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魅惑な媚薬(前)

(何だよ、あかねの奴。あれくらいで怒んなくたって…)
後頭部に未だ残る微妙な痛みを感じながら、俺は家への道を歩いていた。


学校帰り、ひろしや大介とシャンプーの店で飯を食っていた俺。
「シャンプーちゃん、可愛いよなー」
「なー、乱馬。お前が羨ましいよ。あかねみたいに可愛い許婚がいるのに、シャンプーちゃんみたいな可愛い娘にも追い掛けられてよお」
しきりに俺を恨めしそうな顔でみるひろし達に、
「じゃあ代わってくれ」
俺が、シャンプー達に追い掛けられることがいかに大変かを二人に話すが、
「じゃあ、あかねの許婚だけ代わってくれ」
ひろしが懲りずにそんな事を言うので、
「お前ももの好きだなー、よくもあんなに色気もそっけもない女と許婚やりたがるな」
俺がそんなことを言うと、
「乱馬。お前あかねの何が不満なんだよ」
「そうだぞ。しかも同じ家に住んでて」
二人がさらに恨めしそうな顔で俺をにらんだ。
そして、
「あんな可愛い娘のどこが不満なんだよッ」
というぼやきに対して、
「あんな可愛くねぇ色気もねぇ女、俺だって大変なんだぞッ」
「じゃあ何か?可愛くて色気もあるシャンプーちゃんがいるからあかねはいらないって?」
なんてワガママな奴、とため息をつくひろし達に、
「…ったく、なんであかねがそんなにいいんだ?もの好きな奴ら」
俺も一緒にため息をついてやった。

…と。

「悪かったわね、色気もなくて可愛くなくて」
そんな声と共に、俺の背後にふいに「殺気」が漂いはじめた。
なんとなーくいやな予感がして恐る恐る振り替えると、そこには夜叉のように恐ろしい顔をしたあかねが立っていた。
「おー、あかね」
「乱馬のお迎えか?」
そんなひろしたちに、あかねは夜叉のような顔を崩し一瞬笑顔で挨拶するが、再び俺に顔を向けると、
「…」
今にも俺を殴りかかりそうな顔をしていた。
「よ、よお…」
俺が気まずい声をだすと、
「乱馬がお財布を忘れてたから…持ってきてあげたのに…」
あかねはびっくりするくらい低い声でそう呟くと、
「可愛くなくて悪かったわね!」
バキッ…
傍にあった空いてる椅子で俺の頭を殴った。
そして、
「あたしだって…あんたみたいな無神経男お断わりよ!」
そう叫びながら財布を床に倒れてる俺に投げ付けた。
「バカ男!」
あかねはそのまま走り去ってしまった。
「ぐ…この、凶暴女…」
床に叩きのめされた俺がボソッとうめくと、
「今のはお前が悪い」
「そうだぞ。贅沢言ってる罰だ」
ひろしや大介は、俺にちっとも同情する様子もなくしきりに頷いていたのだった。

