【らんま1/2の二次創作小説サイト】| INFORMATION | NOVELS |BOOKMARKS |CONTACTS | HOME |web拍手

君はペット

「もー…。何怒ってんの?」
あたしの部屋には入り込んでは来たものの、
不機嫌そうな顔であたしに背を向けては、ため息をついている乱馬の耳をひっぱりながら、あたしはぼやいた。


学校から帰ってくるまでは別に普通だった。
なのに、玄関に入ったとたん、乱馬はむっとしたような顔にかわり、そしてそのまま機嫌が悪い。
…そう、玄関先でPちゃんがあたしの胸に飛び込んでからは、ずっと。


乱馬はあたしの胸から無理矢理Pちゃんを引き剥がすと、
「男らしく勝負しろ!」
とか何とか、豚相手にさんざわめいたあげく、Pちゃんとともに外に飛び出していった。
帰ってきたときには妙にぼろぼろの姿で、しかも一人。
「乱馬、Pちゃんは?」
あたしが尋ねるも、
「捨ててきた」
乱馬は不機嫌にそう答える。
「な、何よ捨ててきたって!あたしのPちゃんになんてことすんのッ」
あたしはそんな乱馬を戒めながら、
「Pちゃん、戻ってこないかなあ…せっかく久しぶりに帰ってきてくれたから、いっぱい可愛がってあげようと思ってたのに…」
そう言って玄関の方へと向おうとしたが。
「ほっとけよ、あんな豚ッ」
乱馬はそう言って、急にあたしの手首を掴んだ。
「あんな豚って何よ。PちゃんはPちゃんよッ」
あたしがその手を解こうとブン、ブン、と振り回すと、
「…」
乱馬はそんなあたしの手首を離すことなく強引に引き寄せ、
「あッ…」
バランスを崩してベッドに倒れ込んでしまったあたしの胸に、突然、顔を埋めるように抱きついてきた。
「きゃっ…ちょっとちょっと!」
あたしは慌てて、そんな乱馬を引き剥がす。
すると、
「何だよ!アイツは良くて何で俺はダメなんだよッ」
…訳が分からないことをわめいては、あたしに再度抱きつこうとしている乱馬。
「あのねえ…Pちゃんはペットなの。ペ・ッ・ト。あんたは違うでしょ」
あたしは不服そうな顔をして唇を尖らせている乱馬にそう説明をして、体を押し返した。


これが、さっきまでの出来事。
そうやってあたしから引き剥がされた乱馬は、これこの通り、機嫌を損ねたままあたしの部屋に居座り現在にいたるわけだ。
ただ、機嫌が悪いくせに、あたしの部屋からは出ていかない所が、乱馬のちょっと可愛い所。
(おっと。こんな事言ったらまた機嫌悪くなっちゃうわね)
あたしは不謹慎にもそんな事を思いながら心の中ではちょっと笑ってしまったが、
「ねー…こっち向いてよ」
せっかく二人でいるのに、機嫌を損ねられたままでは少し寂しい。
「ね、もう機嫌直してよー…。乱馬」
あたしは、そんな乱馬の肩を抱くように後ろから抱きついた。
すると、
「…じゃーさ。今日は俺、なってもいい?」
乱馬は、あたしの方を振り返りながら突然そう呟いた。
「なるって?何に?」
あたしが首を傾げると、
「ペット」
乱馬はそう言って、今度は身体ごとあたしの方を向いた。
「ペットって…」
「ペットっつったらペットだよ。P助の代わりに、俺を可愛がってやってくれ」
あまりにもはっきりとそう提案してくる乱馬に、
「な、何言ってんのよ。だめよ、そんなのッ」
あたしが慌てて首を左右に振った。とたんに、
「なんで!いーじゃねーかよッ何であの豚がペットでよくて、俺はダメなんだよッ」
乱馬は、まるで駄々こねっこのように、再び訳の分からない事を喚いた。
「あのねえ、乱馬。Pちゃんはブタなのよ。ブ・タ」
「関係ねえッ。それにアイツは男だッ」
「男って…オスってだけでしょ」
「なー、いーだろッ。あかねーッ…」
「だめっ」
そんな乱馬に誤魔化されまいと、あたしはにべもなくそんな乱馬に断り続けた。
…すると。
「わかったよ。ペットになることは諦める」
乱馬が急にため息をつきながらそう呟いた。
「やっと納得してくれた?」
あたしはホッと一安心と胸をなでおろしたが、

