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Premontion-予感-

「あかねは、もてるわよねー」
「ほんとホント。羨ましいよ」



…あたしが高校に入学してからすぐの事だったと思う。
九能先輩による、「あかね君と交際したくば戦って勝て!」宣言により、
あたしは毎朝登校するたびに校門で、あたしと交際希望の男子生徒と手合わせを しなくてはならなくなった。
もちろん、戦いを挑んでくる男の子だけじゃなくて、あたし宛にこっそりラブレターを 書いてきてくれる人とかもいるけれど。
あたしはもちろん、それらを全て断りつづけている。
「・・・男なんて、大嫌い」
ぼそっとそう呟くあたしに、
「もったいないよ、あかねは。こんなに可愛いのに」
と、クラスメートは更にぼやいている。
「好きな人でも、いるの?もしかして」
「え?べ、別にいないよ。そんな人…」


…だけど。
そうクラスメートに答えるあたしは、ちょっとウソツキだ。



そう、あたしには、好きな人がいる。
小さな頃から、ずっとずっと、好きだった人。
でもその人には別に好きな人がいて、
あたしなんてその人に全然かなわないってこともよく、知っている。
でも、それでもあたしはその人のことが好きで…
どうにもならないこの気持ちが、いつしか胸の中で大きなモヤに変ってきている事も、自分では気が付いている…つもり。



「好きな人、いないの?ホントに?」
「うん・・・」
「それじゃあさ、あたしがあかねを占ってあげようか!?これからのあかねの、恋占 い!」
…と。
占い好きのクラスメート・さやかが、そんなことを言いながらあたしの腕をひっぱり、自分の前の席へと座らせた。
いつのまにやらあたしの周りには、何故かクラス中の女子がワイワイと集まってきている。
女の子って不思議なくらい占いとかおまじないが好きよねえ・・・自分も女の子のクセに、あたしはまるで人事のようにそんなことを思う。
「じゃあね、あかね…このカード、左手でシャッフルして?」
と。
さやかがそういって、あたしにカードの束を渡した。
いよいよ、占いの開始。
あたしは緊張した趣で、さやかからカードを受け取った。
よく見るとそのカードは、「タロットカード」というやつ。
(へー、本格的な占いなんだ。タロットカードの実物なんて、はじめてみたわ)
何だかそんな事を思ったら、急に興味が沸いてきてしまった、あたし。
さやかに言われたとおり、あたしはカードを左手でシャッフルした。
「次に、そのカードを左手を使って三つの山に分けて」
「うん」
あたしは言われたとおりにカードを三つに分ける。
「そしたら、その山を今度は一つにもう一度まとめて…あたしにちょうだい?」
ふむふむ。
あたしは素直にカードを一つにまとめると、さやかに手渡した。
さやかはあたしからカードを受け取ると、なにやらブツブツと呟きながらカードを机の 上に何枚か並べた。
そして、ゆっくりと全部を表向きに開くなり、「お?!」という顔をした。
「ちょっと、さやか!何なの!?その表情は!」
「なになに?どんな結果なの!?」
さやかのその表情に、あたし以上に回りの皆が反応してくる。
「…うーん。簡単に説明すると」
さやかはそういって、あたしの顔を見た。
「あかね、本当に今好きな人いないの? 今もしかしたら…年長者で憧れてたり尊敬したりしてる人がいるんじゃない?」
…さやかのとても鋭い質問に、
「え?そ、そうかな…特にいないけど…」
なんて、あたしは激しく動揺しているにもかかわらず、冷静に答えてみる。
「…そう。それならいいんだけど」
さやかはそういってあたしの顔をじっと見たが、改めてカードの方を見直し、
「実はね、あかねが今もしも年長者に恋心を抱いているならば…それは叶う事は ないだろう…っていう暗示が出てるのよ。ほら、これ」
さやかはそういって、なにやら僧侶のような格好をした絵柄のカードをさした。

カード名は、「法王」とかいてあった。
このカード、あたしからは真正面に向いてい見えているけど、さやかからは逆位置 にその絵柄が見えている。
タロットカードは、カードの向きによって、そのカードの解釈が全く違ってしまうのだ。
例えば、「死神」というカード。「正位置」でそれが出れば「終わり」とか「死」とか意 味を持つが、「逆位置」でそのカードが出れば、「再生」や「忌まわしき事の終焉」と いう、全く正反対の意味合いを持っている。
…この「法王」というカード、「正位置」だと「年長者からの援助を受ける」という意 味を持っているようだ。そして、「年上の男性」の象徴的な、カード。

(…当たってる)
あたしは、さやかの言葉一つ一つに、じょじょに引き込まれていった。


「誰にも相談できない恋を…してきたあかね」
さやかはそんなことを言いながら、別のカードを指差す。
それは、「隠者」とかかれたカード。あたしの位置からは「正位置」だけど、さやか から見ると、「逆位置」だ。
(…当たってる)
あたしは、更にさやかの言葉に引き込まれていく。
周りの女子たちも、食い入るようにさやかの言葉を聞いているが。