(…たく。まだ痛みがひかねえよ)
何も、椅子で殴るこたねえだろーが。俺がそんなことを思いながら道を歩いていると、
「…そこの少年」
俺は、いきなり声をかけられた。
「?」
俺が声のしたほうを振り返ると、道の脇に、「占い師」と書かれた看板と、その看板脇に机を構えた老人がいた。
「何だよ?」
俺が不機嫌に答えると、
「彼女と喧嘩したのなら、よいおまじないがあるぞ?」
老人はそう言ってにやりと笑っていた。
「なッ…何で喧嘩したなんて…」
俺がその老人の言葉に驚いていると、
「ワシには何でもお見通しだぞい」
老人はそう言って、俺に手招きをした。
俺は、何故か分からないがフラフラと…その老人の前へと腰をおろす。
「おぬしの彼女は、随分元気がいい女子のようじゃの?」
そういって俺をみる老人に、
「可愛くなくて色気がなくて凶暴で…・」
俺がぼそっと呟くと、
「ならば…それを全て逆にしてやるアイテムをおぬしに授けよう」
老人はそう言って、俺にヒト包みの「飴」を渡した。
「これは?」
俺が飴の包みを指で包むと、
「この飴は、食べさせた相手の欲望をたった一度だけ叶えてくれる不思議な飴玉じゃ」
「へ?」
「つまり。お前さんがその女子にこれを食べさせる時に心から望んでいた事が…その女子に反映されるって訳じゃな。ただし、この飴玉の効き目は六時間。だから飴玉の効き目が効いてる六時間以内に女子と仲直りしたらいいんじゃよ」
老人はそう言って、俺にその飴玉をしっかりと握らせた。
「…くだらねえ」
俺がぼそっと呟くと、
「ま、騙されたと思って使ってみるんじゃな」
老人はそう言ってにっこりと笑っていた。
「くだらねえよ、こんなの」
俺は、さも興味ないフリをして老人の前から立ち去った。
そのさい飴を握ったままだったので、
「あ、じいさん。コレ返すよ…」
慌てて老人の方を振り返ってその飴を返そうとしたけれど、
「…あれ?」
…今までそこにあった「占い師」という看板も、そして机に構えていた老人も、跡形もなく消えてしまっていた。
「あれ!?」
俺は一瞬慌てたけれど、
「…」
老人は消えてしまっても、なぜか老人から受け取った飴玉は俺の手の中にしっかりと握られていた。
「消えた…」
結局俺は、何だか不思議な気持ちでその飴玉を家まで持ち帰る羽目になった。



「あかね」
…そして。
家に帰った俺は、道場裏で「ストレス解消」のごとく瓦を割りまくっていたあかねの元へと早速向った。
あかねはやってきた俺に、かなりむっとしたような表情をしていた。
「悪かったって。そんな怒るなよな」
「ホントにそう思ってんの?」
「思ってるよ。だから、これ、仲直りの印」
俺はそんなあかねに、さりげなく例の「飴玉」を差し出してみた。
「な、なによそれ…」
案の定、俺からいきなり飴玉を差し出されてあかねは驚いていた。
「いや、だからその…お前甘いもん好きだから、その…」
ここでつき返されてはいかん、と俺が必死でいいわけをすると、
「…ふーん。乱馬にしては珍しく素直ね」
あかねは小生意気な口調でそう言うと、俺が差し出した飴を受け取った。
そして、
「…分かったわよ。乱馬がこんな飴まで用意してくれたの、初めてだもんね」
そういって、パクッと口の中にほおり込んだ。
…今だ!
「…」
俺は、あかねが口に飴玉をほおりこんだと同時に、

(あかねが俺に対して素直に接するようになりますようにッ)

…そう願をかけた。
「…何よ?」
…俺がじっとあかねの顔を見ているので、
あかねは飴をモゴモゴと舐めながら怪訝そうな顔をしているけど、
「何か…何か変りはないか?」
俺がそう尋ねると、
「別に…なんなの?」
あかねは先ほどとなんの変わる様子もなくそう答え、
「しょうがないから仲直りしてあげるわよ」
さっさと地面に散らばった瓦やブロックをかたずけると、家の中へと入ってしまった。
(なんでえ。全然何の変化もねえじゃねえか)
あのじじい、騙しやがったな。…俺は一瞬ムカッとしてしまったが、
(ま、ただだし…そんな上手い話があるわけねえよな)
…信じた俺のほうが問題あるっての。
「あーあ、くだらねえこと試しちまったな」
俺は、ため息をつきながら家の中へと戻った。

