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いくつまで?

ある日の夕食後。
「あ、そういえばさあ…」
「どうしたの?」
「今日、クラスの女の子達の間で話題になったんだけどね…」
居間で雑誌を読んでいたら、なびきお姉ちゃんが不意にあたしに話し掛けてきた。
「お父さんといくつまで一緒にお風呂に入ったかって」
「へえ?」
「大体皆、小学校の中学年から高学年くらいが多かったのよ。でも一人だけさー、中学三年までって子がいて、大騒ぎよ」
いろいろ問題があるでしょうにねえ…と、なびきお姉ちゃんはテーブルに頬杖をつきながら呟く。
「え!中学三年!?そ、それってどうなの…」
去年までのあたしと、うちのお父さんが一緒にお風呂に入っていたなんて!
自分の境遇にすりかえって考えると、あたしにはどうしても受け入れられない事実だ。
あ、別にうちのお父さんが嫌いとかそう言うのじゃなくて、
実際、女の子というよりも「女性」の身体になりつつあるわけじゃない?。
十六歳で結婚する子だっているわけだからねえ・・・例え親子でも、それは教育上問題があるんじゃないのかな。
あらゆる面で、うちとは違うのねえ。

あたしが思わず身を乗り出してお姉ちゃんにそう尋ねると、
「まあ、家庭の問題なんだと思うけど…常識的に考えると、そのお父さんもその子もちょっと普通じゃないわね」
「その子の彼氏、それ知っているの?」
「彼氏なんていないわよ。その子はね、パパ大好きなのよ…ファザコンて奴ね」
「えー…」
「お父さんの方も娘が可愛くて仕方がないみたいよ。お母さんは早くに亡くなっていて、それで余計に可愛いみたい。彼氏なんて出来たら、逆に大変よ」
お姉ちゃんはそう言って、「うちのお父さんとは大違いね」と笑いながら、居間を出て行ってしまった。
「…」
あたしも、読んでいた雑誌をパタンと閉じて自分の部屋へと戻りながら思わず考え込んでしまう。
…そうねえ。
うちも早いうちにお母さんが亡くなってしまったから、お父さんが男で一人で一生懸命、あたし達を育ててくれた。
でも、あたしの記憶が確かならば、
あたしがお父さんとお風呂に入ったのって、小学校の低学年くらいまでだったなあ…うちはお姉ちゃんが二人もいるし、その後はかすみお姉ちゃんとかなびきお姉ちゃんと入ったりしていたかな。
中学生になる頃には、逆に一人で入りたかったもの…そりゃ、旅行とかではみんなでお風呂に入るのは好きだけど、普段は別に、なあ。
「…」
家庭それぞれとは言うけれど、もし自分の娘がそうだったら、何かこう複雑だな。
母親がいたら、心配だろうに。
「…難しいなあ」
あたしは思わずそんなことをぼやきながら、二階への階段を昇りきり部屋のドアを空けた。
と、何故かベッドの上に見慣れた姿がくつろいでいるのを発見。
「…だから、あんた何で勝手に人の部屋でくつろいでるのよ」
