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大胆な君

ある日の、夕方の事。
夕食までの短い時間を、居間でテレビを見ながら過ごしていた俺。
居間には、テレビの前を陣取って離れないなびきと、新聞を読んでいるおじさん。
そして、
「・・・」
鼻歌を歌いながら、編物---らしきものをしているあかねが、俺の隣に座っていた。
「うふふふー・・・。上手く出来た!すっごく上手くできちゃった」
あかねは、なにやら自画自賛しながら、創作中の地引網・・・もとい、きっと将来的にはマフラーになるのだと思わ
れるものを、ニコニコしながらみている。
時折、
「えへへへー・・・」
笑いながら、俺の身体にその地引網をあててみたりして。
「・・・」
どう考えても、防寒装備としては物足りないそれではあるけれど、
それを俺のために一生懸命作っているのだと思えば、決してそれに対して不満など生まれはしない。
「・・・」
・・・ったく、可愛いったらありゃしねえ。
俺は、素直にそう思う。
あーあ、ここがあかねの部屋なら、抱き寄せて頭の一つでも撫でてやるってのに。
俺はそんな事を思いながら、とりあえず他の家族には悟られないように、少しだけ笑顔のあかねに近寄った。
あかねは、
「ふー・・・編物してたら、手が冷えちゃった」
そんな事を言いながら、やっぱり俺の身体に少しだけ寄り添いながら、コタツの中へと手を突っ込んだ。
もはやこれは、俺に
「もう、コタツの中なら手ぐらい握ってもいいぞ?」
そんな誘いをかけているのか。いや、俺にはもうそうとしか思えねえ。
・・・仕方ねえな。
あかねがそこまでするのなら、コタツの中なら、皆に気付かれずにあかねにも触れることが出来るだろうし。
あかねの行動を逐一見逃さない、そしてあかねの気持ちを勝手に汲んだつもりの俺は、
そんな邪な事を考えつつ、コタツの中に突っ込まれたあかねの手を握るべく自分の手を移動させた。
と。
フワっ・・・
俺があかねの手に触れる前に、コタツの中の俺の手に何か柔らかい物が、触れた。
「!」
俺は、はっと息を飲んであたりを見回す。
・・・おじさんは、新聞を両手で持っている。
なびきはコタツから離れたテレビの前で菓子を食いながら座っている。
と、言う事はだ。
「・・・」
コタツの中で俺の手に触れたものは、もちろんあかね・・・がコタツの中に入れている手だ。

あかねの奴、もしや自分から俺と手を繋ぎたいと?
随分と可愛いじゃねえか。俺は、思わず顔を緩ませる。
よしよし、じゃあ俺もその気持ちに応えて手を握ってやるか。

俺はそんな事を考えながら、チラッと触れたあかねの手を握り返そうとするも、
「えっ・・・!?」
何故かそれよりも一瞬早く。あかねは、俺の手をすり抜けて、俺のズボン・・・そう、太ももへと手を伸ばした。
そして、膝と太ももをゆっくりと撫でまわしている。
「・・・」
・・・あかねのこの大胆な行動には、さすがの俺も真っ赤になってしまった。

どうしたんだ、あかね。何があったんだ、あかね。
お前そんなに・・・そんなに俺と・・・!?

いつもは、俺があかねにすること・・・いや、俺があかねにそれを求めるというのに、今日のあかねは何だかとても
積極的だ。
ゆっくりと太ももに手を這いまわしては、また膝の上へと戻る。
何だか、柔らかい手つきがくすぐったくも少し心地いい。
「・・・」
俺は、あかねのこの大胆な行動に頬を赤らめながら、隣に座っているあかねの方を見た。
するとあかねは、
「なあに?乱馬」
にこっと、そんな俺に微笑み返した。
「・・・」
あかね、その笑顔の意味は?
もう、分ってるくせに、バカ!・・・とでも思っているのだろうか。
そ、それなら俺だって応えないと・・・
「お、おう」
俺は、自分でもよく分らない声を出しながら再びあかねから目を逸らす。
そんな俺を弄ぶかのように、あかねは俺の足を撫でつづける。
その手の動きは徐々に幅を広げ、俺の足をどんどんと登ってくる。
円を描くようにして這い上がってくるその手は、
「もう、乱馬ったら。あたしがこんなに誘っているのに」
そんなことをいっているかのような、大胆且つ、積極的な手つきだ。

・・・ああ、あかね!
こんな、お前こんな皆がいる居間で!?
おじさんだって、それにあのなびきだっているんだぞ?!
そんな危険を冒してまでもお前…!

「・・・」
俺は、這い上がってくる手の感触にゾワゾワと身体を震わせながら、そんなことを思っては顔を赤らめている。

さあ、どうする俺。
あかねが、このかわいいあかねがここまで危険を冒して、俺を誘っているというのに。
それを俺は、応えずして良いものなのか!?
それが男のすることか?いや、否!それは過ちである。
しかし、なびきとおじさんがいるこの場所では、あかねの身包みをはが・・・いや、押し倒すわけにも行かないだろ
う。
だったらあれか?
「あかね、宿題を教えてくれよ」
そんな、いかにも紳士的な台詞を喋りながらあかねを部屋までエスコートするしかねえのか?

