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スキあり!

…ある日の放課後。


「あれ?あかねは?」
そろそろ帰るか、と俺が荷物をまとめてふと隣のあかねの席を見たけれど、荷物はあるにもかかわらず、あかねの姿は無い。
そのまま二十分程待っていたにもかかわらず、あかねは帰ってこなかった。
「何いってんのよ、乱馬君。あかねは、来週行われるクラス対抗のスポーツ大会の実行委員会に行ったんでしょ」
「そうよ。昨日のHRで皆で推薦して決めたじゃないの」
…そんな俺に、あかねの友達のさゆりやゆかが呆れたように言う。
「え?そうだったっけ?」
HRは当然の如く居眠りしている俺は、もちろんそんなことになっていたなど全く知らない。
あかねのやつも全然そんなこと言ってなかったし、ちょっと驚いた。
「さっそく今日、打ち合わせがあるからって。さっき慌てて会議室へ走っていったわよ」
さゆりはそういって、ため息をついていた。
「へー」
俺は「そりゃ大変だ」とばかりにそんな声を出す。
すると、
「いいのか?そんなのんびりしてて」
そんな俺達のやり取りを聞いていた俺の悪友・大介が、ニヤニヤと笑いながらやって来た。
「何だよ、いいのかって」
「いやさ、いま隣のクラスのやつに聞いてきたんだけど…」
大介はそういって、俺の耳元でこそこそっと呟いた。
「隣のクラスの、実行委員のヤツ。あかねに惚れてるらしいぞ」
「は?」
「しかも、うちのクラスがあかねを選んだから、自分から立候補したんだと」
大介はそれだけ言うと、
「さーて、俺はそろそろ帰るかな。じゃあな、乱馬」
ニヤニヤと笑ったまま、教室を出て行ってしまった。
さゆりやゆかも、「じゃあね、そういうことだから」と俺に言い残して帰っていった。
勿論一人教室に残された俺は、何だかこう、いい気分ではない。
「けッ。あかねと近づきたいからってわざわざ実行委員に立候補?物好きもいるもんだぜ」
俺はまとめた荷物を持って教室から出ようとするが、何故か足が自然と、あかねの席に向ってしまう。
カバンが残ったままの、あかねの席。
…教室の時計は、午後四時十分を指している。
きっと、実行委員会は五時過ぎまでやってるだろう。
辺りが暗くなる頃まで。
「危ないから、送ってあげるよ。途中まで道一緒だし」
とか何とか、あかねに惚れた男なら、そんなことを言い出しそうな気もする。
「けッ。俺にはそんなの、関係ねーよ」
…俺は、あかねの席に腰掛け、しばらくそんなことブツブツ言っていたが。
「…」
ノロノロと立ち上がり、ふらふらと教室を出た。
そしてその足は何故か…会議室へと向っている。


