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酒は飲んでも

「ほらっ……しっかりしろよ」
「うにゅー……もう飲めないー……」
「誰も飲ませねえよっ」

……バタン。
腕に抱き上げたあかねにボソッとそう叫びながら、俺はあかねの部屋のドアを勢いよく閉めた。
そして、ベッドの上にあかねの身体をゆっくりと降ろして寝かせながらため息をつく。

……
今日は正月、一月一日の夜。
今年は俺のお袋も加わって、お互いの家族が全員揃うという初めての正月だった。
おじさん曰く、

「いやー、乱馬君のお母さんも今年は一緒だし、それにあかねと乱馬君も上手くいってるようだし……」

と、正月も昼間からずっと、俺の親父と一緒に杯を取り交わしている。
おじさんとパンダが、延々と昼間から酒を飲んではご機嫌に騒いでいる姿を横目に俺はため息をつくも、

「今年は賑やかで、母さん嬉しいわ」
「……」

……それまではずっと、たった一人で何年も正月を過ごしていたお袋。
そんなお袋の嬉しそうな横顔を見たら、親父達に小言の一つも言う気分だってどこかにいってしまう。

「乱馬」
もちろんそれはあかねにも分かっているようで、

「乱馬、せっかくのお正月だもの。おば様も楽しそうだし、お父さんたちが騒ぎすぎちゃっても今年はおおめに見
てあげよう」

そんなことを、俺にこっそりと囁いてきた。

「そうだな」
俺もそんなあかねに同意して、嬉しそうなお袋とご機嫌な親父達を見守る事にしたのだが。
……事件は、そんな元旦の夕方に起こった。

「さ、乱馬君もこっちに来て飲もうよーっ」
「えっ……お、俺はいいですっ」
「何ー?!将来の義父の杯を断るのかねーっ。そんなんじゃあかねは渡せな……」
「……の、飲ませていただきます……」

悪酔いしてきたおじさん、そして親父達が、俺にも酒を勧めた事に端を発した。
おじさんの半ば脅迫めいた発言により、俺がおちょこに注がれた日本酒をグビっとのみ乾すと、

「おっ、乱馬君いいのみっぷり!ささ、もう一杯」
おじさんは、まるでわんこそばよろしく、器が空になるとまた満たし……の繰り返しだ。
もちろん俺は、おじさんたちの隙をついて、上手い具合に酒を隠し持ったタオルに染み込ませていた。
けれど、

「お父さん、だめよ、乱馬にお酒なんて飲ませちゃっ……」
勿論そんな事になっているとは露知らず、
俺が延々と酒を飲みつづけていると思い込んでいるあかねが、その内慌てて俺の手にしていたおちょこを引ったくった。

「お父さんっ。乱馬は高校生なんだからっ」
あかねがそんなことを言いながらおじさんを睨むも、

「だーいじょうぶだって、あかね。これくらい飲めなければ、天道道場の跡取としては失格!ねー、早乙女君」
「『その通り』」
おじさんも親父も、暢気にそんなことを言っては笑っている。
「でもっ……」
あかねが更に口答えしようとするも、
「まあまあ。乱馬君も飲んでるんだし、あかねも飲んでみたら」
おじさんはそんなことを言いながら、あかねが俺から引ったくったおちょこに酒を、注ぎいれた。
「……」
あかねは、はあ……とため息をつくも、
「しょうがないわね、じゃあ、付き合いで一口だけ」
酔っ払いの気をしずめるべく、ぐびっと一気におちょこのお酒を飲み干す。
そして、
「はい、これ。もういいでしょ」
そういっておちょこを返そうとするも、
「まあまあ……」
おじさんは、そんなあかねが差し出したおちょこに再び酒を満たしてしまった。
「え、ちょっと……」
「平気平気。乱馬君だって飲んだんだから」
「うー……」
あかねは、おじさんの口車に乗せられて、再びそのおちょこに口をつけて酒を飲み干した。

「よ!いいのみっぷり!あかね、いい奥さんになるぞ」
「えー、そうかなあ」

……二人のやり取りは、そこからあっという間にエスカレート。
気が付けばあかねは、おじさんの口車に乗せられて、すでに六杯以上もおちょこの酒を飲んでいた。
もちろん、俺がしていたようにタオルに染み込ませて……ではなく、直接からだの中へと流し込んでいるのだ。
よく見ると、いつも白くて透きとおってるあかねの肌はピンク色に紅潮していた。
顔も真っ赤。そして、目もトロン、としている。

「もっともっとー、お父さーん」
挙げ句の果てに、さっきまではあれだけおじさんを戒めるような様子を見せていたのに、自分から酒をねだる始末
だ。
ろれつも回ってないし、やけに陽気な姿。
……どっからどうみても、あかねは酔っ払っているようにしか見えない。

