【らんま1/2の二次創作小説サイト】| INFORMATION | NOVELS |BOOKMARKS |CONTACTS | HOME |web拍手

羨ましい男(なびき視点)

「ああ、今日はどっかに寄ってから帰ろうかなあ?」
外は、二月初旬だと言うのにぽかぽかと暖かい日差しで包まれていた。
窓を開けると、ふんわりとした柔らかい風。春一番ではないけれど、髪の毛がふわりと靡く勢いがある。
中には、こういう温かくなり始めた風の強い日には花粉が飛ぶかもしれないから憂鬱だ、なんてぼやいていた人もいたけれど、
幸い花粉症に縁が無いあたしには、この小春日和の昼下がりは過ごしやすいこと他ならない。
さて・・・学校は終わったけれど、でもこのまま真っ直ぐ家に帰ってしまうのには忍びないなあ、なんて。あたしは考えていた。
かといって、別に用事があるわけでもない。
さてさて、どうしようか・・・あたしがそんな事を歩きながらぶらぶらと廊下を歩いていると、偶然、乱馬くんの友人達に遭遇した。
確か、ひろしと大介って、二人組みだった気がする。以前ダメになってしまったあかねと乱馬君の祝言の招待状を、出したときに書いたような気がする。
あたしはそんな事を思いながら二人を見つめるも、
最も向こうは話に夢中みたいで、あたしがそうやって見つめている事なんて気がついていないみたいだ。
何の話をしているのかしら?
男が二人も固まって廊下の端によっているだけで目立つというか・・・というか、気持ちが悪い。
あたしは周囲に怪しまれないように二人に近寄り、耳を澄ませてみた。
すると、
「なー、やっぱりさー、二人きりで過ごす時ってさ、いつもと違うんだろ?お前の所も」
「まあな」
「膝の上に座ってきたりさー、もっと抱っこしてー、とかぎゅっとしてー、とか、アリだろ?」
「アリだな。でも、中々時間も場所もなあ・・・」
「それに、会ってすぐにいきなりそういうこと求めてもなあ・・・そういうことばっかしか考えていないとか思われそうだし」
「はー・・・」
なんて。
二人とも彼女はいるけれど、その彼女と甘い時間を過ごすにはそれなりに問題があるらしい。
そんな話を、ぼやき半分夢見心地半分でしていた。
・・・ま、高校生だしねえ。ぶっちゃけデートの度にホテルにしけこむわけには行かないし?
なかなかそれぞれの家にだって行く機会もないだろうから、人知れずそんな風にいちゃいちゃするのは難しいでしょうしね。
「デートをしたい」「一緒にいたい」までは男も女も同じかもしれないけれど、
健全な青少年であればあるだけ、男の子の方が「その先」について悩みが深くなるってことなんだろうな。
かといって、強引に事を進めたらねえ・・・そこで関係が終わりかねないと言うか。
あらあら、恋愛って大変ね。
まさに、他人事。そして、金になりそうなものでもないか・・・それならば長居は無用、あたしはそんなことを思いながら二人の傍を離れようとした。
とそこに、
「あれ?お前ら何してんだ?」
偶然やってきた金の成る木・・・おっと違った、それまで姿を現さなかった乱馬くんが、数学の教科書を片手にやってきた。
どうやら、別のところで何か用があったみたいだ。
大方、補習か何かのお呼び出しでもかかったのだろう。乱馬君の手にあるそぐわないグッズがそれを物語っている。
「おお、お前か。宿題忘れのオコゴトは済んだのか」
「まあな。で?何してんだ?こんな所で」
「男の夢を語っていただけだ」
「夢?」
二人は、とりあえず職員室帰りの乱馬君に労いの言葉をかけつつ、
「いや、二人きりで過ごすときはどんなことまでアリかってこと」
「ひろしと大介がか?」
「アホか!何で俺と大介が二人きりで甘い時間を過ごさなくちゃいけねえんだよ。彼女とのこと」
「彼女?」
「二人きりの時は、普段と違って甘えてくるって話だよ」
「そうそう。それが可愛くてなって話。でも・・・」
でも、場所も時間も中々作れなくて・・・二人は、乱馬君にそう続きを伝えようとした。
ところが、
「そうそう、可愛いんだよ」
二人が「でも」の続きを乱馬君に話す前に、乱馬くんは二人の言葉に反応して、ニコニコしながら話し始めた。
そして、
「あかねの奴さー、ホントに可愛いんだよ。特に、寝起きにからかって遊んでいると、何か猫をじゃらしているみたいで」
「・・・は?」
「そんで、寝ぼけて抱きついてきたり。夜寝る時だって、毎晩毎晩さー・・・」
とか何とか。
乱馬くんは幸せな顔・・・というかデレデレとしながら、あかねとの毎日毎晩ののろけ話を始めた。
「・・・くっ」
「この贅沢ものがっ・・・」
もちろんそんな乱馬くんの様子に、二人が何も思わないわけではない。
デートをする時間と場所が・・・なんて悩んでいる健康な青少年達に、この乱馬君の発言は神経を逆なでるというか、いやむしろ反感を持たせる事他ならない。
だいたい、毎日毎晩一緒にくっていてイチャイチャしたり寝たりしているなんて、通常だとありえないもんね。
一緒に、住んでいればこその特典だもの。普通の高校生カップルでは望んでも実現なんて出来ないでしょうに。
それなのに乱馬君のこの発言、もはや救い様が無い。