「はあ!?」
…会議室の中を覗いた俺は、思わず声をあげそうになってしまった。
てっきり中では実行委員会がまだ行われているものだと思っていたのにもかかわらず、中に残っているのは、あかねと、見知らぬ男。
二人が、机を挟んで座り、何か話しながら物を書いているところだった。
「じ、実行委員会じゃねえのかよ!」
俺が思わず中を覗いてブルブルと震えていると、
「…ご、ごめんね、天道さん。わざわざ引き止めちゃって」
…中の男が、そんなことを言いながらあかねの顔を見ている。
「そんな、別に構わないわよ。うちのクラスと山田君のクラスの合同リレーの選手を決めるんだもの。私が残って当然よ」
あかねは、笑顔でその山田、と呼ばれた男に返事をすると、再び机の上に広げているノートに目を落とし、
「うちのクラスは、そうね…やっぱり乱馬ははずせないわね…」
とか何とか言いながら、必死にリレーの構成メンバーを考えているが、山田のヤツは、そんなあかねの顔をちらちらと見ては、何かのタイミングを覗っている。
…灯りもついていない、薄暗い会議室。
男の方はあからさまにあかねに気があるって言うのに。
俺は何だか無性に腹が立ってきた。
(気づけよな!さっきからオメーの事、そいついっぱい見てんだぞ!)
思わず俺はそんなことを叫びたくなる。
が、あかねは一向に何も気づく気配がなく、必死にノートとにらめっこ。
山田のヤツは、そんなあかねにちょっとづつだけど手を伸ばそうと怪しい動き。
「…ったく。しょうがねえな!」
俺は、ハア、とため息をついた。
そして、音を立てずに会議室の扉をスルスルと開けると、
パチ!
いきなり、会議室の電気をつけてやった。
…もちろん俺は素早く部屋の外に出てしまったが。
「えっ…な、何で!?」
山田のヤツは、いきなり電気がついたので慌てて手を引っ込めてオロオロしている。下心、破れたり。俺は心の中でほくそえんでやった。
「あら?そうか、もう電気をつけてもおかしくないような時間なのね。山田君、今日はこれ以上考えてもなかなかいい考え浮かばないみたいだから、明日クラスの皆にも聞いてから決めよう」
そんな山田のヤツはをよそに、あかねは建設的にそんなことを言い出すと、さっさとノートをまとめて立ち上がった。
「それじゃ、今日はこれで解散ね。お疲れ様!」
あかねはそういって、そそくさと会議室から出てきてしまった。
「あ、て、天道さん…」
一人会議室に残される事になった山田のヤツは、ガクッと肩を落としている。
…け、いい気味だぜ山田のヤロウ。俺はフン、と鼻で笑いながらその場を立ち去ったが、何だか胸の中は釈然としていなかった。
俺は、あかねに気づかれないように学校出ると、一足先に家へと帰った。
そして、部屋に戻って置くと、そのまま道場へと歩いていき、ゴロン、と大の字に寝た。
「…」
何か、釈然としない。
その理由は…もちろん俺は分かっている。
山田みたいなヤツがあかねに手を出そうとしたとかそんなことじゃなくて、あかねにスキが多すぎることに問題があるんじゃないかと思った。
しかも、自分にスキが多い事を、あかねはまるで気づいていない。
それが俺には気に食わない。
…何だよ、あいつ。前に俺に『あんたはスキが多い』とか何とか言ってたくせに。自分だって多いじゃねえか。
そう、それは多分あかねの態度。
他の男に対してのあかねのスキだらけな態度が引っ掛かっているのかもしれない。
俺はそんなことを思いながら、道場で寝転んでいた。

…と。
「ねえ、ご飯だって」
ようやく学校から帰ってきたのか、あかねがそういって、道場で寝っ転がっている俺の元へとやって来た。
俺はむっくりと体を起こし、俺を呼びに来たあかねを思わずじろっと見る。
「何よ。何で機嫌悪いのよ?」
あかねは、そんな俺のすぐ側に座り、不思議そうに俺を見ている。
「別に」
俺は、そう答えたが、
「…何よ。もしかして気にしてんの?」
あかねはそんなことを言いながら、俺の顔をじいっと見た。
「気にしてるって?」
「…あんたでしょ?さっき、会議室の電気つけたの?」
「な!」
俺は、あかねの言葉に思わずぎょっと身をのけぞらせる。

な、な、何でばれてんだよ!?

…俺がいかにもそういいたげな表情をしたからなのか、
「だって。あんな事すんの、あんたぐらいしかいないでしょうが」
あかねはそういいながら、笑っている。
「うるせーな!たまたまあそこを通りかかったら人が中にいるのに電気が消えてたから…」
俺が慌ててそんな言い訳をすると、
「…で?あたしが暗い部屋の中で隣のクラスの男の子と一緒にいたから機嫌が悪いの?」
あかねはそういって笑うのをやめ、俺の顔を見た。
「…違うよ」
俺がボソッとそう呟くと、
「じゃあ何よー。言っとくけどねー、あの男の子は隣のクラスの実行委員の男の子で…」
あかねは俺が気に食わない本当の理由など何処吹く風で、いろいろと「何であんな状況になったか」とか何とか話し始めたけれど。
俺はもちろん、そんな話は聞いてはいない。 それどころか、俺が本当に気に食わない理由に全く気が付いていないあかねに対して、そして、無防備すぎるその考えにも腹が立ってきた。
何とかして、コイツにそれを気がつかせるいい方法はないものか…。
俺は、延々と話をしているあかねの顔をじっと見て、いろいろと方法を考えてみた。

