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俺の勝ちだろ?

とある週末。
どうして偶然と言うのは重なるのだろう・・・あたしが思わずそう呟いてしまったほど、この週末は上手く出来ていた。
お父さんと早乙女のおじ様・おば様は町内会の旅行。
かすみお姉ちゃんはお友達のお家へ泊りがけで遊びに行き、なびきお姉ちゃんは、九能先輩の家で、クラスのみんなと徹夜の博打大会。
・・・要は、この週末の今夜、あたしと乱馬は天道家の中で二人きりなのだ。


二人でご飯を食べたり、TVを見たりして、そして、
『今夜の天気です。今夜は久しぶりに春の嵐が・・・』
そんな天気予報をざっと流し聞い頃。
「そろそろ寝ようかな・・・」
あたしが居間のコタツに入りながらボソッとそう呟いた時だった。

「そっか。じゃ、そろそろ行こうか」
「・・・は?」

あたしが「寝ようかな」と呟いた瞬間、
なんだか乱馬は妙に嬉しそうな顔をしたかと思うと、そんな事を言いながら、入っていたコタツから立ち上がろうとした。
「何よ、”そろそろ行こうか”って」
・・・あたしが怪訝な表情をしながら乱馬に問うと、
「決まってんだろ?」
乱馬はそう言って、怪訝そうに自分を見上げているあたしに抱きついてきた。
「・・・」
あたしは、そんな乱馬をじろっと睨むと、
「あんた・・・まさかあたしと一緒に寝るつもり?」
「寝ないつもりか?!」
「当たり前でしょ!」
乱馬の額を指でビシッと弾きながら、そう叫んでやった。
すると、
「何で!?」
乱馬は妙に必死な表情であたしに尋ねてくる。
「何でって・・・こっちが聞きたいわよ。あんたなんでそんな必死なの?」
あたしがそんな乱馬に半ばあきれた口調で答えると、
「だってさ・・・せっかくみんな今夜は留守で、しかもなびきもいねえんだぞ?」
乱馬はそう言って、不意にあたしの髪に・・・触れた。
「ッ・・・」
あたしがビクッと身を竦めると、
「なー・・・あかね」
乱馬は急に表情を改めて、あたしにぐっと顔を近づけた。

・・・まずい。
まずいわ、このペース。

「ら、乱馬。あたし、今日は・・・今日は、そう、何だか一人で考え事をしたい日なのッ」
「はあ?」
「昼間雑誌で、今日の夜は一人で考え事をするには最適な夜ですって書いてあって・・・」
「・・・」
「だからッ・・・ね?」
あたしは、自分でも無茶苦茶言ってると分かるような言い訳を必死でして、乱馬の手から逃れた。
乱馬は、そんなあたしをじーっと見ている。
あたしは、そんなあたしを見つめる乱馬を「ダメ?」と下から見上げる。
「・・・わかったよ」
・・・と。
そんなあたしの態度に、乱馬はため息をつきながらそう答えた。
「ごめんね、乱馬」
あたしがとりあえずホッとしながらそう言うと、
「・・・その代り」
乱馬はいきなりそう切り返すと、あたしの顔の前に指を突きつけた。
そして、
「・・・とりあえず、今は諦める」
「何よ、”今は”って」
「賭けしようぜ。今夜。お前が、俺を探したり、自分から俺の所に来るようなことがあったら、俺の勝ち。あかねは有無を言わさず今夜、そのまま俺の所で寝ること。あかねが俺のところに来なかったら、俺の負け」
乱馬はそう言って、立ち上がった。
「何それ。そんな賭け成り立つわけないじゃない」
・・・第一、何であたしが夜な夜な乱馬をさがして歩かなきゃいけないわけ?
あたしがそう言い返そうとすると、
「・・・とにかくそういうこと。じゃ、俺先寝てるから」
乱馬はあたしの文句なんて聞く素振もなく、妙にご機嫌な素振で居間を出て行ってしまった。
(な、な、何なのよ・・・)
あたしは、妙にご機嫌に去っていった乱馬が何だか少し気になったけれど、
でもとりあえず眠くなってきたので自分の部屋へ向かい、そして・・・ベットに入った。


