【らんま1/2の二次創作小説サイト】| INFORMATION | NOVELS |BOOKMARKS |CONTACTS | HOME |web拍手

三択問題

「…ばっかねー。あの選択肢だったら、これしか答えがないじゃないの」
「えー、だって紛らわしものばかりだったじゃないの」
「それっぽく言っているけど、よく考えればすぐに分る事よ」


とある日曜日の、午後。
居間でクイズ番組を見ていたあたしは、なびきお姉ちゃんにそんなことを言われてはため息をつかれて いた。
クイズ番組自体は、そんなに特徴があるわけでもなくオーソドックスなタイプだ。
番組進行も、「三択問題」どんどん答えていってある特定の基準数まで問題を答えきれば勝ち抜けでき る、というごくありふれた物。
問題だって、雑学系のものだから、頭を捻って答えを搾り出すような物ではないのだけれど、
「あんた、問題をひねくれて考えすぎなのよ」
「だって、答えに裏があるかもしれないじゃない」
「問題を言い切った後で答えるのに、なんで裏があるのよ」
素直に答えを考えればいいのかもしれないけれど、なぜかひねくれた答えを導き出すあたしは、番組が 始まってからの三十分と言うものの、一問も正解できずにいた。
「こんな問題、勉強嫌いな乱馬君だって分るわよ」
「う…」
「ま、来週もこの番組やるみたいだから、それまでにちょっと勉強でもしておく事ね」
唸るあたしを置いて、なびきお姉ちゃんは笑いながら居間から出て行ってしまった。
これから、友達と待ち合わせがあるみたい。しばらくするとお姉ちゃんは、「それじゃ、お留守番お願 いね」と家から出て行ってしまった。
他の家族も買物やらなにやらで出かけているので、居間にはあたし一人でぽつん、と座っている状態だ 。
「…勉強たって、クイズの勉強なんて今さらしてもー…」
雑学自体は頭の中に植え付けられているはずなのに、自分が持っている知識を上手くクイズの答えへと 連動できない。そこに問題があるわけで。
「クイズの勉強って言うより、三択問題の勉強、って感じよね」
それっぽい答えがいくつか用意されていて、それに紛らわされずにクイズに答える練習をしたほうが、 何かと有効的よね。あたしはそんなことを思った。
でも、
「…どうやって練習しようかなあ」
とりあえず、他のクイズ番組でも探してみるか。あたしは、テレビのリモコンを適当に押しながら、ク イズ番組を探してみた。
と、その時だった。
タタタタタタ…と、居間の外の廊下を素早く移動する足音があたしの耳に飛び込んできた。
その足音は、居間のすぐ側で一度止まると、何だかわざとらしく二・三歩ゆっくりと廊下を歩き、
そして、
「あーあ、暇だな。暇で仕方がないから居間にでも入るか」
…居間の前まで走ってきたくせに、それを隠すような口調でそんなことを言いながら、乱馬が居間の戸 を開けた。
「…」
家族は留守。確か乱馬も、「今日は昼寝でもするか」とか言いながら、昼ご飯を食べた後はずっと部 屋に篭っていたくせに、
…どうしてかしら。なびきお姉ちゃんが出かけて、あたしと乱馬が家の中に二人きりになったとほぼ同時に、こうしてあたしの前に現れるのは。
ある意味、動物的勘とでも言うべきか。しかもそれが、恐ろしいくらい正確というのが不思議で仕方がない。

