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ニューヨーク

「乱馬君のお小遣いじゃ十年かかっても行けないくらいの値段じゃない?」
「どんな奴らが多いんだ?」
「アメリカ人が多いんじゃないの?」

 

ある日の夜のこと。
乱馬となびきお姉ちゃんによるそんなとんちんかんな会話が、居間でなされていた。
乱馬の問に対するお姉ちゃんのそっけないけど的を得た回答も何だかおかしいのだけれど、
それよりもどうして乱馬が、そんなにニューヨークに拘るかが、あたしには不思議でならなかった。

「治安は!?治安は悪いのか!?」
「そりゃ日本よりは遥かに悪いでしょうねえ。夜の一人歩きは危険ていうし」
「どんな格好で行けば、安全なんだ!?」
「さー。あ、いっそのことサムライの格好で行けば?珍しがられるかもしれないけど、寄っては来ないでしょ」
写真ぐらいは撮らせてあげなさいよ…なびきお姉ちゃんはそんな事を言いながら、からからと笑っていた。
そして、居間の入り口で不思議そうな顔で二人の会話を聞いていたあたしの肩をぽんぽんと叩き、居間を出て行った。

「…ねえ、何でそんなにニューヨークに拘るの?」
お姉ちゃんが出てった後、あたしは乱馬のすぐ傍に腰を下ろし、乱馬に尋ねた。
「んー?そりゃ、遠からず数年のうちに行けたら良いなって思って」
乱馬は、居間にあたしと乱馬以外いないのを素早く確認し、さっと頬にキスをしてからそんな事を呟いた。

「乱馬、ニューヨークに行きたいの!?」
「悪いのかよ」
「いや、悪くは無いけど…」

でも、想像が出来ない。
乱馬が何かオシャレな格好をして、あのビル郡の中を歩くの?
いや、いつもどおりのリュックを背負ってチャイナ服であの町を歩くのかな。
チャイナタウンとかあるみたいだから、ある意味浮かないとは思うけど、
でも何か無駄に腕が立つ分、事件とかに巻き込まれたら大変よね。英語も喋れないのに。

「…英語、勉強した方が良いよ?」
あたしは想像に苦しみながらもそう言って、乱馬を見た。
すると、

「何言ってんだよ、お前が一緒に行くから大丈夫だって」
「…は?何であたしも?」
「バカだなあ、最近の新婚旅行はニューヨークが流行っているらしいぞ」

乱馬はそんな事を言いながら、テーブルの下においてあった何かを取り出し、あたしに手渡した。
見ると、それは雑誌。
しかも、『これで二人も大満足!ラブラブカップルの新婚旅行特集』とか何とか、いかにもうさんくさい特集が組まれている雑誌だった。

「…この雑誌、何なの」
店頭においてあっても絶対に手にとらないだろうと思われるその雑誌タイトルにあたしが眉間に皺を寄せていると、
「町で配ってたから、貰ってきた」
「フリーで配ってたの?」
「そ。ほら、後々必要になるだろ。だから今の内に目標や準備だけはしておかないと」

乱馬はそんな事を言いながら、その雑誌をテーブルに広げた。

…その雑誌によると、新婚旅行先第一位はニューヨーク、二位がハワイで三位がオーストラリアだった。
ならばニューヨークが良いだろう。
でも、ニューヨークってどんな所…?と、外国は中国以外はよく知らない乱馬は、なびきお姉ちゃんに聞いていたみたいだ。

「なびきの話によると、ニューヨークはかなり治安が悪いらしいぞ」
「へー…」
「行く時は、俺たちサムライのカッコウをした方が良いらしいぞ」
乱馬は、なびきお姉ちゃんの話をまるっきり信じ込みそんな事を真剣な表情で呟いていた。

「…」

何が悲しくて、新婚旅行で二人してサムライの格好をしなくちゃいけないのか。
いやそれよりも、

「…あんた、あたしと新婚旅行にいくつもりでいるんだ?」
「行かないのかよ」
「そ、そんなこと言ってないけどっ」
「じゃあいいじゃねえか。こういうのはな、早い内に場所を決めておいて、今の内から貯金をしておくといざという時に良いんだぞ」
「…」

…プロポーズもされる前から、すでに新婚旅行先を探してるって、順番逆じゃないの?
楽しそうに雑誌を見てはあれこれと考えている乱馬に、あたしは思わずそう突っ込みたくなるも、

「…」
でもまあ…新婚旅行に行くつもりだって事は、もちろん将来結婚する事を前提に考えているわけだし、それはそれでいいのかなあ、なんて。
あたしは一人そんな事を思う。

「…でもあたし、ニューヨークよりオーストラリアがいい」
あたしは心の中でこそっと笑いながら、アレコレ雑誌を見ては呟いている乱馬の手をきゅっと握った。
「はー?何でだよ。三位だぞ?」
乱馬がそのあたしの手を改めて握り返してそう尋ねる。

「コアラ抱きたいの。ふかふかなコアラを胸に抱くの」
「断る!」
「な、なんでよっ」
「豚を抱くだけじゃまだ足りないかっ。何でコアラまでっ」
「コアラにヤキモチ焼いてどうするのよ」
「コアラを抱くなら俺を抱け!」
「嫌よ」
「何でだよっ」
「コアラとあんたとじゃ全然違うでしょっ」

 

あたし達はそんな事を話ながら、しばらくその雑誌を眺めそんな話をしていた。
一体あたし達の新婚旅行先はどこになるのか。
真相は、数年先までわからない。でも…とりあえず、第一候補はニューヨークらしい。


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