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NOVEL

目のやり場に困る。
そうか、これがそういうことなのか・・・と、生まれて十六年経った今、俺は初めてそんな状況に遭遇していた。

 

夕食後の居間には、俺とあかねの二人きり。
俺はテレビを見ていて、
あかねは、風呂上りに虫さされの薬かなんかを、足に塗ろうとしているようだった。
しかしなかなかこれが不器用で、上手い事患部に塗る事が出来ないようだ。
「…ったく、不器用な女」
一体足に薬を塗るまでにどの位かかってんだよ?
…俺がそんなことを思いながらふと、隣に座っていたあかねへ目をやったところ、俺は思わずギョッとした。
少し困った事態にこう、遭遇してしまったわけだ。


…風呂上りだから、いつもみたいに長い髪を後ろで束ねず、サラサラとなびかせている、あかね。
そして、
膝上くらいの丈の短いワンピースを着ているくせに、薬を塗るためににょきっと、ワンピースの裾から足を、畳に伸ばしていた。
薬を塗る位置が膝より少し上、更に内側部分だからなのもあって、
あかねはその白くて細い形のいい足を、惜しげも無く畳の上に放り出していた。
恐らく今まで女家族主体で過ごしてきたから、家の中でこんな姿をすることに全く抵抗が無いというか意識すること事態無かったのだろう。
とはいえ、もうそういう状況では無いわけで。
下着はかろうじて見えていないにしろ、勿論そんな格好は、おおよそ年頃の男の前でする格好とは思えない。
九能先輩を始め学校の奴らがこの光景を見たら、きっと涙を流して喜ぶだろう。

「・・・」
別に俺は、あかねに何と言うかその・・・色気を感じる事なんてないし、こんな風に足を見せられたって変な気分になったりはしないけど、
そうは言ってもやはり、年頃な男だけあってそう、目のやり場に困る。
一方のあかねはというと、自分がそんな俺を困らせている格好をしているという意識が全く無いらしく、
「あれ?また塗れないや…何でえ?」
とか何とか言いながら、依然として薬を塗るのに夢中な様子だ。
俺は心の中でこっそり、ため息をつく。


・・ったく、少しは俺の存在を考えろっての。
仮にも俺は、男だぞ。そりゃ、おめえみたいなはねっかえり、どんな格好していたって妙な気なんて全然起こすつもりは無いけどさ。
・・・
「・・・」
そんなことを思いながらテレビに集中しようとする俺だったけど、何だか自然と、咳払いの回数が増えた。
そう、優しい俺は、この不自然な咳払いであかねに自分から自分の愚かさを気付かせようとしているのだ。
俺って、何て優しい男なんだ?…俺は自画自賛して自らを称えてみる。
ところが、
「何よ、さっきから咳払いなんてして。風邪?」
・・・恐ろしいくらいの鈍感女、あかねがそんなことを俺に向かって尋ねて来た。
「・・・」
…お前のせいだろうが!
俺はそう叫びたいのをぐっとこらえ、その代わりに大きなため息をつく。
あかねはそんな俺に対して、容赦なく可愛げのない悪態をついていたが、
「格闘家のくせに、夏に風邪引くなんてたるんでる証拠だわ」
「な、何をー!一体誰のせいだと…」
「ほら、風邪薬」
最後にそう言って、バシっ・・・と自分の側においてあった救急箱から風邪薬の箱を取り出し、俺に向かって投げた。
そして、
「あー、やっと塗れた。これだから虫刺されって嫌なのよ。ホント、もう蚊取り線香の季節ねえ」
とか何とか言いながら、ようやくそれまで畳のの上に放り出していた足をひっこめて、居間から出て行った。
「はあ・・・」
俺は、ようやく緊張が解けたというか気持ちが楽になり、思わず大きなため息をつく。


・・・ったく。
風邪薬をよこす気の回し様があるんだったら、男の前で太もも放り出すっていうそっちの方に神経使えってーの。
「…」
もしも、
もしも俺が万が一、変な気を起こしちまったら、どうすんだよ。
俺だって男なんだからな。しようと思えば力付くで簡単に・・・


「・・・」
・・・ま、そんなことはこの先、一生かかってもないとは思うけど。
うん、だって「万が一」の可能性だから。そんな可能性、滅多に起こらないって事だからなあ。
「…」
俺は、何度も自分にそう言い聞かせながらもう一度、大きなため息をついたのだった。


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