・・・が。
この数時間後。
あたしは・・・乱馬が言うとおり、夜の暗い天道家の廊下を、乱馬を探して歩く事になっていた・・・。




ドーン!
「きゃーッ」
雷だった。
草木も眠る、丑三つ時・・・までは行かなかったが、夜も大分ふけてきた頃。
あたしがようやく眠りにつこうとしたそんな寝入りばな。
部屋の外から、そんな轟音が響いてきた。
「いやー!」
・・・昔から、雷が苦手なあたし。
布団をかぶって枕も耳に当てたりしたけれど、外で轟く轟音をまったく防ぐ事は出来なかった。
(そういえば、寝る前に見てた天気予報・・・春の嵐がなんたらかんたらって・・・)
あたしは、寝る前に居間で見ていた天気予報のことをぼんやりと思い出した。
あの時は流して聞いてたけど・・・
今夜は、「嵐」がくるって・・・
・・・
・・・・・・あ!
(乱馬の奴!だからあっさりと諦めるフリをしたのねッ・・・)
・・・あたしは、ようやくここであの時の乱馬の妙なご機嫌な様子の「理由」が、理解できた。
(アイツ!あたしが雷が嫌いなの知ってて・・・)
・・・な、何て奴なの!
あたしはそんな怒りにぶるぶると震えたけれど、でも、


・・・ドーン!


「きゃー!」
・・・そんなあたしの怒りとは関係なく、窓の外では、雷が遠慮なくあたり一帯にその轟音を轟かせている。
(あーッ・・・もう、こんなんじゃ寝れないよ・・・)
あたしは、枕をがバッ・・・と頭から覆い被せたまま、ノロノロと布団から出た。
(もう、こんな日に限って、Pちゃんだっていないんだから・・・)
そして、あたしはのろのろと部屋から出て ・・・これこうして、夜の天道家の暗い廊下を歩くことになったのだ。


・・・雷のおかげで、停電。
電気もつけられずに、真暗な廊下を枕を頭にかぶりながら歩くあたし。
端からみると、かなり異様な光景かもしれない。
いまのこんな間抜けな姿のあたしは、「赤い頭きんを無くした」あかずきんちゃんのような気分だ。
いや、頭きんじゃなくて枕をかぶってるから・・・「枕ちゃん」?

「・・・乱馬」

・・・そんな異様な格好のまま。
あたしは、乱馬のいる部屋の扉をガラッと開けた。
「・・・あれ?」
だけど。
本当ならそこに寝てるはずの乱馬が・・・いない。
「あれ?」
念のため、布団もめくってみたりはしたんだけどやっぱり乱馬の姿は見当たらない。
(・・・どこ行っちゃったのかな・・・)
まさか、こんな夜中、雷がなってるさなかに外出したわけでもあるまいに。
(・・・)
あたしは、時折外から聞こえてくる雷の音に身を竦めながら家中をさ迷い歩いたのだけれど、
不思議な事に、道場にも、風呂場にも、そしてもちろん居間にも。
乱馬の姿はなかった。
(・・・どこ行っちゃったんだろ・・・)
・・・そりゃ、いきなり「一緒に寝る」と言われればちょっと後ずさりしてしまうけれど、でもこうして外で雷が鳴り響く夜となっては話は別だ。
隙あらば・・・といろいろ悪巧みを働く乱馬でも、今夜のこの雷の中では妙に心強く思える。
(あーあ・・・こんな事なら一緒に初めから一緒に寝とけばよかったのかなあ・・・)
あたしは、そんな事を思いながらため息をつき、自分の部屋へ戻るべく、そのドアを開けた。