「寝床を温めといたぞ」
「夏なんですけど?」
「素肌にはシーツもそれなりに冷たいだろ」
「…」
呼びもしないのに勝手に人の部屋でくつろいでいた乱馬は、ニコニコと笑顔であたしのことを出迎えた。
全く、これだとこの部屋の主がどちらなのか分った物ではない。
「全く、調子がいいんだから」
あたしは笑顔で出迎えた乱馬の頭を拳でガスッと一度殴ると、彼が横たわっていた隣へと腰を下ろした。
乱馬はあたしに殴られたのももろともせず笑顔のまま、側に座ったあたしの手をまさぐってきゅっと握る。
あたしはそんな乱馬の手を自分からも軽く握り返しながら、ふと、さっきまで考えていた事を乱馬に質問してみようと、考えた。
「ねえ、乱馬」
「んー?」
「もしもね、あたしがうちのお父さんと去年までずっと一緒にお風呂に入っていたって言ったらどうする?」
早速、あたしは乱馬にそう質問してみた。
まあ、ありえないこととは分っていても、「驚く」くらいは反応をもらえるかしら…あたしはそんなことを考えていたけれど、
「本当か?」
…あたしの予想に反して、乱馬はベッドから起き上がり、何故か真剣な表情であたしに尋ねて来た。
「え?」
予想外の反応にあたしが戸惑っていると、
「…」
何故か乱馬が俯き、そしてワナワナと震えていた。
「ら、乱馬?どうしたの?」
何か可笑しかったのかしら…不思議に思ったあたしが俯いた乱馬の顔を覗き込むと、
「…冗談じゃねえ!」
「きゃ!」
「例えおじさんでも、俺は戦うぞ!」
「は?」
「義理の父を倒す事には気が引けるが、しかしそれは許されることじゃねえ!」
…乱馬は分けの分からない事を叫びながら、自分の顔を覗き込んだあたしの身体を、あっという間に押し倒して組み敷いた。
そして、
「洗われたのかっ」
「は!?」
「このやらしい身体を、しっかり洗われたのかっ」
とか何とか言いながら、ドサクサに紛れてあたしの服を脱がそうと手をまさぐり始めている。
「『もしも』って言ったでしょうが!」
というより、あんた事と次第によってはうちのお父さんと戦う気なのか!
ゴスっ…
このままでは、間違いなく襲われる。
あたしは慌てて乱馬のミゾオチに拳を突き立てて身体を引き剥がすと、
「もしもの話よ。あたしは、お父さんとは小学校の低学年までしかお風呂に入ってないわ」
「なんだ、そうなのか」
「お姉ちゃんのお友達が、自分のお父さんと中三まで一緒にお風呂に入っていたって話をしていたんだって。だから、そんなの彼氏が知ったらどうなのかなと思って」
あくまでもあたしの場合はたとえ話よ、と、あたしは再度乱馬に釘をさす。
「うーん、それは確かに問題だよな」
ようやく冷静になった乱馬は、あたしに殴られたミゾオチをさすりながらそう呟いた。
でもとりあえず、うちの場合は良く分ったわ。乱馬は、うちのお父さんと戦う気らしい…乱馬らしいっていったらそうかもしれないけど。

