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抱き枕

「あれ?あかねー、何してんのよ珍しい…こんな夜中に」
深夜の良く分からない洋画をボーっと居間で見ていたあたしに、
たまたま台所に飲み物を取りに降りてきたのか、なびきお姉ちゃんが声をかけてきた。
「うん、何か眠れなくて」
あたしがそう答えると、
「そ。ま、明日は学校休みだし、いいんじゃない?たまには徹夜でも」
なびきお姉ちゃんはそんなことを言いながら、居間で座っているあたしの横に腰を下ろした。
「お姉ちゃんもこんな時間に起きてるてことは眠れないの?」
「お子ちゃまなあんたと一緒にしないの。あたしはたいていこのくらいの時間まで起きてるのよ」
「ふーん」
あたしはなびきお姉ちゃんの話をさらっと聞き流して、
「あーあ…今から道場へ行って一人で汗流す気にもならないしな…」
そう言ってコタツのテーブルに突っ伏すと、
「あんた、安眠効果があるからとか何とか言って、昔お香とか買い込んでたじゃない。あれはどうしたの?」
なびきお姉ちゃんが、台所から取ってきた飲み物をゴキュゴキュと飲みながらあたしに尋ねる。
「あんなのもうとっくに使っちゃったよ」
「ふーん。じゃあ、安眠グッズ他に持ってないの?アイマスクとか、マイナスイオンなんたらとか」
「持ってないよ、そんなの…」
あたしがブンブンと左右に首を振って見せると、
「あ、そー…」
なびきお姉ちゃんは、そんなあたしの事をなにやらニヤニヤしながら見て考え込んでいる。
「な、何…」
そんななびきお姉ちゃんの不気味さにあたしが思わず後ずさると、
「あかね、あたしがいいもん、部屋へ届けてあげるわよ」
なびきお姉ちゃんはそう言うと、ぱっと立ち上がった。
「いいもんて?」
あたしも思わず不安げに立ち上がってしまった。
「…抱き枕」
「抱き枕?抱き枕ってあの…」
長くて柔らかいやつ?…と、あたしが付け加えると、
「そ。その抱き枕。抱き枕抱いて寝ると、よく寝れるみたいよ?」
お姉ちゃんはそう言って、今からそそくさと出て行ったけど、ふとまた今に顔を出し、
「あかね?初めに言っとくけど、抱き枕は、抱いてこそ”抱き枕”なんだからね?」
…と、意味不明なことを言いながら姿を消した。
(お姉ちゃん、抱き枕なんて持ってたんだあ)
あたしは、不気味だと思いつつもそれ以上は深く考えずに、なびきおねえちゃんが言ったとおりに自分の部屋で大人しく待っていると…

コン、コン。

程なくして、部屋のドアを叩く音が聞こえた。
(あ、お姉ちゃんだ…)
「お姉ちゃん、持って来てくれた?」
あたしは勢いよく部屋のドアを開けたんだけど…
「…」
あたしは、ドアを開けたまま、思わず怪訝な表情をしてしまう。
「…何だよ、その表情は」
…そんなあたしの表情を見て、ドアの外に立ってた乱馬はちょっと不本意そうだったけれど、
「入るぞ」
すぐにぱっとその表情を切り替えて、強引にあたしの部屋へと入り込み、そしてベッドの上にドカッと座る。
「ちょっとちょっと!何勝手に入り込んでるわけ?今からなびきお姉ちゃんがここに来るんだから、早く出てって…」
あたしは慌ててドアを閉めて乱馬の元に駆け寄るけど、
「…俺、そのなびきに頼まれてここに来たんだけど?」
乱馬はふてぶてしくというか開き直ってそう言って、なぜかあたしをじっと見ている。
「どういう意味よ?」
あたしがそんな乱馬の横に今にも喧嘩しそうな勢いで座り込むと、
「あかねが寝れなくて困ってて、”どうしても”抱き枕が欲しいって言ってるからあんた、なってきなさいって言ってたぞ」
乱馬はそう言って、あたしの顔をぐっと覗き込んで、ちょっと意地悪い表情で笑った。
「なッ…」
(お、お姉ちゃんめ!なんてことをッ…)
あたしは、ようやくさっき、今を去り際になびきお姉ちゃんが言い残していった怪しい一言の意味が分かった。

「抱き枕は、抱いてこそ”抱き枕”」

…そうよ。
確かにそのとおりだわ。
大変だ…このままだと、抱き枕じゃなくて、抱きつかれ枕になりそうだ!
いや、それで済むならいいけれど…


「ら、乱馬。あたし別に抱き枕がどうしても欲しいわけじゃ…」
ただ、ゆっくりと眠りたいだけなのよ…と、何となく身に迫る妙な予感を感じてあたしが慌てて乱馬にそういおうとするも、
「抱き枕かー。抱き枕って言うと、やっぱこう足も使って全身で”しっかり”と抱きつくもんだよなー…」
…なぜか楽しそう、
そして何だかすごく嬉しそうな乱馬は、ガシッガシッ…と思い切り何かを抱きしめるような素振を何度もしていた。
(こらー!何で抱きつく練習してんのよ!)

…だいたい、枕になるのはあんたの予定でしょうが!
枕が抱きついてきてどうする!

「あ、乱馬。あたしもう普通に寝れそうだから…」
あたしは、そんな乱馬に捕まらないようにそーっと、そーっとベッドの中に移動しようとするけれど、
「じゃ、そろそろ寝るか」
もちろんそんなあたしを乱馬が見逃すはずもなく、
「よっ…と」
とご機嫌な様子で、ちゃっかりとベッドに入り込んでくる。
「…ちょっと。あんた、”抱き枕"になりに来たんでしょ?」
「そうだよ」
「…あんたが抱きついてきてどうすんの」
「つまんねえ事気にすんなよ」
「どこがつまんない事なのよッそこが一番大事なんでしょうがッ」
…暴れるあたしと、そんなあたしにしっかりと抱きついて「抱き枕抱き枕…」と嬉しそうな顔をしてる乱馬。
「なびきの奴も、たまにはいい事いうよなー」
乱馬はそんなことを言いながら、あたしをしっかりと抱いて離さないし、
「冗談じゃないわよッこれじゃ余計に寝れないじゃないッ」
だきつかれてるあたしは、赤くなるわドキドキするわで、さっきにも増して目がさめてしまった。
「しょーがねーな。じゃあ、そんなあかねがぐっすりと眠れるように俺が協力を…」
「ちょッ…しなくていいわよッ」
…そんなことを言って、優しく髪を撫でたり耳に触れたりしてあたしが怯んだ隙を見ては、スキアリ!とばかりにキスする乱馬と、
「だめだってば!もう、ちょ、ちょっとッ…」
そんな乱馬の胸を必死に押し返そうとするけれど、
次第にそんな抵抗する力さえも奪われ、そしてだんだんそんな抵抗しよう、という事も忘れて
「…だめなのに」
口ではそう言いつつも、いつのまにか乱馬とキスするようになったあたしは、気がついたときには完全に、あたしが乱馬の”抱き枕”になっていた。

「抱き枕は、抱いてこそ”抱き枕”」

なびきお姉ちゃんの最初の忠告も空しく、やっぱりあたしは結局、乱馬の”抱き枕”になってしまった。
(…やっぱ、なびきお姉ちゃんに相談事持ちかけるのやめよ…)
乱馬の腕の中ですっかりと”抱き枕”となってしまってるあたしは、そんなことを思いながら大きなため息をついたのだった。

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