「でも…」
さやかは、更に続ける。

そして、一番最後にめくったカードと、その隣のカードを指差し、

「でも…あかねはいずれ、運命の人と出会うことになる」
はっきりとした声でこう言った。

「きゃー!!運命の人ですってよ!あかね!」
「だれ!?誰なの!?」
「あたしたちの身近な人!?」
さやかの占いの結果に、クラス中の女子は大盛り上がりだ。
「運命の人…?」
あたしは、そんな周りを無視して、さやかにおずおずと聞いてみた。
「うん。ほら、このカード…」
さやかはそういって2枚のカードを指差した。

あたしから見ると「逆位置」にみえるそのカードは、
「星と何かのわっかをあしらった」カードと、「仲良さそうに寄り添う恋人同士」が描 かれたものだった。

「これはね、『運命の輪』というカードと、『恋人』っていうカードなの。
この2つがこんなふうに「正位置」で出てくる事ってあんまりないのよ。だから…こ ういう解釈で言いと思うわ」
そうやって笑顔であたしにアドバイスしてくれるさやかに、
「ね…どんな人、なのかな?」
…いつのまにやらその占いに夢中になってしまったあたしは、身を乗り出してさや かに聞いてみた。


…東風先生みたいな、素敵な人だといいな。
また、年上の人かな?
強いかな?あたしよりも強いのかな?そしたらちょっと複雑かな?


ドキドキと期待で胸を膨らませるあたし。
でも、さやかは残念そうに笑って、
「うーん、今のこの占いじゃそこまで詳しくわかんないけど…ただ一つ…手掛か りというか、キーワードは出てるよ」
もう一枚、「運命の輪」のすぐ下にある、一枚のカードを、指差した。

それは、「さすらいの旅人」みたいな人物が描かれたカードだった。
カードにつけられた番号は、「0」
カードタイトルには、「The Fool」と描かれていた。

「…Fool?…愚か者…?」
あたしがその言葉の意味を直訳し、怪訝そうな顔をすると、
「確かにそういう意味が一般的だけど、タロットカードにはもっと別の解釈もあるの よ」
さやかはそんなあたしを安心させるようにそう諭し、ゆっくりと話し出した。
「このカードには、『風』とか『旅』とかそういう意味もあるの。詳しい事は何とも言えないけど、その人はたぶん…突然、あかねの前へ現われるんじゃない?」


さやかそういって、あたしの前に広げていたカードを、かき集めだした。
本当はもう一度詳しく占って欲しいんだけど、
どうやらタロット占いというのは同じ事柄を同じ日に占う事はタブーらしい。
同じ内容のものは、一ヶ月くらい間を開けないとダメ…という事なので、あたしはし かたなく占ってもらう事を諦め、席を立った。
そんなあたしが離れた席に、クラスのほかの女の子達が一気に殺到する。
「さやか!次はあたしを占って!」
「あ!次はあたしね!」
…他の子達が、さやかをあっという間に取り囲んだのを尻目に、あたしはひっそりとため息をついていた。


…驚くくらいに当たっていた、さやかの占い。
悔しいけれど、
『その恋は想いが叶うことはない』
そんなところまで、当たっていた…。
いつかは、諦めなくてはいけない。
そんなこと、あたしにだって分かっていた。
でも、どうにもならないほど、今のあかねは…東風先生が好きだったから。
『その恋が叶う事はない』
…この言葉が、あたしの心に鋭い矢のように突き刺さっている。
でも。
(…でも、コレだけ当たっているという事は、もう一つの方も当たるのかなあ?)
あたしは、ぼんやりとそんなことを、思った。
『でも…あかねはいずれ、運命の人と出会うことになる。』
さやかの、はっきりとした声が、あたしの頭の中に何度も響き渡る。
ただ…あたしは、さやかの言葉を色々と思い出していくうちに、だんだんと不安にもなった。

(…ちょっと待って。さすらい人で愚か者で風のように突然現われるって…一体どんな人なのよ?)

…よくよく考えると、どうも非現実的な人物だ。
探せって言う方が、難しいかもしれない。
(あーあ、占いは所詮占いかあ。期待しないで待っとこうかしら。やっぱり)
あたしは、そのうちそんな結論に達して、はあ、ともう一度ため息を付いた。







しかし。
あたしはこの数ヵ月後、本当に出会うことになるのだ。
ある雨の日曜日に、突然、何故かパンダと共にやってくるアイツに。
中国からの修行の旅から帰ってきた、アイツに。
そして、
あたしの心の中に、音も立てずにどんどん入り込んできては、心の中にずっと留まる事になる…「風」のような許婚に。


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