい始めた。
「そーだよなー。皆が帰ってくるまでに早く入らねーとなあ」
そんなあたしの横で、乱馬が妙に素直に納得した挙げ句、ニコニコしながら荷物をかたずけ出した。
(…)
あたしはそんな乱馬をいささか怪訝に感じ、
「…一緒に入らないわよ」
「なんでッ」
「当たり前でしょッ」
あたしはそんな乱馬にばっさりとそう言い捨ててやった。
「ちぇッ。じゃあ手伝わない」
すると乱馬がそんな事を言って、持っていた荷物をホッポリ投げて一人肩を落としていた。
「もーッちゃんと手伝ってよッ終わらないでしょッ」
「じゃあ、一緒に入るか?」
「やだ」
「…」
…今度は、ふて腐れて畳の上に大の字になって寝転んでしまッた。
「だーッ。もうそこにいると邪魔でしょッ。分かった、分かったわよッ。考えとくからッ」
これじゃいつまでたっても片付かない…仕方ないのであたしが含んだような言いかたをすると、
「ホントだなッ約束だぞッ」
乱馬は急に元気になって畳から起き上がると、あれよあれよという間に荷物をかたずけてしまった。
そして。
「さ、行こうかッ」
妙に嬉しそうな顔であたしの抱き上げると、そのまま和室を出た。
「こらッちょっと!考えとくって言ったでしょッ。別にまだ一緒に入るとはッ」
…あたしがそんな風にジタバタと暴れても、
そんなのは何処吹く風、
「いやー、暑かったよなあ、押し入れ。でも何かたまには良いかも…」
なんて訳の分からない事を呟きながら、乱馬はあたしを風呂場へと連れて行ってしまった。
(ど、どこにそんな体力が!?)
一体何の為に常日頃修業をしてるんだろう…一瞬そんなことさえも考えてしまった、あたし。
…この狼少年、こうなるともう何を言おうが無駄のようだ。



「あら?あかねちゃん、もう寝るの?」
「うん、なんか今日は疲れちゃって」
「乱馬君ももう寝ちゃったみたいだし、今日は二人とも早いのね」
…もちろん。
その日の夜、あたしは夕食後すぐに部屋に篭ってしまう羽目になった。
そんなあたしを、
「あかねちゃん、おやすみなさい」
かすみお姉ちゃんは、そんな風ににこやかに見送ってくれたけれど、
「ふーん、そんなに疲れたの。大変ねえ」
…なびきお姉ちゃんは、なにか含みのある笑顔でそんなあたしを見送った。
(まさか、隠しカメラとか無かったでしょうね…)
なきにしもあらず、とそれだけは少し心配だったけど、でも眠気には勝てない…と、あたしはそのまま自分の部屋に向った。

乱馬と二人きりの日に、押し入れ整理は厳禁だ。


あたしはこの日また一つ、学習した。


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