「敵・・・貴様は我らの敵だ!」
「な、何でだよっ」
「羨ましい男め!そっちが幸せな分だけ、他を不幸にしてやる!」
「何だよ、それ」
「帰りに俺達に奢れ!」
「はあ!?」
「可愛いあかねの純潔を好き放題に奪っておきながら、それだけに飽き足らず毎日毎晩いい思いしやがってっ・・・恥を知れ!」
「バカ野郎!俺だって一応恥じらいくらいはあるぞっ、だいたい、毎晩寝る時はあかねが恥ずかしがるから電気も消して・・・」
「くわーっ!許さん!貴様許さんぞっ」
「だ、だから何でだよっ・・・」

火に油を注ぐと言うのは、きっとこの事なんだろう。
乱馬くんは、更に二人に首を絞められたりとっちめられたりしながらズルズルと、廊下の向こうへと連れて行かれてしまった。
「・・・」
あたしは、事の次第を全て見届けた後、ため息をつきながらその場を離れた。

 

一緒に住んでいるからってせいもあるかもしれないけれど、
確かに一般男子からすると羨ましいかぎりのバカップル・・・いえ、仲良しさんよね。乱馬君とあかねは。
乱馬君も一度、自分が置かれているこの恵まれた状況に感謝するべきだわ。
「それにしても・・・」
・・・あたしの知らないところでそんなに仲良しさんなことをやっているとは。
毎日毎晩、へえ?そう、電気は消してコトをするんだ。
そればっかりは、盗聴器だけじゃ分からないからねえ・・・
・・・
「時代はやっぱり、カメラよね」
映像力、恐るべし。
ほら、それに目で見える形で残れば、乱馬君に「二人の愛のメモリアル」として見せてあげる事もできるじゃない?
乱馬くんはあかねが可愛くて仕方が無いわけだし、きっとそのメモリアルはあたしの手元に置いておくよりも自分の手元に、ねえ?

 

とりあえず今日の放課後は、大きな家電量販店にでも寄って帰ることにしよう。
あたしはそんな事を考えながら、ホクホクと廊下を歩き下駄箱へと向かったのだった。


RUMIC'S NOVELS LINK

パラレル
糖度2
糖度3
糖度4
糖度5
企画

OTHER CONTENTS

■オリジナル作品(外部サイト)
お仕事情報

THANKS!

TOTAL: HITS(Y:)