・・・と。

「遅せーな。何やってたんだよ?」
あたしが部屋のドアを開けた瞬間、
いきなりそんな声が耳に入ってきた。
「えッ・・・」
あたしが慌てて暗闇の中目を凝らすと、
「待ちくたびれちまったぜ」
・・・乱馬がそんな事をいいながら、にっと笑っていた。
「なッ・・・あんた何でここに!」
あたしが慌てて乱馬のそばまで行くと、
「何でかな?」
乱馬はそんな事を言いながら、あたしの腕を引っ張って自分のほうへと引き寄せた。
「・・・家中探したんだから!」
あたしがすっぽりと包まれた乱馬の腕の中で叫ぶと、
「知ってるよ」
「知ってるって・・・何でッ」
「だって、あかねにばれないように移動しながらここに来たんだもん、俺」
乱馬は全く懲りない口調でそう言うと、
嬉しそな顔であたしをぎゅっと抱きしめた。
「・・・何でそんな事すんのよッ!雷鳴ってるし、停電だし!
探しても乱馬はいないしッ・・・」
あたしは、そんな乱馬の胸をボコボコと叩きながらわめいた。
「ふーん。俺の事探してたんだ?」
「そうよ!家中、探したのよッ!道場もッお風呂場もッ居間もッ」
「あかね」
「何よッ!」

「・・・俺の勝ちだろ?」

・・・と。
叫ぶあたしに対して、その叫んでいる唇に指をすっと・・・当てながら、乱馬が一言そう言った。
「え?」
あたしが突然唇を指で触れられたのに驚いて怯むと、
「だから・・賭けは、俺の勝ちだよな?」
乱馬はにっと笑いながらそう言った。
「くッ・・・」
・・・あたしは、結局は乱馬の手の中で踊らされてたのかと思うと妙に悔しくて仕方ないけれど、でも、
「・・・仕方ないわね。雷・・・鳴ってるから」
もう、観念します。
あたしは、「参った」と乱馬に伝えてから、乱馬があたしの唇に押し当てていた指をパクッ・・・と噛み付いてやった。
すると、
乱馬はそんなあたしを嬉しそうに笑いながら抱きしめた後、
「しょうがねえな。あかねがそんッなに一緒に寝て欲しいって言うなら一緒に寝てやるか」
そんな事を言いながら、唇を尖がらせているあたしの、その唇に軽くキスをした。
「何が、しょうがないからッよ」
「だって、あかねは夜な夜な俺と一緒に寝たくて俺のこと探してたんだろ〜?そこまでされちゃ、男としていっしょに寝ないわけいかねえよな」
「なッ・・・」

・・・あたしが乱馬を探さなくてはいけないようなシチュエーションをわざわざ作ったくせに、何て奴ッ。

あたしはベットの中で横になりつつもそう言い続けてやったけれど、
「何の事だか・・・」
乱馬はそんな風にすっとぼけては、嬉しそうにあたしを腕の中に収めている。
「ねえ」
「何だよ」
「もしも、今夜。あんな賭けをしといて、雷が全然鳴らなかったりあたしが雷に気がつかなかったらどうするつもりだったの?」
あたしは、そんな乱馬の腕の中で大人しくなりながら、
ふと疑問に思った事を聞いてみた。
すると、
「んー・・・?」
乱馬は、何だか妙に悪戯っ子のような表情で、腕の中に収まっているあたしを見下ろした。
そして、
「どっちにしろ・・・あかねが部屋に言ってからしばらくして、ココに来るつもりだったしー・・・ま、結果は雷が鳴ろうが鳴らなかろうが一緒って事だな」
そんな事を言いながら、唖然としてるあたしの額に軽くキスをした。
「ずるい!それじゃあ、始めっから夜這いに来るつもりだったって事じゃないッ」
「夜這いって言うなよ。深夜の愛情を持ったお部屋訪問と言ってくれ」
「訳わかんないわよッ。
じゃあ、何!?結局は賭けをしようがしまいが、あたしが断ろうが断らなかろうが、
初めからあたしと一緒に寝るつもりだったわけねッ」
「・・・ご名答!」
よくできました、と乱馬は再びあたしをぎゅっと抱きしめてきた。
その力があんまりにも強いので、あたしはもうどうにも抵抗する事が出来なかった。

「このッ・・・狼少年!」
「おー、何とでも言ってくれ」

とある週末の、深夜の出来事。
天道家の悪知恵の働く「狼少年」対枕を頭にかぶった「赤ずきんちゃん」の対決は、誰がどう見ても、狼少年に軍配が上がった。


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