…が。
この後、事態はとんでもない方向へと向う事になる。

「え?親父達出かけんのか?」
…何でもなびきが商店街の福引であてたという「豪華フランス料理ディナー券」を使って、
家族が食事に行くことになってしまったのだ。
しかも、そのご招待人数が五名。
なので、
「乱馬君、あかねと留守番お願いね」
「ご飯の用意はしておいたから」
「襲っちゃダメよ」
「すまないねえ、乱馬君」
「あかね君と仲良くな」
家族一同、好き勝手な事を言いながら俺とあかねを置いて外出してしまった。
(何で5名分なんだよ、ご招待券)
俺がそんなことをぶつくさと呟きながら居間で一人、TVを見ていると。
「…」
稽古でかいた汗を流すべく風呂に入っていたあかねが、俺のいる居間へとやって来た。
「親父たち、外に夕飯食いに行っちまったぞ。今日は晩飯、俺たちだけだって」
俺がTVに目を向けたままそうぼやくと、
「そうなんだ…」
あかねは小さな声でそう言って、
「…」
いきなり、俺のすぐ隣に腰をおろした。
「え、何だよ…」
部屋は俺しかいないし、席は他にも空いているのに…と俺が隣に腰掛けたあかねを見ると、
「いいじゃない、隣に座ったって…」
あかねが、ちょっと赤い顔をして俺に言い返してきた。
「い、いいですけど…でも…え?」
何故か敬語で答えつつ、俺は驚いてしまっている。
あかねは、そんな俺を見て何だか楽しそうな表情で…笑った。
…その笑顔があまりにも可愛いので、俺はドキッと心を躍らせた。

…良く考えてみると。
家族はいない。
俺とあかねの二人きり。
そして、なぜか寄り添って座る俺たち。
そして気がつけば風呂上りのあかねの身体からは、何ともいえないいい匂いがする。
ぴったりとくっついて座ってくる事で、服の上からもあかねの風呂上りの体温が伝わってくる。
手を伸ばせば、すぐにでも触れられるあかねの身体。



「…」
…ゴクッ。
あかねに気が付かれてしまったかもしれないが、俺は喉を鳴らしてしまった。
あかねは、そんな俺をしばらくじっと見ていたけれど、
「乱馬」
「は、はい!」
「…ご飯の支度、するね。おなかすいたでしょ?」
「あ、ああ…」
「待っててね」
…そんな俺に、あかねはもう一度笑いかけると、ふと身体を離しそう言った。
そして台所へといそいそと向う。
「…」
(何なんだ、あの素直で可愛い様子は…)
昼間俺を椅子で叩きのめした時とは打って変わったような…
「…あ!」
俺は、そんなあかねの後ろ姿をドキドキと見送りながらはっとした。

…飴玉の力か?

昼間、変な老人に渡されたあの飴玉の力か?
さっき、あかねに食わせた飴玉のせいか!
だとすると、あの時俺が願った願いは「あかねが俺に対して素直になりますように」。

……
て事は、だ。
あかねは俺に対して素直になると、ああなのか?
あんな風にぴたりと寄り添って、笑顔で話し掛けてくれたりするのか?
…か、か、可愛いじゃねえか。
うん、めちゃくちゃ可愛いじゃねえか!
でも…
「…」
…飴玉の効き目は、6時間だとあの老人は言っていた。
親父たちは飯を食いに行って恐らくあと二時間くらいは帰ってこない。
ということは、俺はさっきみたいな可愛いあかねと二人っきりで、二時間は過ごさなくてはいけないのか!?

「…まずいな」

俺は内心焦ってしまった。
いつもの素直じゃないあかねとだって二人きりでいるのは緊張してしまうのに、
あんなに可愛いあかねと二人きりで、何もせずに二時間も過ごすなんて…

「無理だ」

百パーセント断言できる、俺。
いや、こんな所で自信持っていえることでないんだけど…。
でも、だからといってそう簡単に手を出してしまうわけにも…
「…」
俺がそんなことをグルグルと考えていると、
「乱馬、さ、食べよう」
…夕食の支度を済ませたあかねが再び、俺のすぐ隣へと腰掛けた。
「あ、あの…」
せめて席だけは離れてすわらねえか?
俺がドキドキしながらそう伝えようとすると、
「なあに?」
あかねはそんな俺の思いなんて露知らず、また可愛らしい笑顔で俺に笑いかけた。
「な、何でもねえよ…」
思わず顔がふにゃ…となってしまうのを抑えつつ、俺は何度もそんなあかねの顔を盗み見ていた。


…みんなが戻ってくるまでの間、
俺は自分の理性を保つ事は出来るんだろうか?


(とんでもねえもん、食わしちまったなあ…)
嬉しいやら、複雑な思いやら。
俺は、俺の隣でニコニコと夕飯を食べているあかねの横顔をチラチラと見ながらため息をついた。


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