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騎士様

「へー、それじゃあ彼が彼女のナイト様なんですね」
「そうなんですよー!私、朝昼晩ナイト様に守られてるんですー。もー、やだ!恥かしいー!」


…夕食後。居間のテレビには、妙に幸せそうな男女がインタビューをされている映像が映し出されていた。
世間で言ういわゆる「バカップル」という男女を取材するバラエティ番組だ。
司会の芸人がカップルを応援するような素振を見せるが、実はいい「笑いの種」にしているような、番組だ。
恥かしい、とカップルの女はいっているが、実は聞いているこっちの方が恥かしい番組でもある。

「あらー、乱馬君とあかねみたいねえ」
「うるせえな」
そういう番組を見るのが好きなのだろうか。テレビの前、ベストポジションを陣取ったまま動かないなびきが、俺の横でそんなことを呟いた。
「ほら、聞いた?乱馬君。『僕が彼女のナイトになる』ですってよ。聞いているこっちが恥かしいと思わない?」
「人それぞれだろ」
「あー、あんたは平気なのね。あ、そうか。乱馬君もいつもあかねに言ってるんだもんねえ、こっ恥かしいような台詞」
「言ってねえ!」
「どうだか。可愛い可愛いって、いつも言ってるくらいだもんねえ…」
「て、てめえ!また盗み聞きしてやがったな?!」
「あら、本当に言ってるわけ?冗談だったんだけど」
「くっ…!」
どうにもこうにも、一枚上手。
俺はなびきの策略にはまり、「普段から恥かしい台詞を口にしている男」とレッテルを貼られる事になる。
でも、あかねが可愛いのは仕方がない。特に二人きりで過ごしている時のあかねときたら…

「…俺の事は放っておいてくれ」
俺が開き直ったようなでも恥かしいような…畳に「の」の字を描きながらそんなことをブツブツと呟いていると、
「いいじゃないの。あんた達の場合は、お互いが恥かしい事言い合ってるんでしょ」
「余計なお世話だ!」
「なによ、人がせっかくフォローしてやってんのに」
「フォローになってねえよ」
流石はかすみさんの妹。フォローという名の「とどめ」をさすべく、なびきは俺に色々と声をかけるが、
「…まあ、でもあかねは幸せねえ。格闘技と恥かしい台詞、それに手の早さがとりえのナイトが彼氏だなんて」
「…幸せなのか?それ」
「そんなのあかねに聞きなさいよ」
なびきは最後にそう言って、にやりと笑った。そして、
「あ。あかねー、ちょっと」
ガラ…
そのときたまたま居間にやって来たあかねに、なびきが声をかけた。
そんなあかねの腕には、
「Pちゃん、もう今までどこに行ってたの?」
「ブキー!」
…いつの間にやら天道家に戻ってきたP助こと良牙が、しっかりと抱かれている。
しかも、
「ふふ、照れやさんなんだから」
良牙は、豚という姿をいいことに、最近嬉しい事に大きくなり始めたあかねの胸に、しっかりと頬を寄せてだかさっている。
「…」
…くそ。お湯でもかけてやろうか。
俺は幸せそうな良牙の表情をじろっと睨みつけたやった。
「なあに?おねえちゃん」
そんな俺の様子など全く気がつかないあかねは、俺の隣に座り、なびきに笑顔を向ける。
「あのね、さっきバラエティ番組でね…」
「お姉ちゃん、バラエティ好きだね」
「それはいいのよ。それでさー、その中で女の子が、『私は朝昼晩ナイト様に守られているんです』なんて言ってたわけよ」
「へー」
「あんたもまさか、そんなこと口に出したりするわけ?」
なびきは、笑顔のあかねにそんなことを尋ねた。
もちろん、なびきは「乱馬君があんたのナイト様なんでしょ?あんたもそう思ってるわよね?恥かしい」…そういう意図を込めてあかねにそう質問したの だが、
「朝昼晩…」
あかねは、なにやら首をかしげながらそう呟いていたがその内、
「朝昼晩じゃないけれど、Pちゃんは側にいる時いっつもあたしの事守ってくれるよ?」
と、答えた。
「は?」
…これにはさすがに、なびきだけでなく側にいた俺も、思わず声を上げてしまった。
ちょっと待て。
なびきも俺も、「俺があかねのナイト様」ってことで話を進めていなかったか?
何でいつの間にその対象が変っているんだ。
しかも、それがP助ってどういうことだ?!
「…」
俺が眉間に皺を寄せながらあかねの顔を覗き込むと、
「だから、ナイトに守られるって話でしょ?Pちゃんは、あたしの小さなナイト様だもんねー?」
あかねは笑顔のままでさらっとそう言うと、
「いつもお家に居てくれたら、狼少年からもあたしを守ってくれるのに。…さ、寝ようね、Pちゃん」
全く悪びれた様子も無く、P助を胸に抱いたまま居間を出て行ってしまった。
「あらら。そういえば乱馬君は、あかねを守る方じゃなくて襲う方だったわね。嫌だわあたし、忘れてた」
くっくっくっ…
居間からあかねが出て行った後、なびきがわざと驚いたような声でそんなことを呟いた。
そして、俺には背を向けているも、その肩は小刻みに震えている。
そう、声を殺して笑っているのだ。
「う、うるせえ!」
勿論俺はというと、不機嫌極まりない。いや、それどころか不服で仕方が無い。
…そりゃあ?俺だって自分のことを「あかねのナイト」だとかそんなキザな事はいわねえし、口に出したりはしねえ。
でも、それぐらいの勢いで、あかねのことを大事にしているし思っているわけだ。
それなのにアイツ!
しかも、P助がナイトだとは何事だ!
「…」
俺は、無言のままスっ…と立ち上がると、ピシャ!…と乱暴に居間の戸をあけて廊下へでた。
そしてそのまま二階へとあがっていき、
「あ、乱馬どうした…あ!ちょっと何すんのよ!何でPちゃんを外に放り出すのよ!」
「うるせー!」
「な、何よ!え、ちょっと何…きゃー!」
…あかねの「小さなナイト」からその座を奪い取るべく、強硬手段に出たのだった。



俺は狼少年か、果たして彼女のナイトなのか。
あかねの中の、俺に対しての認識がいささか不安ではあるけれど、
職業「ナイト」な狼少年が、俺としては望ましい。


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