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藪蛇

とある日の昼下がり。
家で行うクリスマスパーティの買出しを頼まれたあたしと乱馬は、街の商店街の一角にある、大型の雑貨取扱い店舗へと買い物に出かけてきていた。
ガンガンと店内に鳴り響く独特の音楽に、まるでジャングルにでも迷い込んだかのように溢れかえる品物の数。
どこに何がおいてあるのか、気をつけてみなければ迷宮さながら中をぐるぐるといつまでも彷徨ってしまいそうだ。
大型店舗ゆえに商店なんかに比べると金額は比較的良心的だけど、
いかんせんこの店内レイアウトには賛同しかねるところだ。
「あかね、俺会計してくるからちょっと待ってて」
「うん」
「いいか、絶対に動くなよ。お前、確実に迷うから」
「う、うん」
家族に頼まれたものをかごに入れ、レジへと向かう際に。
余りにも人が多いので、会計は乱馬が並ぶ事にしてあたしは店内の一角で待っている事になった。
動くな、と言われてしまったから動くわけいかないけれど、
あたしがたまたま乱馬に待たされているその場所は、パーティグッズ、しかも衣装系のグッズの売り場の近く。
最後にかごにいれたのが、おじ様が着るサンタクロースの衣装だったせいもあるんだけど、
どうせだったら乱馬が来るまでのんびりとその衣装でも見ていようかなあ。
あたしはそんな事を思いながら、乱馬が来るのをその場で待っていた。