「ちぇっ…俺がペットになるのがダメって言うなら、やっぱ逆に俺があかねをペットにするしかねえな…」

ホッとしているあたしの横で、乱馬がとんでもない事をぼそぼそ呟きながら、何かを抱きしめる練習というか妙な動きを始めたので、
「わ、分かったわよ!分かったから、ちょっと落ち着きなさい。ね?」
ペットにされては堪らない、と、あたしは慌てて乱馬に取り繕った。
そして、
「き、今日だけよ?今日だけなんだからねッ」
あたしは仕方なく…乱馬の申し入れを受け入れるはめになった。
「へへ…そうでなくちゃな」
すると、とたんにさっきまでの不機嫌はどこ吹く風、
乱馬はにこにこと笑顔を見せた。
「全く…こんな大きくて手がかかるペット、見たことないわよ」
あたしは、ニコニコとしている乱馬の頭を撫でながらため息をついた。
乱馬はそんなあたしの膝の上に勝手に膝枕をしてねっころがる。
そして、
「俺は、芸達者なペットじゃなくてー…特技は一つしかもってないペットってことで」
そんな事を言いながら、枕にしているあたしの膝の部分を指でなぞった。
「ちょッ…やめてよ、くすぐったいじゃない」
あたしがビクン、と身体を竦めると、
「俺、ペットだから。口で言われてもわかんねえよ」
乱馬はそんな事を言ってはあたしにお構いなしの様子だ。
「もう、調子がいいんだからー…」
あたしは、乱馬が指で膝をなぞるたびに身体を震わせていた。
「ところで、特技は一つしか持ってないって…乱馬、ペットなのに特技があるの?」
しばらくして。
ようやくそのくすぐったさに慣れたあたしが乱馬にそう尋ねると、
「そ。生まれた時からその特技だけしか備わってない可哀想なペット」
乱馬は、あたしに頭を撫でられながら、そんな事を口走る。
「特技…。なんだろ。お手ッ…」
あたしが膝の上の乱馬に右手を差し出すけれど、
「犬じゃねえんだから」
乱馬は、ナマイキにも小ばかにしたような口調であたしの差し出した右手を跳ね除ける。
「何よー、ペットって犬じゃないの?」
じゃあ、一体何のつもりなんだ?とあたしが首をかしげると、
「なんだろーな」
乱馬はにっと笑いながら得意げな表情をした。
「ペットでしょ?犬じゃなかったら、猫…Pちゃんみたいなブタ?」
あたしは何だか悔しくて、色んな動物の名前を列挙するけれど、乱馬は首を縦に振らない。
「何なのよ」
それでもよく分からなくて、あたしが首をかしげていると、乱馬が突然、あたしの膝から離れて体を起こした。
そして、
「そんなに知りたい?」
そんな事を言いながら、あたしの頬をペロっと舌で舐める。
「きゃッ…くすぐったいじゃないッ」
あたしが身をよじると、
「何だよ、顔を舐めるっていうのはな?ペットにとっては愛情表現なんだぞ」
乱馬はそんな事を言いながらまたあたしの頬を、耳を、首を…と嫌がるあたしを押さえつけては舌を這わせ面白がって遊んでいる。
「ひゃッ…だめだって…」
あたしはそんな乱馬の身体を震える腕でようやく引き離し、
「愛情表現はわかったからッ…わかったから、教えてよ。あんた、一体何のつもりでいるわけ?」
あたしはそう言って、あたしから離れた乱馬に向って、尚もまだ「お手ッ」「お座りッ」「伏せっ」…と続ける。
「じゃあ、教えるついでに特技も披露しようか」
すると。乱馬がにこっと笑いながら、そんな事を言い出した。
(何よ、やけにサービス良いじゃない)
やけに良心的でにこやかなその笑顔に不信感を持ちつつも、
「見せてくれるの?」
「うん」
「じゃあお願い」
あたしは早速お願いをして、パチパチパチ…と拍手をした。
「それじゃあ…準備するからあかね、目つぶってて」
「何で準備が必要なの?そんな本格的な芸なわけ?」
「ま、いーからいーから」
すると、乱馬はあたしにそんな事を言って立ち上がった。
あたしは仕方なく目を閉じて待っているのだけれど、
目を閉じたあたしの耳には、
シャーッ…という金具が勢いよく移動する音と、ズルッ…ズルッという何かが移動する音。
…何だかよく聞いた事のあるような音が飛び込んでくる。
その音が、どうしても「カーテンを閉める音」と「ドアの前に堰止めを作る音」にしか聞こえないあたしは、乱馬に内緒でそっと目を開けてみた。
「…」
予想通りに、何故かカーテンは閉まってるし、ドアの前には部屋の中にあった荷物がいくつか積み上げられている。
「…何してんの?」
あたしが怪訝な顔で乱馬に尋ねると、
「準備」
乱馬は、悪びれもなくそう言うと、ニコニコした顔で、あたしの隣に座った。
「特技を披露するんじゃなかったの?」
あたしが更にそう尋ねると、
「その為に、準備したじゃん。それじゃさっそく…」
乱馬はそう言って、きょとんとしているあたしに抱きついた。
「ちょ…何よ!特技を披露するんじゃないの!?」
あたしが乱馬を引き離そうとすると、
「だから、特技を披露しようとしてるじゃねえか」
乱馬は、そんなあたしなどお構いなしに身体を仰向けに押し倒してはいたずらっ子のような顔で笑っていた。
「ちょっと待ちなさい。特技って…何?」
更にそのまま顔を近づけようとしているので、とりあえずそれを手で押し返しつつあたしが恐る恐る尋ねると、