「お、おいあかねっ……」
俺が慌ててあかねの手からおちょこを奪い取ると、

「にゃによー……乱馬が飲まないからあたしが変りに飲んであげるのよー」
あかねは、やけにへろへろした手つきで俺の身体を叩く。
が、

「はれー?何か、乱馬が三人いるー?あたしの許婚は、どれでしょーう?」
とかなんとか。
一人クイズ大会を始めたかと思いきや、
「答えは、明日の朝にー……」
勝手にクイズ大会も終了させてしまって、俺の胸に寄りかかったかと思うとそのままぐったりと目を閉じてしまった。

「お、おい大丈夫か?」
「だめなのらー」
「……」

どうやら、本当にダメなようだ。
俺は仕方がないので、ぐったりしているあかねの身体を抱き上げて立ち上がると、部屋まで運ぶべく居間を出ようとした。

「よっ、さすがは許婚!」
「『送り狼なんじゃないの?ひゅーひゅー』」
「着物姿の許婚、介抱している内に……あらあら、いいひめはじめじゃない?」

そんな俺に対して、おじさんや親父、そして俺たちよりもハイペースで酒を飲んでいたにも関わらず表情一つ変え
ないなびきが、そんなことをぼやいていたが、

「……」
この状況で良く言うぜ。
俺はそんな三人を無視しつつも、こうして酔っ払ってぐったりしているあかねを部屋へと運んできたのだった。

 

 

 

……
あかねをベッドに降ろした俺は、とりあえず部屋の戸締りをしてやって、
(酔っ払った奴を介抱した事なんてねえからなあ。こういうときって、どうしたらいいんだ?)
窓にかかるカーテンを引きながら、そんなことを考えてみる。

風邪を引いたときとはまた、訳が違う。
頭を冷やせばいいって問題じゃないし。
とりあえず、水でも持ってきてやったほうがいいのか。

「なあ、あかね。水でも……」
飲むか?俺は、ベッドの方を振り返ってそこに横たわっているはずのあかねに声をかけようとしたが、

「なっ……何やってんだオメーは!」
……俺はベッドの上のあかねに向って、思わず叫ぶ。なぜなら、大人しくベッドに横たわっているはずのあかねが不意に起き上がったかと思うと、
「熱いー……熱いよー……」
そんなことを言いながら、身に纏っている着物を脱ごうと帯びを解こうと身を捩っていたからだ。

「こ、こらっ。何を脱いでっ……」
俺が慌ててあかねの元へと駆け寄ると、

「だーって、何だか身体が熱いのー……熱い……」
あかねはそんなことを言いながら、着物の帯の結び目に手をかけていた。そして、
「乱馬、脱がして」
挙げ句の果てに、そんなことを言いながら俺に抱きついてきた。
「ぬ、脱がせてって……な、何言ってんだオメーはっ」
俺が慌ててそんなあかねを自分の身体から引き剥がすと、
「あれやろ、あれ」
そんな俺を無視して、あかねは急ににへらー、と笑うと、ベッドから飛び降りた。
そして、
「はい、これもって」
「へ?」
「ほら、テレビでよくやるでしょ?あれよあれ」
そういって、俺に解けかけた帯を俺にもたせそう言った。
「……」
帯を持たされ佇む俺は、思わず言葉を失ってしまう。
……おい、あかね。
まさか、あれか?
『お代官様、お戯れをっ』
『よいではないか、よいではないかっ』
って、まさかあれじゃねえだろうな?
帯びをもって、くるくると回しながら脱がせるあれをやれというのか?
俺にあれを、やれというのか!?

「お、おまえなあ……っ」
妙な予感に苛まれ、俺は頭を押さえながら叫ぶ。すると、
「やろうよー」
あかねはにへらと笑いながらそんなことを言って、くるくると回る準備をしている。
「やらねえよっ」
俺がそんなあかねを強引にベッドに座らせると、

「なんでー?」
「何でもっ」
「けち」

あかねは、むすっとした口調でそうぼやいて俺をじとっとした目つきで睨んだ。

「とにかく。今水でも持ってきてやるから。ちょっと待ってろ」
これは、早く酔いを醒まさせなければ。俺は妙な使命感に駆られ再びあかねから離れようとするも、
「熱い……熱い……」
あかねは、そんなことを言いながら、ふらっと……ベッドに倒れこんでしまった。
「お、おい……大丈夫か?」
俺が慌ててあかねの身体に手を添えて抱き起こそうとすると、
「熱い……乱馬、身体が熱い……」
あかねはそういって、抱き起こそうとした俺の首へと抱きついてきた。
「わっ……」
不意に強い力で抱きつかれて、俺がそのままあかねを「押し倒す」ような形でベッドへとなだれ込むと、
「熱い……何とかして」
あかねは、大きな瞳を潤ませて俺の耳元でそう囁いた。
「熱いの……熱い……」
ハア……と何度も吐息を洩らすあかねに、