「…で、どうしてもクラス対抗リレーのメンバーを決めたいって言うから…」

そして。
ようやくそれを思いついた俺は、必死で俺に説明をしているあかねの手を、突然掴んだ。
「え?」
…突然思っても見ない行動をした俺に、あかねは思わず口を閉ざす。
俺は何も言わないまま、掴んだその手を強引に引き寄せて、あかねを自分の膝の上に乗っけてしまった。
「ちょ、ちょっと…何よ」
不意をくらって、俺の膝の上に抱っこされてしまったあかねは、顔を真っ赤にして俺を見上げている。
俺は、そんなあかねを一瞬だけじっと見ると…あかねに有無を言わさず、いきなりキスしてみた。
「ちょ、ちょっと!」
その俺の行動に驚いたあかねは、慌てて俺の胸を突いて俺の身体を押し返すけれど、俺はそんなあかね手を押さえ込んで、もう一回キスしてみた。
「…な、何すんのよ」
…あかねは、今度はゆっくりと俺の身体を押し返して、今にも消え入りそうな声でそう呟く。
「…ったく」
俺は、そんなあかねの額にゴチンと自分の額を当てると、ぼそっと呟いた。

「スキが多いんだよ」
「…え?」
「だから。スキが多いんだよ!」

俺がちょっと怒った口調でそう言うと、
「スキなんて無いもん!あたしの何処にスキが…」
あかねは向きになってそういい返してきた。 俺は、そんなあかねの言葉を遮るように、もう一度キスしてみた。
「あたしは別に…ッ」
あかねは、そんな俺からちょっと唇を離して、更に俺に言い返してこようとしたけれど、俺はそんなあかねの唇さえもまた強引に奪ってみる。
「ちょっと待って…」
あかねは必死に俺から離れようと俺の胸を押し返そうとするけれど、そうやって押し返そうとする手さえ俺は押さえ込み、あかねが大人なしくなるまでキスしてみた。

「…」
やがてあかねも大人しくなって、静かに俺の腕の中に収まるようになった。
俺はそんなあかねの様子を確認し、そしてゆっくりと離れた。

「…スキだらけじゃん」
一体、俺にどの位襲われれば気がつくんですか?…あかねから離れた俺は、ボソッとそう呟いた。

「…うん」
あかねはようやく観念して、真っ赤な顔のまま頷いた。
俺はあかねを床の上に降ろすと、はあ、とため息をついた。

「ちっとは気をつけろよな」
俺がため息混じりにそう呟くと、
「…うん」
あかねは、ボーっとしたような顔で俺を見上げながら、返事をする。
(あー、だからもう!そんな表情でボーっとしてるから、スキだらけなんだって!)
俺はまた、そんなあかねを思わず抱きしめてしまう。
あかねはそんな俺の腕の中で、更に真っ赤になったまま、じっと抱かれたまま。
俺から見れば、そんな姿が全て…スキだらけ。
(何だかなあ、もう…)
俺は、そんなあかねにもう一度だけ短くキスすると、
「…簡単に、他の男にスキを見せんじゃねーぞ」
ボソッとそう呟いた。
「…気をつけます」
あかねは小さな声でそう答えると、コクン、と頷いていた。
しかし、そうは言っても不器用で鈍いあかねの事。
あかねは気をつけているつもりでも、しばらくは俺の苦労は続きそうな…予感。

(武道家のくせに、何でこんなにスキが多いものかなあ…)
スキはスキでも、俺の時だけ「好き」だらけだと嬉しいけれど。
それ以外はゴメンだぜ。
俺は、再びあかねを抱く手にギュッと力を込めながら、ため息をついた。


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