「・・・」
俺は、あかねとコタツと忙しなく見比べながら、そんなことをあれこれと考えていた。

・・・と。
「くっ・・・」
あかねの手が、俺の太ももに再び這いまわっている最中。
「あー、手が温まった。さ、続きを編もうかな」
・・・俺の太ももに手は這いまわっているというのに、
なぜかあかねがそんな事を言いながら、「両手」をコタツの外に出した。
「・・・ん?」
俺は、思わず首をかしげる。
あかねの両手は、間違いなくコタツの外だ。再び笑顔で編物を始めたからだ。
それなのに、俺の太ももには未だに「手」が這いまわっている。
「へ?」
俺は、眉をひそめてこの状況をもう一度整理しようと考えた。

・・・なびきはコタツから離れた所にいる。というか、なびきが俺に触れるはずがない。
おじさんは、両手で新聞を持って読んでいる。というか、おじさんが俺に触れるなどその意味がわからない。
あかねは、俺の隣に座っている。でも、両手で編み棒を持って編物をしている。
だけど、コタツの中では俺の太ももが誰かに撫でまわされている。
もちろん撫でているのは、俺じゃない。

 

・・・じゃあ、誰?

 

「・・・」
一体何がどうなっているんだ?
俺は真相を確かめるべく、コタツの蒲団を捲りあげた。
・・・と。

「にゃーご・・・」
「ん?」

俺がコタツの蒲団を捲りあげた瞬間、何だか妙な・・・鳴き声がコタツの中から聞こえてきた。

はは、何だかまるで猫の鳴き声みてえだな。
俺はそんな事を思いながらもう一度コタツの中を覗いてみた。

すると、
「にゃーご・・・」
おかしな事に、また猫の鳴き声が聞こえた。
これではまるで、コタツの中に猫でもいるかのようだ。
俺がそんな事を思っていると、
「にゃー・・・」
そんなコタツを覗いている俺の鼻先を、何かがべろっと舐めた。

ざらりとした、柔らかい感触。
そして、人とは違う特有の匂い。
これは、舌か?でも、人の舌じゃねえな。あかねが俺を舐める時は、こんな変な匂いも、妙な感触もしねえ。
だとすると・・・

「・・・!?」
俺は、慌ててコタツ布団を捲り上げた。
「ちょっと。何よ乱馬、寒いじゃない」
いきなり蒲団を捲る俺に、あかねが文句を言う。
「いや、ちょっと・・・」
コタツの中に、何かいる。俺はボソッと小さな声でそう呟いた。
「しかも、にゃー、と鳴きやがる・・・」
「え?」
俺の言葉に、あかねが一緒になってコタツを覗くと、
「にゃー・・・」
あかねがコタツの中を覗いた瞬間、のそっ…となにやら黒い物がコタツの中から姿を表した。

・・・三角形の小さな耳に、黄色く光る瞳。銀色の立派な髭に、たゆらかな動きをする、丸みを帯びた細長い尻尾。

「・・・」
姿を表したそれは、俺とバッチリと目をあわせた。
人懐っこい表情で、もう一度俺に向かって「にゃー」と鳴いた。
そのあげく、
「にゃー」
それは、俺の顔の前へととことこと進んでくると、ぺろっと・・・再び鼻先を舐めた。
逃げる暇も、無かった。

「ぎゃー!」
俺は、まるで蛙がひき潰されたような声で悲鳴をあげた。
そしてそのまま、その場に倒れこむ。

・・・当たり前だ。大嫌いな猫に、二度も顔面を舐められたのだ。
その上、てっきりあかねの手だと思っていたけれど、実は猫に足を触れられて擦り寄られていただなんて。
考えただけでも・・・蕁麻疹が。蕁麻疹が足の先から頭のてっぺんまでザザザザザっと上り詰めてくる。
かわいいあかねの姿から、猫へとまさに天国から地獄。
俺は倒れながら、泡を吹いた。

「ちょっと乱馬!?」
そんな俺を、あかねが慌てて抱き起こす。
「なあに?どうしたの?あら、猫が」
「おやおや」
その様子に気がついたなびきとおじさんが、
コタツの中から不意に現れた猫と、倒れた俺を交互に見ながらそんなことを呟いている。
猫は、暢気に倒れた俺の身体の上で「んー…」と身体を伸ばしたりして。
俺は、ちゃっかりとあかねの身体に顔を埋めるようにしながらうんうんと唸って倒れている。
とそこに、

「あらあら、だめよクロちゃん。乱馬くんは猫が嫌いなんだから…」
それまで台所で夕食の支度をしていたかすみさんがやって来た。
そして、俺の身体の上に乗ってくつろいでいる猫を抱き上げて、隣のオジサンの部屋へと連れて行く。

・・・どうやらその猫、隣の家から預かってきたらしい。
食事に行く間、面倒を・・・と言うことで、カゴつきで預かってきたけれど、寒かったせいかカゴから逃出して、コ
タツの中で丸まっていたらしい。
過保護に育てられているがゆえとの事だが、
「やあねえ、お父さんの部屋にカゴを置いておいたのに。いつ逃出したのかしら」
暢気にそんな事を言いながら猫を抱き、笑顔で居間を出て行くかすみさんに、
「お、お姉ちゃん。家の中に猫がいるんだったら、もっと早く言ってくれないと」
倒れている俺の変りに、あかねがかすみさんにそう言っていた。

うんうん、そうだよなあかね。
・・・俺はそんなあかねに感謝しつつ、こっそりと顔を身体に埋めようとするも、

「・・・」
ごきゅ。
肘で頭を小突かれた。甘える作戦は、あかねに何なく見透かされたようだ。
・・・そりゃあさ。あかねがあんな積極的に俺に求めてくるなんてないとは思ったけれど。
でも、期待するくらいはなあ。
そりゃ、期待もするって。
・・・
あーあ。期待したのになあ。
「・・・」
期待していた分だけ、それが実は猫だった、という真実が俺の身には異常に堪える。
ちぇっ。
俺は軽く舌打ちをしながらも、先ほど猫に舐められた鼻先の感覚を思い出しながら、ぞわりと身を震わせたのだった。


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