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昨日とは違う明日

お風呂あがりに、あたしは久し振りにじっと、鏡を見た。
目の前には、ばっさりと髪の毛を肩の上まで切りそろえたあたしが映っていた。
髪の毛と肩の間には、当たり前だけれどしっかりと空間が出来ていた。
そして、そんなあたしはどことなく子供っぽいような…それはきっと、童顔のせいなんだろうけど。
なんだか、あからさまに昨日とは違う「あたし」が映っていた。

 

…そう、昨日あたしは髪の毛を切った。
小学校の頃からずっと、ずっと伸ばしていた、背中の中ほどまであった長い髪を。
でもまあ、正確には「切った」というより「切られた」というほうが正しいのかもしれない。
乱馬と、乱馬のライバルっていう「良牙」と言う人の決闘に巻き込まれて。

 

…そりゃあ?
もちろん、髪の毛が切れてしまった時は驚いた。
切られた瞬間は、あまりにも驚いて声も出なかったけど、時間を置いたら何だかそれは、ジワジワとあたしの胸の
中へと浸透してきた。

あたしの髪は、いわばそれまで片思いをしていた東風先生への思い。
その思いの分だけ、長くあったその髪。
でも、それが叶わぬ思いだと分かっているから、「いつかは切らなくちゃ」…そう思っていた。

切らなくちゃ。
切って、思いを断ち切ろう。

…何度もそうは思っても、それがなかなか出来なかった。
だから、今回こんな形だったけど髪を切る事が出来た時、驚く反面、何だか少し…ホッとした自分がいたのは、本当。
思い切りがつかない自分を、
良い言い方をすれば後押しする出来事だったのかもしれない…二度とは願い下げだけれど。

 

あたしは、そんなことを思いながら、鏡に映っている自分の、その切りそろえられた短い髪をゆっくりと指ですいた。
…随分と軽かった。
当たり前だ、何十センチとその長さが今までと違うんだから。
でも、きっとそれだけじゃない。
それは、物理的な重さだけじゃなくて、きっとあたしの「心」の重さ。
そう、思った。

…恋が終わる最後、あたしは、先生の胸を借りてなくだけ泣いた。
それだけで、大分すっきりした。
そしたらその後、乱馬の奴が聞きもしないのにあたしの髪に対する感想とか述べてきた。
「似合ってる」
そんなことを言って。一応は、気を使っているんだって。そう明らかに分かるような、今までとは考えられない穏やかな口調で。
その上、
「俺は絶対に短い方が好きだ」
とか何とか。
勝手に自分の好みまで話し出して、それで一人で照れて。

「…初めて聞いたわよ、そんなこと」

あたしは確か、そこで初めて乱馬の好みを知ったんだっけな。
ふふ、聞きもしないのに勝手に言って、それで照れてたら世話無いわね。
それを考えたら、何だかちょっとおかしかった。

…長い間、あたしの胸の中で眠っていた一つの恋は終わった。
これから先、あたしはどんな恋をするんだろう?
そんな風に「好き」になれる相手は現れるのかだって、わからない。
それにもしかしたら…
もしかしたら、あの乱馬とあたしが本当に結婚しちゃうなんてことも、あるかもしれない。
形だけの許婚が、本当の許婚になっちゃう。
そんな事だってあるのかもしれない。
もちろん、今はお互いそんなつもりが無くても、だけど。


でも、先生への思いで胸が苦しかった昨日と、こうして鏡を見つめている今日は…百八十度違うんだもん。
これから先、本当に何があるかはわからない。
こうして今、あたしが鏡を見つめて目にしているのは、髪が短い今の「あたし」。
昨日とは違う、今日のあたし。
だからきっと、昨日と今日が違うように、今日と明日も全然違う。
違う明日が、きっと来るんだ。

 

…本当はまだ、東風先生のことを思うと胸がチクリと痛むけれど、でもきっと、それは時間が解決してくれるはず。

「…よしっ」

あたしは、目の前であたしを映し出しているその鏡にそっと、指を触れた。
そして、きっと今日とは違う明日が来る事を信じて、鏡の向うの自分に向かって小さく笑いかけた。


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