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テイスティング

「だーかーら。味見してみろって言ってんだよッ」


とある、日曜日の午後。
俺は、あかねが立つ台所で、後ろから何度もそう叫んでいた。


事の発端は、一時間前。
「かすみお姉ちゃん!今日はあたしがお昼を作ってあげるね!」
何を思ったのか、あかねが急にそんなことを言い出した。
そのとたん、
「あ、あたしお友達と約束が…」
「さ、本屋にでも行くか…」
…と、今まで「暇だ」「平和だ」とかいってゴロゴロしていたはずの天道・早乙女両家の人間達は、ふって沸いたような「急用」の為にそそくさと居間から出て行く。
「あ、俺も修行に…」
俺もコソコソと部屋を出て行こうとしたが、
「乱馬、何食べたい?」
あかねはすでに俺の袖を引っ張って捕まえていた。
「はは…何でも」
…食えるものなら。
俺が引きつった笑顔であかねを見ると、
「じゃあ!今日は頑張って創作料理を作っちゃいます!」
あかねはなぜか上機嫌で台所へと向っていった。


そ、創作料理だと?いつもだって充分創作料理じゃねえか。
俺はそんなあかねが妙に心配になり、こうして台所で一緒に「監視」してるわけだけれど。
案の定、
「風味付けのワインよ!」
…と言いながら「酢」を大量に入れたり、
「甘さを出さなきゃ」
…といいながら、何故か塩を袋ごと注ぎ込んでるし。
「創作料理」というよりは、「造形物」といった感じのものが、俺の目には映っていた。
「お前なあ…頼むから、料理の途中で一回味見してみろよ。な?」
「出来てからちゃんとするわよ」
「それじゃ意味ねえだろうがッ」
俺がせっかく忠告してやっているにもかかわらず、あかねは味見なんかする気配もなく、
「あれえ?何か変な色だな…」
とか何とか言いながら料理を続けてる。

「…」
せっかく二人きりになれたのに!
そうはいっても、
元はといえば、あかねが料理を作ると言い出したから二人きりになれたわけだけれど。
でも、せっかく二人きりに慣れたのに、
何で俺はこんな風に不安げに台所をウロウロしてにゃならんのだ?
俺は、ため息をついた。
普通、は。
家の中には二人きり、彼女が台所で料理、それを後ろから眺める彼氏。
きっとドキドキしたりしちゃったりして。
…これって、何だかすげえ幸せな光景のはずなんだけどな。
なのに。
同じドキドキでも、俺のこの、不安でドキドキしている心はなんなんだ…?
「…」
俺は、必死で「造形物」を完成させようとしてるあかねを見て、ため息をつく。
…でも、なあ。
もったいねえよな。
あかねの手料理はともかく、せっかくこうしてあかねと二人でいるのに。
このまま無理やりコレ食わされて寝込んじまうなんて、なあ。
先が見えてるのがほんとに悲しいけど。
でも。
何とかして、この「造形物」を食わずに済んで、尚且つ…なあ?

「…」

俺は、一生懸命「造形物」と格闘しているあかねを見ながら、いろいろとと策を練った。
そして、俺はようやく一つの「手」を思いついた。


「なあ。じゃあ、俺が味見していい?」
… 作戦、決行。
いわゆる、「奇襲戦法」開始。
俺は、鍋とにらめっこしているあかねに後ろから抱きつきながら、ぼそっと呟いた。
その際、カチッ…ガス台の火をちゃんと落とすことは、もちろん忘れない。
「味見?したいの?」
あかねが、俺の方をちょっと振り返りながら尋ねる。
「そ。いいよな?」
「いいけど…」
あかねはそう言って、鍋の中の「造形物」にお玉をいれて、そっと俺の方へと中の液体をすくい上げようとしたけれど、
「そうじゃなくて」
俺はあかねのその手を止めて、ぎゅっと握った。
そして、
「こっち」
そう言って、有無を言わさずあかねの唇にキスをした。
「んッ…ちょ、ちょっと…」
もちろん不意打ちを食らったあかねは驚いて慌てて俺から逃げようとするけれど、そこは俺、もちろんあかねが逃げれないようにしっかりとガス台と自分の身体の間であかねの身体を固定してしまっている。
「味見してもいいっていただろ?」
俺が真っ赤になってるあかねににっと笑いながらそう言うと、
「こ、これのどこが味見なのよッ」
あかねは俺の腕の中でジタバタと暴れている。
「味見だろ?立派な」
俺はそんな暴れているあかねをもろともせずにもう一度キスをした。
そして、
「…な?」
あかねの耳元で、一言囁いた。
「で、でも…せっかく料理作ったんだし…」
それでも尚、あかねが背後にある「造形物」を振り返りながら呟く。
「ふーん」
俺は、そんなあかねの耳と、首と。
そして唇に、触れるように優しくキスしていく。
「ちょ、ちょっと待って…」
あかねは、慌てて俺の方を向き直り必死で俺の胸を押し返そうとしているけれど、
「今、味見中」
俺は、そんなあかねなど一向にお構いなしに続ける。
「…」
…そんなことを続けているうちに、ようやくあかねも観念したのか、必死に胸を押し返していた手を、ゆっくりと俺の首に回した。
「…へへ。味見」
しばらくして、ふと離れると。
俺は、そんなあかねの額に自分の額をくっつけるようにして、にっと笑った。
「…こんなにいっぱいしたんだから、もちろん美味しかったんでしょうね?」
あかねは、真っ赤になったまま、俺をじとーっと見上げている。
「味見だけじゃ、物足りないぐらい、だな」
俺がそんなあかねに更にそう呟くと、
「…ばーか」
あかねは、恥ずかしそうにそう呟きつつも、しっかりと俺の腕の中に収まっていた。


作戦、終了。
奇襲戦法、成功。
そして、俺にとっては狙った通りの展開。



「あ…台所、ちゃんと片付けないと…」
「いいよ、後で」
日曜の午後。
家族は留守。
味見を終えてちょっとして、そこには手を繋ぎ二階への階段を昇っていく、俺とあかねの姿。

こっちの「味見」がどうやら長くかかりそうだから、
…どうやら今日は、「造形物」の「味見」までは、手が回りそうもない。

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