「男の子からみても、やっぱりそうよね…あたしだって、乱馬が、例えばおば様と去年まで一緒にお風呂に入っていたって知ったら、ビックリするもの…」
「うちはありえねえけどな。俺、子供のとき以来お袋と再会したの最近だったし…」
オヤジとは俺、一緒に今でも入るけど…と、乱馬はそう言って一人頷いている。
「同性の親だったら、別に大人になっても一緒に入っていたって問題はないでしょうねえ」
「風呂の広さの問題だな」
「そうね…じゃあ、もしも乱馬に女の子の子供がいたら、やっぱり小学校低学年までくらいよね?」
「まあな。教育上の問題を考えると」
あたしの問に、乱馬はさらりとそう答えた。
『教育上の問題』か。乱馬も一応、常識的な見解を持っているらしい。あたしは何となくホッとした。
「男の子の子どもなら、今の乱馬とおじ様みたいに大きくなっても一緒に入れるけどね」
あたしがその答えに安心して再びそうとうと、
「え?いや…それはどうかなあ…基本的にはやっぱり小学校の低学年くらいかなあ…」
「え?」
何と、今度は予想外の答えが返ってきた。
「何で?」
自分は今でもおじ様と一緒にお風呂に入っているのに、何で同性でもダメなのかしら。
あたしが不思議に思い首をかしげていると、
「二人なら良いけど、やっぱ三人じゃなあ」
「…は?」
「ほら、俺たち家族で風呂に入るのが基本だろ?両親が仲良くしている姿を子どもに見せるのもなあ…小学校低学年くらいまでにしておかないと、教育上良くないだろ?」
うんうん…と、乱馬は一人で勝手に頷きながら納得している。
「…三人て、誰?」
何となく嫌な予感がしてあたしが恐る恐る尋ねると、
「決まってんだろ」
「何がよ」
「俺だろ、お前だろ、それで子供だろ?どう考えたって三人じゃねえか」
「何で三人なのよ」
「もう一人子供がいたら四人だぞ」
「増える話をしてるんじゃないわよ、何であたしも数に入れられてるかって聞いてるの」
ゴスッ…あたしが乱馬の頭を再び拳で殴りながらそう叫ぶと、
「家族のスキンシップとコミュニケーションを図るためにはこれしかねえ」
乱馬は、何故か自信満々な様子でそう断言すると、
「両親の仲良しな姿を子どもが見れば、心が豊かになるぞ」
「仲良しの姿を見せるだけだったら、もうちょっと大きくなるまで一緒に入っていてもいいじゃないの」
「もう少し大きくなったら、色々と分っちまうだろ」
「何がよ」
「んー?だから、両親が何してるのかとか」
「…」
『教育上の問題』って、そっちのことか!
ゴスッ…
あたしはわなわなと震える拳で再び乱馬の頭を殴り倒すと、思わず大きなため息をつく。
「コミュニケーションを図るどころか、エッチに成長したらどうすんの!」
「自然な成り行きだな」
「どこがー!」
あんたそっくりに育ったら、被害者が世に増える!…あたしはベッドの上に転がっていた枕でボスッボスッと乱馬の事を何度も殴りつけると、
「結婚したら、絶対に乱馬と一緒にお風呂なんて入んないからねっ」
最後にそう叫んで、ふいっと乱馬に背を向けてやった。
すると、
「じゃあ、今ならいいの?」
乱馬はスルスル…と、まるで軟体動物のように滑らかな動きで、後ろからあたしの身体に腕を伸ばして抱き付いてきた。
「い、嫌よっ」
「何でだよ。楽しいぞ?」
「た、楽しいのはあんただけでしょっ」
「またまた、そんなこといっちゃって」
「な、何よっ」
「正直なのになあ」
…身体は。乱馬が、意地悪い笑みを浮かべながら、そんなことをあたしの耳元で呟く。
「きゃー!いやー!」
あたしは、バチンバチン、と首筋にまとわりついている乱馬の顔を平手で叩いて腕から逃げようとするも、
「今から入ってれば、まるで当たり前のような環境になるから。な?な?」
「ならないわよ、そんな環境ー!」
「なるって。慣れって恐ろしいぞ?」
「し、知らないわよそんな事ー!」
「だから、今日は一緒に入ろうぜ」
「何でそうなるのよ!いやよ、こんな家族が皆いる日はっ」
「じゃあいない日ならいいんだな?よし、次に皆が留守の日は約束な、二言はねえな?」
「か、勝手に決めるなー!」
いくらあたしが上手く腕から逃れても、
基本的に「獲物は絶対に逃さない」のが狼の習性。
それと同様に、「あかねは絶対に逃がさない」が狼少年の習性のようで、
軟体動物のような腕からあたしは逃れはするも、気がついたらベッド上の壁際隅へと追い詰められていた。

…結局この後、あたしは乱馬に理不尽な約束をさせられたわけで。
まったく、とんだ薮蛇になったものだ。
それにしても…子どもと、常識の範囲内と思われる頃合までお風呂に入るって気持ちはあるみたいだけど、それ以前に、
…あたしと一緒にお風呂に入るつもりでいること自体に、問題があると思うんだけど。
あくまで乱馬の「常識」としては、それを前提で物事を考えられている事事態が、あたしとしては怖いところなんだけど…?
「…」
子どもとお風呂問題、何だか我が家では別の所で問題点が浮上しているのね。
こればっかりは、友達には相談できないな…あたしのためにも。

「あー、楽しみだなー。今度はいつかなー。なー?」
「あんたって人は…」
…ベッドの隅に追い詰められたあたしを捕獲し楽しそうな乱馬の腕の中で、あたしは再び大きなため息をついたのだった。


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