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音のない世界

「…あ」

 

…ふと、目が覚めた時。
何となく横を向いて、一番に目に入った乱馬の顔。
いつもはあたしが起きると、乱馬はたいてい起きている。

今日も、そうだった。
起きたばっかりで、しょぼしょぼと目を閉じたり開いたりするあたしを、乱馬は穏かな顔でじっと見ていた。
先に起きてるんだったら、起こしてくれれば良いのに。
以前あたしは、乱馬にそう文句を言ってやった事があった。
でも乱馬は、

「寝てるあかねも可愛い」
…その一点張りで、結局はいつも、あたしを起こさないでその寝顔を見ていることが殆どだ。

とはいえ、そんなに長く見ているわけでもなさそうで、
「どうせ一・二分なんだからいーだろ」
「むー…」
そういわれてしまえば、あたしも折れるしかないのだ。

「…」
…そんな乱馬は、やっぱり今日もあたしより先に起きていた。
そして、そこから先は、たいてい毎朝同じ事をする。
まず乱馬は、何も言わずに穏かな顔で、あたしの髪を、頬を、撫でてくれる。
あたしはそんな乱馬にやっぱり黙って抱きついて、それで再び、目を閉じる。

あたしの腕を一生懸命伸ばさないと、あたしより一回りも大きい乱馬の身体を抱く事は出来ない。
だから、あたしは必然的にぎゅっと乱馬に自分の身体を押し付けるようにして、その腕を伸ばす。
そうする事で、あたしと乱馬の肌はぴったりとくっつきあう。

蒲団の中よりも温かく感じる、その肌。
乱馬は良くあたしの肌を「触ると気持ちがいい」とか何とか言うけれど、

…あたしも乱馬の肌は、好き。

男の子なのに、
格闘技とかやってるくせに、
何でだろうな、すごく滑らかに思える。

筋肉だってあるはずなのに、柔らかい。無意識にほお擦りとかしてしまいたくなる、肌。
だからあたしは、あたしは、その肌にぎゅっと顔を押し付けるのが好きだ。

そして、胸の鼓動を感じ取るのも…好き。
ドクン、ドクンとリズムの良いその音が、何故かあたしには心地がいい。
生まれたばかりの赤ちゃんが、お母さんのおなかの中にいたときにその胎動を感じていて、同じようなリズムを生
まれたあとで聞いてもやっぱり安心してしまうかのように、
あたしもこうして、乱馬の胸の鼓動を傍で感じると…何だかとても、安心する。

それに。

そんなあたしの身体に、回される大きくてしっかりした腕。
その腕でそんなあたしを抱き寄せてくれたら…もっともっと心地がいい。

「…」
あたし達は、言葉も交わさぬままそうやって、朝のひと時を過ごす。
その時間は、どんなに短くたって、あたしにとってはとても「幸せ」に感じる。

遠くに小鳥のさえずる声を聞き、時折カーテンから差し込む朝日に目を細めながら、それでも時間が許す限り、そうやってくっついているあたし達。
くっついているだけで、何だか心が温かい。

 

「好きだ」とか、「お前が大切だ」とか。「愛している」だとか。
そんなかっこいい言葉を並べてくれなくても、
時にはこうして黙ってくっついているだけで、幸せな時もある。

言葉のない世界でも幸せを感じられるのは、きっと…心が繋がっている証。
はっきりと「形」としては他の人に見えなくとも、幸せだと感じる事があるんだ。
二人で、幸せだと感じる事ができるんだ。

…付き合い始めてから、初めてあたしが知った事。

音の、殆どない世界。
それでも、あたしにとってそこは…とても居心地が良い。


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