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NOVEL

「あーっもう!なんで絡まっちゃうのよ」


…TVを見ている俺の後ろで、あかねが不意にそんな声をあげた。
「…」
俺がそんなあかねのほうを振り返ると、
「えいっ…それっ…」
あかねは、奇妙な掛け声を上げながら一生懸命に両手の指を動かしていた。
そのあかねの指には、一本の赤い糸が輪っかになったような状態で引っ掛けられている。
どうやら、かすみさんが編んでいたセーターの残った毛糸を貰ってきて、あやとりでもしているらしい。
「あれえっ…なんで?これで元通りに戻るはずなのに…」
あかねは、そんなことを言いながら延々と指を動かしつづける。
あかね曰く、指をちょっと動かせば絡まった糸がするりと解けて元の輪っかになる…はずのようだが、あかねが指を動かせば動かすほど…糸は、おもしろいぐらいあかねの指に巻きつき、
「あー!何よこれっ」
…気がつけば、糸が絡まりすぎて第二関節より先に指が曲がらないくらい指が固定されてしまっている。
「…」
…ったくこいつは。あやとりも満足に出来ねえのか。
作ろうとしてたのは、「一角形」だろ?
糸を両手に引っ掛けて、人差し指で左右逆の糸をすくえばいいだけじゃねえのか?
それがどこをどうしたら、両手が固定されるほど糸がひっからまるんだよ。
「…」
俺がそんなことを思いながらあかねをじっと見ていると、
「乱馬、はさみ持ってきて、はさみ」
あかねは、そんな俺に対してそんなことを叫んだ。
「はさみで何すんだよ」
俺が居間のタンスの引出しからはさみを取り出してあかねに渡そうとすると、
「切るのよっ。バッサリと断ち切ってやるの。絡まっちゃってはずれないんだもん。乱馬、切ってくれない?」
あかねはそういって、はさみを受け取らずに俺の方に自分の手を差し出した。
「切るの?俺が?」
「そう。だって、あたしはさみ持てないでしょ、この状態じゃ」
「それはそうだけど…」
俺は、そんなあかねの手とあかねを交互に見ながら思わずはさみを握る手を、直前でぴたりと止めてしまった。



…目の前には、あかね。
あかねの手には、そのあかねの手の自由を奪うほどしっかりと、真っ赤な毛糸の糸が絡み付いている。
あかねはその赤い糸を、俺に「切れ」とねだる。
しかも、バッサリと断ち切ってくれと。

……
…何か、あんまり気分が良くねえな。


「…」
俺は、手にしていたはさみをコトン、とテーブルの上に置いた。
そして、
「…はさみなんて使わなくても、俺が解いてやる」
俺はそういいながら、あかねの指に絡みついた糸を一生懸命解き始めた。
「何よー、いいわよ、はさみで切ってくれればっ」
「うるせえなっ。これぐらいはさみなんて使わなくてもすぐに取れるんだよっ」
「な、何よー、変な乱馬」
あかねは、そんな俺を不思議そうに見ながらも、ただじっと手を差し出して糸が取られるのを待っていた。



…なあ、あかね。
お前不器用なんだからさ。
どう考えたって、その不器用さが一日二日で治る訳もねえんだからさ。
だったら尚更、こう思うんだけど。
なあ、あかね。
こんがらがるのが分かっているのに、何も、赤い糸であやとりしなくてもいいんじゃねえか?
「バッサリ断ち切ってくれ」
頼むから、俺にそんなことを頼まないでくれよ。
そりゃ、ただの赤い毛糸かもしれないけど、…あんまいい気分はしねえからさ。

「…ホントに鈍い奴」
「な、何よっ。さっきから失礼ねっ」
「…」
絶対に、女よりも男の方がデリケートでロマンチストだな。
何だか俺はふと、そう思った。
いや、少なくともあかねよりも俺の方が、なんだろうか。
どちらにせよ、この赤い毛糸は俺は切りたくねえんだよ。
俺は、とぼけた顔で俺に対して怒っているあかねを見ながら、大きなため息をついた。

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