と。


『セクシー小悪魔サンタ』


サンタクロースのクセに悪魔?
妙なパッケージの衣装が目に入った。
あたしは思わずその文字に引き寄せられて、棚の前まで移動する。
パッケージには、綺麗な外人のお姉さんが、膝上十センチ以上はあると思われる黒いミニのワンピースを着ている写真が写っていた。
ミニのワンピースの裾には、白いモコモコがあしらわれている。
サンタだというのに「小悪魔」とうたっているだけあり、尻尾がついていた。
でも尻尾の先にも白いモコモコがついていて、何だか許される可愛さだ。
胸元が以外に開いていて、もしかしたら前かがみになると胸の谷間がくっきり見えてしまうように作られているのか。
こういうのって、やっぱりパーティとかのバラエティ的要素がないとなかなか着る事は出来ないよね。
ただ、
「黒いブーツを履いたら似合うかなあ」
流石に靴まではセットになっていなかったけれど、裸足で服を着るよりも、ブーツに合わせたらおしゃれかも。
あたしはそんな事を思いながらその服を見ていた。
その服の横には、もっと過激な服装の衣装がいくつも並んでいた。
下着が見えること前提のセーラー服とか、チアリーディングの衣装とか。
更に向こうの棚には、どう考えても機能性の薄い女性用下着が売っていた。
一体その下着をどうやってパーティで使うのか。あ、寧ろ景品とか、なのかなあ?
あたしだったら、貰ってもつけることないのに。
あたしはそんな事を思いながら、その下着をじっと見つめていた。
と、その内。
「あー、やっと終った」
会計を済ませた乱馬が、あたしの待つ場所へとやってきた。
「お疲れ様。荷物もつよ」
「いいよ、重いから」
「でも」
「じゃあちょっとだけ手伝って」
「うん」
戻ってきた乱馬が手に持っていたビニール袋をあたしが取ると、乱馬はそのあたしの手の上からガバッと自分の手を覆いかぶせるように包み込んだ。そしてくいっと、器用に指先でビニール袋を引っ掛ける。
結局は乱馬がビニールを持っていることになるんだけど、あたしが触れている事で「手伝ってもらってるんだぞ」と思わせるようにしているのが、何だか彼らしいというか。
「帰ろうぜ。腹も減ってきたし」
「まだ3時じゃない」
「おやつの時間だろ」
「子供じゃあるまいし」
「まー、ある意味子供じゃねえけどさ。なあ?あかね」
「し、知らないわよっ。もー!」
あたし達はそんな会話をしながら、店を出た。そして家に帰りながら、
「ねえねえ、あのね・・・」
あたしは、乱馬を待っている間に見ていた、あの例の服や下着の話をした。
そして、
「あまり過激なのを貰っても、貰った方は困るよね」
使い道がないわよね、と、あたしは乱馬に同意を求める。
すると、
「まあなあ。そんなの貰ったところで、あまり活用はされねえよな」
やっぱり乱馬もそう思うのか、真剣な顔で頷いていた。
「そうよね。やっぱり乱馬もそう思うよね」
あたしもそんな乱馬に同調するべく何度も頷くけれど、
「だって、俺、すぐ脱がすよ?」
「・・・は?」
「そんな下着つけて寝ているところなんて発見したら、すぐ剥ぎ取るに決まってるじゃねーか」
「なっ・・・」
「まあ、着けたままっていうのもたまにはいいか・・・ふーん」
・・・何故だろうか。
そんな事を呟いた乱馬の表情が妙にそわそわしたものに変わった。
しかも、「えへへへ・・・」とか何とか、あたしの身体をチラチラと見ながら妙に照れ始める。
「な、何のあんたはっ」
妙な予感がしたあたしが、乱馬と触れていない手で乱馬の頭をボコッと殴ると、
「ちょっと想像を」
「何の!」
「いやー、ちょっとこんな外ではとてもじゃないけど言えねえな」
「なっ・・・」
「だって俺の想像の中では、あかねはもう既に大変な事になっているし」
「・・・いやー!」
ドスッ・・・とあたしが思わず乱馬のミゾオチを殴ると、乱馬は「いてて」と一瞬顔をしかめるも、それでも尚もまだそわそわとした表情をしている。
あげく、
「なあ、やっぱりちょっとどこか寄ってかねえか」
「ど、どこかって?」
「そうだなー、出来れば人気のない公園とか、誰もこなさそうな神社とか、薄暗いさびれた映画館とか?」
「・・・何でわざわざ全部人払いをするようなところばかりなのよ」
「そりゃー・・・あ、そうだ!あの神社が良いな。よし、そうしよう」
乱馬はそんな事を言いながら、あたしの手を引っ張り、家とは逆方向に向かって歩き出した。
「お腹すいたんでしょ?荷物もあるから早く帰ろうよっ」
あたしは慌てて乱馬の背中に向かってそう叫ぶも、
「人間にはな、満たされなくてはいけない三大欲求があるんだぞ?」
とか何とか、こういうときは既に聞き分けのない乱馬は、あっという間にあたしを近くの神社へと引っ張りこみ、木の陰へと連れて行く。
何故この場所を乱馬が知っているのかが妙に気になるんだけど、今はそれをおいておいて、
「別に今満たさなくてもいいでしょっ」
「今満たさないと、消化しきれないだろ」
「それはあんたの問題でしょっ」
「連帯責任だよ」
乱馬はニコニコとしながら、木の幹にあたしの背をつかせるようにして立たせた。
そして、そこからあたしが逃げないように手をあたしの両サイドに着く。
買い物した荷物は、いつの間にか足元にどさりと置かれていた。
どうやらこの男、気を変えるつもりはないらしい。
・・・
ああ、もう。あんな話しなければ良かった。
いやむしろ、あたしがレジに行けば良かったんだわ!
まさに、薮蛇。そして身から出た錆・・・。
「・・・」
はあ。あたしは大きなため息をついた。
乱馬はそんなあたしにニコニコと顔を近づけると、
「剥ぎ取らなくても出来るようになる練習・・・」
とか何とかぼそぼそと呟きながら、あたしに抱きついた。
・・・クリスマスパーティやら何やらで妙な景品を貰ったら、見せる前に処分だわ。
あたしは乱馬の腕の中でそんな事を思いながら、再び大きなため息をついたのだった。


 


*ヤブヘビ*
《「藪をつついて蛇を出す」から》よけいなことをして、かえって自分にとって悪い結果を招くこと。「文句がとんだ―になる」 (国語辞書(大辞泉)より)


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