「ふーん、テレビ見てたのか」
乱馬は、そんなことを言いながら笑顔であたしの横に、座った。
しかも、ぴったりと身体をくっつけるようにしてだ。
「…コタツの横幅、狭いんだから。横に並んだら狭いでしょ」
あたしが寄り添ってきた乱馬の身体を自分の横から遠ざけようとすると、
「横が狭いなら、上下に重なるか?」
乱馬はニコニコと笑いながら、素早くあたしに抱き付いてきた。
「重ならない」
あたしはそんな乱馬をばっさりと斬り捨てると、
「それより、あたしに何か問題を出して。あ、三択でお願いね?」
「は?」
「来週までに、三択問題のエキスパートになってなびきお姉ちゃんを見返してやるんだから!」
実はね、と、あたしは先ほどのなびきお姉ちゃんとのやりとりを乱馬に話して聞かせた。
すると、
「しょうがねえなあ」
もっと渋るかと思っていたのに、何故か乱馬は協力的にあたしに微笑んだ。
「乱馬、たまには素直なのね」
あたしが思わずボソッとそう呟くと、
「他ならぬおめえの為だ。協力してやるよ。よし、三択問題な?」
乱馬はそんなことを言いながら、ぽんぽんとあたしの頭を叩いた。
そして、
「さ、じゃあ問題を出すぞ?」
…なぜだろうか。ニコニコしながら、問題を出すよりも前にまず、居間の戸をしっかりと閉めた。
その上、居間から台所に抜けるガラス戸もしっかりと閉め、お父さんの部屋に続く和室への戸も、隙間 風が入らないようにきっちりと閉めていた。
「あの…問題は…?」
あたしが不安を感じて乱馬にそう尋ねると、
「今から出すぞ、きっちりと」
乱馬はあたしのその不安そうな表情を一蹴するかのように明るい声で、そう言った。
「はあ…」
あたしは、笑顔の乱馬を、更に不審げな表情で見つめる。
乱馬は、そんなあたしの真正面にどかっと座り込むと、こほん、と一度堰払いをした。
「じゃあ、今から問題をだすぞ?」
「うん」
「三択問題だからな。三つの内の一つから、答えを出すように」
「分ってるわよ」
「それじゃあ、問題です」
乱馬はそう言って、一息置いた。そして、
「…今日は日曜日です。他の家族は留守、家には俺とあかねだけ」
「は?」
「さあ、この二人きりの状況で、俺はこれからどうしたいと思っているでしょう?」
「はあ!?」
「『何度もキスをしたい』、『床で抱き合いながら昼寝をしたい』『皆が帰ってくるまで、イチャイチ ャべたべたしていたい』…さあ、どれが正解でしょう?」
乱馬は満面の笑みを浮かべたままそう言うと、「早く答えろよ」と言わんばかりに、あたしの顔を見た 。
「ちょっと!そんなのクイズじゃないじゃない!」
もちろんだけど、あたしが不服を申し立てると、
「クイズになってるだろ?しかも答えは三択にしてやったじゃねえか」
乱馬はあたしの申し立てなんて、いともたやすく跳ね除ける。
「…」
あたしはむむむ…と唸りながら、仕方なく答えを一つ導こうと頭を捻った。
…どう考えても、「イチャイチャしていたい」って言うのが乱馬の答えだと思うのよね。
でも、待って。出題者はあの、乱馬なのよ。そう簡単にその答えで収まるのかしら。
なびきお姉ちゃんは、「三択問題に裏なんてあるわけないでしょ」とか言っていたけど、
この場合は素直に考えれば良いってわけでもないと思うのよね。
だとすれば…昼寝かキスか、どっちか…?
うーん、困ったな。
「…」
あたしは、しばらく唸りながら悩んでいた。でも、
「…んー…床で抱き合いながら昼寝をしたい?」
悩んで悩んで悩んだ末に、あたしはその答えを導き出し、乱馬に伝えた。
でも、
「残念、不正解」
乱馬は、そんなあたしをバッサリと斬り捨てた。
「じゃあ答えは何よ。キス?」
あたしがむすっとしながら乱馬に尋ねると、
「違うよ」
「イチャイチャしたいの?」
「それも違うなあ」
「ちょっと。それじゃ、どれも不正解じゃないの!」
「どれも不正解じゃなくて、どれも正解なんだよなあ」
「はあ?」
「三択問題だから、出題する時は答えをどれにしようか、とか考えたんだけど。何か出題したらしたで、何かそれ、全部したくなちまった」
乱馬はそんなことを言って、「あかねー」と、あたしの身体に抱き付いてきた。
「ちょっとー、それじゃクイズにならないじゃない」
居間の畳にごろん、と押し倒されながら、あたしが乱馬に顔を睨んでやると、
「しょうがねえな、じゃあとりあえず答えはキスをするにしておこうか」
乱馬はそんなことを言って、「はい、それがクイズの正解。結局あかねは、不正解ってことだな」と笑った。
「…答えはキス、なんだからね。キス以外はしないわよ」
あたしが、クイズで騙された腹いせに乱馬にそう言ってやると、
「分ってねえなあ、あかねは」
「何がよ」
「キスしてたら、その内絶対に畳の上で抱き合うようになるって」
「なっ…」
「そうなったら、そのまま…な?ほら、結局全部正解だ」
「ちょっと!そしたら『昼寝をする』だって、結局は全部に繋がるじゃないの!
  そしたらあたしの答えは正解でしょ!」
「あ、言われてみればそうだな。じゃあ、正解にしようか」
「当たり前よ」
なんていい加減な出題者なの!あたしがそうぼやくと、
「じゃあ、正解したご褒美に『床で抱き合いながら昼ね』をしようか」
乱馬はあたしのぼやきなんてお構いなし、
そう言って、あたしの横にごろん、と自分も寝転んであたしの身体を抱き寄せた。
もちろん、
「ちょっ…だ、だから正解以外はっ…」
「だからー、結局どれを選んでも全部に繋がるんだって」
三択問題で答えを選ぶことなく、乱馬は自分が思ったとおり、やりたい通りにあたしに覆い被さってくるわけだけれど。


…ほら見なさいよ、お姉ちゃん。
三択問題は、ちゃんと考えて答えを出さないと、こういう目にあうわけよ。

許婚は狼少年です。二人きりになったとあれば、尻尾を振って襲い掛かってきます。
その時貴方は、どうするか。
逃げる?それとも説得する?それとも抵抗するかしら。
…きっと、答えはどれを選んでも、「結果」は全て「その手に落ちる」になると思うのよね。
乱馬があたしに出した問題も、きっとこれと同じ様な部類よね。
あ、そうか。
出題者によっては、どんなに考え様が素直だろうが、答えは結局変らないのか。

「…」
くっ、そんなことを学習しても仕方がないと言うのに!
…乱馬を相手に、クイズの特訓をしようとしたあたしが間違いだった。
明日の学校帰りに、本屋さんでクイズの本でも買ってこようかなあ…。
あたしは、あたしに覆い被さっては嬉しそうに擦り寄る乱馬を手で押し返したりして反抗しつつ、そんなことを考えてはため息をついたのだった。

RUMIC'S NOVELS LINK

パラレル
糖度2
糖度3
糖度4
糖度5
企画

OTHER CONTENTS

■オリジナル作品(外部サイト)
お仕事情報

THANKS!

TOTAL: HITS(Y:)