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こだわり

「…」
「何だよ、小難しい顔して」

ある日の夕方。
映画を見に行った帰り道、いつものように手を繋いで、家への道を歩いていたあかねと乱馬であったが、何故だか分からないが、あかねが眉間に皺を寄せているのに、乱馬は気が付いた。
「…」
一瞬だけならともかく、なぜか歩き出してからずっと、あかねの表情は険しい。
さすがに気になった乱馬は、あかねに声をかけたのだった。
「うん…」
「どっか痛いのか?」
「そうじゃないんだけど、なんだかしっくり来なくて」
「?」
乱馬が心配して声をかけるも、
当のあかねも何故自分がそんな表情をしているのかが分かっていないのか、しきりに首をかしげている。
「?」
二人は、そのまま道に立ち止まり、お互いの姿を見あった。
が、
乱馬もあかねもいつもの通学スタイルだし、特に怪我をしているわけでもない。
手を繋いでいるから、乱馬はフェンスではなく道路の上を歩いている。
ごくごく、普通の光景だ。
「?」
一体、何がしっくり来ないのだろうか。
乱馬も頭を悩ませていると、
「あ!分かった!」
あかねが突如そう叫び、
「これだ!」
ふと、乱馬と繋いでいる手を振り解いた。
「えっ…?!」
いきなり手を振り解かれた乱馬が、驚いたような表情をすると、
「逆だったのよ、いつもと」
「逆?」
「そう!手を繋いでいる『手』が、いつもと逆の手だったんだわ」
あかねはそういうと、くるりと乱馬の反対側に回り、それまで繋いでいた手とは逆の手で、再び乱馬と手を繋ぐ。
「いつも、あたしは乱馬の左側を歩いてるじゃない?でも今日は右側を歩いていたから…だから、妙な違和感があっ
たのね」
あかねはそういって、にっこりと笑った。
「…」
…そういわれてみると。乱馬も、そのあかねの言葉に反応して改めて考えてみた。

 

そう。
いつも道を歩く時は、
何故だか分からないけれど、乱馬が右側。あかねが左側を歩くようになっていた。
それは、お互いが自然にそうしているものであって、強要したりしているわけではない。
けれど今日は、車が通る車道が左側にあったから、乱馬が左側を歩いてあかねを右側で歩かせた。
ただ、それだけの事だった。
けれど、「ただそれだけの事」が、どうやらあかねには「しっくり来ない事」になっているようである。

 

「それって、重要なのか?」
乱馬が、繋ぎなおしたあかねの手に力をこめながらそう尋ねると、
「良くわからないんだけど、どうも乱馬の右側を歩いているとしっくり来ないのよ。やっぱ、こうして乱馬の左側に立つのがなんだかしっくり来る」
自分でもよく分からないんだけどね、と、あかねは笑っていた。
「でも、こっちは車道だから…」
「平気だもん。気にならないよあたし」
「俺が気になるんだよ」
乱馬は、そんなあかねの手を引いて近くの路地から別の道に入ると、
「この道なら、平気だな」
と、車道が右側にある道を選んで歩きだした。
「…ありがと」
あかねはそんな乱馬に小さな声で御礼を言うと、
「乱馬はないの?そういうこだわり」
と、右側を歩いている乱馬に尋ねた。
「こだわり。そうだな…俺にもあるけど」
「何、なに?」
「でも右か左か、じゃなくて、上か下か、かな」
乱馬は、笑顔で尋ねてきたあかねにさらりとそう答える。
「上か下か?フェンスの?」
あかねが首をかしげながら乱馬に尋ねると、
「ううん、あかねの」
乱馬はそういって、にっと笑った。
「こっ…この!」
ブン、と、あかねが反対側の手で拳をつくり、乱馬に向って突き出すと、
「おーっと。でもな、俺は上でも下でもどっちでもかまわな…」
「エッチ!」
バキっ…と、一度は避けたその拳が、乱馬に額に命中した。
「いてっ」
「自業自得でしょっバカ!」
あかねは、真っ赤な顔でそう叫ぶと、
「もう!さっさと行くわよっ」
「へいへい」
額を抑えてうなっている乱馬の手を引いて、夕暮れの道を歩きだした。

 

 

右か左か。
上か、下か。
そのこだわりは、人それぞれ。


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