「……」
……不謹慎かもしれないが、俺はその瞬間、ドキ、と胸が鼓動してしまった。

先ほど帯を解こうとしたせいで、あかねの身に纏っている着物はかなり乱れてしまっていた。
足なんて、前がはだけて白くて形のいい足が、半分以上見えてしまっているし。
胸元も、ちょっと指をかければすぐに完全にはだけてしまいそうなほど乱れている。
身体だって、いつもよりも紅潮しているし、着物越しでも熱が伝わってくる。
酔っ払って熱くて苦しいのか、呼吸も乱れ……その乱れた呼吸を耳元でされると、

「……」
……こんな時になんだけど、「別の時」のあかねの姿を今のあかねに重ねてしまう俺がいた。

「あ、熱いの?」
俺は、そんなことを言いながらあかねの身体に回す腕の力を込める。
そして、あかねの乱れた胸元に顔を埋めようとすると、

「熱い……」
あかねは、そんな俺の顔をそっと手で塞き止めて、自分で着物をはだこうとしていた。
でも、かろうじて留まっている帯のせいで上手く脱げず、さっきよりも肌の露出は増えるけれど、かろうじて着物
を着ているような……妙な格好になってしまった。
が、その格好は俺にとってはとても刺激的に見えるもので、思い切って裸になられるよりもずっと、何だか色っぽ
い……そんな姿だ。

ゴクリ。思わず、喉の音を鳴らしてツバを飲み込む。健全な思春期の男子にはかなり刺激的かつ据え膳召し上がれ、という状況であることは間違いない。

「……」
……やべえな。
あかねはどう考えても酔っ払ってるし、正気じゃないし。
こんな時に……どうすっかな。

俺の中の「常識」と「非常識」が、今取っ組み合いのけんかを始めた。

ちょっとぐらいならいいだろうか。
いやいや、こんな時に乗じて彼女を抱くなんて。
……

それはかなり激しい攻防戦だったが、良いのか悪いのか、最終的には「常識」が勝ったようで、

「……」
……とりあえず、俺は熱いと騒ぐあかねの着物を脱がせてパジャマを着せた。

でも、先程負けた「非常識」が最後の力を振り絞ったのか、奇襲をかけてきた。

「しょ、しょうがねーな。着替えたあとは寒くなるかも知れねーし……」
と、独り言をぶつくさと呟きながら、パジャマを着てベッドで横になっているあかねの隣へぴっとりとよりそうように横たわった。

「寒いー……」
「こ、今度は寒いのか。いいよ、ぴったりくっついて」
「くっつくー」

ベッドに横たわったあかねは、にへらとした笑顔を浮かべながら、俺にぴったりと寄り添って抱きついてくる。

……どうやらあかねは、酒が入ったときの方がやけに積極的で甘えたがりらしい。
すりすりと、俺の胸に頬を寄せながら嬉しそうな顔で抱きついてくる。
動物で例えるなら、ネコ。
そう、ネコだ。
ごろごろと甘えてくるネコ。
本物のネコは大嫌いだけど、こんなネコなら……遊んでみたい。

「……おめー、可愛いな」
俺がそんなあかねに対して、思わずポロッとそんなことを呟くと、

「乱馬、好きー」
あかねは、妙に甘えた口調でそんなことを言いながら目を閉じてしまった。

「……」
……酒が入ってない時にこんなことされたら、理性が保たれる時間なんてほんのわずか。
間違いなく、襲い掛かるまでに一秒もかかんねえな。
そんな確信を俺が抱くようになるまで、そう時間はかからなかった。

「はー……」
こんなあかねと一緒に、俺は一晩寝るのか。
せいぜいしても、キスぐらいか。
いや、キスなんてしちまったらもう抑えきれねえ。
とすると、それもお預けかよ。

「……」
普段の修行よりもきついぜ。
……俺はそんなことを思いながら、大きなため息をついた。

 

そして、翌朝。
……もちろん、夜にお預けを食った分をしっかりと「取り戻させて」もらった俺は、

「頭が痛いー……」
「なんだろう、身体がだるい……」
とか何とか。
ベッドの中でいつまでもボーっとしているあかねに向って、

「おい」
「何よ」
「……絶対に、俺以外の男と二人きりで酒は飲むなよ」
「はあ?何言ってんのあんた」
「いいからっ。絶対にだめだからなっ」

……そう。
あんな風に甘えられた挙げ句、「熱い」といって洋服なんて脱がれたらたまったもんじゃない。

「変な乱馬。……あー、頭痛いよー……」
俺の忠告を聴いては、いわゆる「二日酔い」の頭痛と戦い顔をしかめるあかねに、俺は、それでも尚、何度も何度もあかねにそう言い聞かせてやったのだった。

 

酒は、飲んでも飲まれるな。
あかねに酒は、飲ませるな。


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