「狩り」
「…は?」
「生まれながらそれしか芸がないなんて可哀想だろ?でも、ようやくそれが役立つ時が来たわけで」


乱馬はそう言って、押し返したあたしの手をぎゅっと掴んで組み敷かれてるあたしの横に押し返してしまった。
「か、狩りって何よ!どこに飼い主を狩るペットがいるー!」
あたしは慌てて組み敷かれているしたから逃げようと暴れるけれど、
「俺のたった一つの特技だぞ、飼い主だったら誉めてくんなきゃ」
乱馬は「してやったり」というかなんと言うか。
一度抱きついたら、離れようとしない。
(一回抱きついたらテコでも離れないって、これこそ特技じゃないッ)
「離れなさいッ」
あたしはジタバタと暴れては見るけれど、
「だから。ペットは言葉がわかんねえって」
今まで普通に会話をしてたくせに、都合のいいときだけそんな事を言って、乱馬はまんまとあたしにキスをしてしまった。
「やッ…」
このままではまずい…そう思って、乱馬の身体を押し返そうとするが、
「…」
押し返されるものか、とばかりにすぐにあたしの身体をぎゅっと抱きしめては、強引に舌を絡める。




薄暗い室内に、時折聞こえる、チュ…という音。
呼吸をしよう、そう思っても上手に出来ないくらいの長くて、そして強引なキス。
キスを止めようと、唇が少しはなれた瞬間に顔をそむけようとしても、
「…」
顔をそむけさせないように乱馬が手を頬に当てて固定しているので、逃げる事は出来ない。
思わず、はあ…とため息をついてしまうような長いキスは、
あたしに呼吸さえも満足にさせてはくれなかった。
「ん…だめだって」
あたしが必死で乱馬の身体を押し返そうとしても、
「ふーん。まだそんな力があるんだ」
乱馬はそんなコトを言いながら、片手であたしの両手をきゅっと抑え、
片手であたしの髪を、頬を撫でている。
「や…」
…そんなことをされつづければ、いよいよあたしだって冷静でいられなくなって、
「乱馬」
もうだめだってば…とあたしが力なくそう呟くと、
「聞こえない」
乱馬は無情にもそう言い放ち、何度も、何度もあたしの微かに開いた唇にキスをする。
それでも少し、あたしが顔をそむけると、
「じゃあもっと別のトコ…」
とでも言いたげな様子で、乱馬はそのままあたしの頬や、耳や、首筋に唇を滑らせる。
「ん…ん…」
あたしがビクン、ビクンと身を竦めながら震えると、
「まだ、これからなんですが?ご主人さま」
そんなあたしからようやく離れ、
乱馬はあたしを上から見下ろしつつ、いたずらっ子のような顔で笑っていた。
「特技はもう…分かったわよ…」
あたしが真っ赤になったままの顔で乱馬にそう主張するも、
「だからー。残念な事に俺、言葉が理解できねえんだよなー」
乱馬はそう言って、抱きしめているあたしに回しているその手で、ゆっくりと背中を撫で始めた。
「ちょっと…もう、だめなんだって…」
あたしは、くすぐったさに耐え切れずにそのたびに身体を跳ね上がらせる。
乱馬はそんなあたしの様子が楽しいのか、やめるどころかエスカレートするばかりだ。
「こらッ…待てッ、乱馬、待てッ…」
