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種の起源

「あたし、現代に生まれて良かったわ」
「?」


ある日の夕食後。
居間で雑誌を読んでいたあたしの耳に、隣りに座ってテレビを見ていたなびきお姉ちゃんのそんな事が聞こえてきた。
「どうしたの?急に」
あたしがふっ…と雑誌から顔をあげてそんななびきお姉ちゃんに尋ねると、
「だってさ。ほら、みてみなさいよあれ」
なびきお姉ちゃんはそう言って、それまで見ていたテレビの画面の方を指差した。
「?」
そちらにあたしが目をやると、ちょうどその画面では、古…それも原始時代なのだろうか。まだまだ石が通貨だった頃のドキュメンタリー番組が見受けられた。
「お金が石よ、石。貸した金が石で返って来るのよ?管理するのが大変じゃないの」
「…」
「あたしはきっと、石に埋もれた生活をするんだわ。いやねぇ」
「…原始時代でも商売する気なんだ?」
「当たり前でしょ。それぐらいしか楽しみなんてなさそうだし」
なびきお姉ちゃんはそう言って、ふっ…とため息をつく。
「そんな事ないわよっ。あの時代は自然だって綺麗だから見応えあるだろうし」
「単に何もないだけでしょ」
「そ、それに何もなくたって人と人との触れ合いを大事に出来るし!ねえ、乱馬っ」
クールなお姉ちゃんに負けるまいと、あたしがあたしたちの背後で爪を切っていた乱馬に救いの手を求めると、

「まずは男、男、女、男、男の順だな」

…何故か乱馬は奇妙な言葉を呟いた。

「…」

とりあえずあたしはそれを無視しつつ、
「とにかく…きっとあの時代だって楽しいよ!お姉ちゃんだってお金もちと結婚出来るかもしれないじゃない」
と、主張した。
するとなびきお姉ちゃんは、
「まああたしが玉の輿に乗るのはおいといて。あかね、あんたは大変よね?」
「え?」
「だってあの時代はさ、いや昔って一夫多妻でしょ?ヤキモチやきのあんたは心労が絶えなさそうだわ」
「…」
「乱馬くんみたいなタイプなんて、そこら辺に子孫残してそうじゃない。ねえ?」
と、逆にあたしに質問してきた。
「そ、そんなことっ…」
あたしはお姉ちゃんに言い換えそうと慌ててせう口に出そうとするが、

「そんなことねえっ」
…驚く事に、そんなあたしより先に何故か乱馬が、お姉ちゃんに言い返した。

「あらそうなの?」
お姉ちゃんはとぼけたような口調で首を傾げる。

「…」

…乱馬ってば、そんな時代でももしかしてあたしの事だけを思ってくれようとしてるのかな。
ささやかだけど家族数人で助け合いながら幸せに暮らす…乱馬は、そんな風に考えてくれてるのかな。
だとしたら…すごく嬉しいなあ。
「乱馬ってば…」
あたしはそんな乱馬の気持ちにホロリと感激したのだけれど、
…残念な事に、それは大きな間違いだった。

「俺はあかねとの触れ合いで精一杯だ!」
…ホロリと感激しているあたしの横で、なぜか乱馬は胸張ってそう主張した。

「…?」
あたしがそんな乱馬に対して怪訝な表情をしていると、
「いいか?あの時代、日がのぼっているうちは狩りだ!しかも獲物が捕れたら捕れた時間だけ早く帰ってこれる」
と、乱馬はあたしの事なんてそっちのけで、なびきお姉ちゃんに向かっていきなり説明をし始めた。
「そうねえ」
お姉ちゃんは、面白そうな顔でそれを聞いている。

「当時生きていたとしても、きっと優秀な格闘家だったはずの俺は、運動神経抜群。つまり狩りだって得意なはずだ」
「で?」
「という事は、だ。早く帰って来る分夜の時間が長いんだぞ?俺はあかねと触れ合いをもつ時間を大切にしなくてはいけねえんだ」
「あらー。じゃあ野球チームでも家族で作れそうね」
「村を作るつもりで頑張るつもりだ」
…怪訝そうな顔しているあたしをよそに、二人は真剣にそんな話をしていた。

「あんた…」

一体、あたしに何人子供を生ませるつもりなの!?
「乱馬!」
あたしがそんな乱馬の頭をポカっと殴ると、
「何だよ、不満か?」
「二人で村作ってどうすんのっ」
「仕方ねえなあ。じゃあ、サッカーチームくらいで…」
「そういう問題じゃないでしょ!」
「いいか?あかね。古の世界より子孫繁栄というのは非常に大切な行為なんだぞ?照れている場合じゃないんだ」
「照れてなーい!」
「違うのか。なんだ」
乱馬はそんなことを言いながらあたしの肩をポンポン、と叩くと、居間から出ていってしまった。
「…全く、何考えてるのかしらっ」
…たまにいい事を言うと思ったら、やっぱりこれかっ…と、あたしがため息をついていると、
「ま、村が出来た際には移住してあげるわよ」
と、そんなあたしになびきお姉ちゃんが更に追い討ちをかけた。
「お姉ちゃん!」
あたしがお姉ちゃんに反抗しようとすると、なびきお姉ちゃんはそんなあたしをスっ…と手で制した。
「え?」
「それより、あんた行かなくていいの?」
「え?行くってどこに…?」
「…乱馬くん、今階段を登っていったみたいだけど」
あたしが首をかしげると、
乱馬が出ていってしまった直後、廊下の方へ身体を乗り出し乱馬を見ていたお姉ちゃんは、ニヤリと笑いながらあたしに言った。
「…」
「昔から上手い事いうものね、律儀者の子だくさんて。まー、乱馬君が律儀かどうかは知らないけど」
「…」
こういう時にはやけに上手い表現を見つけてくるよなあ。
あたしは、そんなお姉ちゃんの言葉に大きなため息をついた。
そして、

「…せめて、バスケットボールチームくらいで勘弁してもらいたいわ」
「まー。いずれにしても仲良しだこと」
「何よ、他人事みたいにっ」
「だって他人事だもの」

…あたしは、楽しそうにカラカラと笑うお姉ちゃんにため息をつきながら、
律儀者の狼少年が待つ部屋へと向かったのだった。

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