徐々にその手がワンピースの背中部分にあるチャックの引きおろし金具に向っていることに気がついたあたしは、
「ストップ!こらッ…言う事聞きなさいってッ…」
まずい。このままではスルッと。スルッと服をッ…と、自分の身体を守るように身をよじりながら乱馬に向ってそう叫んでみると、
「だーから。俺は犬じゃねえって言ってんだろ?」
乱馬は、そんなあたしの身体をいとも簡単に自分の方へと向けさせて再びそんな事を言い出した。
「何よッ一体何なのよ。もう教えてくれてもいいじゃない」
お前は何のペットだ、と、あたしが最後の力を振り絞って抵抗すると、
「…」
乱馬は、じとっと見あげているあたしをニッと笑うながらみると、
「狼」
「はあ!?」
「狼だからー、狩りが得意。狼ってあんまり人に飼われねーから、言葉を理解するとかあんましねーんだな、これが」
乱馬はそう言って、再びあたしに抱きついてきた。
「な、何で一般家庭で狼なんか飼うのよッ」
「いーじゃねえか、あかねが珍獣マニアッて事で」
「だ、誰が珍獣マニアだーッ」




…結局、
あたしがその後どんなに叫ぼうが抵抗しようが、
「特技を披露する」
と得意げなこのペットは、飼い主の静止もドコ吹く風、それからしばらくの間”特技”を披露しつづけた。




「…Pちゃんは飼い主のあたしにこんなコトしない」
しばらくして。
あたしがいまだボーっとしている頭を振りながら、赤くなった頬を膨らませてそう言うと、
「されてたまるか」
乱馬は一瞬むっとしたような表情でそう呟いた。
そして、
「もう一回特技、披露してやろうか?」
そんな事を言いながら腕の中で小さくなってるあたしをにっと笑いながら見る。
「乱馬をペットにしたのは失敗だった。あたしにはPちゃんだけで充分よ」
あたしはため息をつきながらボソッと呟く。
「じゃあッじゃあ今度は逆なッ?な?そうしようぜッ。俺が飼い主で、あかねがぺ…」
「却下ッ」
「何でッ」
「何でもッ」
「あ、あれか?気にしてんのか?もしかして。ばかだなあ。俺、あかねだったらどんな珍獣でも全然平気だぞ?」
「ば、ばかはお前だーッ」
(まったくッ…。やっぱり、あたしにはPちゃん以外のペットは要らないわ)
こんな手のかかる、珍獣ペットは絶対にお断りだわ。
「あー、今日はあと残り三時間かあ。あと三時間、しっかり可愛がってもらわねえと」
あたしの身体を抱きしめながらそんな事をニコニコ呟いてる乱馬の腕の中で、
「…時計、進めておこうかしら」
あたしはそんな事を呟きながらため息をついていた。
そして、
(玄関に貼る「猛犬注意」マークじゃないけど…)

『珍獣注意。すぐ狩られます』


…部屋のドアにでも貼っておかないと。
「はあ…」
ニコニコ笑顔の乱馬の顔を見ながら、あたしはそんな事を思いつつやっぱりため息をつくのだった。

RUMIC'S NOVELS LINK

パラレル
糖度2
糖度3
糖度4
糖度5
企画

OTHER CONTENTS

■オリジナル作品(外部サイト)
お仕事情報

THANKS!

TOTAL: HITS(Y:)